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松山 洋氏によるトークセッション「アニメ×ゲームの親和性とは!」レポート。サイバーコネクトツー設立から25年の間に起きた変化を語る
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印刷2021/03/30 18:28

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松山 洋氏によるトークセッション「アニメ×ゲームの親和性とは!」レポート。サイバーコネクトツー設立から25年の間に起きた変化を語る

 松戸市コンテンツ事業者連絡協議会の主催によるオンラインイベント「クリエイティブ系ワーキングスタイル・トークセッション Vol.18 サイバーコネクトツー 松山洋が語る アニメ×ゲームの親和性とは!」が,2021年3月29日に開催された。

画像集#001のサムネイル/松山 洋氏によるトークセッション「アニメ×ゲームの親和性とは!」レポート。サイバーコネクトツー設立から25年の間に起きた変化を語る

 表題どおり18回目となった今回のセッションでは,サイバーコネクトツー代表取締役の松山 洋氏が,起業に至る経緯とその苦労,過去にサイバーコネクトツーにて開発してきたコンテンツにまつわるエピソード,ヒットコンテンツの作り方のヒントなどを語るものとなった。聞き手は,メディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏だ。

「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」公式サイト

「ドラゴンボール Z KAKAROT」公式サイト



漫画にインスパイアされたゲーム作りとは


 トークの話題は,松山氏と週刊少年ジャンプを筆頭とする漫画の関係からスタート。松山氏は6歳の頃から43年間,週刊少年ジャンプを1ページも欠かさず読み続けているとのことで,自身を形成してきたのはほぼ漫画にあると語った。
 松山氏が初めて手にした当時の週刊少年ジャンプは,本宮ひろ志氏平松伸二氏宮下あきら氏に代表されるような劇画調の漫画が多く,かつ凶悪事件などを扱うケースも多かった。そのため,それまでコロコロコミックなどに親しんでいた松山氏は,「まだ自分には早いかな」と思うこともあったという。
 その中で唯一向き合えて読めたのが,ボクシングを扱った車田正美氏「リングにかけろ」で,松山氏は「私を漫画に引き込んだ作品」と話していた。

画像集#002のサムネイル/松山 洋氏によるトークセッション「アニメ×ゲームの親和性とは!」レポート。サイバーコネクトツー設立から25年の間に起きた変化を語る

 松山氏は自身が将来漫画家になると考え,小学生時代から漫画ばかり描いていたという。中高生時代にはGペンやインク,ケント紙など道具を一とおりそろえ,ネーム,下書き,ペン入れ,ベタ塗り,スクリーントーン貼り……といったように,プロと同じ手順を踏んで漫画を描いていたそうだ。
 その一方では,鳥山 明氏の漫画やイラストを見て,「なぜスクリーントーンを使わずに,こんなに白黒のバランスが良い絵を描けるのか」といったような分析・研究も行っていたとのこと。

 そんな松山氏が,よく知人から言われるのが「ゲームでビジネスをしているけれど,一番好きなのはゲームじゃないだろう」という問いかけ。建前上「それは違う」と否定することもあるが,よくよく考えてみると自身でも「漫画が一番好き」というところにたどり着くそうだ。続いて映画,アニメと来て,4番めにようやくゲームというのが正直なところだという。

 ただ松山氏は,ゲームクリエイターとして「ゲームが一番好きではないこと」は良いことだと考えている。それは漫画や映画,アニメから受けたインスピレーションを,ゲームの表現や演出に活かせるからだ。とくにここ10年ほどでゲームの規模は大きくなり,AAAタイトルでは壮大なストーリーが描かれることも普通になった。
 その一方で松山氏は,そうした物語体験とゲームをうまく融合できているタイトルはまだまだ少ないとする。松山氏自身はかなり早い段階からゲームの物語体験に着目していたそうで,漫画や映画,アニメそれぞれのジャンルでセオリーになっている表現や演出を,自身が手がけるゲームに盛り込んできたとのこと。今でも漫画を読んだあとは,その漫画から受けたインスピレーションを開発中のゲームに活かせないか考えるのだとか。

 松山氏がそうした思考の過程をたどるようになったのは,前身のサイバーコネクト時代の経験がきっかけだった。サイバーコネクトは規模が小さく人員も少なかったせいか,社内の空気は「自分達が良いと信じるゲームをコツコツ作っていけば良い。結果はあとから付いてくる」というものだったそうだ。しかしサイバーコネクトのゲームは「遊んだら面白い」とは言ってもらえるものの,そもそも誰も知らなくて遊んでもらえないから面白さが伝わらないという状況に陥っていた。
 松山氏はその状況を「まずは面白そうだと思ってもらい,買ってもらう,あるいは友達から借りてもらうが先にあり,そのあとに遊んでみてつまらないのか,やっぱり面白いのかがある」とし,「知ってもらえなければ,土俵にも上がれない」ということを学んだと語った。

 また精魂込めて作ったゲームのセールスが奮わなかったことについても,松山氏は非常に悔しかったという。しかし社長以下,ほとんどのスタッフの態度は「うまくいかないときもある。次,頑張ろう」というもので,松山氏は「命を懸けるほどやって結果が出なかったんだから,まずやるべきは反省だろう」と違和感を覚えたそうだ。

 そのため2001年に社名を変更し自身が代表になったサイバーコネクトツーで,松山氏は「自分がもっとも得意で,言い訳の効かない必殺技で勝負する」というスタイルに改めたとのこと。
 松山氏が考える「もっとも得意なこと」とは,「その人が努力しなくとも,楽にうまくできること」である。つまり松山氏自身の場合は,「漫画」だった。漫画や映画,アニメが好きなのだから,その能力を活かさない手はないと考えて作っていったのが,「.hack」シリーズ「NARUTO -ナルト- ナルティメット」シリーズというわけである。


「復讐三部作」,モントリオールスタジオ,外国人スタッフ


 続いての話題は,サイバーコネクトツーが現在進行しているプロジェクト「復讐三部作」について。松山氏は復讐劇が好きとのことで,その理由を「本来,復讐は人間がやってはいけないことの1つだが,復讐を誓う人間にはその人なりの正当な理由がある。物語の中だからこそ,復讐を成し遂げさせたい」と説明。そうした感情移入をさせる復讐劇のロジックをゲームに落とし込めば没入感も増すというわけである。実際,松山氏自身が意識せずにオリジナルIPのゲームを作ると,だいたい復讐劇になるそうだ。

 またオリジナルIPでは世界観や主人公の設定,戦う理由などを受け手に理解させるために時間がかかるが,復讐劇にはそれらをもっとも短い時間で伝えられるというメリットもあるとのこと。例えば「鬼滅の刃」のストーリーの発端は,鬼に家族を惨殺され,妹を鬼にされた主人公の炭治郎が,せめて妹だけは助けようと鬼殺隊に入り鬼を討伐しようとするシンプルな復讐劇であり,だからこそ多くの人に受け入れられたわけである。

画像集#003のサムネイル/松山 洋氏によるトークセッション「アニメ×ゲームの親和性とは!」レポート。サイバーコネクトツー設立から25年の間に起きた変化を語る

 さらにトークは,サイバーコネクトツーのモントリオールスタジオの話題に移行。同スタジオには現在40名ほどのスタッフが在籍しているが,もともと日本のコンテンツが好きな人材しか採用していないという。
 彼らスタッフの大半は,大手のゲーム会社でゲーム開発の経験があり,技術的にも優れている。そんな彼らがなぜサイバーコネクトツーに転職してくるかというと,前職では日本のコンテンツを扱ったゲームや,その会社の看板IPに関わらせてもらえず,新しいIPの創出を期待されるという不満を抱いているからだ。
 そうした背景を受けて,サイバーコネクトツーではモントリオールスタジオにも「鬼滅の刃」を作るチームや「ドラゴンボール」を作るチームを置き,日本のチームと一緒にゲームを開発する手法を採っているとのこと。

 松山氏は,コミュニケーションを「その人が不平不満を抱いていること,その人が喜んでいることの2点に目を向けること」だと定義づける。とくに不平不満を優先するべきだそうで,その理由は解決すればその人が喜ぶからだ。
 そうやって海外の開発者達の不平不満を拾い上げていった結果,サイバーコネクトツーはモントリオールスタジオを設立する運びになったのである。

 また現在,サーバーコネクトツーの福岡本社と東京スタジオに在籍する240人前後のスタッフのうち,外国人は13か国から集まった40人前後。言語の壁や育った国や文化の違いはあれど,「同じコンテンツが好き」という点で共通するため,向き合って議論ができるという。
 さらに彼ら外国人のうち,半数近くがまったく日本語を使えないそうだ。そのため社内に通訳スタッフを4人置いて,ミーティングや書類作成などを行っているとのこと。加えて,日本語を学ぼうというスタッフに対する金銭面も含めた支援も行っている。そこまでする理由は,日本語が使えることよりも技術的に優れた人材がほしいからである。実際,こうした話を海外ですると,「日本語ができなくてもいいと言う日本企業は初めて見た」と驚かれるそうだ。

 ただ,そうした外国人スタッフの中には,「より良くしたい」という気持ちから勝手にアレンジを加えてしまう人もいるとのこと。トークでは,「ドラゴンボールZ カカロット」PS4 / Xbox One)の開発中,モントリオールスタジオから上がってきたトランクスの搭乗するタイムマシンのデザインが見たこともないものになっており,松山氏が日本の著作権について説明するなど説教をしたエピソードが披露された。

画像集#004のサムネイル/松山 洋氏によるトークセッション「アニメ×ゲームの親和性とは!」レポート。サイバーコネクトツー設立から25年の間に起きた変化を語る

 その一方で,版権タイトルだからと言ってまったくアレンジをしないことが必ずしも正義ではない。例えば「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」PC / PS4 / PS5 / Xbox One / Xbox Series X)を遊ぶプレイヤーは,いち早く主人公の炭治郎になって刀を振りたいはずだ。しかし原作アニメのままストーリーを進行してしまっては,炭治郎が刀を手にするところまで結構な時間がかかってしまう。
 松山氏は「まずゲーム体験があって,そのあとに物語が進行し,ちょうど良い頃合いでまたゲーム体験があるという匙加減が大事」とし,その加減が人それぞれなので,毎日1人1人と向き合っていると話していた。


25周年を迎えたサイバーコネクトツーと,ここ10年のゲーム業界の変化


 話題は,サイバーコネクトツーが2021年2月16日に25周年を迎えたことにもおよんだ。松山氏は,同社の体制が前半の十数年と後半の十数年で大きく変化したとする。具体的には前半では10〜30人前後の規模で,1年程度の期間をかけて1タイトルを開発していたのに対し,後半では100人規模で,企画1年,開発3年をかけて1タイトルを開発するようになったという。とくに後半で企画に1年かかるのは,予算が前半の10倍近くになり,安易な企画が通らなくなったからとのこと。

 またゲーム業界全体について,松山氏は「この十数年の間に,オープンワールドでゲーム内では何でもできることが良いことになった。それでワールドワイドで数百万本売るとなると,大規模開発にならざるを得ない。そうなるとゲーム開発も,会社として異変が発生する」とし,「例えば新人は入社後1年間,広大な大陸の木や岩を並べ続けるような作業をしなければならない。時代が時代なら,拷問のようなもの」と発言。それが嫌になり,2〜3年でゲーム業界を去る人も少なからずいるという。

 そうではなく,「少人数でチームを組み,1人1人がプログラマーやシナリオ担当など何役も兼任して1年かけてゲームを完成させて,何となくゲーム開発が分かったので次のタイトルに取りかかるのが,理想の入社2年め」だと松山氏は語る。実際サイバーコネクトツーでは,社内で扱うプロジェクトを大規模と小規模に分け,後者はベテランと組ませて若手に1年程度でゲーム開発を覚えさせるような体制になっているという。
 しかし多くのゲーム会社は,そうした体制ではない。数年前ならスマホゲーム開発を若手教育の場に使っていたところもあるが,今やスマホゲームの予算も莫大なものとなっており,どこも本気で取り組まざるを得なくなっている。

 またゲーム1タイトルあたりの開発期間は3年になっているので,新人が2タイトルめに取りかかれるのは4年後となり,大卒で入社した新人なら20代で2〜3タイトルの開発にしか関われない計算になる。
 加えて大手のゲーム会社,かつ歴史の長いIPのプロジェクトだと,開発チーム内の一定以上のレイヤーにしか公開できない情報も出てくる。結果,下層レイヤーの若手スタッフは,自分がゲームのどの部分を作っているのかも分からないまま作業を続けることになってしまう。

画像集#005のサムネイル/松山 洋氏によるトークセッション「アニメ×ゲームの親和性とは!」レポート。サイバーコネクトツー設立から25年の間に起きた変化を語る

 そうした背景を受け,サイバーコネクトツーの新人教育は松山氏自身が手がけているという。25周年を迎えた同社のスタッフは,上は40〜50代,下は20〜30代と20年の乖離があるので,もの作りに対する考え方,例えばメモリやデータの容量に関する意識が大きく異なる。そのため社内では,各プロジェクトのデータを抜き打ちでチェックし,無駄な容量を割いている部分がないかのレポートを提出させ,該当する部分に関わったスタッフに修正を命じているとのことだった。

 改めて今のゲーム業界について問われた松山氏は,AAAタイトルとインディーズゲームの2極化がより進んでいることを指摘。どのゲーム会社も中途半端な規模のゲームを作るよりは,AAAタイトルに注力したほうが良いと考えているように見えるという。
 その一方で,小規模開発のインディーズゲームで頭角を現す若手も続々と登場しており,頼もしく思うと同時に,自身もウカウカしていられないと話していた。

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