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印刷2026/08/28 18:00

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「ファミ箏」10年ぶりの単独公演をレポート。「サクナヒメ」「ゴエモン」「FFVI」などの楽曲が和楽器の超絶技巧で鳴り響く

 2026年8月7日,東京都葛飾区のかつしかシンフォニーヒルズ アイリスホールにて,「ファミ箏(こと)」第5回演奏会が開催された。

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 「ファミ箏」とは,生田流箏曲の演奏家・作曲家の沖政一志氏をはじめ,邦楽界で活躍するメンバーで結成された,和楽器のみでゲーム音楽を演奏する団体だ。
 10年ぶりの単独公演となった今回は,「天穂のサクナヒメ」「がんばれゴエモン」シリーズ「不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録」「アナザーエデン 時空を超える猫」,そして「ファイナルファンタジーVI」といった多彩なゲーム音楽が和楽器で奏でられた。
 本稿では,情緒あふれる和の演奏が堪能できた,本公演の模様をお届けしていこう。

 公演当日の東京は快晴。会場のかつしかシンフォニーヒルズ アイリスホールには多くの観客が詰めかけた。開演時間を迎えると,着物姿に身を包んだファミ箏メンバーが舞台に登場して一礼し,演奏が始まった。

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 公演の幕開けを飾ったのは,「天穂のサクナヒメ」だ。沖政氏の指揮のもと,まず披露されたのはボス戦の曲「暴 −あばれ−」。小気味よく掻き鳴らされる三味線をはじめとした和の音色で会場の熱気が上がっていく。

 続いて,水のダンジョンで流れる曲「汀 −みぎわ−」は,ゆったり涼しげな演奏が会場を包む。途中で尺八の神永大輔氏が舞台前方に移動し,観客の間近で爽やかな音色を披露していた。

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 「サクナヒメ」でとくに人気の高いラストダンジョン曲「樹 −いつき−」では,作曲者・大嶋啓之氏のご厚意により,この曲に限って写真&動画撮影とSNS投稿の許可が出ていることが沖政氏から発表された。
 しっかり記録に残そうと多くの観客がスマートフォンのカメラを舞台に向けつつ見守る中,和楽器が織りなす迫力の演奏が響きわたる。
 主題歌「ヤナト田植唄」のフレーズが入っているのも胸熱だ。演奏が締めくくられると,ひときわ大きな拍手が贈られた。

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 演奏後には,スタッフの方々によって箏の移動が始まった。沖政氏のMCによると,演奏楽曲によって調弦が異なるため,箏や演奏者を入れ替える必要があるそうだ。
 また,次に演奏する「がんばれゴエモン」について触れ,「ファミ箏」を立ち上げるよりも前,最初にゲーム音楽を和楽器で演奏してみないかと友人から誘われたとき,まず演奏したいと思ったのが,沖政氏が好きだった「ゴエモン」だったとのこと。
 今年7月に「がんばれゴエモン大集合!」が発売されると知ってうれしくなり,今回のプログラムに急遽「ゴエモン」を入れたそうだ。

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 さて,そんな沖政氏の作品愛があふれる「ゴエモン」シリーズの演奏は,箏や三味線の小気味よい音色が響く「江戸城」から始まる。この曲は初代「がんばれゴエモン! からくり道中」のステージ1と同じ旋律を持つ,シリーズおなじみの名曲だ。

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 穏やかな「ひとやすみ」,旅情感あふれる「中国・四国」「黒豆頂戴!」が次々に奏でられ,心地よい音色を堪能……と思いきや,「霧のお化け町」で不穏な空気へと一変。
 「謎のほろほろ寺」を走り抜け,ボス戦「お化け出現!」では,お化けが現れる際の“ヒュードロドロ……”の部分を,箏の底面の部分を手で叩くことで表現し,おどろおどろしさや恐怖感を出していた。

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 お化けを倒したあとは,ダイナミックな尺八がうなる「松の廊下を駆け抜けて」が響き,そのままのハイテンションで「からくり人形ボス」をこらしめる。
 一転してラストの「ゴエモン哀愁の旅」は,原曲よりも遅めのテンポでしっとりと奏でられ,ゴエモンらしい和の情緒を堪能できた。

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 次のタイトルは「風来のシレン6」だ。まずはホームタウンである穏やかな「宿場浜」と,序盤ステージ曲の「そぞろヶ浦」が披露された。
 「そぞろヶ浦」の最後には,シレンがレベルアップする際の一本締めをメンバー全員が威勢のいい掛け声でやるという,思わずニヤリとしてしまう心にくい演出もあった。
 続いて「ダンジョンのお店/店の商品が!」のお店メドレー,「のどかな風景/やさしい木漏れ日の中で/一触即発/おめっとさん!」のイベントシーンメドレーが次々に奏でられていく。

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 「風来のシレン6 メインテーマ」では,大賀悠司氏による高らかな篠笛と,打ち物(打楽器)と三味線担当の田辺 明氏による勇壮な太鼓が印象的だった。
 最後に奏でられた,クリア後のダンジョン曲「魃の砂丘」は,箏と三味線,尺八の美しいハーモニーが流麗に奏でられていた。

 演奏前のMCによると,沖政氏は「魃の砂丘」について,かねてより「めちゃくちゃ格好いい曲だ,ぜひ弾きたい」と思っていたとのこと。
 昨年12月に開催された「風来のシレン30周年記念 不思議のダンジョンストア」でのミニライブイベントにファミ箏が出演するにあたり,作曲者のいとうけいすけ氏からぜひ演奏してほしいと依頼があり,とてもうれしかったそうだ。

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 12月6日,「風来のシレン30周年記念 不思議のダンジョンストア」にて,「風来のシレン6」のミニライブが開催された。和楽器グループ「ファミ箏」による生演奏に加え,ゲストの作曲家・いとうけいすけ氏が登壇し制作秘話を語った。マイクを通さない生の和楽器の音色が響き渡った,昼公演の模様をレポートする。

[2025/12/10 18:00]

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 続いてのタイトルは「アナザーエデン」だ。沖政氏は同作の公式バンド「ホシノオトシモノ」にも参加しており,先日7月18日に開催されたコンサートに奏者として出演していたそうで,そのときに使用したペンライトを「今日も使ってOKですよ!」と案内していた。

 同作から今回披露されたのは,東方地域の楽曲だ。ゆったり穏やかな「白夜・巳の国イザナ」「七彩の郷」が演奏され,会場を柔らかな雰囲気で包む。

 続く「ヤガラ竹林」では,リズミカルな太鼓とともに尺八の爽やかな音色が響きわたる。さらに田辺氏が「ひぐらし笛」という笛を吹いて虫の鳴き声を再現し,臨場感をより高めていた。なお,この笛は沖政氏が浅草の太鼓屋さんで購入し,田辺氏に渡して吹いてもらったそうだ。

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 透き通った尺八の響きが印象的な「桜の苑」では,演奏の合間に沖政氏らがペンライトを持って振り始める。
 本日来場していた同曲の作曲家・林 茂樹氏をはじめとした「アナザーエデン」サウンドメンバーの皆さんなどペンライトを持つ人はそれを振り,そうでない人も手を振り,一体感が生まれていた。
 最後の「魔境血風陣」は,原曲と同様に血が湧き立つような力強さと,和楽器らしい優雅さを合わせ持つ演奏が繰り広げられた。

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 演奏会のトリを飾るのは,「ファイナルファンタジーVI」のラストバトル曲「妖星乱舞」だ。ファミ箏のメンバー全員が総登場し,全4楽章あわせて20分を超える超大曲がノンストップで披露された。

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 原曲に入っているコーラス部分もメンバーが実際に歌い,原曲でパイプオルガン風の音色だった複雑なパートも,見事な指使いでお箏を弾いていく。
 筆者も「FFVI」には強い思い入れがあり原曲を何度も聴いてきたのだが,和楽器で奏でられる「妖星乱舞」は驚くほど違和感がなく,巧みに奏でられていた。

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 第4楽章で演奏がクライマックスに達したあとには,原曲に入っていたケフカの高笑いを大賀氏が披露。さらに最後は,演奏がだんだん静かになっていくとともに,田辺氏がお椀型の仏具「おりん」を取り出して鳴らし,チーン……と澄みきった音が響きわたる。
 その音色は柔らかく会場を包み込み,まるで魂が浄化されるかのような心地よさだった。田辺氏が数回鳴らしたおりんの音色が天に消えてゆくと,余韻ののち,割れんばかりの大きな拍手が贈られた。

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 鳴りやまぬ拍手に応えてアンコールで披露されたのは,「ファイナルファンタジーIII」の名曲「悠久の風」だ。
 ファミ箏のメンバー紹介も交えながら,先ほどの激闘をクールダウンするかのように涼しげな演奏が尺八を中心に響く。
 そして大トリは「ファイナルファンタジー メインテーマ」の壮麗な旋律が,和の音色で風流に奏でられる。フィナーレを迎えると,盛大な拍手が会場を包み,演奏会は幕を閉じたのだった。

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 日本生まれの伝統的な和楽器で,同じく日本で生まれた文化の一つであるゲーム音楽を演奏するファミ箏は,非常にユニークな存在だ。
 今回は和のテイストを持つゲームタイトルが多く演奏され,和楽器が織りなす音色を存分に堪能できた。その中でも異彩を放ったのが「妖星乱舞」だ。演奏時間も長く,集中力が必要な難曲だったと思うが,最後まで演奏しきったその挑戦に惜しみない拍手を贈りたい。
 聴いているこちらも思わず手に汗を握るほど,圧巻の名演だった。ぜひ今後も,和楽器とゲーム音楽の魅力を,ファミ箏ならではの活動で多くの人々に伝え続けてほしいと思う。

ファミ箏 第5回演奏会

■開催日
 2026年8月7日(金)

■会場
 かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール

■出演(敬称略)
ファミ箏

−箏−
 沖政一志,芦垣雪衣,神谷 舞,小池摩美,中嶋ひかる,平野寿里

−三味線−
 浅野 藍,田辺 明

−尺八−
 大賀悠司,神永大輔,吉岡龍之介

舞台監督:かねこ琴三弦楽器店
主催:株式会社ブエン・カミーノ

■プログラム

第一幕
「天穂のサクナヒメ」より
 暴 −あばれ−
 汀 −みぎわ−
 樹 −いつき−

第二幕
「がんばれゴエモン」シリーズより
 FC版「がんばれゴエモン2」より
 江戸城/ひとやすみ/中国・四国
 SFC版「がんばれゴエモン ゆき姫救出絵巻」より
 黒豆頂戴!/霧のお化け町/謎のほろほろ寺/お化け出現!
 SFC版「がんばれゴエモン2 奇天烈将軍マッギネス」より
 松の廊下を駆け抜けて
 FC版「がんばれゴエモン2」より
 からくり人形ボス/ゴエモン哀愁の旅

第三幕
「不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録」より
 宿場浜
 そぞろヶ浦
 ダンジョンのお店/店の商品が!
 のどかな風景/やさしい木漏れ日の中で/一触即発/おめっとさん!
 風来のシレン6 メインテーマ
 うずまきや
 魃の砂丘

第四幕
「アナザーエデン 時空を超える猫」より
 白夜・巳の国イザナ
 七彩の郷
 ヤガラ竹林
 桜の苑
 魔境血風陣

第五幕
「ファイナルファンタジーVI」より
 妖星乱舞

アンコール
「ファイナルファンタジーIII」より
 悠久の風

「ファイナルファンタジー」シリーズより
 メインテーマ


※撮影:中村ユタカ
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