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「クレイジータクシー:ワールドツアー」日本凱旋(?)インタビュー。“当時のノリ”を今どう届けるのか,その挑戦を開発陣に聞く[TGS2026]
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印刷2026/09/18 00:00

インタビュー

「クレイジータクシー:ワールドツアー」日本凱旋(?)インタビュー。“当時のノリ”を今どう届けるのか,その挑戦を開発陣に聞く[TGS2026]

 セガの名作カーアクションゲーム「クレイジータクシー」,日本凱旋!
 千葉・幕張メッセで2026年9月17日から21日まで開催される東京ゲームショウ2026のセガブースで,2027年内のリリースに向け開発中のシリーズ最新作「クレイジータクシー:ワールドツアー」PC / Switch2 / PS5 / XBOX Series X|S)が試遊出展されている。

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 クレイジーなドライビングテクニックを駆使して,箱庭状の街中にいるお客を拾って目的の場所に送り届ける「クレイジータクシー」シリーズ。ナンバリング第3作からおよそ25年ぶりの復活となる“クレタク”最新作では,ゲームシステムやノリのいい演出,サウンドといったシリーズの基本や個性を継承しつつ,現代のプレイヤーが楽しめるようなさまざまなモードが用意されている。

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 2026年6月にアメリカ・ロサンゼルスで開催されたSummer Game Fest 2026では,シリーズおなじみウェスト・コーストのステージが公開に。2026年8月にドイツ・ケルンで開催されたgamescom 2026でドイツのステージが披露された。
 そして,次の旅先は日本のTGS 2026。もちろんこのタイミングで明かされるのは,日本をイメージしたステージだ。

 そんな「クレイジータクシー:ワールドツアー」について,ディレクターの百渓 曜氏と,シリーズの生みの親であり本作のクリエイティブプロデューサーを務める菅野顕二氏に話を聞いた。
 日本ステージの先行試遊レポートも掲載しているので,そちらと合わせて読み進めてほしい。

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新旧スタッフを交えたディスカッションを重ね,“クレイジータクシーらしさ”を定める


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは「クレイジータクシー」シリーズを新たに制作することになった経緯を聞かせてください。

菅野顕二氏(以下,菅野氏):
 制作開始のタイミングがドンピシャだったというのが最大の理由ですね。
 これまでアーケードや家庭用ゲームの制作以外にもいろいろな事業に携わってきましたが,もう一度「クレイジータクシー」を世界に届けたいという気持ちはありました。
 それで新作の企画を考え始めたとき,ちょうど会社からも過去タイトルを復活させるという方針が打ち出されて。それがほぼ同時期だったことが決め手となりましたね。

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4Gamer:
 始まりは20年以上前のアーケードゲームですが,ベースにある部分は変わらないゲームシリーズだと思います。これを現代のゲームとして復活させるとなったとき,どのような考えで制作に取り組んだのでしょうか。

菅野氏:
 そこには大きなチャレンジが2つありました。
 1つは,「クレイジータクシー」の世界観を,これまで以上にしっかり描くことです。過去シリーズは,ビジュアルやキャラクター,クルマなどの雰囲気から,ユーザーの皆さんに世界観を想像してもらうような作品でした。
 今回は,街の奥行きやそこに暮らす人たちといった,当時は表現しきれなかった細部まで描き込み,「クレイジータクシー」の世界をもっと楽しんでもらいたいと考えました。

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4Gamer:
 試遊では個性の強いキャラクターが登場する,ちょっとした物語性も感じさせるイベントがありました。

菅野氏:
 ええ。ストーリー性のあるモードを設けたのは,まさにそれを感じていただきたかったからですね。
 そしてもう1つのチャレンジが,マルチプレイを実現することです。マルチプレイを望む声は1作目のころからあって,制作する側のこちらとしても作りたいという気持ちはずっとありました。トライしようという声は以降のシリーズでも制作現場からよく出ていたのですが,なかなか実現には至りませんでした。

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4Gamer:
 これまではどのような部分が壁になっていたのでしょうか。そして今回は,なぜマルチプレイを形にできたのでしょう。

菅野氏:
 当時はオンラインで遊ぶうえで通信の遅延が問題になることもありましたし,何よりもゲームデザインとしてうまく成立させるのが難しかったんです。

 それから時代が進んで,通信環境や技術面で当時のような問題は解消されました。
 加えて,「ボーダーブレイク」などオンラインゲームの開発に携わってきた百渓がチームに入り,そのノウハウを生かせるようになったことで「今回はマルチプレイもいけるかもしれない」となったんです。

 ストーリーとマルチプレイを組み合わせた内容にすることは,比較的早い段階から決まっていましたね。

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4Gamer:
 昔からのファンに楽しんでもらいつつ,新しい世代にも届けていく。そうした作りを目指したのでしょうか。

菅野氏:
 そうですね。僕らは欲張りなので(笑),どちらにも楽しんでもらいたいという思いは強かったです。
 そのために,開発のプロセスにはかなり工夫を凝らしました。
 僕はおっさんですから,昔のことはよく知っています。ただ,今の若いユーザーに対して,自分たちの考え方や手法がそのまま通用するのかは分からないところがありましたから。

4Gamer:
 では,そこをどう補っていったのでしょうか。

菅野氏:
 20代から30代ぐらいまでの若いスタッフを交えて,「新しい『クレイジータクシー』はどうあるべきか」を何度もディスカッションしました。
 過去シリーズのどこを残して,どこを新しくするのか。仕様を決めるまでのプロセスにはかなり気を遣いましたし,そうした議論を重ねたことが,幅広い世代に楽しんでもらえる作りにつながっていると思います。

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4Gamer:
 20年以上の間に,ゲームを取り巻く技術も大きく進歩しました。かつては難しかったけれど,今だからこそできるようになったことも多いのでしょうか。

菅野氏:
 それはたくさんあります。
 先ほどお話ししたオンライン通信の問題もそうですし,当時はこちらが求めるプレイ体験に技術が追いつかず,諦めざるを得なかったこともありました。それが今なら実現できるようになっています。

4Gamer:
 とくに大きかったと思う部分はどこでしょう。

菅野氏:
 アートやビジュアルの部分ですね。「クレイジータクシー」の世界をどう見せるかは当時も苦労したところですが,今はより密度の高い表現ができるようになりました。

4Gamer:
 今回のビジュアルも,単純にリアルになったという方向ではないですよね。

菅野氏:
 そうなんです。本作は,すべてを写実的にするのではなく,要素によって表現の方向性を変えています。

 クルマそのものや街の背景は,クルマ好きの方にも納得してもらえるようなリアルさを大切にしています。一方で,ハチャメチャな世界観を担うキャラクターは,写実的とは少し違う,スタイリッシュな方向に振っています。
 その両方を1つの画面のなかで成立させるために,モデリングやライティングにはかなり工夫が必要でした。結果としてすごくいいものを作ってくれましたが,アーティストの作業は相当大変だったと思います(笑)。

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4Gamer:
 百渓さんはディレクターとして,過去シリーズを現代の作品として作り直すうえで,どんなところに難しさを感じましたか。

百渓 曜氏(以下,百渓氏):
 全体のクオリティを現代の水準まで引き上げなければならないことに,かなりのプレッシャーを感じていました。
 とくにアート面は,単純に見た目をきれいにするだけでは,新しい「クレイジータクシー」にはなりません。「クレイジータクシー」らしさを残しながら,現代的な表現としてどうブラッシュアップするのか。そこは相当な数のディスカッションを重ねながら,完成度を高めていきました。

4Gamer:
 実際に遊んでみると,見た目は大きく変わっていても,かつての「クレタク」の空気感はしっかり残っていると感じました。

菅野氏:
 僕らとしても,そこはかなりこだわった部分ですね。過去シリーズに携わったスタッフは,僕を含めても数人しかいません。だからこそ,新旧のスタッフを交えて,「クレイジータクシー」らしさとは何なのかをかなり時間をかけて話し合いました。
 そのなかで出した結論の1つが,「過去作の空気感は守るべきだ」ということでした。そこはチーム全体で共有していましたし,とくに若いスタッフたちは,僕ら以上に旧作の空気感を大事にしてくれていたように感じます。

4Gamer:
 熱狂的なファンがいるゲームで,ファンそれぞれのなかに「クレイジータクシー」のイメージがあると思います。そこに応える難しさやプレッシャーはありましたか。

菅野氏:
 プレッシャーみたいなものはなかったですね。もともと自分たちが作ってきた作品ですから。
 ただ,ファンの皆さんがそれぞれに「クレイジータクシーはこういうものだ」というイメージを持っていることは分かっていました。

4Gamer:
 そうしたファンのイメージは,開発中どのように意識されていたのでしょう。

菅野氏:
 実は社内にも熱狂的なファンがいまして,「アクセルはそんなキャラじゃない」とか「あいつはこうだ」みたいな意見を言ってくるわけですよ(笑)。
 「当時も今も,作ってるのは俺なんだけどな(笑)」なんて思いつつも,ゲームを楽しんでくれた人たちはここを大事にしているんだ,あそこはこう見えているんだという発見が随所にありました。
 そういう意見を理解したうえで,ここが落としどころだというポイントを決めていく作り方をしていましたね。

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4Gamer:
 なるほど。Summer Game Festのプレゼンに参加したんですが,海外メディアも一ゲームファンに戻っていたというか。ファンの熱量や思い入れの強いゲームなんだと改めて思いました。

菅野氏:
 そういう思い入れを持ってくれている人がいるのは,本当にありがたいです。
 gamescomでも「復活させてくれてありがとう」とか「待ってました!」と喜んでいただけたことにホッとしました。

 ディテールやビジュアルを細かく見れば,当然ですけど過去作とは変わっているところもあるわけです。
 それでも全体の雰囲気やノリから「これは『クレイジータクシー』だ!」と受け止めてもらえたことには,開発スタッフみんなで安堵しました。

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“その土地らしさ”と走る楽しさを両立するステージ作り


4Gamer:
 日本のステージは,SHIBUYA109 渋谷店や浅草寺,高架道路,富士山など,東京を中心に日本を象徴するさまざまなモチーフがミックスされた構成になっていました。
 ワールドツアーをテーマにその国“らしさ”のあるステージを作るうえで,どのようなことを意識していましたか。

百渓氏:
 その都市らしさを強く感じてもらうことは,「クレイジータクシー」のマップや背景作りで大切にしているところです。旧作でも実在する街をモチーフにしつつ,それをデフォルメして架空のステージを作っていました。

 もちろん,コースとして走って楽しいことも重要です。日本は僕らにとって身近な場所ですが,それでもどの地域の要素を取り入れるのか,それをどう組み合わせるのかは,メンバーから案を出してもらいながら話し合って決めていきました。

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4Gamer:
 ある程度広さの決まった箱庭に落とし込むには,現実とは違うマップを作らなくてはなりませんよね。そこはどういう手順で作っているんでしょう。

百渓氏:
 作り方はマップごとに違うのですが,日本についてはまず,世界中の人にも「ここは日本だ」と伝わりやすい渋谷をモチーフにしようというところから始まりました。
 最初にリアルな渋谷を再現した一区画を作り,そこを起点にほかのエリアを追加していく。そのようなイメージですね。

 ただ,現実の渋谷をそのまま再現しても,「クレイジータクシー」として走って楽しい箱庭にはなりません。そこで,走って面白いと感じられるコース設計や,ほかの区画をどうつなげていくかを担当者が提案し,それをもとにディスカッションやプレゼンを重ねながら形にしていきました。

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4Gamer:
 Summer Game Festではサンフランシスコをイメージさせるウェスト・コースト,gamescomではドイツ,そしてTGSで日本と,これまではイベント開催地にちなんだステージが披露されてきましたよね。
 今後もいろいろな国や地域のステージが公開されると思うのですが,どういう基準で選んでいるのでしょう。

菅野氏:
 “走っていて楽しい”のは絶対条件で,場所を聞いてパッとイメージが浮かぶ点も大切にしています。

 たとえばドイツを選んだ理由だと,クルマ好きが多いヨーロッパの国で,クルマのメーカーも多いところが大きかった。開発の初期から有力候補でしたね。
 「クレイジータクシー」では,ダイナミックなコースや地形を描くことが重要です。
 自然や建物,土地の起伏といった要素のバランスを考えたとき,大聖堂のあるケルンや,歴史的な街並みが残るローテンブルク,そしてアウトバーンなど,名前を聞くだけで情景が浮かぶようなスポットがそろっていたことも,ドイツを選んだ決め手になりました。

 今回「ワールドツアー」というタイトルで,世界を飛び回る印象を与えたいという狙いがあり,7大陸から5つの都市を選定しています。ほかのステージがどこなのかは,正式発表されるまではご想像にお任せします。

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4Gamer:
 渋谷から始まり,レインボーブリッジのような高速道路を抜けると浅草に着き,その途中では富士山と東京タワーが同時に見える。かなり大胆に,日本のさまざまな風景を組み合わせていますよね。

菅野氏:
 走っていると富士山が見えてくるような景色は,海外の方が思い描く日本のイメージも意識して作っています。
 たとえば,頭上を首都高のような高架道路が走っている景色って,日本に住んでいると見慣れているものですよね。でもあれが,海外の方にはかなり珍しく映るそうなんです。そういった“その国らしい風景”を拾い上げて組み合わせる考え方は,どのステージにも共通しています。

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4Gamer:
 つまり,ドイツのステージなら,ドイツの人が見て「ドイツらしさ」が感じられると。

菅野氏:
 そうですね。gamescomでドイツの方に遊んでいただいたときも,「こんな配置はないだろ(笑)」と言われながら,すごく喜んでもらえました。
 それこそケルン在住の方は,大聖堂を見て「ケルンの街を描いてくれてありがとう!」と喜んでくれたんですよ。日本の方にも,同じように楽しんでもらえたらうれしいですね。

百渓氏:
 そうした風景の見せ方は,世界の面白さだけではなく,ゲームとして分かりやすくするためにも重要です。
 コースを作ったあと,背景をどう見せるかはアーティストがかなり工夫しています。日本のステージでは,高速道路を走った先にランドマークが見えてくる構成にして,自分がどこにいるのかを直感的につかめるようにしています。
 現実の配置をそのまま再現するのではなく,ランドマークを強く印象づけるようにデフォルメしているのは,そのためですね。

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4Gamer:
 日本のマップには「かに道楽」や「ABCマート」,あるいは「SHIBUYA109」といった実在する企業とコラボした看板や建物が見られましたが,これらはどのような経緯で実施されたんでしょうか。

菅野氏:
 過去シリーズもそうだったんですが,ハチャメチャなプレイをしていても,どこかに現実味を感じてほしいというのがコラボ店舗を設置した経緯です。
 ファンタジーに寄りすぎると世界への没入感が薄れてしまうので,“嘘だけどリアリティがある”方向性を実現するためのコラボレーションですね。今回の場合は,そのエリアで最もポピュラーなお店を選びました。ドイツであれば「プーマ」や「ケルヒャー」などがそれで,日本も街中でよく見かけるフランチャイズ店を選んでいます。

4Gamer:
 お客が「かに道楽」に行ってくれ! みたいに,目的地の一部になっているのも面白かったです。

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菅野氏:
 お店の名前,とくに日本のものは海外のボイスキャストにはかなり難しいらしく,収録には結構苦労しました(笑)。英語だとお店の名前をフラットに発音できなかったりして,何度か録り直しましたからね。

4Gamer:
 通常のお客を乗せる以外の固有ミッションは,国ごとに違うのでしょうか。

百渓氏:
 ステージごとに固有のものもありますし,同じ遊びをその国らしくアレンジしているものもあります。たとえば配達ミッションなら,ウェスト・コーストではピザ,日本ではそばを運ぶといった形ですね。
 どのミッションも,「クレイジータクシー」らしい遊びになることを意識して考えています。そのうえで,それぞれの遊びが一番映えるステージに組み込んでいます。

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4Gamer:
 乗客や街を歩く人たちも,国ごとに変えているのでしょうか。

百渓氏:
 はい。大きく目立つ部分ではありませんが,街を歩く人たちも,その国らしさが出るようにデザインしています。日本であれば,近年の渋谷のように海外からの観光客も行き交っている雰囲気を反映していますね。

4Gamer:
 そうした違いは,見た目以外にもあるのでしょうか。

菅野氏:
 ありますね。国ごとのノリやアクションの基本は「クレイジータクシー」の世界観として統一しつつ,英語版ではドイツ訛りや日本訛りの英語ボイスを入れたりしています。

 BGMも,たとえば日本なら和楽器を取り入れた曲,ドイツならビートを効かせた曲というように,その国の空気感を感じられるものにしています。ただ,あまり強調しすぎるとコメディに寄ってしまうので,押し付けがましくならない程度の塩梅は常に意識していますね。

4Gamer:
 力士の土俵入りとドリフトをかけているとか,文房具の営業マンを各所に送り届けるとか,固有のミッションごとにかなりコメディ要素が強い印象でした。

百渓氏:
 キャラクターモデルやゲーム中の遊びを考えるとき,それぞれの担当者が「クレイジータクシー」というタイトルに負けないものを作ろうという気持ちを持ってくれた。それが内容に表れていると思います。
 過去シリーズを作ったことがないメンバーだからこそ,もっとクレイジーにやるべきだという気持ちが強く反映されているんじゃないかと(笑)。

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4Gamer:
 現代だと「クレイジー」という部分をどこまで突き詰めるのか,その塩梅は難しそうですね。

百渓氏:
 菅野が初期シリーズで構築した「クレイジー」な部分を“少しはみ出してもいい”というのがだいたいの基準で,新しい遊びや見た目の面白さを開拓できたのは結果的によかったと思います。

菅野氏:
 ゲームの根幹は“タクシーを走らせて何をするか”なので,悪ノリが過ぎないラインは常に意識しました。
 遊び自体が複雑になってしまうと,タクシーに乗っている意味が薄れてしまいますから。それぞれのルールは走らせるアクションの延長線上に置くようにして,ファンタジーにはしすぎず,“リアルではないけれど,リアリティはある”という共通認識は守っていましたね。

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「クラシックモード」は過去作の遊びを新しい街で。ファン待望の「マルチプレイ」も搭載


4Gamer:
 TGS 2026の試遊バージョンは,どのようなイメージで制作されたものなのでしょう。

菅野氏:
 ストーリーモードの“具材”となる部分を集めたものですね。
 ストーリーを背景に進行していくので,今回先行プレイしていただいたドイツと日本のステージそれぞれの内容が,何かしらの形でストーリーにつながっていくような構成にもなっています。

4Gamer:
 その一方で,過去シリーズのルールに則った「クラシックモード」もあるそうですね。

菅野氏:
 過去シリーズでウェスト・コーストを何度も走っていただいたと思いますが,本作の走行性能で新しいコースに挑戦してもらおうというのがクラシックモードです。旧作が好きで,とにかく死ぬほど走り回ったという人にこそ,ぜひチャレンジしてほしいなと思います。

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4Gamer:
 先日行われたクローズドネットワークテスト(CNT)でのマルチプレイについて,お話しできる範囲で内容を教えてください。

百渓氏:
 大きく分けて2つのモードを作っています。
 1つは,お客さんを拾って目的地へ届けるレース形式のゲームです。最後のお客さんを届けた時点で終了し,その速さを競って1位を決めます。
 お客さんは取り合いではなく,それぞれが拾うことができるんですが,目的地は同じ場所になるので,そこで接触や押し合いが発生することもあります。シンプルですが意外と奥が深い内容になっています。

 もう1つは,タクシーチーム4人と警察チーム2人に分かれて戦う非対称型のチームバトルとなります。警察側はクルマの走行性能が高い設定で,タクシーにニトロで体当たりしてHPを0にすると逮捕できます。
 タクシー側はそれをうまくかわしながら,お客さんを届けてノルマ達成を目指すんですが,捕まった仲間を開放することなんかもできます。

4Gamer:
 それらのゲームデザインは,どういった発想から生まれたのでしょう。

百渓氏:
 前者のレースモードが生まれたのは,クルマのゲームなので純粋に速さを競うレースをさせたいという気持ちがあったからです。では「クレイジータクシー」でレースをするならどんなものになるか。そこから素直に発想したものを落とし込みました。
 一方の警察対タクシーは,菅野がコンペのなかで“タクシーと警察を戦わせたら楽しそう”という原案を出して,それをもとにチームで内容を膨らませて組み上げました。


4Gamer:
 マルチプレイはほかのモードとは別物となるんでしょうか。

百渓氏:
 ゲーム自体は別物ですが,ストーリーモードをプレイして得たものをこちらに持ち込める仕様もあります。

4Gamer:
 本作の操作についてですが,シフトチェンジがなくなるなど,過去シリーズとは違う現代的な手触りに変更となりました。あれはやはり今の操作感覚に最適化したと理解してよろしいでしょうか。

菅野氏:
 正直なところ,昔の操作で今ゲームを遊んでもらうというのは難しいと思うんです。
 あの操作を「最高だ」といって楽しんでくれるのは当時を知る一握りのプレイヤーですし,僕自身も改めてプレイして難しいなと感じましたから。
 とはいえ,長年のファンにはかつての感覚に近いものは残したい。そういった操作を設定するのはかなり苦労しましたし,若い世代を交えて何度もテストプレイして詰めていった部分でもあります。

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百渓氏:
 アクションを細かく刻んでいくという,普通のドライビングゲームとは違う「クレイジータクシー」ならではのアイデンティティは引き継ぎつつ,コマンド的な難しさを適度に緩和しました。

4Gamer:
 身体が覚えている当時のコントローラ操作を上書きするような感覚で,なおかつアクションを繰り出す確実性もアップしていました。

百渓氏:
 まさにそんな感覚を狙っていました。海外のファンがプレイ動画で「最初は違うと感じたけど,遊んでいくうちにこれでいいや! となった」と言ってくれていて(笑)。我々の思惑が伝わった手応えはありましたね。

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4Gamer:
 たしかにクレイジーダッシュやクレイジーストップが決めやすくなりました。
 その前提で操作性を調整していったのでしょうか。

百渓氏:
 そうですね。操作しやすくしたぶん,そこから先のさまざまなアクションをどの場面でどう使いこなすか。その楽しさを味わってもらえると思います。

菅野氏:
 以前はアーケード筐体での操作をそのままコントローラ操作に当てはめたので,必然的に難しくなっていたんですよね。
 すでに発表していますが,このTGSでは,ハンドルとペダルを備え付けた筐体での操作ができる試遊台も準備したので,昔からのファンにはそちらを触っていただくと,当時に近い感覚で楽しんでいただけるかもしれません。

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4Gamer:
 今回のアクセルのような過去作のキャラクターとともに,新キャラクターも登場するようですが,キャラクターはどのようなコンセプトでデザインしたのでしょうか。

菅野氏:
 写実的ではなく,スタイライズした方向で行くことは最初から決めていました。
 ただ,新キャラクターについては,また別の機会にお話しできればと思います。今回は「クレイジータクシー」をあらためて皆さんに届けるということもあって,まずは象徴であるアクセルやこれまで登場したキャラクターに注目してほしいですね。

4Gamer:
 過去シリーズおなじみのキャラクターも,新しいゲームで何か変化があるのでしょうか。

菅野氏:
 たとえばアクセルは,よく見ていただくと分かると思うんですが,アロハシャツの下にシャツを着るようになりました(笑)。
 当時のアクセルは胸元がはだけていたんですが,若いスタッフから「今どき,こういう着こなしはあまりしないですよ」と言われて。「ゲームでもダメ?」と返したら「ダメです」と念を押されたので,下にも着せることにしました(笑)。

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4Gamer:
 (笑)。過去シリーズのキャラクターはどちらかというと単純な“操作キャラ”という位置付けでしたが,キャンペーンのような物語性に関わってくるとなれば,描かれ方も変わっていきますよね。

菅野氏:
 皆さんに喜んでもらえるような落としどころは考えて作っています。
 これまで描かれてこなかったキャラクターの関係性みたいなものも,今回初めてお見せできるかと思うので,製品版での皆さんの反応を楽しみにしています。

 とはいえ,今の段階ではまずゲームプレイや操作の手触りなどを試していただきたいというのが大きいですね。キャラクターや物語に関する情報は,次の段階でお届けするところかなと思っています。

4Gamer:
 来年の発売に向けての意気込みをいただけますか。

百渓氏:
 過去にプレイされた方も初めての方も,とにかく広く遊んでほしいというのが願いです。旧作も含め,唯一無二の体験ができるタイトルだと自負していて,その体験をより広げられる作りになっていますので,ぜひ遊んでみてください。

菅野氏:
 昔からのファンの方々には「本当にお待たせしました」という気持ちでいっぱいです。皆さんがいてくれたからこそ,現代に復活するタイトルとして提供できることになったので,本当に感謝しています。
 「クレイジータクシー」を知っている人も知らなかった人も,このTGSでぜひ触っていただいて,「クレタク」の世界を感じてほしいとピュアに思っています。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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