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「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
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印刷2022/08/19 22:50

インタビュー

「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!

画像集#037のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
 セガが2022年10月27日に発売を予定している「メガドライブミニ2」は,2019年に発売された「メガドライブミニ」の後継機種であり,1988年に発売された「メガドライブ」のゲーム60本を収録したミニハードだ。

 本日(8月19日),メガドライブミニ2の収録タイトルがすべて発表されたわけだが,そのラインナップに驚かされたファンは多いはず。メガドライブやメガCDの名作50本に加え,未発売や未発表のタイトル,今回のために開発されたタイトルも名を連ねている。
 今回,4Gamerではプロジェクトのキーマンであるセガの奥成洋輔氏,エムツーの堀井直樹氏にインタビューを実施し,収録タイトルの選定や開発の過程を聞いてみた。

(左から)セガ 奥成洋輔氏,エムツー代表取締役社長 堀井直樹氏
画像集#041のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
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 セガは本日(2022年8月19日),YouTube Liveやニコニコ生放送などで「メガドライブミニ2」の収録タイトル第5弾を発表した。メガドライブ,メガCD向けタイトル50本に加え,当時は発売されなかった「ボーナスタイトル」10本による全60タイトルが収録される。※22:55頃,記事の内容を更新しました。プレスリリースを追加しました

[2022/08/19 20:25]

「メガドライブミニ2」公式サイト



「スーパー32Xは無理。でもメガCDならいける」


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。このインタビューの掲載時にはメガドライブミニ2の収録タイトルがすべて発表されていますが,開発作業は終わっているのでしょうか。

※インタビューは8月2日収録

堀井氏:
 はい。もし,この後に作業が発生したら,僕はきっとものすごく青い顔になります(笑)。

4Gamer:
 さっそくですが,今日までの経緯を振り返りつつ,お話を伺いたいと思います。

奥成氏:
 わかりました。最初のところから話しましょう。
 2019年にメガドライブミニを発売,翌年は「ゲームギアミクロ」を引き続き担当し,さて「次はどうしようか」と考えていたところ,コロナ禍によって社会が大きく変わってしまいました。

4Gamer:
 ゲーム業界にも段々と影響が現れていた時期ですね。

奥成氏:
 アイデアはいくつか頭に浮んでいたものの,社会情勢が一変し,半導体が手に入らない,工場が動いていないといった問題が発生してきたんです。
 先行きが分からない状況で,どんなプロジェクトなら動かせるのか。そこで,私達の中で最も勝手が分かっていて,なおかつ何が必要なのかがはっきりしている「メガドライブミニの続編」を選びました。

画像集#025のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!

堀井氏:
 “アラカルトの続編”ということで,けっこうビックリされたのですが,僕の感覚ではすごくしっくりきました。前回のメガドライブミニを作った後,「もしメガドライブミニ2をやるのであれば,スーパー32XやメガCDもやってみたい」という話をしていたんですよ。

奥成氏:
 エムツーさんにはメガドライブに限らず,とにかく思いついたことをいろいろと提案していましたからね。そのときも「次があればメガCDならできると思う。理論上は」と言っていただいて。

堀井氏:
 ただ,それがどれくらいの時間をかければできるのか。その段階では全然分からなかったんですけども。

奥成氏:
 それから「スーパー32Xはどう?」とも聞いてみたら……。

堀井氏:
 「ふざけんな」って答えました(笑)。

奥成氏:
 スーパー32Xをやるなら,エミュレーションでは無理。プロジェクトを全部使って,フルスクラッチであれば1本なら作れるかもしれない……といった感じでしたね。

堀井氏:
 例えば,スーパー32XをNintendo Switchで動かすみたいなことはできると思います。でも,ミニハードのスペックや原価を考えると,どうしても限界はありますから。

奥成氏:
 理論上の話ですね。Switchでやれたとしても開発準備だけで1年くらいはかかりそう(笑)。ともかく前回の「テトリス」や「ダライアス」のようなスペシャル枠として,スーパー32X用ソフト「バーチャレーシングDX」を移植してみよう,とも考えましたが,エミュレーションは無理だからネイティブ移植,期間はフル,開発費も今より倍増。それでも,本当にできるのかというと怪しい。
 そこまでの無茶はできないと判断したので,スーパー32Xは「将来の夢」ということにして,メガCDをプロジェクトの中心に据えることにしたんです。

画像集#003のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
4Gamer:
 最初に発表された収録タイトルは「シルフィード」でした。大きなインパクトがありましたね。

奥成氏:
 メガCDでは絶対に欠かせないタイトルですからね。プロジェクトを始めるとき,まずゲームアーツさんに伺い,ライセンスしていただけそうな事前確認をしてから,エムツーさんには「シルフィード」が動くかどうかを検証してもらいました。

堀井氏:
 メガCDがあるのに「シルフィード」が入っていなかったら,暴動が起きますよ(笑)。とはいえ,作っている最中は「シルフィード」だけ動かない可能性は相当高かったんです……。

4Gamer:
 それはどういった理由からでしょう。

画像集#018のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
奥成氏:
 「シルフィード」はメガCDの機能を片っ端から使い,ピーキーな動かし方をしているゲームだからですね。
 エムツーさんは移植ゲームの開発時,一つのマシンで動く汎用的なエミュレータを作り,都度不要な処理を省いて,処理自体を軽くしたりしているんですよね。とくにメガドライブミニのような非力な汎用基板を使っている場合,マシンパワーが足りなくなってしまいますから。
 乱暴な言い方をすると,これを違う会社にお願いすると「『シルフィード』は動きます。でもフレーム数は半分です」「入力遅延が倍です」といった,見た目の表現を優先されてしまう恐れがあります。そうではないものを提供したいということを,エムツーさんには説明しなくても分かってもらえるので助かりますよ。

堀井氏:
 ありがとうございます。

4Gamer:
 まずは「シルフィード」ありき,そこからさらにタイトル候補を選定していったんですね。

奥成氏:
 はい,収録タイトルは今回もすべて僕が選びました。もちろん,宮崎(メガドライブの開発に携わった宮崎浩幸氏。現在,アトラス所属)からも意見をもらったりして調整していますが,そのうえで欧米向けの「Genesis Mini 2」のぶんもあるので,オマケ以外では70タイトル前後になりましたか。

4Gamer:
 その中にメガCDのタイトルも入っていると。

奥成氏:
 初期段階では「メガCD用ソフトを何本作れるのか」というのが課題でした。最初,エムツーさんからは「15本」と言われたんですが,「人とお金を増やしていいから,もう一声!」と交渉したところ,なんとか20本になりました。

4Gamer:
 メガCDを20本となると,容量もかなり大きくなりますね。

奥成氏:
 メモリは確実に増えます。前回はカートリッジのタイトルだけなので,0.5GBで余裕でしたが,今回は8GBまで増やしています。単純計算でも「540MB×20本」ですから。最初は8GBでも足りない計算でしたが,何とか収めてもらうことになりまして。ただ,コストも大幅に上がりますので,価格を上げざるを得ない結果となりました。

画像集#042のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!

4Gamer:
 最初のタイトル候補に入っていたものの,残念ながら収録できなかったタイトルもありますよね。

奥成氏:
 それはもうたくさん(笑)。具体的な内容は明かせませんが,お付き合いがあるところや,お付き合いがなくても窓口があって復刻ビジネスにも前向きなメーカーさんからは,今回も多くのご協力をいただきました。
 ただ,当然そうではないケースもあります。一番つらいのはまったくツテがなくて連絡先が分からないとか,何度連絡してみても返答が帰ってこないケースですね。その会社が機能しているのかも分からず,仮に連絡が取れたとしても「ウチに権利はありません」「元のライセンスが切れているので許諾はできません」という返事だったりもします。

4Gamer:
 ライセンスと言えば,今回は版権キャラクターもののタイトルが多く入っている印象です。前回以上の本数ですよね。

奥成氏:
 原作のあるゲームに関しては,版元さんのキャラクターに対する意識が強く,出版社やアニメ会社の場合,むしろ話が通りやすかったりもします。キャラクターもののタイトルやCDタイトルは,音声の面での調整に苦労しました。

4Gamer:
 と言いますと?

画像集#005のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
奥成氏:
 例えば,「キャプテン翼」(メガCD版)は参加されている声優さんが30人以上です。アニメ版第1期のキャストによるフルボイスなのですが,イベントシーンに字幕は出ないので,1人でも連絡が取れないと,声をプログラム上で外すことができたとしても,セリフの字幕がないからイベントが成り立たない。全員の許可が必須になります。
 今回は最後の最後まで引っ張って,幸いにも出演者全員との連絡が取れましたが,「あと2人,連絡先が分からない!」みたいなこともあり,かなり焦ったのは事実です(笑)。

4Gamer:
 ちなみに,「Genesis Mini 2 」のタイトルはどのような基準で選びましたか。

奥成氏:
 国内版とは20タイトル強の差異があります。できるだけ差異のない内容にしたかったものの,ライセンス的に国内限定だったり,日本でしか発売されていないタイトルもあったりするので,どうしても違いは生まれます。
 また,海外は日本と比較するとGenesisタイトルの復刻はメジャーだったので,これまで復刻されていなかったタイトルを考慮した形でラインナップを選びました。


セガ×エムツーによる作品のファンを落胆させないものを


4Gamer:
 堀井さんにお聞きしたいのですが,メガドライブやメガCDのゲームを再現するにあたり,技術面で大変だったことはなんでしょうか。

堀井氏:
 やはりメガCDに尽きますね。メガドライブに対して機能的な部分も拡張したハードウェアなので,増設部分と本体の動作が同調するタイミングを厳密にしないと,「シルフィード」のようなタイトルは動かない場合があります。とにかく,そこをきっちり詰めていくのが大変でした。
 安価なプロダクトでエミュレートするときは,元のゲーム機のCPUがパワフルでも1個だけであれば開発はしやすい。ただ,それなりのパワーのCPUがたくさん載っている場合,エミュレーションの時に処理を食うんです。

4Gamer:
 メガドライブとは,移植の難しさがまるで違うんですね。

堀井氏:
 メガドライブのCPUは68000とZ80が載っていて,さらにメガCDにも68000が載っています。メガCD側で画像処理をして,それをメガドライブに戻して表示するといったこともやっているので,うまくユニゾンさせないと処理がバラバラになって重くなってしまう。ここの処理をいかに軽くするかが大きな課題でした。

4Gamer:
 その工程が20タイトルぶんもあると?

堀井氏:
 いえ,基本的にはメガCDのエミュレータの精度をできるだけ上げて,すべてを1本のエミュレータで動くようにしていく作業と言えますね。なので,20タイトルと言っても一つ一つ作る手間ではありません。

奥成氏:
 1本の完璧なメガCD用エミュレータを作れればいいのですが,実際にはタイトルごとに特殊な技術を用いていたり,そのタイトルでしか使っていない機能や裏技があったり,特殊なバグを利用している演出があったりするんです。それらのチューニングは,やはり一つずつ対応していただくことになります。

4Gamer:
 そうした部分はタイトルを解析してみないと分からないところなんですね。

堀井氏:
 実際に作ってから,不具合があったらそれを解析するという作業になります。すごく不確定な要素なんです。
 例えば,ヤマハのFM音源のマニュアルを見て「こういう仕様だから,こういう音が出せる」ということを理解できていても,偶然,仕様外のパラメータで鳴った音を意図的に使っていたりすると,こちらとしては「この音が鳴っている仕組みが分からない」ことになります。これは過去にあった話ですが,メガCDでもそういう懸念はあるだろうと思っていました。

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奥成氏:
 「ベア・ナックル」の古代さん(古代祐三氏)の曲なんて,10年近く移植してきて,だいぶ原曲に近づいてきた印象がありますね。エムツーさんには,最初にWiiのバーチャルコンソールで作ってもらい,その後もPS3とXbox,そしてニンテンドー3DS。ここらへんでようやく,古代さんらしい音の再現ができてきたかと思います。 
 ハードウェアの性能が上がったこともありますが,エムツーさんに“古代さんの曲を再現する技術”が蓄積してきたことは大きいですよね。おかげさまで,メガドライブミニの「ベア・ナックル2」はかなり再現度が高かったんです。

堀井氏:
 ニンテンドー3DSの頃に,1本ずつやらせていただいたのがありがたかったですね。開発にしっかりと時間をかけることができましたから。

奥成氏:
 もちろん,今回も1本1本,時間をかけて作れたら理想的だったんですが……。

堀井氏:
 とはいえ,「『シルフィード』を動かしてほしい」と相談をされたときも,自分だけでなくウチのスタッフはすぐに動き出せるんですよ。なんだかんだで,みんな好きだから。当然,納期がありますから,それが迫ってくると「マジか! 最悪!」なんて言いながら追い上げることになるんですが(笑)。

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4Gamer:
 収録タイトルが60本にもなると,デバッグ作業も大変だったんでしょうね。

奥成氏:
 そこは人海戦術です。弊社には優秀なデバッグ部署があるので,何十人という若者に頑張ってもらいました。
 彼らにはまず,メガドライブやメガCDの実機でプレイしてもらって,それが終わるとメガドライブミニ2でプレイしたうえで,同じ体験になっているかを照らし合わせてもらいます。メガCDのRPGやシミュレーションなどはプレイ時間が長くなりますが,そこはもう頑張ってもらうしかない。

4Gamer:
 それでは,最も開発に苦労したタイトルは何でしょう。

画像集#019のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
堀井氏:
 今回,最も重要な「シルフィード」なんですが,かなり最後のほうまで動かなかったんですよ……。

奥成氏:
 そうでしたね。メガCDのタイトルでは,最初に「ソニック・ザ・ヘッジホッグCD」があがってきて,当時の開発者も「よくできてる」と太鼓判を押すくらいだったので安心していたんです。ただ,そこからいつまで経ってもほかのゲームがあがってこない。「ソニック・ザ・ヘッジホッグCD」から約3か月,音沙汰がなかったのかな。

堀井氏:
 その間,毎週の会議では「メガCDどうですか?」「まだ動いてません」というやりとりを繰り返していました。

奥成氏:
 「シルフィード」はオープニングムービーができたときに,タイトル画面で止まってしまい,そのまま1面の曲が流れるような状態でした。「ああ,これはゲームが止まって,CDの音声がそのまま再生されてるんだ」と笑ってたんですが,その先があがってこない。もちろん,ほかのタイトルも同じような感じで。

堀井氏:
 ムービーが絡むタイトルに,うまく動かないものが多かったんですよね。

奥成氏:
 「ソニック・ザ・ヘッジホッグCD」もゲーム本編は大丈夫なのに,ムービーの再生がおかしくなっていることがありましたね。

堀井氏:
 CDから常にデータを呼び出してムービーを再生しているので,そのプログラムが動いているときに使用する機能に何らかの問題があるはずだという目算はありました。だから,そこさえクリアできれば,いっぺんに直るだろうという希望的観測があって,それを奥成さんに報告していたんですが……。いざ蓋を開けてみると,正常に動くものと動かないものがあって,肝を冷やしました(苦笑)。

奥成氏:
 なかでも「シルフィード」は,100%のパーツが揃っていないと再現できないゲームだったんです。エムツーさんの最初の目算では80%ぐらいできていると思っていたところが,実際にはまだ50%の状態だったので,急ピッチで完成させてもらいました。

堀井氏:
 メガCDは以前,試験的に作ったものが動いていたので,その経験と知識で何とかなると思っていたんですが,全然甘かった。

奥成氏:
 それでも,ちゃんと商品レベルになるまで作っていただきました。タイトル1本ずつに「SEGA AGES」のような時間とコストをかけられるなら,さらにチューニングもできたと思いますが,それではいつまで経っても終わりませんから。

堀井氏:
 これまで奥成さんとやってきた数々のプロジェクトがありますが,今回も期待してくれている人達のためにその水準の商品を届ける。それが我々のミッションです。世の中に売り物はたくさんありますけども,そこに合わせるのではなく,我々が今まで培ってきたところに合わせなければという使命はありました。

4Gamer:
 収録タイトルの中には,仕様を変更しているモードを選べるものがあるそうですが,説明していただけますか。

奥成氏:
 前回はとにかく動かすだけで精いっぱいで,それ以外は何も考えられないスケジュールでした。今回は2回目のハードということで,欲が出て追加した仕様ですね。メガドライブミニは「メガドライブのいろいろなゲームがそのまま楽しめる」という点に特化していましたが,「ロックマン メガワールド」だけは少々イレギュラーな仕様があったんです。
 PC互換機の「テラドライブ」はCPUがメガドライブよりも速くて,メガドライブ用ソフトを動かすと,処理落ちが軽減されるという仕様がありました。それと同じ仕様で「ロックマン メガワールド」を収録したところ,思いのほか好評だったんです。

堀井氏:
 テラドライブには10MHzの68000が載っているので,それで作動させるモードに設定すればソフトが速く動くんですよ。

奥成氏:
 メガドライブミニのときは,どんなお客さんも電源を入れたら,すぐにゲームをポンと遊べるのが良かったところだと思っています。その部分は変わっていないんですが,今回は生産数に限りがあることを踏まえたうえでの続編企画なので,前回のお客さんの何割かが確実に手に取ってもらえるような商品を目指しました。ある意味,後ろ向きな姿勢なんですね。

4Gamer:
 現状を踏まえて,ターゲットを絞ることにしたんですね。

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奥成氏:
 そうした商品であるならば,前回の物足りなかったところは徹底的に見直し,良かったところを伸ばすことに注力しようと。そして,「ロックマン メガワールド」のような仕様にしているのが,オマケとして追加した「ビューポイント」なんです。海外向けに発売されたタイトルですが,序盤から激しい処理落ちをしていたものが,大幅に改善されています。

4Gamer:
 これもテラドライブのCPU準拠ですか。

堀井氏:
 いちおう,そうなんですが,テラドライブの高速モードで動かすと止まっちゃうゲームもけっこうあったんですよ。実際,「ビューポイント」がテラドライブで動くかどうかは我々は関知していません(笑)。あくまで「テラドライブのCPU速度で動くビューポイント」というイメージです。

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奥成氏:
 ほかには「スタークルーザー」もそうですね。メガドライブ用ソフトの中でも,技術的に相当すごいことをやっていて,ハイスピードで動かすと滑らかさが段違いです。ただ,そのままだとオープニングが曲の途中で終わっちゃうんです(笑)。

4Gamer:
 あの曲が素晴らしいのに,残念です。

奥成氏:
 作り手としても,オープニング映像と曲を合わせて,一番盛り上がるように演出しているわけですから,こういう移植は本来,仕様としてダメです。ただ,滑らかな動作も捨てがたいので,そのために高速モードを選択できるようにしました。

4Gamer:
 それはありがたいです!

奥成氏:
 ゲームを始めるまでのステップが増えるのは,あまり好ましくないのですが,かと言ってオプションに組み込むと分かりづらくなっちゃいますので。
 これは「サンダーフォースIV」にも付けました。あとは「ファンタシースターII 還らざる時の終わりに」も,通常とは異なるモードを用意しています。このあたりは好評だった部分をより伸ばしていくという要素ですね。

4Gamer:
 ゲームギアミクロにも搭載されていた要素ですね

※「女神転生ラストバイブル」と「女神転生ラストバイブルスペシャル」には“イージータイプ”(前者は経験値と取得金額が3倍,後者は2倍になる)が搭載されている

奥成氏:
 当時のゲームをそのまま遊んでもらうのが本来の目的ではありますが,タイトルによってはちょっと厳しいものもあります。「ファンタシースターII 還らざる時の終わりに」を収録するにあたっては,当初からイージーモードを実装すると決めていました。

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前回できなかった夢を実現するオマケタイトル


4Gamer:
 オマケと位置付けられているタイトルについても,聞きたいことが山ほどあります。

奥成氏:
 オマケについては,前回の「ダライアス」と「テトリス」の場合,どちらかでも入れば目玉になると思ったのですが,幸いなことに両方許諾が取れました。
 今回も「次はどんなオマケを用意しようか」ということは,プロジェクトの開始前から何度も考えていましたが,同じことをやってもあの2本のインパクトを超えるのは無理だろうと思ったんです。

4Gamer:
 確かに,あの2本は強烈でした。

画像集#045のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
奥成氏:
 「『ダライアス』という存在しないゲームを作った」「『テトリス』という当時は実現できなかった夢を叶えた」という2大インパクトを超えるものを,1年やそこらで準備できません。
 そこで「あの時,できなかったことを実現しよう」というテーマで,多方面にチャレンジすることにしました。

4Gamer:
 「できなかったこと」とは,技術的な理由や権利的な問題があって収録できなかったものですか。

奥成氏:
 いえ,そうではなくて,過去に残した忘れ物だったり,理想だったり。そのテーマを最も体現しているのが「スペースハリアーII」ですね。

4Gamer:
 「スペースハリアーII」は前回のメガドライブミニにも収録されています。

画像集#016のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
奥成氏:
 このゲームのコンセプトは「当時のセガファンが想像した『スペースハリアーII』」です。メガドライブを発売日に買った人が「確かにすごいゲーム機だけど,どうしてメガドライブには拡大縮小回転機能がないんだろう。その機能があれば『スペースハリアーII』はもっといいゲームになったのでは?」という想いを持ったんじゃないかと思うんですよ。
 それを叶えるために,「思い出のメガドライブの完全再現」という枠から一歩以上踏み出して,「思い描いたメガドライブの再現」としたタイトルですね。

堀井氏:
 最初,「グラフィックスと音は一切いじらないでくれ」と言われましたね。

奥成氏:
 堀井さんにこの話をしたときには「グラフィックスを全部描き直して,アーケード風に作ってみたい」という提案をいただいたんですが,それはメガドライブミニという商品には合わない。あくまで1988年にあったかもしれないメガドライブとして作ってほしい,と伝えました。

堀井氏:
 それを聞いて,僕はロジカルに「当時のメガドライブに想定されていた機能を全部実装したらどうなるか?」ということをやりたいと思いました。

奥成氏:
 具体的に言うと,セガファンが「Beep」(ゲーム雑誌)に掲載された「スペースハリアーII」の記事を読んで,頭に浮かべた理想型を作るという「夢の実現」ですね。
 かなりニッチなコンセプトなので,喜んでくれるお客さんは多くないかもしれないですが,今回の商品ならば許されるかなと思ったんです。

画像集#024のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!

堀井氏:
 今回の「スペースハリアーII」と同等のVDP(Video Display Processor)のハードウェアを設計して,それをメガドライブ本体に組み込めば,実機でもプレイできる仕組みにしました。メガドライブミニ2では,そのエミュレータで動くようにしているんですが,ハードウェアの実機も趣味で作ってみました(笑)。

4Gamer:
 趣味で……ハードを!?

堀井氏:
 ええ,奥成さんがOKしてくれるなら,どこかでご覧に入れる機会があるかもしれません(笑)。

4Gamer:
 「スペースハリアーII」にも相当注力されたと思いますが,まだオマケの1本目です(笑)。

奥成氏:
 今回の開発期間でイチから作れるオマケは,前回と同じく最大でも2本だろうと考えていました。「スペハリII」が「ダライアス」だとしたら,「テトリス」に代わるものは何だろう,と考えたときに,メガドライブミニ2のディレクターを務めている松岡さん(松岡 毅氏。エムツー所属)に思いあたったんです。コンパイル所属時には「ぷよぷよSUN」のディレクターをされていましたから。

堀井氏:
 言うなれば「ぷよぷよSUN」の生みの親。アーケード版とセガサターン版の「ぷよぷよSUN」を作った人です。

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奥成氏:
 ただ,セガサターンにあってメガドライブにない機能は山ほどあるので,簡単にはいかないことは分かっていましたが,エムツーさんの技術力なら実現できるのではないかと考えたんです。

堀井氏:
 メガCDがこれっぽっちも動いてないときに,「セガサターンのゲームをメガドライブに移植しよう」って話をしていたんですよ(笑)。

画像集#015のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
奥成氏:
 松岡さんには,すぐに良い返事はもらえませんでしたが,当時の「ぷよ通のほうが面白い」「太陽ぷよはいらない!」といったお客さんの反応を真摯に受け止めていて,あらためて「ぷよぷよSUN」を作ってみようと考えてもらえました。
 メガドライブミニ2のディレクターであるにもかかわらず,「『ぷよぷよSUN』も作ってくれ」という依頼を引き受けていただき,松岡さんには感謝しかありません。

4Gamer:
 タイトルは「ふたりでぷよぷよSUN」,2人プレイ専用とのことですね。

奥成氏:
 ある程度,予想はしていたものの,やはり開発が難航しました。残り1か月のところで,最終的にどうやっても間に合わないことが判明したんですが,システム自体は完成していたので,ここで諦めるのはあまりに惜しく,それまで作っていた1人用モードを全部外して,2人対戦専用ゲームに生まれ変わったという顛末です。

堀井氏:
 ぷよぷよシリーズの1人用モードはシナリオを進めていく形なので,それなりの用意が必要です。まんざいデモ,CPUキャラのルーチンなど,一部の準備はできていたんですが……。

奥成氏:
 そんなわけですが,「ぷよぷよ」のコアな部分である対戦の面白さはできているので,対戦ゲームとして楽しんでいただけると思います。当時の松岡さんが「もし太陽ぷよのルールをこのように変えてみたらどうだっただろう?」といったような「太陽イン」「フェイク太陽」という新たなルールも加わり,新生「ぷよぷよSUN」になっています。

堀井氏:
 あと3か月あれば,完成してましたね。

奥成氏:
 堀井さんの3か月は半年だと思っています(笑)。そうそう,ゲーム内パッケージも松岡さんの紹介で,オリジナルスタッフである壱先生に描いていただきました。2022年の新作イラストです! 
 そのほか,ソフトのほうでも当時の開発スタッフが参加しています。当時,松岡さんが「ぷよぷよSUN」ではできなかったことを取り返す,「あの時,できなかったことを実現」するきっかけになったことも嬉しく思っています。


新作と呼べる移植作品の数々がオマケとして


4Gamer:
 オマケはあと8本もあります。

奥成氏:
 「ファンタジーゾーン」に関しては,メガドライブ版「ダライアス」を自主開発していた小西さん(小西秀樹氏。関連記事)が,ほぼ完成状態まで作っていたものですね。さらにエムツーさんには“日本で一番,ファンタジーゾーンが好き”な久保田さん(久保田和樹氏)もいらっしゃるので,彼の厳しいチェックにより,数か月のチューニングを重ねてクオリティを製品レベルまで押し上げて完成しました。

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 それから「パーティークイズMEGA Q 2022」については,宮崎のアイデアです。彼が大好きなMEGA Qの問題を刷新して収録することになりました。その問題ですが,宮崎が今年10月に定年を迎えるにあたり,セガ最後の仕事として全問作ると言い出しまして(笑)。それでエムツーさんに改造をお願いしたんです。

4Gamer:
 全問,宮崎さんが作っているんですね。

奥成氏:
 はい,3200問全部,宮崎が作ってます。「みんなで考えましょうか?」と提案しても,「いや,俺がやる」って(笑)。実はオリジナルの問題は3000問なので,途中からメモリが足りなくなって8Mbitから16Mbitのソフトに改造しています(笑)。

堀井氏:
 宮崎さんの総決算ですね。

奥成氏:
 世界に数あるクイズゲームの中でも,1人で3200問はほかにないでしょう。そんな宮崎を見ているうちに,我々も何かしたくなっちゃいました。「セガの問題だけでMEGA Qを作れないか」と提案したら,久保田さんが賛同してくれたんです。
 「パーティークイズSEGA Q」の問題は,エムツーさんと僕が総出で作ったので,問題の質も難易度もバラバラだったりしますが,それでも2000問用意しています。

画像集#013のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結! 画像集#014のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!

4Gamer:
 司会は光吉さん(光吉猛修氏)ですね。新しくて面白い!(笑)

奥成氏:
 MEGA Qと一緒に収録されるのに,見た目がまったく同じでは芸がないなと思い,背景をいじったりしていたんですが,大きく差別化を図るために光吉さんの声を入れてみることにしました。それなら,司会も光吉さんにしようよと。エムツーさんもノリノリでドット絵を描いてくれて(笑),私はゲーム内の全セリフを書いています。

4Gamer:
 「三輪サンちゃん」と「スーパーロコモーティブ」は,オマケの中でも趣旨が異なるクラシックタイトルですね。

奥成氏:
 この2本はエムツーさんが10年近く前に趣味で作られていたタイトルですね。

堀井氏:
 「僕が好きだから」,あるいは「スタッフが好きだから」という理由で作っていたというのが経緯です。実は「セガ3D復刻プロジェクト」のときにも,何らかの方法で出していただけないかと提案していたんですが,あまりにマイナーすぎて実現しませんでした。
 以降,ずっとお蔵入りだったんですが,ようやく陽の目を見ることができました。

画像集#011のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結! 画像集#012のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!

4Gamer:
 前回はチャンスがなかったんですか。

堀井氏:
 前回は指定のタイトルを移植するのに精いっぱいで入る余地はなかったですね。この2本も入れると,メガドライブの新作は8本です。8本はおかしいでしょ(笑)。

4Gamer:
 そう思います(笑)。

堀井氏:
 「M2 Shot Triggers」のディレクターである久保田が「MEGA Q」と「SEGA Q」も担当しているのですが,さらに「ファンタジーゾーン」も見ている状況だったんです。「M2 Shot Triggers」の進捗を聞いたところ,「そっちは見ている時間がないです」と言われて(笑)。8本あればそうなるよなって思っちゃいました。

4Gamer:
 今回の取材に際し,事前に収録タイトルのリストをいただきましたが,まったく謎だったのが「でびとぴー」でした。

奥成氏:
 未発表タイトルだったので,検索しても出てきませんよね。ソニックチームの飯塚(飯塚 隆氏)が新人時代に作った作品です。彼が企画とデザイン,ドット絵まですべて担当しています。

4Gamer:
 何年頃の話でしょうか。

画像集#010のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
奥成氏:
 1992年ですね。ゲーム画面では1993年と表示されますが,制作開始は前年です。
 これは「SEGA AGES」シリーズの「バーチャレーシング」を作る際に,メガドライブ版のプログラマーに聞き込みしていて,彼が開発した「でびとぴー」の存在を知りました。彼が同期である飯塚とセガ入社後,新人研修で作った作品だったそうです。
 彼がメガドライブの実機で動く最終版のROMを大事に保管していまして,若干未完成なところもありながらちゃんと楽しめるものだったので,今回のプロジェクトに入れたら面白いんじゃないかと考えたんです。

4Gamer:
 ゲーム内パッケージは新たに制作されたものですね。

奥成氏:
 はい。飯塚が描いていたドット絵を元に,今回のために弊社デザイナーが制作しています。


1980年代から90年代にかけての楽しかった空気感を


4Gamer:
 先ほど話題にあがった「ビューポイント」は,海外で発売されたタイトルですね。

奥成氏:
 ゲームギアミクロのときに,アトラスには「ラストバイブル」シリーズの許諾をいただきました。また,今回は看板タイトルである「真・女神転生」を収録することができました。
 セガサミーグループのシナジーをもっと増やしたいと考えていて,次は「サミーのタイトルも欲しい」ということで,「ビューポイント」にたどり着いたんです。

4Gamer:
 オマケの枠になっているのは,どうしてでしょうか。

奥成氏:
 海外でしか発売されていないからです。オリジナルのNEOGEO版と比較すると,発進シーンなどの演出面が結構カットされていますが,ゲームのコンセプトはよく再現されていると思います。メガドライブの“変わり種シューティング”として遊んでみてください。

画像集#030のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結! 画像集#032のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!

4Gamer:
 残るオマケタイトルは「スターモビール」なんですが,それだけでなく「スペースハリアーII」のモードの1つとして「スペースハリアー」も存在します。ここだけ特殊な仕様になっていますね。

奥成氏:
 堀井さんに「『スペースハリアーII』を作るなら『スペースハリアー』も作りたい」と言われたんですよ。この開発期間で2本は無理だから,やめましょう……と返したんですが,「いや,それでも作らせてほしい。チームのモチベーションなんです!」と詰め寄られました(笑)。

堀井氏:
 「スペースハリアーII」のために,メガドライブに新しい機能を作ったので,1本だけではもったいないと思ったんです。このシステムがあれば,初代スペハリも動くはずだからと。

画像集#017のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
奥成氏:
 「『スペースハリアー』を作らせてくれないと,『II』が完成しない」と,意味が分からないことも言われましたよ(苦笑)。
 ところが,案の定というか何というか,納期が迫ってきた段階で「スペースハリアー」がまったくあがってこない。しかも2本とも。

4Gamer:
 難航した理由は何だったんですか。

堀井氏:
 「新たに機能を改めたメガドライブの実機」と仮定してエミュレータを作っていたので,ゲームを動かしてみて何か不具合があったときに,エミュレータが原因なのか,プログラムがおかしいのかがすぐには分からなかったんです。
 ゲーム機のローンチタイトルではありがちな話ですね。実際に「スペースハリアーII」は“ニューメガドライブ”のローンチタイトルだったので,奇しくもその体験をさせていただきました(笑)。

奥成氏:
 ここで「やはり2本は無理だ」と判断して,本題の「スペースハリアーII」に注力してもらうことにしました。そうなるとオマケが9本になりますから,60本中のオマケが10本(5本×2)に足りないのでメニューの収まりが良くない。そこで,その枠に急きょ「スターモビール」を入れることにしたんです。

画像集#048のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!

4Gamer:
 そういう流れだったんですか。「スターモビール」は完成した状態だったんですね。

奥成氏:
 当時,完成していたけれど発売されなかったタイトルです。開発末期にマインドウェアさんに連絡して,「突然ですが収録させてください」とお願いしたら快諾をいただき,なんとかオマケタイトルも10本揃えることができたと思ったら……。

堀井氏:
 「スペースハリアー」も間に合うメドが立ちました(笑)。

奥成氏:
 「スペースハリアーII」と「ぷよぷよSUN」を作りながら,堀井さんは「スペースハリアー」も中断していなかったんです。僕は2本に集中してほしかったんですが,残り1か月で「『スペースハリアー』も完成しそう」と言われまして。

4Gamer:
 執念を感じます……。

奥成氏:
 「『ぷよぷよSUN』も完成できないかも」と言われていた時期でしたが,とにかく間に合ったら入れようということで全部進めたところ,「ぷよぷよSUN」も「スぺハリ」も最後の最後で間に合った。気が付けばオマケが11本になっていて,メニューからあふれてしまうので「スペースハリアーII」のモードの1つとして初代も選べるようになったというわけです。

4Gamer:
 なるほど。

堀井氏:
 今回,奥成さんは電波新聞社さんを巻き込んで「サイバースティック」を実現されていますから(関連記事),2本作れて良かったと思っています!

4Gamer:
 2本ともサイバースティックに対応しているんですね。

画像集#029のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!

奥成氏:
 「スペースハリアー」にゴーサインを出したのは,サイバースティックがあったからという理由もあります。「アフターバーナーII」「ナイトストライカー」「スターブレード」という対応タイトルがあり,ここに「スペースハリアーII」が加わる。また,全体のラインナップを眺めたときに「ファンタジーゾーン」「アウトラン」「アフターバーナーII」と並んでいると,確かに「スペースハリアー」も欲しくなっちゃいますよね。
 スタッフのみなさんがギリギリのギリまで,頑張っていただいた結果です。

堀井氏:
 でも,今回は本当に奥成さんの努力に感謝したいです。ウチの開発をギリギリまで待っていただいたこともありますが,タイトルに関して各社との交渉も限界までされていましたし。

奥成氏:
 いろいろな会社があって,それぞれに事情がありますからね。即答していただけるところもあれば,1年間手を変え品を変え交渉したうえで断念せざるを得なかったものもあります。
 正直なところ,こういうプロジェクトは決して大きな利益が得られるものではないので,祭りに参加していただくような感覚ですよ。ライセンス許諾していただいたすべてのメーカーさんには,本当に感謝しかないです。
 「当時,遊んでくれたお客さんにもう一度遊んでいただけることは嬉しい」と言っていただけると,プロジェクトを進めた甲斐があったと実感します。

画像集#046のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
堀井氏:
 前回,全部やりきったにもかかわらず,結果としてさらに突き詰めることができましたよね。メガCDのすごさを実感しつつ,プロジェクトとして尻すぼみにならなかったのがよかったですね。それだけに,台数が限られるのは惜しい……。

奥成氏:
 メガドライブミニを買ってくれたお客さんを中心とする,より深いところを目指した商品として,メガドライブミニ2が完成しました。
 タイトル選出の自由度が前回より上がって,より広いジャンルのタイトルを収録しています。1980年代後半から90年代中頃まで,メガドライブを通してTVゲーム全体の,あの楽しかった空気感を再現できているかなと思います。

4Gamer:
 本日は長時間,ありがとうございました。
 ……かなり気の早い話になりますが,次のプロジェクトの構想はあるのでしょうか。

奥成氏:
 構想はもちろんありますが,今はとにかくメガドライブミニ2を全世界のお客さんに届けるための努力に全力ですね(笑)。まずは無事に発売されることを願うばかりです。
 やりたいことはまだたくさんありますよ。エムツーさんとも一緒にやっていきたいと思っています。メガドライブミニがあって,ゲームギアミクロがあって,メガドライブミニ2があって。その過程でお客さんの反応もしっかり見てきたので,皆さんの声をなるべく拾っていきたいですね。堀井さんが無茶を言わずに協力していただければ,きっとまた何かができるんじゃないでしょうか(笑)。

堀井氏:
 そういう奥成さんだって,無茶言うでしょ(笑)。

4Gamer:
 今後の展開も楽しみに待ちたいと思います。

画像集#049のサムネイル/「メガドライブミニ2」全タイトル発表記念インタビュー。執念の初代スペースハリアー,飯塚 隆氏の未発表作品を含む60本(+α),ここに集結!
――2022年8月2日収録

「メガドライブミニ2」公式サイト



  • 関連タイトル:

    メガドライブミニ2

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