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Windows PCに搭載されるNVIDIA製SoCとしては,2013年に登場した「Tegra 4」以来である。また,エージェントAIに最適化したWindows PCという,新たなカテゴリのハードウェアとして関心を持たれているようだ。
COMPUTEX 2026では,PCメーカー各社がRTX Sparkを搭載したノートPCや小型PCを展示しており,多くの人を集めたが,そのほとんどが「お触り禁止」状態の展示だった。RTX Sparkを搭載したPCは,2026年秋の発売を予定しており,まだ開発中ということもあるのだろう。
その一方で,COMPUTEX 2026に合わせて開催しているNVIDIAの独自イベント「GTC 2026 Taipei」の会場やデモルームでは,RTX Spark搭載PCに触れることができた。
さまざまなデモが紹介されていたのだが,今回はゲーマーが最も気になっているであろう,ゲームの動作やプレイの快適さをレポートしよう。
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RTX Sparkは「プラグマタ」をレイトレーシングで快適に動かせる
会場でひときわ目を引いていたのは,カプコンのSFアクションアドベンチャーゲーム「プラグマタ」を,RTX Spark搭載PCで実際にプレイできるというものだ。
主なグラフィックス設定は,以下のとおり。
- 画面解像度:2560×1600ドット
- レイトレーシング:ON
- パストレーシング:OFF
- Ray Reconstruction:OFF
- グローバルイルミネーション品質:High
- DLSS SuperResolution:Quality
- Frame Generation:DLSS 2x
パストレーシングは使っていないが,ほかは高めの設定となっている。設定画面に表示される「使用グラフィックスメモリ」は7.97GBだった。
実際にプラグマタをプレイしている様子を撮影したのが以下である。
画面上にフレームレートを表示していなかったので,数字でどれくらいとはいえないが,動画を見る限り,かなりなめらかに動作していることが分かる。
ただ,このデモはNVIDIA独自の超解像技術「DLSS 4」のマルチフレーム生成(関連記事)を使用したものであることに注意が必要だ。あくまで生成された疑似フレーム込みの体感となっている。フレーム生成を無効化した状態で,どのようなプレイになるかは分からない。
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競合製品であるAMDの「Ryzen AI MAX」シリーズや,Intelの「Core Ultra Series 3」も優秀なGPUを統合しているが,それと比べてもRTX SparkのGPUはレベルが違う。
全容はまだ見えないものの,デスクトップPC向けGPU「GeForce RTX 5070」と同じ6144基のCUDAコアを搭載するRTX Sparkの実力を少しうかがうことができた,と言っておこう。
インディ・ジョーンズやFortniteなどのプレイアブルデモも
筆者が確認した限りだが,プラグマタ以外に「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」や「Alan Wake 2」も,レイトレーシングを有効とした状態で実機の動作デモを行っていた。細かなグラフィックス設定は確認できなかったが,画面解像度は2560×1600ドットだった。
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注目すべきなのはAlan Wake 2で,レイ再構成(Ray Reconstruction)の効果をDLSS 4モードとDLSS 4.5モードで比較できるようになっており,その違いを確認できた。
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マルチプレイヤーゲームの動作例として,「Fortnite」や「NARAKA:BLADEPOINT」といったゲームのデモもあった。Arm系CPUを搭載したPCでは,マルチプレイヤーゲームが用いるアンチチートツールの影響で動作しないことがあり,Arm搭載Windows PCにおける課題となっていた。
Epic Gamesは,2026年8月にQualcomm製SoC「Snapdragon」シリーズを搭載したWindows PCに向けて,同社製アンチチートツール「Easy Anti-Cheat」の対応を開始した。RTX Sparkでもそうした対応を行っていると思われる。
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ゲームをプレイしているときのファンの動作音だが,一般的なゲーマー向けPC並みに,ファンの風切り音がしっかりと響いていた。さすがのNVIDIAも,ここに魔法はないようだ。
また,ゲームそのものではないが,Unreal Engine 5の技術デモである「The Mat
都市全域をUnreal Engine 5のエディタで読み込み,都市内を飛び回っていたが,これもカクつくことなくスムーズに動く様子が見て取れた。
このデモは,RTX Spark搭載PCがゲーム開発機としても利用できるというアピールだろう。
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なお,Alan Wake 2以外のゲームのデモは,Arm搭載Windows PC向けのx86/x64エミュレータである「Prism」を利用して動作していた。
Prismは,アプリケーションの実行時に,x86およびx64命令をArm64のコードへ動的にリコンパイルする技術だ。最新世代では,x86およびx64系のAVX系拡張命令を,Armの同系SIMD命令に変換できるため,ゲームにおける性能が向上しているという。
とはいえ,Armネイティブコードのほうが,ゲーム実行時において重要なシングルスレッド性能が格段に良いのは間違いない。
ちなみに,Prismを利用するのはCPU側のコードだ。GPUについては,NVIDIAが,RTX SparkでDirectXをネイティブに実行できると強くアピールしている。
これは,NVIDIA自身が,RTX Sparkの製品化に伴って,x86およびx64環境で築き上げてきたゲーム支援技術を,Arm64ネイティブコードに事前コンパイルして実装しているためだ。
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DirectXまわりは,x86系CPU向けのアプリケーションを実行するときに,直接APIを呼び出せる「APIパススルー」での動作が可能となっている。つまり,3Dグラフィックス処理においては,Arm系CPU向けのエミュレーションで起こるオーバーヘッドがないわけだ。
逆に言えば,ゲームのCPUコードのみ,Prismによる実行時コンパイルのオーバーヘッドが足枷となっている。Arm版Windowsを推進するMicrosoftが手がけるゲームタイトルは,Armネイティブコードへの事前コンパイルをお願いしたいものだ。
2026年5月19日にリリースされたばかりの「Forza Horizon 6」は,Armネイティブコンパイルされていないそうなので,デモンストレーションの意味でも,対応を期待したい。
RTX Spark搭載PCの消費電力とACアダプタの出力は?
RTX Sparkは,AI開発者向け小型PC「DGX Spark」に搭載するSoC「GB10 Grace Blackwell Superchip」(以下,GB10)と同一シリコンである可能性が高い。
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気になるのは,小型PCからノートPCへとフォームファクタが変更になっても,その性能を最大限に発揮できるのか,ということだ。
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DGX SparkのACアダプタは,出力240Wである。このクラスのACアダプタを採用するとなると,GPUに割り当てられる電力予算は140Wほどだろう。
これは,ノートPC向け「GeForce RTX 5070 Laptop GPU」や「GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPU」を搭載したゲーマー向けPCと大差ない。こうしたPCでは,容量280WクラスのACアダプタを利用することが多いようだ。
では,RTX Spark搭載機のACアダプタはどうなっているのだろう? RTX Spark搭載PCのACアダプタを見せてもらおうとあちこち駆け回ったが,多くのメーカーは公開していないとのことだった。
ところがHPは,ACアダプタを見せてくれたばかりか,ACアダプタの出力をデモ機の画面に表示してくれたのだ。ちなみに,筆者はHP製ノートPCユーザーである。ありがとうHP。
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RTX Spark搭載ノートPC向けのACアダプタは出力140Wであった。薄さ約15mmのノートPCとしては大きめの容量だが,DGX Sparkの240Wと比べれば大幅に少ない。HPのRTX Spark搭載ノートPCは,14インチ級モデルと16インチ級モデルをラインナップしており,いずれも同じACアダプタを利用していた。
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出力140WのACアダプタを採用するPCだと,GPUに割り当てられる電力予算はせいぜい85W程度で,残りの55WはCPUやその他のシステムに使われる。
製品によっても異なると思うが,RTX Spark搭載ノートPCのピーク性能は,DGX Sparkよりも控えめになる製品も多そうだ。
やたら製品数の多いRTX Spark搭載ノートPC
今回,さまざまなブースをめぐって感じたのは,RTX Spark搭載PCのラインナップの豊富さだ。ノートPCだけでなく,小型デスクトップPCもかなりの種類があった。こんなにたくさん出して大丈夫なのかと,他人事ながら心配になるほどだ。
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RTX Sparkの発表時点で,これほど搭載PCのラインナップが多いのは,NVIDIAとMediaTekが共同開発した「リファレンスデザイン」の存在が大きいと筆者は見ている。
これはさまざまな業界で利用されている「ターンキーソリューション」の1つだ。ターンキーとは,鍵を回すだけでエンジンが掛かることを意味しており,リファレンスデザインをもとにすることで,スピーディーに製品化を実現できることを表現している。
最近はPCやスマートフォンといったデバイスも,ターンキーソリューションによって開発されることが多い。
コアとなるSoCだけでなく,マザーボードの基本設計図や,動作に必要な周辺部品のリスト,ファームウェアやOS,ドライバまで,すべてセットにした検証済みの基礎パッケージを提供し,これをもとにPCの開発を行う。
ただ,一部メーカーの分解展示を見ると,ノートPCはそれぞれでオリジナルのマザーボードを設計しているものも多そうだ。
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RTX Sparkの解説記事(関連リンク)でも触れたが,多くの人が気になっているのは,RTX Spark搭載PCの価格だろう。
DGX Sparkと同じ容量128GBのユニファイドメモリを搭載したPCは,相応の価格となるだろう。しかし,価格がそれなりに抑えられた下位モデルも登場しそうだ。
というのも,各社のRTX Spark搭載PCには,RTX Sparkのスペックを紹介するパネルが置かれており,ユニファイドメモリの容量が「Up to 128GB」と書かれていた。さらにCPUコアとGPUのCUDAコア数にも「Up to」の表記があり,ある程度スペックを落としたRTX Sparkが提供される可能性がある。
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本格的なエージェントAIを動作させるには,128GBのメモリ容量がないと厳しいのだろうが,そうではない一般消費者に向けた普通のPCも登場するはずだ。
DGX Spark搭載PC並みの価格では,ゲーミングPCとして成立しない。おそらく,容量64GBや32GBのメモリを備えたモデルも出る可能性も,十分にあると筆者は考える。
NVIDIAのCEOであるJensen Huang(ジェンスン・ファン)氏は,GTC 2026 Taipeiの基調講演後に行った報道関係者向けQ&Aセッションにて,「事前に流れたN1X/N1というプロセッサの情報は,RTX Sparkのことだ。どちらで呼んでもらってもかまわない」と発言している。この発言から推測すると,RTX Sparkは,上位モデルがN1X,下位モデルがN1に相当するラインナップになるかもしれない。
市場に登場するRTX Sparkの製品バリエーションは,メモリ容量だけでなく,CPUコアやGPUの規模を縮小したものもあると予想できる。N1相当の下位モデルを搭載したPCは,手に取りやすい価格帯となることを期待したい。
ただ,LPDDR5Xメモリの電気特性上,メモリは基板に直付けで増設ができない設計になるはずなので,製品を選ぶときはそのあたりにも注意したい。
NVIDIAのWindows PC向けSoC「RTX Spark」はどんなプロセッサなのか。アーキテクチャや性能を考察する
2026年6月1日,NVIDIAのGPU技術関連イベントにて,さまざまな新製品やサービスが発表となった。そのなかでも最も多くの関心が寄せられているのが,Windows PC向けSoCである「NVIDIA RTX Spark」だろう。本稿では,ゲーマー向けにRTX Sparkの解説と技術的な考察を行う。
















































