この物語(?)は,2018年12月に発売された第1作から最新作まで,「Fit Boxing」を継続して遊び倒しているゲームライターが,「Fit Boxing 3」のNintendo Switch 2版が出ると聞いていてもたってもいられずに開発・販売元のイマジニアへ突撃。その一部始終をしたためたものである――
皆さん,運動してますかーーーーーッ!
2026年7月16日に発売された「Fit Boxing 3 -Your パーソナルトレーナー Nintendo Switch 2 Edition」は,グラフィックスの向上に加え,「アドバンス判定モード」「ブーストアップ」「カメラプレイ」「おすそわけ通信対戦」といった新要素を盛り込んだNintendo Switch 2向けのパワーアップ版だ。
初代「Fit Boxing」に始まり,2020年12月発売の「Fit Boxing 2」,そして2024年12月にリリースされた現行のシリーズ最新作「Fit Boxing 3」まで,リアルタイムでシリーズを追い,パンチを打ちながら運動を続けてきた筆者が,この知らせを聞いてじっとしていられるはずがない。
いてもたってもいられず,発売を目前にした7月某日,開発・販売元のイマジニアへ。Nintendo Switch 2 Editionの新要素を体験し,開発陣にシリーズのこれまでと,これからについて話を聞いた。
そして見えてきた。「Fit Boxing」が,長い年月をかけて育んできたものが――。
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運動嫌いだった私と「Fit Boxing」。そしてゲームの外へ広がる世界
……冒頭から暑苦しいテンションで始めてしまったが,もう少しだけ,筆者と「Fit Boxing」の出会いについて聞いてほしい。
以前の筆者は,運動に強い苦手意識があり,体を動かすことが大嫌いだった。
ゲームやお絵描きなどが好きな筋金入りのインドア派だが,とある理由により,否応なく運動と向き合わなければならなくなった。急激な体重増加によって膝が悲鳴を上げ,常に足のどこかが痛むようになったのだ。
「いよいよ,ダイエットをせねばなるまい……」
食事制限は過去に何度も失敗している。やはり,運動をしなければならないだろう。
だがしかし,体を動かすことは嫌いだし,ジム通いはしたことがあるものの,結局続かなかった苦い記憶がよみがえる。いったい,どうすればいいのか。
――そこに,彗星のごとく現れたのが「Fit Boxing」だった。
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Joy-Conを握ればすぐに始められ,外へ出る必要もない。リズムに合わせてステップを踏み,パンチを打てば,なんだか自分が強くなった気がして楽しい。3分ほどの短いメニューもあり,魅力的なインストラクターたちも寄り添ってくれる。筆者にとっては,まさに神ソフトだった。
すっかり生活の一部となり,「Fit Boxing 2」をやり込む頃には体力もつき,運動への苦手意識も薄れていた。そこから筋トレやダンス,ほかの運動アプリにも挑戦し,なんと10キロの減量にも成功。ビフォーアフターの写真を撮っていなかったことだけが悔やまれる。この記事に載せたかった……!
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このように私を変えた「Fit Boxing」の魅力は,ただ運動するだけのゲームには収まらない。
その最たる存在が,日々のトレーニングに寄り添うインストラクターたち。彼らは単なるナビゲートキャラではない。普段の暮らしまで想像させる細かな設定があり,プレイヤーから親しまれている。リアルイベントやSNSでは,エクササイズの情報だけでなく,推しのインストラクターについて語り合う光景も珍しくない。
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2021年には,カレンを主人公にしたショートアニメ「キミとフィットボクシング」も制作された。運動を支えるゲームから,人々の日常や交流へ。「Fit Boxing」の世界は,画面の外にまで広がっている。
またナンバリング作品に加え,「Fit Boxing 北斗の拳 〜お前はもう痩せている〜」や「Fit Boxing feat. 初音ミク -ミクといっしょにエクササイズ-」といったコラボタイトルも展開。作品ごとの魅力をエクササイズに落とし込み,運動を始め,続けるきっかけとなっている。
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Nintendo Switch 2 Editionを体験し,開発陣とたどる「Fit Boxing」の歩みと進化
2024年12月に発売された現行のシリーズ最新作「Fit Boxing 3」は,リリースから1年半が経った現在も,筆者の健康維持の相棒として現役だ。
ナンバリング作品では過去作のプレイデータを引き継げるため,初代から積み重ねてきた運動の記録も,作品をまたいで受け継がれている。
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ボタンひとつですぐデイリーを始められる「即トレ」,椅子に座ったまま運動できる「チェアフィット」,フォームを確認できる「ミット打ち」など,継続のハードルを下げる工夫も充実している。モチベーションが低い日でも,とりあえず起動すれば体を動かし始められる。その優しさに支えられ,筆者のプレイも途切れずに続いている。
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そんな筆者にとって,Nintendo Switch 2 Editionの発表はかなりのビッグニュースだった。発売が楽しみで夜も眠れない日々を送り……いや,夜はちゃんと寝ていた。睡眠不足は筋肉によくないから!
発売日を待ちながら新要素の情報を追っていたものの,やはり実際に体験してみなければ分からない。そうして筆者は,イマジニアの門を叩いたのであった。
取材に応えてくれたのは,本作の制作メンバーである井野哲哉氏と曽田 圭氏。実際にSwitch 2 Editionの新要素を体験しながら,各要素の特徴とこれまでのFit Boxingの歩みについて聞いた。
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4Gamer(内藤ハサミ):
本日はよろしくお願いいたします!
私は初代から「Fit Boxing」を続けていますが,以前は「運動で疲れるなんて損だ」と思うほどの運動嫌いでした。
ジム通いも続かなかった私が,楽しく体を動かし,運動を習慣にできたのが「Fit Boxing」だったんです。
井野哲哉氏(以下,井野氏):
ありがとうございます。運動を楽しみ,習慣にするきっかけとして続けてくださっているのはうれしいですね。
4Gamer:
なので今日は,初代からプレイヤーとしてNintendo Switch 2 Editionだけではなく,これまでの展開についてもお聞きしたくて。
まずは,「Fit Boxing 3」のアップデートで追加された「太極拳」です。これはけっこう衝撃だったのですが,どのような経緯で実装することになったのでしょうか。
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井野氏:
「Fit Boxing」シリーズは,幅広い年齢層や,さまざまな身体の事情を持つ方に楽しんでいただいています。
「Fit Boxing 3」では,「ダイナミックストレッチ」や「チェアフィット」など,それぞれの状況やニーズに応えられるエクササイズを積極的に取り入れる方針でした。そのなかで,世界的な認知度も含めて候補を検討し,たどり着いたのが太極拳です。
4Gamer:
わが家でも家族で遊んでいますが,全員が太極拳初挑戦なので,「これで合っているのかな?」と言いながら取り組んでいます(笑)。
正しくできているか分からないからこそ,家族でアドバイスし合うのも楽しいのですが,ユーザーからの評判はいかがですか?
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井野氏:
おかげさまで好評です。ただ,「ちゃんとできているのかな」と気になる方は多いと思います。私も何度もやっていますが,手をふわふわ動かしているだけになりがちですから(笑)。
太極拳には成否の判定を入れていません。まずは形をまねて,やった気になっていただければ十分です。それぞれのやり方で,自由に楽しんでほしいですね。
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4Gamer:
ボクシングも,最初は“やったつもり”でも,続けるうちに少しずつ動きがしっかりしてきますよね。何より,新しいことに挑戦するきっかけになりました。
井野氏:
ありがとうございます。モーションキャプチャーと指導を担当したのは,太極拳の世界大会でメダルをいくつも獲得している内田 愛さんです。太極拳の達人と呼んでも差し支えない方だと思います。
とても優しく丁寧に教えてくださり,その雰囲気もゲームに反映されています。だからこそ,自分もうまくなったような気持ちで楽しめるのだと思います。
4Gamer:
そして,太極拳と同じく2025年12月に追加されたクロガネ君です。登場してすぐに胸を射抜かれまして……今日は,太極拳と同じくらい彼のことが知りたいんです。
4Gamer編集部(Junpoco):
杉田智和さんが声を担当する,新インストラクターですね。
4Gamer:
ええ。あの素朴な人懐こさ,マンバンっぽい髪型,そして忍者。あまりにもすべてが素敵で……というか,実は私の好みのど真ん中で,心の中を読まれているのかと思ったほどです(笑)。
そんなクロガネ君は,どのように生まれたのでしょうか。
井野氏:
声を杉田さんにお願いする際に,インストラクターのキャラクター性も一緒に作っていきたいと相談したところ,快く引き受けてくださったんです。
双方で「どんなキャラクターが面白いか」を話し合うなか,杉田さんからいただいたアイデアのひとつに“ネット系忍者”がありました。それを原案として,制作側でさらに膨らませていきました。
4Gamer:
なるほど。あの独特の個性は,そこから生まれたんですね。
自分ではインドア派のようなことを言うのに,地元のお年寄りと仲が良く,畑を手伝った話もしてくれる。プレイを進めると,作務衣みたいなジャージに軍手を着けてきたりして。そういう無防備なところが,またかわいすぎて……。
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4Gamer編集部:
すごい畳みかけだっ! でも,分かります。
優しくて人当たりがよく,少し独特な自分の世界を持っている。そのあたりに杉田さんらしさも感じていましたが,人物像を作る段階から関わっていたんですね。
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4Gamer:
クロガネ君に限らず,インストラクターたちは,一緒にエクササイズを重ねるうちに,少しずつプライベートな一面を見せてくれますよね。
そうして距離が近づいたように感じられることも,続けるモチベーションになっています。
4Gamer編集部:
単なるナビゲートキャラクターではなく,ひとりの人間として接している感覚がありますよね。
4Gamer:
そうなんです。「推しに会いたい」というモチベーションでもできるし,現実のトレーナーや知り合いと会うような。そんなインストラクターたちが,どのような人物として作られているのかが気になります。
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曽田氏:
実はインストラクターには,まだ表に出ていない一面がたくさんあるんです。
インストラクターをもっと身近な存在に感じてもらいたくて,以前Xで「フィットボクシングマンガ」を掲載していました(初回のリンク)。
マンガでは,ゲーム内だけでは伝えきれない人となりや暮らしぶりを伝えましたが,その際にインストラクター一人ひとりにあらためて向き合いました。「この人と仲がいい」「この人を尊敬している」「妹のように思っている」といった関係に加え,「好きな食べ物」や「苦手なタイプ」といった細かいところもですね。
そうした一面は,ゲーム内での言葉や振る舞いにも表れています。
4Gamer:
こっ……細かいところまで知りたいっ……!
毎日一緒にエクササイズしていると,どんどん親近感が湧いてきます。いつも行く親切な八百屋の店員さんのような,日常のなかで顔を合わせる人の親しみやすさがあるんですよ。
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4Gamer編集部:
ピンポイントなたとえですが,伝わりました(笑)。スーパーやコンビニで,思い浮かぶ店員さんがいます。
4Gamer:
そんなインストラクターのなかには,過去作に登場したものの,「3」にはまだいない人もいます。今後,復帰する可能性はありますか。
井野氏:
現時点で明言できることはないのですが,それについては常に検討しています。
インストラクターを順次増やしていくという考えは最初からあったことで,初期メンバーもその前提で厳選しました。復帰を望む声も届いています。
曽田氏:
サブタイトルの“Your パーソナルトレーナー”が示すように,「3」は一人ひとりとのコミュニケーションをより深めたいという方針があったんですね。
それで初期メンバーの人数を絞ったのですが,「毎日会っていたインストラクターと会えなくなって寂しい」という声もいただいていて,制作側としてとても理解しています。
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4Gamer:
「2」のときはインストラクターが12人いましたから,最初からいっぺんにゲームに出して,一人ひとりをさらに掘り下げる……となると確かに大変ですね。
曽田氏:
ええ。でも,できるだけプレイヤーの皆さんの声には応えたいとは思っています。
井野氏:
インストラクター関連で現実味が高いのは,コラボ衣装でしょうか。やっぱりお客さんが本当に喜んでくださるので。よいチャンスがあれば追加したいですね。
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4Gamer:
それは期待したいです! 毎日続けているので,もうすでに衣装や曲の引き換えをコンプリートしてしまってるわけですよ。
そうなるとゲーム内コインの使い道がなくなって,貯まるいっぽうで……だから,お金を使わせてください! と。
井野氏:
(笑)。フルコンプリートするほど遊んでいただけているのは,とてもうれしいです。
一方で,やり込んでいる方に合わせすぎると,始めたばかりの方が「手に入るのは相当先だ」と挫折してしまう懸念もあります。
4Gamer編集部:
難しい問題ですね。コンプリートしなくてもいいと言われても,並んでいるのを見ると全部揃えたくなる人もいるでしょうし。
4Gamer:
ですね。最初から項目がずらっと並んでいたら,「こんなにやらなきゃいけないの!?」とプレッシャーになるかもしれない。
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曽田氏:
毎日プレイしている方から,「何か違う要素がほしい」という声は多くいただいています。
最も多いのは新曲ですが,今日のお話を聞いていると,衣装への期待も高いのだと感じます。
4Gamer編集部:
毎日会うインストラクターですから,いろいろな姿を楽しみたい人は多そうです。
4Gamer:
(ウンウンとうなずく)
曽田氏:
「3」ではコラボTシャツを追加しています。多くの声をいただければ,次のコラボにつながる可能性もあるかもしれません。
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4Gamer:
声を届けます! 届けましょう!
実際,プレイヤーの意見を丁寧に拾っていただいていると感じます。アップデートでミットの左右の位置を変えられるようになったのも,すごくうれしかったです。
井野氏:
ありがとうございます。私たち自身が作りたいものもありますが,実際に継続して遊んでくださっている方々の声を聞くことは,とても大切だと考えています。
毎日プレイしている方の意見に,気づかされることも多いですね。
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4Gamer:
継続している人たちのコミュニティも生まれていますよね。
曽田氏:
はい。SNSで「今日はこれだけ頑張った」と進捗を報告し合い,お互いに励まし合っている方がたくさんいます。熱量の高いコミュニティが自然に生まれているのは,とてもうれしいですね。
4Gamer:
そうした皆さんが集まる場として,リアルイベントもあります。今後も開催する予定はありますか?
曽田氏:
まさに,リアルイベントを期待する声が届いています。オンラインでの交流だけでなく,同じ場所に集まり,オフ会のように楽しめる場を求めている方も多いようです。
4Gamer:
私も期待しています! 以前,4Gamerの取材でリアルイベント「みんなで寒さをフィッとばせ!」に参加したのですが……編集部の人の前で言うのも何ですけど,仕事を忘れるくらい楽しい場所でした。
4Gamer編集部:
そこは遠慮なく言っていただいて大丈夫です。今日の取材もそうですが,「楽しい」「好き」という気持ちが乗った,ライブ感のある記事も大事ですから!
「Fit Boxing 3」リアルイベントをレポート。50人のファンたちが3月実装のインストラクターの先行体験やシリーズ監修者によるレッスンを楽しんだ
イマジニアは2月28日,Nintendo Switch用エクササイズソフト「Fit Boxing 3 -Your パーソナルトレーナー-」のリアルイベント「みんなで寒さをフィッとばせ!」を,東京・渋谷で行った。今回のイベントは,事前募集された50人のファンが集結し,3月実装のインストラクターの先行体験やシリーズ監修者によるレッスンを楽しんだ。
4Gamer:
ありがとうございます(笑)。
インストラクターのグッズを自作して持ってきた方もいて,シリーズへの熱を直に感じました。
エクササイズの情報を交換したり,推しについて語ったりする姿も楽しそうで。こういう場所が,また開かれるとうれしいです。
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4Gamer編集部:
それこそ,太極拳をテーマにしたイベントなんてよさそうじゃないですか?
4Gamer:
確かに!
曽田氏:
太極拳のイベントは面白そうですね(笑)。
定期的にとはいきませんが,リアルイベントは今後も開催したいと考えています。交流の場としてだけでなく,体を痛めにくい動き方などを専門家から直接教わる機会としても大切だと感じています。
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4Gamer:
テキストや言葉だけでは,正しいフォームができているか,客観的に確認しにくい部分がありますよね。
曽田氏:
そうですね。ゲーム内のセリフやレクチャー画面など,正しい動きを伝える工夫はしていますが,それだけでは伝えきれないこともあります。
それに,頑張りすぎてしまう方もいます。「無理はしないで」と言われても,自分にとって何が無理なのかは,なかなか分からないですよね。
4Gamer:
ユーザーの1人としても感じます。自分が無理をしているのか,意外と判断できないんですよね。
4Gamer編集部:
気軽に取り組める一方で,長時間プレイしたり,負担のかかる姿勢を続けたりすれば,膝や腰を痛めることもあります。
気軽に始められるからこそ,正しい姿勢や,体に負担をかけにくい動き方は知っておきたいですね。
曽田氏:
ええ。コロナ禍には整体師の先生にお話をうかがい,体を痛めず,なるべく長く遊ぶための方法を紹介しました。
ゲームのなかだけで完結させず,外側からアプローチすることも大切だと考えています。
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4Gamer:
その点,Nintendo Switch 2 Editionの「カメラプレイ」では,自分のフォームや動きを客観的に確認できますね。先ほど体験してみて,たとえば「思ったより体をひねりすぎていたな」みたいに,自分で気づいて調整できそうだと感じました。
井野氏:
そうですね。別売りのUSBカメラが必要ですが,カメラプレイは想像以上に楽しく,フォームの確認にも役立ちます。
カメラを使ってどのような機能を実現できるか検討しましたが,最終的には,シンプルに「自分がどう動いているかを確かめられること」が一番大切だという結論になりました。ぜひ体験してほしいですね。
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4Gamer:
アラフィフの身としては,膝への負担が少し不安で……。重心をやや後ろに置くと楽なのですが,実際にその姿勢ができているかは,自分では分かりにくいんです。
その結果,あまり負担を感じないメニューに偏ることも多かったのですが,カメラがあればその場で姿勢を確認して調整できるし,避けていたメニューも選べそうです。これはありがたいですね。
曽田氏:
ちなみに,「肩こりラボ」の丸山太地先生(Fit Boxing公式noteの関連記事)によると,「股関節を折る」ように体を沈めるのがいいそうです。
前に体重をかけるのではなく,スクワットのように,腰をポンと下ろすイメージですね。
4Gamer:
(実際に試しながら)あっ,分かります。今日のお話,ためになるなあ……。
ゲームの話に戻りまして(笑),「おすそわけ通信」についても聞かせてください。
井野氏:
過去作にも2人で遊べるモードはありましたが,みんなで一緒にエクササイズする楽しさは,私たち自身も実感していました。
ゲームを詳しく知らなくても,誰かと同じ動きをすれば,一緒に体を動かす楽しさが直感的に伝わる。そうした「やれば分かる楽しさ」を広げるうえで,「おすそわけ通信」はとても相性のいい機能だと感じました。
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4Gamer:
今回は,一緒に遊ぶだけでなく,対戦できる点も注目ですね。
井野氏:
少しでも競う要素が加わると,やはり熱くなりますよね。
長くやり込んできた方には,自分の技術を試したい,誰かに見せたいという気持ちもあると思います。だからこそ,今回も対戦機能は実現したい要素でした。
4Gamer:
シリーズが長く続いてきたぶん,「自分の力を試したい」という人も増えていそうです。
4Gamer編集部:
家でプレイしていると,家族がふらっと来て,後ろで「ワン,ツー,フック」と動きをまねし始めることがありますよね。
「もっとこうすればいいんじゃない?」などと言われつつ,結局みんなで体を動かしている(笑)。そんな流れで,そのまま対戦できたら楽しそうです。
4Gamer:
続いて,新要素の「アドバンス判定モード」は,どのような考えから追加されたのでしょうか。
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井野氏:
「Fit Boxing 3」では,幅広い方に楽しんでもらえるよう,しっかり体を動かせていれば評価する方針で開発をしていました。なので全体的に「JUST」が出やすい,やや広めの判定幅になっているんですね。
ただ,やり込んで上達すると,その精度をさらに細かく評価してほしいという声も出てきます。そこで導入したのが,アドバンス判定モードです。
4Gamer:
具体的には,どのような部分を判定しているのでしょうか。
井野氏:
タイミングとスピードです。
完璧なタイミングとスピードで打つと「JUST+」になり,それが視覚的にも伝わるようSEやエフェクトも派手になっています。
といっても,判定が厳しくなったわけではありません。「JUST」が取れる範囲はそのままで,さらに精度の高い動きができたときに「JUST+」が出る仕組みです。
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4Gamer:
従来の基準はそのままに,その先の評価が加わったわけですね。
SEやエフェクトが成功した気分を高めてくれるので,積極的に「JUST+」を狙いたくなります。
井野氏:
「JUST+」の演出だけでなく,「もう少しスピードがほしい」「タイミングが少しずれている」といったことも,視覚的に分かるようにしています。
やり込んだ方ほど,判定やSE,エフェクトの違いによる気持ちよさを感じつつ,どこを直せばいいのかも分かる作りにしました。
4Gamer:
メリハリのあるパンチで「JUST+」をつなげられると,かなり気持ちいいなあ〜。
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――突然だが,このとき,本企画の担当として現地取材に立ち会っていた4Gamer編集部のJunpocoは恐怖していた。
記事だけを見れば,椅子に座って進める普通のインタビューに思えるかもしれない。だが実際には,内藤ハサミ氏は各モードを体験しながら話を聞いており,このときも「アドバンス判定モードでパンチを打ちながら質問と会話を続けていたのだ。
しかも,コンボは途切れず,評価はほぼすべて「JUST+」。「JUST」はわずか1,2回で,会話のテンポも,パンチのテンポもまるで崩れない。
これが,初代からほぼ毎日のように続けてきた人間の力なのか。運動を再開しては長続きしないJunpocoは,ただ恐れおののくばかりだった……。
井野氏:
アドバンス判定モードは,厳しすぎないバランスに調整しています。オンとオフも手軽に切り替えられるので,慣れてきたタイミングで試してみてください。
4Gamer:
続いて,「ブーストアップ」について教えてください。上級者向けと聞いて,気になっていたんです。
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井野氏:
「これまでのエクササイズでは物足りない」「もっと自分を追い込みたい」という,ストイックなプレイヤー向けの高負荷モードです。時間とともにテンポが速くなり,そのスピードに振り落とされないよう運動を続けます。
イメージの元は,シャトルランです。あの独特の緊張感を出したくて,「ピピピ……」という電子音まで入れようかと考えたほどです(笑)。
4Gamer:
シャトルラン……。それはキツそうですね。
井野氏:
あくまで最初にモードを考えたときのイメージで,シャトルランほど厳しくはしていません。楽しく運動することが第一ですからね。
それでも,6ラウンド約12分を1日1回プレイするだけで,中級者や上級者でも汗だくになるほどの運動量です。3回ミスすると,その時点で終了します。完走できないこともありますし,途中で終わると本当に悔しいんですよ。
4Gamer:
それでは,さっそく挑戦してみます!
井野氏:
(笑)。本当にきついので,最後に試してもらおうと思っていたのですが……ここまでいろいろなモードをプレイしていますし,大丈夫ですか?
4Gamer:
ええ,ぜひ!(チャレンジ開始)
4Gamer編集部:
速度は,どのように上がっていくのでしょうか。
井野氏:
初めは低速度から始まりますが,最終的には200BPMまで上がります。
基本姿勢を確認するものではなく,決まったコンビネーションで,ひたすら集中して体を動かすモードですね。
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4Gamer編集部:
最初から選択できるんですか? 始めたばかりの人が知らずに手を出すと,ゲーム自体に挫折してしまうかもしれないですね。
井野氏:
おっしゃるとおり,操作に慣れていない方だと楽しさより悔しさが勝ってしまうかもしれません。
そのため,ゲームを進めて,規定条件をクリアしなければ開放されない仕様にしています。
4Gamer:
序盤はまだ余裕がありますが,160BPM,180BPMになると,かなりいい手応えですね。リリースされたら,絶対にメインでプレイします!
(そう話しながらブーストアップを続け,無事に完走)
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井野氏:
本当に負荷の高いモードなので,無理はしないでとお伝えしたかったのですが……クリアしてしまいましたね(笑)。
曽田氏:
ここまでプレイして,息が切れていない人は初めてじゃないですか?
4Gamer:
えっ,そうですか!
初代「Fit Boxing」に出会うまでは,体力がまったくなかったんです。ここまで動けるようになったのも,「Fit Boxing」のおかげです!
今回は比較的シンプルなコンビネーションだったので,うまく波に乗れましたが,もっと複雑だと,こうはいかないかもしれませんね。
井野氏:
ええ。ただ,足腰の負荷が高くなりすぎそうなコンビネーションは,ブーストアップには入れないようにしています。
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――またも突然だが,実はこの日,内藤氏とともに,もう1人の“Fit Boxing猛者”が取材に参加していた。声優の高坂知也その人である。
高坂氏も長年シリーズを続けているプレイヤーで,内藤氏とともに各モードを体験しながら,涼しい顔で会話を続けていた。おすそわけ通信対戦の「サドンデス」でも,2人は息を乱さず,ミスする気配もない。取材時間を理由に,こちらから止めることになったほどだ。
そんな猛者2人に挟まれ,Junpocoは,ただ恐れおののくばかりだった……(2回目)。
なお高坂氏の「Fit Boxing」愛については,氏の連載「高坂知也さんの推し語り」でたっぷり語られている。こちらもぜひチェックしてほしい。
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4Gamer:
あっという間にいいお時間ですね。Nintendo Switch 2 Editionだけでなく,「Fit Boxing」そのものについてもたっぷり聞けてうれしかったです。
以前の私は,「動かなければ動かないほど得だ」とすら思っていました。その考えが変わったのは,「Fit Boxing」を通して,体を動かす心地よさ,続けることで得られる実感を知ったからです。そのきっかけをくれたことには,本当に感謝しています。
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曽田氏:
ありがとうございます。以前,あるユーザーの方からも,お礼の手紙をいただいたことがあります。
その方は自宅にこもりがちで,気持ちもふさいでいたそうです。それが「Fit Boxing」を毎日続けるうちに,「自分は物事をコツコツ続けられるんだ」という自信が生まれ,生活のペースも取り戻せたと書かれていました。
開発側としては,そこまでの影響を想定していなかったので,むしろこちらが驚かされました。こういう形で,誰かの役に立てることもあるのだなと。
4Gamer編集部:
コロナ禍で在宅で仕事をする人も増えましたし,どうしても家にこもりがちになりますよね。
曽田氏:
シリーズ初期から,デザイナーやライター,エンジニアなど,1日中座って仕事をする方に多く遊んでいただいていました。「在宅ワークの合間に体を動かすのにちょうどいい」と重宝されていたようです。
高坂さんもそうですが,声優の皆さんからも似た話を聞きます。長時間立って話す仕事ですが,激しく体を動かすわけではありません。そうした方にも,「Fit Boxing」の運動量が合うのかもしれません。
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4Gamer:
ゲームだからこそ,これまで日常的にハードな運動をしてこなかった人にも,深く刺さる印象があります。
ジムなどに通ってみたいけどその一歩が踏み出せない人は,背中を押してもらえるような。
曽田氏:
「人前で運動したくない」という方は,実はかなり多いのではないかと感じています。
ジムへ行くと,どうしても周囲の目が気になり,萎縮してしまうことがあります。自宅で,誰にも見られずに体を動かせるというのは,大きな強みだと思います。
4Gamer編集部:
「服を買いに行くための服がない」という話ではありませんが,フォームが合っているのか不安だったり,うまくできていない姿を見られるのが恥ずかしかったりしますよね。
「Fit Boxing」で基本的な動きが身について,体を動かすことへの自信になることが次へのステップになりそうです。
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4Gamer:
確かに。以前はジム通いに挫折しましたが,今なら,たくさんの人がいる場所でも前ほど周囲を気にせず運動できる気がします。
体の状態に合わせて無理のない範囲で体を動かせるのもいいですよね。「チェアフィット」のように立ったままの運動が難しい人向けにもメニューがあって。
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曽田氏:
以前,障害者福祉に関わる方からお問い合せがあり,施設で使用いただいたことがあります。
その方の話によると,「Fit Boxing」はJoy-Conの振動や音,フルボイスによって,視覚や聴覚に障害のある方も,それぞれの方法で遊べているということでした。それについて「ありがとう」とお礼を言っていただけて。
フルボイスはゲームとしての豪華さ,振動は遊びの手応えとして考えていたものです。それが,思いもよらない場面で役立っていると知ったのは,私たちにとっても大きな気づきでした。
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4Gamer:
豪華声優陣によるフルボイスや,Joy-Conの振動といったゲームならではの魅力が,結果として,それぞれの方法で遊べる人の幅を広げていたんですね。「Fit Boxing」がさまざまな人の生活や体の状態に寄り添いながら続いてきたシリーズなのだと,あらためて感じました。
最後に,プレイヤーの皆さんへメッセージをお願いします。
井野氏:
毎日プレイしてくださっている方が想像以上にたくさんいることが,さまざまなところから伝わってきています。本当にうれしいですね。
開発側としても,できるだけ長く続けていただけるよう,機能や報酬に工夫を重ねてシリーズを展開してきました。「3」のNintendo Switch 2 Editionでも,対戦を含め,誰かと一緒に体を動かす楽しさを味わってほしいです。
曽田氏:
最近は,自治体から「イベントで『Fit Boxing』を使いたい」とお問い合わせいただくことも増えています。それが対戦要素が加わったことで,イベントや大会にもつながっていけば面白いですね。
そうした広がりにも期待していますが,まずは自分自身と向き合い,体を動かすことを楽しんでほしいですね。
初めて遊ぶ方はもちろん,しばらく離れていた方にも,再開するいいタイミングだと思います。
極めようと思えばどこまでも突き詰められますが,まずは気軽に遊んでいただけたらうれしいです。
4Gamer:
長く続けている人も,これから始める人も,それぞれのペースで。本日はありがとうございました!
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Nintendo Switch 2 Editionの新要素を体験し,開発陣の話を聞くなかで見えてきたのは,「Fit Boxing」が,さまざまな人の生活に寄り添いながら育んできたものだった。
運動を始めるのは難しい。
続けるのは,もっと難しい。
けれど,ゲームなら始められるかもしれない。
楽しければ,続けられるかもしれない。
「Fit Boxing」シリーズをきっかけに,皆さんも楽しいエクササイズの世界へ,一歩踏み出してみてはいかがだろうか。
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