第21回「Fields of Mistria」
豊かな自然が息づく町、ミストリア。震災によってかつての活気を失ってしまったこの地にやってきたあなたは、荒れ果てた農地を開拓し復興を手助けすることに。作物を育て、動物の世話をし、古代の遺跡が眠る鉱山を探索しながら、個性豊かで温かい住民たちと交流を深めていく。どこか懐かしくて新しいスローライフがここから始まる。
人間界のゲームに心奪われた魔王・赤城朱音(あかしろ あかね)。目つきも口調も悪いが実はお嬢様な龍恩寺凛(りゅうおんじ りん)。ボードゲームとミニチュアが大好きな天然ギャル・新山穂香(にいやま ほのか)。――そこは私立四亀学園。放課後の空き教室には,今日も3人の姿があった。
あっちぃー、なんでこんな日に花壇の水やり当番なんだよ。
心頭滅却すれば火もまた涼しって言うし、ここは気合だよ凛ちゃん!
暑いって考えなきゃ暑くないってか? いや無理。あぢぃもんはあぢぃ!
ふっふっふ、嘆かわしいのう。令和の時代にジョウロで水汲みとは。
うるせいやいっ。故障してるスプリンクラーが悪いんだ。
農場ライフシムの最前線では、“水汲み”の概念すら過去のものになりつつあるというのにのう。
えっ? 作物に水をあげるのに水汲みしなくていいの?
そうじゃ〜。ワシらの時間を溶かす農業ライフシム「Fields of Mistria」ならばな。
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へ〜。ドット絵のグラフィックスがかわいい〜。キャラの立ち絵は昔のセル画アニメみたいだね。
見た目がちょい古めかしいな。でも、住民の表情差分とか服装のバリエーションが多いって評判みたいだぞ。
よいところに気が付いたのう。見た目はレトロじゃが、作りこみの深さは現代基準。住民のグラフィックス1つとっても完成度高めなのがこのゲームじゃ。
「らんま1/2」を一気見したばかりだから、穂香はこのキャラデザしっくりくるな〜。
そういえばリメイクされてたな。
あっ、1989年に放送されたほうね。
まさかのオリジナル版!?
90年代アニメ風のグラフィックスじゃからな、「らんま1/2」や「美少女戦士セーラームーン」世代ならドストライクなデザインかものう。
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で、さっき言ってた“水汲み不要”ってどういうことなの?
文字通りじゃ。ジョウロの水をわざわざ汲みに行く必要がなく、無限に水やりができる。
水汲みって農業の基本じゃん。序盤は水場と畑の往復で時間を消費するのがお決まりじゃね?
そこじゃよ! このゲームはこれまでの“苦労して当たり前”な部分を大胆に削ぎ落とした新世代のライフシムなんじゃ。
たしかにどのゲームでも水汲みさせるよね。当たり前に受け入れてたけど、思えばなくてもいい要素かも。
水やりだけではないぞ。店は24時間営業の無人販売、素材が収納箱に入っていれば離れた作業台でもクラフトに使えるし、魔法での水やりも可能じゃ。
わぁ〜、いろんなかゆいところに手が届いてる〜。
これまでのライフシムのいいところが取り入れられてるな。
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個人的にぐっときたのはジャンプアクションじゃ。
ジャンプ?
ジャンプで川に飛び込んで泳げるし、潜ってアイテムを採取できる。なんなら、鉱山の穴も飛び越えられるし、邪魔な石をジャンプで回避できるんじゃ。
水の中に入る要素って削られがちだから、ちょっと新鮮かも。
ただのライフシムっていうより、ちょっとしたアクションRPGみたいだな。
あながち間違いではないぞ。鉱山探索はバトルありき。農業や戦闘、釣りといったアクションごとにスキルツリーが用意されておるしのう。
「Stardew Valley」にあったようなやつ?
基本は似てるがよりリターンが大きいのう。水やりすると確率で種がドロップする、戦闘用の範囲技を覚える、という具合に遊ぶほどに暮らしが便利になる設計じゃ。
魔法はどんなのがあるの? 水やりだけってことはないよね。
スタミナとHPを全快する回復魔法に、水やりを一瞬で終わらせる雨乞い。あと、火を吹いて周りを消し炭にするものもあったな。
最後だけ物騒すぎだろ。
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そして重要なのが、十分すぎるほどの遊びごたえじゃ。
当たり前の苦労を削ってプレイヤーの負担を軽くしてるけど、遊び甲斐は失われてないってことか?
うむ、まさに絶妙なバランスじゃ。毎日の農作業に100層の鉱山攻略。博物館への寄贈や町の復興、家具のクラフトに住民とのロマンスと、没頭できることがとにかく多い。
そこに季節のイベントも絡んでくるとなると、けっこう忙しそうだね。
そうなのじゃ、じゃからワシ結構困っておるのじゃ。
えっ、困ることなんてある!?
毎日がストレスフリーじゃから、アクティブに働き過ぎてしまうのじゃ。1年が終わる冬だというのに、飽きずに深夜2時までチキンレースしててぇ。
チキンレースの勝率は?
……ベッドにたどり着けず行き倒れる日のほうが多い……。
ウケる。スローライフじゃなくて過労ライフじゃねーか!
仕方ないのじゃ! いつでも買い物ができて、鉱山でショートカット階目前となれば無理をするし、道すがら作物やらムシを見つけたら根こそぎ出荷したくなる……。住民ですら深夜まで活動しておるから、誰もワシをまともな生活サイクルに戻そうとしないんじゃ。
ゲームに甘やかされてるね。
もう止まらんのじゃ。ブレーキを失った爆走自転車で坂道を下るように、ワシを加速させるのじゃ!
「あと1日プレイしたら寝よう」が止まらないパターンだ。
リアルにエブリデイ朝まで過労ライフじゃ。
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朱音ちゃんは鉱山に籠りまくりみたいだけど、住民とちゃんと交流してる?
もちのろんじゃ! なんたって、このゲームの真髄は住民との交流にこそあるからのう。
特別な要素でもあるのか?
特別とまでは言わないが、住民との交流を通して“町での日常”を存分に楽しめる。
それって普通じゃね?
かっかっか! それが普通じゃないのだ。
ど、どういうことだってばよ!
例えばじゃが、ライフシムを遊んでて「この会話、前に見たな」みたいなことはなかったか?
あるかも。
博物館にアイテムを寄贈しているのに、館長しか褒めてくれないなんてことはなかったか?
まぁ、そんなもんじゃね。
ミストリアの住民は違うのじゃ。彼らは常にプレイヤーの活躍を見ている。それこそ、アイテムを寄贈したり復興を進めたりすると、日常会話のなかで住民が褒めてくれるんじゃ。
へえ、自分の頑張りがちゃんと世界に反映されてる実感があるんだな。
それに、毎週金曜には宿屋でイベントがあってな。住民同士が前の週の出来事を交えながらワイワイ過ごすんじゃ。生きた日常の解像度が段違いに高いのじゃよ。
わ〜、自分がホントにこの町で暮らしてるみたいな感覚を味わえそう。
まさにそれじゃ! ゲームとしての目的は“町の復興”じゃが、本質は“復興を通して町の一員として認められていく”ことにある。これが心地よくてのう。
住民との交流に重きを置くタイプなら、この仕様はたまらないだろうな。
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プレイヤーの行動に反応してくれるってことは、会話のテキスト量がめちゃくちゃ多そうだね。
となると、アタシ的には翻訳の具合が気になるな。
それが、めっちゃ仕上がりがいいのじゃ! 「国産のライフシムだったか?」と錯覚するほど違和感がなくてな。ユーモアのある言い回しもバッチリじゃった。なぜかは分からんが、料理のレシピに“ふろふき大根”があるくらいじゃし。
めっちゃ和食。
ただ、日本語対応は一部のみで未翻訳の会話がまだ多いのが現状じゃ。システム周りの翻訳は済んでおる印象じゃからプレイに支障はない。じゃが、キャラとの会話やロマンスイベントを余すところなく楽しむなら、正式実装を待ったほうがいいかものう。
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なるほどな。このジャンルで培ってきた遊びをミックスしながらも、現代に合わせた塩梅に仕上げた一本っていうのもなんか納得できた。
まさに、農業ライフシムのエッセンスを煮詰めて、モンスター級の面白さに磨き上げた一作じゃ! 今すぐ買うのじゃ!
完成度が高そうなのは分かったけど、お値段はおいくらなの?
聞いて驚け、なんと1600円じゃい!
へ〜、けっこう手頃だな。
1年目の冬時点でプレイ時間が35時間ほどなんじゃが、まだ鉱山の奥に眠る秘密をすべて明らかにできておらん。シークレットの攻略対象が出現しきっていないし、結婚もあと一歩という段階じゃ。
1600円でそれぐらい遊べたら万々歳っていうか、ちょっと安すぎな感じもあるね。
そうなのじゃ……ワシとしては「もっと払わせてくれ! 振込先はどこじゃ! DLCが出たら全部買うぞ!」と叫びたくなる満足感なのじゃよ。
暴走する悲しきカスタマー……。
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それにしても、ゲームの中で毎日一生懸命働いてて、朱音ちゃんってホントに農作業が好きなんだね!
うむ! 土を耕し、種を蒔く……この充実感こそが生きる喜びじゃ!
よかった〜! 隣町の農家さんがボランティアを募集してたから、3人分申し込んでおいたんだよね!
リアル農業体験か。ゲームで鍛えた手際を見せてもらおうじゃねぇか。
いや、ワシはクーラーの効いた部屋で過労ライフするのが好きなのであって、炎天下の泥仕事は……。
土と触れ合い大地の恵みを頂く至福の瞬間。作物を手で収穫する肉体労働。ああ、筋肉が喜ぶアナログ作業……みんなでたっぷり堪能しようね!
ひぃぃっ! リアル過労ライフは嫌じゃー! 誰かワシをミストリアに帰してくれーっ!
逃がすかよ。現実のスタミナもしっかり消費してもらうからな。

























