第17回「ROG XBOX Ally X」
放課後の空き教室。いつもなら誰よりも早く席を陣取っているはずの朱音はおらず、今日は凛が先客だった。その手には、Windowsの自由とコンソールの気楽さを一台に詰めこんだハンドヘルド「ROG XBOX Ally X」。握り心地が最高、そんな一言で始まった放課後のひとときは思いもよらぬ展開を迎え……?
人間界のゲームに心奪われた魔王・赤城朱音(あかしろ あかね)。目つきも口調も悪いが実はお嬢様な龍恩寺凛(りゅうおんじ りん)。ボードゲームとミニチュアが大好きな天然ギャル・新山穂香(にいやま ほのか)。――そこは私立四亀学園。放課後の空き教室には,今日も3人の姿があった。
よーっす! って、なんだ穂香しかいないのか。
朱音ちゃんは遅れてくるって。およ、その黒いケースは何が入ってるの?
ああ、これな。新しい相棒を仕入れたから自慢しようと思って。じゃーん! ROG XBOX Ally X〜!
それ、ASUSとMicrosoftが共同開発したハンドヘルドだよね!
おっ、知ってるじゃーん。
しかも、黒いってことは2025年10月に出た上位モデル! 凛ちゃん、デラックス〜!
よせやい。今日はAlly Xのぶっちゃけ感想をとことん聞いてもらうからな。
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上位モデルって、たしかスペックがけっこういい感じだったよね。
ああ。心臓部はAMDのRyzen AI Z2 Extreme、メモリが24GB、SSDは1TB。液晶パネルは7インチサイズで解像度1920×1080ドット。最大リフレッシュレート120Hz。それでもって、バッテリーは80Whのデカいやつだな。
携帯ゲーム機のくくりで見ると、ほんと上等なスペックだよね。
それはそれとして、アタシがグッときたのはここ。握ってみ。
あ、持ちやすい! しっくりくるっていうか、この握り心地……すごくXBOXのコントローラっぽい。
ぽいっていうか、むしろまんまだな。スティックとボタンの位置もそのXBOXコントローラ準拠だから、いつもの感覚で操作できるのがいいんだわ。
ハンドヘルドって、持ちづらい、スティックの位置に違和感。みたいなイメージがあったけどこれなら遊びやすそう。
だろー? 遊びやすさに舵を切ったデザインでアタシ的には好感度が高いな。
グリップが手にフィットするからか重さもそんなに感じないね。長時間使っても手が疲れにくそう。これ、いいな〜!
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いいところは持ちやすさだけじゃなくてー。
えっ、なになに。まだあるの?
ずばり、音だ。お世辞抜きに音の臨場感がすごい。まぁ、聞いてみろって。
わっ!! なにこれ! 音がふわって広がっていく!
奥行きを感じるよな。環境音とボイスとBGMがちゃんと分離して聞こえるし、音に立体感があるからゲームの臨場感がマシマシなわけよ。
ちょっといいスピーカーを使ってゲームしてるみたい。
それな! 本当に携帯機か? って疑いたくなるクオリティでさ。レースゲームの音とかほんとヤバい。超ブチ上がる。
そういえば、XBOXマークのボタンがあるけど、中身もXBOX推しだったりするの?
そうだな。起動時にXBOXモードが立ち上がるくらいにはフィーチャーされてる。
XBOXモード?
コントローラのボタンで操作できるゲーム特化のフルスクリーンUIな。XBOX Game PassとかXBOX Cloud Gamingの旬が一目で分かるのと、Ally Xにインストールしたゲームもプラットフォームを問わずライブラリに集約してくれる機能もあるぞ。
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へ〜! 直近で遊んだゲームに起動後すぐアクセスできるのは便利かも。それで実際に遊んだ感じはどう? ヌルサク?
SteamでDLしたゲームをいろいろ試したけど、大抵のものはヌルっと遊べたな。最近の話題作だと「Forza Horizon 6」とかな。
グラフィックスが重そうなのに意外といけちゃうんだ!
さすがに最高設定は無理だけどな。
携帯機に最高設定を求めるのは酷だよぉ。
「Forza Horizon 6」に限った話じゃないが、安定した動作を求めるならグラフィックス設定は“中”程度が無難な感じだったな。
そうなんだ〜。でも、実際の画面見るとそこまで妥協してる感がないね。粗が気にならないっていうか、キレイだし、変なカクつきもそんなにないし。
だろー? ま、このサイズ感で遊ぶなら中ぐらいのクオリティで十分ってことよ。
だね♪
そうそう、Armoury Crateの機能でゲームごとにパフォーマンスをカスタマイズできるから、設定をこだわれば性能をもっと引き出せるかもな。
可能性の塊なんだねぇ。いいな〜、穂香もほしくなってきた……。
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ちょーっと待ったー!
あっ。凛ちゃんのセールストークにのせられて朱音ちゃんの不在を忘れてた!
今さらどうした。Ally Xのいいところは大体語ったぞ。
フッ、甘いのう! この3か月、デスクトップPCもSteam Deckも封印してAlly Xだけで暮らしたワシからすれば、こやつの美点を語り切れていないのじゃ!
Steam Deckはいいとして、なんでPCも? 封印しなくてもゲーム機としての良さは分かるだろ。
ちっちっち。デスクトップPCでしていた作業のすべて……調べものも、原稿作業も、マンガ描きもゲームもぜーんぶをAlly Xでこなすためじゃ。ワシは人知れず“Ally XがあればメインPCいらない説”を検証していたのじゃ!
ええっ……ハンドヘルドにメインPCの代わりをさせるって荷が重すぎない?
いや、そうでもないかもな。Ally XのOSは専用にカスタマイズされているとはいえWindows 11だし、極論PCみたいなもんだし。
ふははは! 見た目にだまされてはならんぞ! ここ3か月のバイト仕事はこやつだけでまかなえておるからのう。
朱音ちゃんの書き仕事を? これでテキストを打ち込むのはちょっと大変そう。小さい画面でよく打てたね。
そうなのじゃ。こうやってキーボードとマウスをBluetoothでつないで……。
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って、違うわーい!
あ、やっぱり〜?
画面の位置が低いわ、文字は小さいわで、いろいろ無理すぎるわ! ドッキングステーション経由でディスプレイと液タブをつなぐデュアルディスプレイ環境しか勝たんわい!
でも、どこでも遊べるのがウリだったのに、机から動けなくなってない?
……うっ。痛いところを突くではないか。
携帯機を据え置きにする奇才現る。
じゃ、じゃが! モード切り替え一発で“普通のPC”として使えるのは本当に便利なんじゃ。
動作が重くなる瞬間もあったんじゃないか?
それが……なかったんじゃ。WordもExcelもCLIP STUDIO PAINTもスンナリ動いて、とにかく不便がなくてのう。
へー、クリスタいけんだ!
レイヤーかさばりまくりの5P漫画でもサクサク描けたし、ドチャクソ重い作業でなければ全然いけるじゃろうな。
それで、2人ともいいところしか話してないけど、欠点はなかったの?
むーん。欠点というほどではないが、ディスプレイにつないでデスクトップPCのように使うとスリープからの復帰が悪くなる可能性があってのう。
スリープモードを解除できないってこと?
うむ。はじめはスタンド型のドッキングステーションを使っておったんじゃが、ディスプレイにつないだままスリープを解除しようとすると、BitLockerが悪さしてホワイトアウトする現象が頻発してな。
わー、それはちょっとストレスだね。
今は解決しておるから平気じゃぞ! UGREENの7 in 1 Revodok Pro USB C ドッキングステーションに買い換えてからはその不具合もなくなったのじゃ。
そのあたりはアクセサリとの相性次第って感じなんだね〜。
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アタシは携帯機として使うぶんには、気になるところはとくになかったな。
機能まわりはどうじゃった? ワシはArmoury Crateの仕様を理解するまでにちっと苦戦したぞい。
そうか? 初回起動のときチャッピーと仕様を確認したから、そこまででもなかったぞ。
くっ! AIに聞きながら機能を把握するとは、この現代っ子め!
それで3か月連れ添った朱音ちゃんの総評はどんな感じ?
出先に持ち運べて、ソファで遊べて、ベッドでごろ寝しながらゲームができるのは文句なしで最&高じゃ! デスクトップPCとハンドヘルドを2台買わずとも、こやつ1台でこと足りる申し分のないスペック。生活にスッとなじむ、いいデバイスじゃな。
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じゃあ、検証してた説は成立するってことか?
おおむねな。
なにか引っかかることでもあった?
1つだけどうにもならんことがあってな。
なにさ?
ハンドヘルドとしては問題ないが、PCとして活用しようとすると屋外では使いにくいのじゃ。つなぐべきアクセサリが多いぶん、ノートPCのようにさっと広げてサクッと作業、というのがしにくくてのう。
仮に広げられても、見た目がちょっとアレかもな。
じゃあ、自宅作業用のPCの代わりならって感じ?
うむ。その辺が問題ないなら諸手をあげてオススメするのう。あと、タワー型のゲーミングPCと同等の活躍を期待しないことが条件じゃな。
あくまで携帯機だもんな。
値上がりしたものの、この価格でノートPCとハンドヘルドの両方を揃えられると考えれば、ワシとしては買いの一言じゃ。
上位モデルが3万、下位モデルが4万くらい値上がりしたんだっけ。
そそ。でもさ、値上がりはAlly Xに限った話じゃないよな。Steam Deckも値上がりしてるし、最近発売されたハンドヘルドの新作だって20万するし。
そっか〜。そう考えたら、やたら高いって感じはしないかも。
ハードウェアはどれも値上げ傾向にあるから、1つで完結できるっていうのはやっぱ魅力だよな。
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ねぇ朱音ちゃん。そもそもSteam Deckがあるのに、どうしてAlly Xに手を出したの? XREAL One Proとセットで使うぐらいには気に入ってたよね。
人質にとられたんじゃ。バイト先の黒服が家に来たと思ったら、こやつだけで1か月生活しろとPCとSteam Deckちゃんを奪われて……くすん。
どんなバイト先だよ。
あれ、検証は3か月縛りじゃなかったの?
それはあれじゃ。気づいたら3か月経っていただけじゃ。
ふふっ、それだけ使いやすかったってことかな?
怠惰とも言うな。
じっくり長期検証してたのじゃ! 今となってはこやつなしの生活は考えられんのう。返却しろと言われても返す気など……。
ん、なんか黒服の集団が来たぞ。
はぇ? レンタル期限が過ぎたから返せ、とな?
あらら、フラグ立てちゃったから。
い、嫌じゃ! こやつはワシの生活の一部じゃ! 今さら離れるなど……ぐすんっ。かむばっーく! Ally Xー!
こうして、朱音ちゃんのほぼ実話ぶっちゃけレビューの幕が閉じたのでした。
ほぼ実話って、どのあたりが実話と違うんだ?
メタ的な話になるけど、連載の担当者がAlly Xを大層気に入って編集部に返してないところかな。
PCとSteam Deckを封印されたのは実話なのか……。てか、借りパクする気満々かよ!?






















