インタビュー
正式サービス開始2周年記念! 「プロ野球チームをつくろう!ONLINE」のこれまでを振り返りつつ,次回作についても聞いた
ランダムで出現する実名プロ野球選手のカードを集め,オーダーを組み,自分なりのチームを作って日本一を目指すというシンプルなゲーム性が特徴で,“1日10分のプレイ時間でOK!”という手軽さから,幅広い層のプロ野球ファンに愛されてきた。
当初は月額980円でスタートしたサービスだが,2008年5月に基本プレイ料金の無料化を果たし,同時にタイトルが「プロ野球チームをつくろう!ONLINE 2」へあらためられた。こうしてプレイへのハードルを下げた効果もあり,現在は14ものワールドで運営されている。
4Gamerでは今回,セガのネットワーク開発部 部長 瀬川隆哉氏と,ネットワーク研究開発部 企画セクション ディレクター 三木洋之介氏に,正式サービス開始から2周年を迎えた本作のこれまでと今後について,話を伺った。
聞き手は,正式サービス開始以来,1日10分のプレイを今日に至るまで,それこそ「朝か夜かというのも含めて,シャワーを浴びるのと同じ感覚」で毎日続けている男色ディーノ選手だ。
“野球つく”をオンラインゲーム化するに至った理由
男色ディーノ(以下,DD):
「プロ野球チームをつくろう!ONLINE」(現在は「プロ野球チームをつくろう!ONLINE 2」。以下,YTO)が,この8月で正式サービス開始から2周年を迎えましたね。おめでとうございます。
瀬川隆哉氏(以下,瀬川氏):
おかげさまで,2周年を無事迎えられました。ありがとうございます。
DD:
まずは,このゲームの成り立ちから,これまでを振り返っていただけますか?
もともと私達は,「プロ野球チームをつくろう!」(以下,野球つく)や,「プロサッカークラブをつくろう!」(以下,サカつく)のコンシューマ版を作っていたのですが,オンラインゲームというジャンルに,これからの可能性を感じていました。
そこで,野球つくというコンテンツであれば,多くのプレイヤーに遊んでいただけるオンラインゲームを作れるのではないか? と考えたところが,このゲームのスタートでした。
DD:
なぜ,野球つくをオンラインゲーム化しようということになったんですか?
瀬川氏:
コンシューマ版のつくろうシリーズって,その気になれば無限に遊べる作りになっているのですが,まとまった時間にいくらでも遊べる分,疲れた瞬間にゲームから離れてしまうプレイヤーが多かったと思うんです。
DD:
ああ,確かにそうですね。一気にがーっとやって,ふっと冷めるというか。
瀬川氏:
そこで,一回クリアしてもまたやりたいって思っていただけるようなゲームシステムを考えていくと,一定周期でゲームを切り替えられるような,オンラインならではのシステムに行き着いたんですよ。で,これを作って正式サービスを開始したのが,2007年の8月です。
DD:
当初は,月額サービスでしたよね。
瀬川氏:
当時はすでに,月額無料のアイテム課金制のゲームが主流でしたね。
受け入れられるかな? と,心配していた部分もあったのですが,遊んでいただいた方からは好評で,徐々に会員数も増えていきました。
DD:
どのあたりが,支持を集めることに成功した要因だと考えていますか?
瀬川氏:
プロ野球が好きな方って,テレビ中継を見ながら「俺が監督だったら,こいつに4番は打たせないよ」とか,「このタイミングなら,この投手に投げさすよ」みたいに楽しんでると思うんですよね。YTOは,プレイヤーがオーナー兼監督として,こういったことを考えられるゲームになっているのが大きいと思います。
DD:
実際のプロ野球と連動している要素もありますし。
プロ野球に限った話ではなく,スポーツ全般にいえることでもあるんですが,スポーツ界側からいろいろな話題が出てくるというのが,やはり大きいですね。
それに応じて選手の能力や各種データを変えていくことで,プレイヤーさんにも喜んでいただけますし。
DD:
プロ野球が好きな人ほど,そういう部分が嬉しいですもんね。
ライト層に受け入れられたポイントは,1日10分のプレイ時間
DD:
さて,2008年5月からはタイトルも「プロ野球チームをつくろう!ONLINE 2」へあらためられ,基本プレイ料金無料のゲームへと変わりました。
瀬川氏:
相当悩みましたけどね。どういう風に切り替えようかというところは。それまで月額980円を支払って楽しんでくれていたプレイヤーさんを裏切るような形にしてはいけないですし。
ただ,結果として新しいプレイヤーが多く参加してくれて,現在ワールド数も14にまで増えていますから,この試みはうまくいったと思っています。
DD:
無料化したことで,プレイヤー層に変化はありましたか?
瀬川氏:
それが年代を含めて,さほど変わらなかったんですよ。やっぱり33〜36歳ぐらいが一番多い年齢層で,このあたりの方が,新しく入ってこられたような感じです。
それ以外でもゲーム自体がかなりライトな作りになっているので,40〜50代の方なんかも,けっこう多く遊んでくれるようになりました。
DD:
よく聞く話で,無料化をきっかけに低年齢層が増えて,コミュニティが一時的に荒れるようなケースもあるみたいですが,そういうこともありませんでしたか?
瀬川氏:
ある程度覚悟はしていたんですが,そういった例はあまりなく,杞憂でしたね。やっぱり大人な方が多いなと。
DD:
プロ野球自体が大人向けの娯楽になっているという側面もあるかもしれません。
瀬川氏:
それはありますね。やはりプロ野球ファン向けのゲームですし。
チャットの様子を見ていると,ゲームの話から始まっても,最終的には野球ネタに戻っていくんですよ。
三木氏:
生粋のオンラインゲーマーが多いというわけではなく,サラリーマンの方なんかが帰宅後にチョコっとやってくれているような気がします。
DD:
そういった層に受け入れられたのは,1日10分程度のプレイ時間でも遊べるという点が大きかったのかなと思うんですが……。
三木氏:
そうですね。プレイヤーの多くは,ゲームに費やせる時間もそれほど多くないと思うんですよ。そういう部分は,こちらの狙いどおりに受け入れてもらえたようですね。
瀬川氏:
厳密に10分という時間にこだわったわけではなく,記号としての“10分”ですけどね。実際,日によっては10時間以上続けてログインされている方もいらっしゃいますし。
ただまあ,このゲームって,プロ野球を好きな方が仕事を終えて帰宅したあと,スポーツニュースを見るような感覚で遊んでもらいたいというのがあるんです。
DD:
確かに自分もそういう遊び方をしています(笑)。
ああ,それもあって,試合が自動進行するというシステムなんですか?
ええ,毎日3〜4時間も遊ばなきゃいけなかったら,想定していたプレイヤー層にとっては厳しいだろうということで,極力,負担にならないようなボリュームで,面白い要素を提供したいと考えていましたので。
現在は毎日7時30分から始まって,1時間半に1回試合が行われるペースなんですが,3ペナントが終わると1か月程度になるのが理想だったんですね。そこから逆算して,こういうペースになっています。
DD:
結果をまとめてチェックする上でも,1日の試合数がちょうどいい感じですよね。本当に10分で済みますし。
自分自身,毎日10分間を2年間やり続けてますから,そういう意味では見事に術中にはまってるってことですね(笑)。
三木氏:
ありがとうございます。
最低10分のプレイ時間でも,それほど差が開かないという部分で,継続して遊んでいただけているんだと思っていますし,ここは今後も崩せないポイントでしょうね。
瀬川氏:
短い時間で遊べるということで,会社の昼休みなんかにちょっと遊んでいる方も多いと思うんですよね。
実際,「仕事中にやってるよ」なんてお話を直接うかがうこともありますし(笑)。
DD:
さすがに仕事中となると違う問題がありそうですけど(笑)。
ただまあ,仕事で使っているPCで立ち上げていても,クライアント自体が軽いですしね。
瀬川氏:
それこそ,実況音声も入ってませんからね。コンシューマ版のつくろうシリーズでは入れていましたけど,やはり,軽さを重視するためにはそういった部分も省こうと。それ以外で本当に面白い要素があるならば,そちらに集中したいですし。
DD:
プレイヤーから,「実況を入れろ!」みたいな要望はありませんでした?
瀬川氏&三木氏:
ないですね。
DD:
ああ,やっぱり! 自分も必要ないと思っているクチなんですよ。
コンシューマ版野球つくシリーズとの大きな違い
DD:
コンシューマ版と違って,ペナントレースがメインになっているからこそ,こういう軽い作りにもなっているのかなと思うんですが。
そうですね,自分のチームを日本一にするというコンセプトは同じですが,だいぶ違うゲームにはなりました。それこそ,“野球つくONLINE”というタイトルにするかどうかでも悩んだほどです。
YTOは,いわゆるカードゲームではないですが,カードで選手を引いていくところに集約されている部分がありますからね。
DD:
選手をカードで引いていく感覚って,最初は正直どうなのかなとも思ったんですけど,やっていくとこれが確実に楽しさにつながっているのが分かるんですよ。
瀬川氏:
従来の野球つくシリーズは,選手を集めてチームを構成していく部分を,オフシーズンで緻密に計算しながらやってもらっていたんですけど。
DD:
そこを思い切って変えたのは,なぜですか?
瀬川氏:
やっぱりみんな,自分だけの夢のチームを作りたいと思うのですが,オンラインでみんなが同じようなチームを作れてしまうと,個性がなくなってしまいますよね。
その個性をばらけさせるために,どんな選手が出てくるか分からないカードシステムであったり,契約期間を終えると選手カードがなくなったり……という仕組みを作ったんです。
DD:
最初のうちのプレイヤーの反応はいかがでしたか? とくに選手がいなくなることについて。
三木氏:
初めのうちは厳しい反応がそれなりにありましたね。。でも,遊んでいただくうちに,こちらの意図していることをちゃんと理解していただけました。そういうのはありがたかったですね。
瀬川氏:
コンシューマ版のつくろうシリーズに慣れた人ほど,戸惑いを覚えたようです。「やることがない」とか,そういう意見も多かったですし。
DD:
従来の作品のように,何時間もぶっ続けで遊ぶぞ! と意気込んでいると,ちょっと肩すかしを食らった気分にはなるでしょうね。
三木氏:
そうなんですよね。
ただ,メインターゲットは,野球つくシリーズファンというより,プロ野球ファンなんですよ。普段ゲームに慣れ親しんでいなくても,プロ野球が好きならば楽しめるというゲームを目指しましたので。
DD:
否定的な意見があったとき,迷ったりはしませんでしたか? 例えば,「本当に1日10分というシステムでいいんだろうか?」とか。
もう作っちゃいましたしね(笑)。
そして“1日10分”は,このゲームの基本コンセプトですからブレてはいけないと。
瀬川氏:
プレイヤーにも,分かってもらえるはずだって思ってやっていました。
それにオンラインゲームって,サービスしながらでもプレイヤーの意見を聞きながら変えていくことができるという良さがありますからね。作ったらそれで終わりとなるのではなく。
三木氏:
そういう部分も,コンシューマの作り方とは違いますね。
瀬川氏:
コンシューマゲームだと,発売したあとで,あのときこうしとけば良かったなって思うことがあるんですよ。クリエイターとして。オンラインだと,そういう部分も調整しながらアップデートしてけますから。
DD:
ある意味,終わらない戦いが……。
瀬川氏:
終わらないですけどね……。
でも,三木と二人で「僕らが定年退職するまで,YTOをサービスできればいいな」って話してるんです(笑)。
DD:
おお,それはプレイヤーにとって心強い言葉ですね。
無料で遊びながらプレミアランクに上がるプレイヤーも
DD:
ほかに,オンラインゲームとして作るにあたって,強く意識した部分はありますか?
やはりオンラインゲームって,運営期間が長くなるほど,プレイヤーは上級者と初級者に大きく分かれていきますよね。そして初級者が上級者に追いつくのが非常に厳しい状況が生まれてしまい,結果,初級者がモチベーションを失ってゲームから離れてしまうこともありえます。
選手カードに契約期間を設定したのは,この二極化への流れを緩やかにするという目的もあるんですよ。
DD:
といいますと?
三木氏:
選手カードに寿命があるというのは,つまり,手持ちの強い選手がいつまでもそのチームにいてくれるわけではなく,常に,新しいチームにしていかなければならないわけです。それは,長期間遊んでいる人であれ,始めたばかりの人であれ,ある程度同じ条件なんですよ。
DD:
ああ,確かに。コスト上限があるとはいえ,上級者が強い選手をキープしっぱなしだったら,初心者は太刀打ちできないですもんね。
三木氏:
新規のプレイヤーさんも,ある程度遊びながらコツを掴んでいけば,いいところまでたどり着ける可能性があるわけです。
この部分は,今後も残していかなければならない部分だと,作り手としては考えています。
DD:
とはいえ,カードがダブったときなんか,選手の調子が上がるんじゃなくて契約期間が延びればいいのに! なんて要望はありませんか?
瀬川氏:
正直,今でも一番多い要望かもしれません。でもそれをやると,ゲームのバランスが厳しくなるんですよ。契約期間である2サイクルの間に,どこまで成長させられるかという駆け引きもあるので,ダブり続けていてその選手がずっと残っているという形になってしまうと……。
三木氏:
理論的に考えると,コスト1〜4の選手はダブりやすいですから,ダブったときに契約延長するシステムだと,そのあたりの選手がずっと居続けることになりますからね。
DD:
確かにそうなると,いろいろな部分でバランスが崩れそうですね。
オプションサービスなんかもありますが,これを使えば使うほど強いチームにできるってわけでもないんですよね。
三木氏:
そうですね。オプションサービスを使った人が極端に有利という形だと,ゲームバランス的にもおかしくなっちゃいますからね。
実際,無料で遊びながらプレミアランクまで上がってこられる方もいるんですよ。そういう方は,ゲームの仕組みをきちんと理解して努力をされているんだなと,こちらとしても感心しています。
当初は,無料で遊べる幅をもっと狭くするという案もあったんですが,やっぱり無料できちんと遊べて,その上で気に入ってくれた方,もっといろいろな遊び方をしてみたいという方が,少しずつオプションサービスを利用してくれるような形がいいと思いますからね。無料でもきちんと遊んでいただけるというところは,重要視しております。
DD:
実際のところ,課金プレイヤーと非課金プレイヤーの比率はどれぐらいなんですか?
瀬川氏:
人数の比率でいえば,無料のほうが多いですね。
ただ,YTOの場合,月額980円を支払ってプラチナ会員になる方と,プラチナ会員にはならずにオプションサービスだけ利用する方,さらにプラチナ会員になったうえでオプションサービスも利用するという方,この3パターンがありますので,単純に人数の比率だけでは測れない部分があるんです。
野球が盛り上がると,ゲームも盛り上がる
DD:
話は変わりますが,YTOを運営していて面白かったエピソードなどを教えていただけますか?
そうですねぇ……,例えばプロ野球で中日ドラゴンズが優勝したときに,愛知県の会員数が増えたんですよ。これは面白い現象だと思いました。
DD:
各地域ごとの野球熱と会員数が比例する部分があるんでしょうか。
瀬川氏:
そうですね,やはり12球団の本拠地がある都道府県の方は,多く遊んでくださっているようですね。
DD:
今年だとWBCが盛り上がりましたが,あれの影響はありましたか?
瀬川氏:
やはりありましたね。これまでの例だと,ペナントレース開催中は,会員数が安定して伸びていくんですが,オフシーズンになると若干,伸び方が弱くなるんですよ。ところが今年はWBCの開催中に,かなりの方が新しく始めてくださいました。
三木氏:
ああいうイベントって,一人で見るだけじゃなくて,チャットで話しながら盛り上がりたいという人もいると思うんですよね。そんなとき,YTOであれば必ず野球が好きな人とコミュニケーションできるというのが,大きなメリットなんだと思います。
DD:
そもそも野球に興味のない人は,YTOで遊んでないでしょうしね。
瀬川氏:
そうですね,アクションものの野球ゲームとなるとまた違うとは思うんですが。
それにWBCみたいに,各球団や海外からも日本人野球選手を集めてきて一つのチームを編成するっていうのは,YTOでチーム作りをするのに近い部分もありますし。
DD:
ああ,確かに。
瀬川氏:
そういうところも合致したのかなと。
選手データの決め方と,スキルによる“if”の世界
チーム編成の話になったところでお伺いしたいんですが,各選手のデータって,どういう基準で設定しているんですか?
三木氏:
基本的にはその選手の成績がメインです。
瀬川氏:
成績+若干のボーナスポイントですね。
例えばホームラン王になった選手は,長打のイメージがありますから,そこにボーナスポイントをつけるような形です。
DD:
なるほど,そうやって能力値を決めるんですね。では,コストは?
瀬川氏:
順番としては,能力を決めてから,コストに反映させています。
三木氏:
で,決まった計算式でいったんコストを決めてから,ある程度,過去の実績も考慮しつつ,プロ野球ファンのイメージに合うような形で調整しています。
DD:
ある球団の選手がけっこう好きなんですけど,能力値だけを見ると使いづらいんですよ。長打はあるけど,巧打が低くて。なのに,コストはわりと高めという。
三木氏:
長打というのは,コスト換算時のウェイトが高い能力なんですよ。例えば,実際のプロ野球でも,多少巧打力が低くても,長打力のある選手が4番などを打ちますよね。
DD:
確かにそうですね。
瀬川氏:
ただ,ゲームの場合はそこにスキルを設定することで成長させられますので,ある程度は思い通りの選手にもできますよ。
DD:
ああ,そのためのスキルシステムでもあるんですね。
瀬川氏:
そういう意味で,スキルは“if”ですよね。もし自分がコーチだったり監督だったりして,選手をこう育てたら……? というのを楽しめる要素なんです。
ただ,もともと足の遅い選手が盗塁王になるようなことはないので,あくまでもその選手の持つ特徴を伸ばしていくようなシステムですね。
実際のプロ野球と比較して,無理のない範囲でifを楽しめるわけですね。
留学も,そういうイメージですか?
三木氏:
留学はけっこう有効ですよ。お気に入りの低コスト選手を留学させて,さらにスキルなどを組み合わせて,自分だけの高能力低コスト選手を目指すといった遊び方をされている人も多いようです。
瀬川氏:
留学期間中は試合に出られないんで,リスクはありますけどね。でも,ペナントの最初のうちに活用すると,その後が楽になると思います。
DD:
では,レジェンド選手はどういう基準で選んでいるんですか?
瀬川氏:
いまのプレイヤーさんが,喜んでくれそうなOB選手を選んでいます。
DD:
毎年いろいろな選手が現役を引退していますが,基本的には増える一方ということでしょうか?
瀬川氏:
いえ,ただ数を増やし続けるだけでなく,入れ替えていくような形がいいかなと思っています。OB選手ばかりのゲームになると,それもまた違うコンセプトのゲームになってしまいますから。
DD:
レジェンド選手の能力は,最盛期のものにしているんですか?
瀬川氏:
基本的にはそうです。現在のスター選手と,かつてのスター選手が,それぞれ一番いい時期に戦ったらどうなるのだろう? という遊びだと思っていただければ。
DD:
となると,長くプロ野球を見ている人ほど,より楽しめる要素でもありますね。
多人数で遊べるモードも近日登場? 秋には新作も
そろそろ今後の展開などについてもお伺いしたいんですが,先日,ゲーム内にRSSリーダーが実装されましたよね。あれの意図を教えていただけますか?
瀬川氏:
プレイヤー同士でチャットなどを楽しむ際の,話題提供を狙っています。
三木氏:
デフォルト設定では,公式サイトとnikkansports.comを登録してありますので,まずはそこからの情報を皆さんで共有していただければな,と。自分で好きなRSSフィードを登録することもできますので,YTOで遊びながらいろいろな情報を確認したいという人にも,利用していただきたいですね。
DD:
RSSリーダーに対するプレイヤーの反応はいかがですか?
瀬川氏:
文字のスピードが速すぎて読めないとか,そういった声はありますね。なので今後は,文字がスクロールする速度を設定できるようなアップデートも検討しています。
DD:
今後のアップデートというのも,こういう風にさまざまな機能を取り込んでいくイメージなんですか?
瀬川氏:
機能的なものだけでなく,新要素もいろいろと考えていますよ。
例えばオンラインゲームだと,ギルド戦ってよくありますよね。ああいう風に,みんなで協力しあって遊べる要素ですとか。今は,プレイヤーが一人一人で日本一を目指していくゲームですが,それ以外の軸も用意していこうと。
もちろん,1日10分で遊べるという点,プロ野球ファンが楽しめるという点は維持していきます。
DD:
遊び方の種類が増えても,決して重くはならないということですね。
YTOはそういう形で考えています。これまで受け入れられてきたコンセプトを崩すことはありません。
実際のところ10分以上遊んで下さっている方も多いのですが,そこは崩したくないんですよ。新規要素や新モードを追加しても,それを必ずやらなければいけなくて,その分,必要な時間が増えるという形にはしたくないんです。
DD:
単純に,足し算をしていくというわけではない,と。
瀬川氏:
とにかく,プレイヤーさんの負担にならない程度に新しい要素を入れていく……という形で進化させていきたいと思っています。
三木氏:
現在,プロ野球ファン同士のコミュニケーションツールとして使ってくださっているプレイヤーさんも多いですから,そうした方達に気軽に触れ続けてもらえるよう,心がけています。
DD:
野球談義をしたいのに面倒な作業が多い! ってなったら,なかなか続かないですもんね。
ところで,新作のご予定などはないんですか?
瀬川氏:
実はYTO以外に,こういった形の新タイトルを鋭意制作中なので,それも秋ぐらいには発表できると思います。
DD:
まさか,「プロ野球チームをつくろう!ONLINE 3」ではないですよね? 今度は月額3000円です! みたいな。
瀬川氏:
それはないです(笑)。
2にするときにビジネススキームも変えたわけですから,3に変えるような大きなことって……ほかになかなかないですよね。それこそ将来,完全無料,アイテムも無料! みたいな形にできるようだったら,3にするのもいいかもしれません(笑)。
それはそれで楽しみではありますけど(笑)。
現実的な線としては,どんな新作になるんでしょうか? 以前のインタビューでは,海外展開の構想などもお話されてましたが,そのあたりとも関係があったり……?
瀬川氏:
ええ,海外展開のお話もしましたね。覚えてます(笑)。
韓国や台湾でもYTOをサービスして,最後はWBCのように……と。構想自体は今でもあるんですが,日本のプロ野球を題材にした場合,ライセンス的に難しいものもあるので……。
DD:
まあ,そうですよね……。
瀬川氏:
なので,新作としてYTOとは別に,ワールドワイドで通用するようなコンテンツを検討しております。ぜひ,ご期待ください。
現時点ではこれ以上言えないのですが,1年に1作ずつぐらいのペースで発表していきたいと考えております。
DD:
それは,YTOのように,1日10分というコンセプトのものなんですか?
瀬川氏:
ええ,1日10分で済むなら,二つ遊んでも20分で済みますからね。
とりあえず,発表までお待ちください。
DD:
なんだか凄く気になりますが,発表を待つことにします!
今日はありがとうございました。
なんと,“1日10分”というコンセプトを継承しつつ,“ワールドワイドで通用するような新コンテンツ”が,秋ぐらいには発表されるというのである。あくまでもYTOとは別のタイトルとのことだが,今回のインタビューで飛び出した話題となれば,現役YTOプレイヤーにとっても気になるところだろう。
残念ながら現時点で詳細を語ってもらうことはできなかったが,ふとカレンダーを見ると,秋の訪れもそう遠い日ではない。果たしてどんな新作が発表されるのか,少しの間あれこれ想像を巡らせながらお待ちいただきたい。
「プロ野球チームをつくろう!ONLINE 2」公式サイト
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プロ野球チームをつくろう!ONLINE 2
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