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[GDC 2011]Gears of Warのブレジンスキー氏が語る「ゲーム開発者が学ぶべき2つの教訓」
Bleszinski氏の人気は高く,開演30分前にセッション会場を訪れたとき,扉の前には長蛇の列。もっとも,主催者側も混雑を予想していたらしく,500人近く入れる場所が確保されていたので事なきを得たが,入れないのでは,と一瞬ヒヤリとしたのはここだけの秘密だ。
さて,軽い冗談を交ぜた自己紹介のあと,Bleszinski氏は2つの「教訓」を順に紹介した。本稿でも,以下,順番に紹介してみたい。
1.自分の弱点を知ろう
とはいえ,「なにがなんでも弱点をなくせ」というわけではない。Blezinski氏は「私は世界一のゲームデザイナーではない。だが,私の弱点を補ってくれる仲間がいる」と語っているので,要するに,「組織で働く以上は,周りの人間と助け合おう」ということなのだろう。
2.公共の場に出よう
だがBleszinski氏は,自らが表舞台に立ち,自分達の製品を宣伝することを勧める。もちろん,表に出るとなれば,インターネット上で批判されたり,変な噂が飛び交ったりする危険性を孕むことにもなるだろう。そういった状況を織り込みつつ,「批判されることでやる気を出そう」というわけだ。
とはいえ,最低限の予防線は必要。そこでBleszinski氏が勧めていたのは,表に出たときに「I」(私)という言葉をを使わず,「We」(私達)を使う手法である。主語を常にWeとすることで,自分達がチームであることを意識し,かつ,批判されたときの責任を一人でかぶらないようにするためのテクニックだという。
そもそもゲーム開発者であるBleszinski氏がなんでこんなことを熱く語るのかというと,時代がそれを必要としているからである。
ゲームが世の中に登場したばかりの頃は,正直,なんでも売れた。ほかに選択肢がなかったからだ。しかし,時間の経過とともに,市場にはゲームが溢れ,さまざまなタイプ&ジャンルのタイトルが生まれ,消費者はそれらを選択して購入するようになった。
さらに時間が進むと,ゲームはより細かく分かれ,いまではPCやコンソール機だけでなく,携帯電話などでも楽しめるようになっている。「この段階になると,もはや『良いもの作れば売れる』という時代はとっくに終わっている」(Blezinski氏)から,売るための努力をいかにするかが重要になってくる,というわけなのだ。
また,Bleszinski氏が「人気のあるレストランは,シェフが代わっても基本的には問題ない。なぜならお客はレストランのファンだからだ」とコメントしていたことも押さえておきたい。
これは要するに,「一部のコアなゲーマーを除けば,パブリッシャの名前を信用してゲームを買う人のほうが多い」ということだ。なので,製品の広報活動をパブリッシャに任せきってしまうのではなく,開発者自らが表舞台に立ち,自分達の名前(≒ブランド,会社名)を世の中に売って(パブリッシャとできる限り同等の知名度を獲得して)おこうというわけである。
同時に氏は,ゲームのIP(知的財産権)をパブリッシャに委ねるのではなく,自分達で管理することも勧めていた。
その状況にあって,開発者として成功したBleszinski氏が,その名声の上にあぐらをかいたりせず,自らがほかの開発者を引っ張っていかんと言わんばかりに,自分と同じ境遇にあるだろう開発者達を鼓舞しているというのは,なんとも心強い。
そんなBleszinski氏が手がける「Gears of War 3」は,2011年9月22日発売予定。ゲームのデキもさることながら,Bleszinski氏がどんな形で表舞台に登場するのかにも注目していきたいところである。
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Gears of War 3
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