［E3 2012］新作「Splinter Cell Blacklist」のデモレポート。秘密工作チーム，4th Echelonの指揮官となったサムが，テロリストの陰謀に挑む

　Wii U関連を除いて，新作タイトルの発表が少なかった印象のあるE3 2012だが，そんな中，筆者の血中アドレナリン値を一気に高めてくれたのが「Tom Clancy’s Splinter Cell Blacklist」（PC / PS3 / Xbox 360）の発表だ。そう，暗い場所が好きで，必要以上に筋肉質で，背後から近づかれると非常に危険なあの男，サム・フィッシャーが再び帰ってきたのだ。


　デモ内容は，Microsoftが2012年6月4日に行ったプレス向けカンファレンスで公開されたものとほぼ同一なので，ご覧になった人も多いかもしれない。イランとイラクの国境地帯を舞台にした彼の活躍が，E3 2012会場のUbisoft Entertainmentブースで紹介されたのだ。

　ネタバレのため，ここには書けない理由で機能不全に陥った，アメリカ国家安全保障局の秘密組織3rd Echelon。政府は新たな機関として4th Echelonを組織するが，そのリーダーに指名されたのが誰あろうサムというわけだ。もっとも，責任者だけど現場にも出ますよというプレイングマネージャーで，凶悪なテロリストがアメリカの情報機関を狙って企んだBlacklistなる陰謀を阻止するのが，彼の任務ということになる。
　新生4th Echelonは，第1作から彼の後方支援を担当するアンナ・グリムスドッティアをはじめとする腕利き揃いで，彼らの基地となるPaladinは，ハイテク機器を詰め込んだ輸送機だ。
　今回は国家のお墨付きなので，前作「Splinter Cell: Conviction」（2010年）のように体一つで頑張る必要はなく，トレードマークの三つ目ゴーグルや戦闘スーツが復活するほか，さまざまなガジェットがふんだんに登場する。

　デモのスタートは，ケガ人を運んできたふりをしてテロリストのキャンプに潜入するサムのシーンからだ。上に「暗闇が好き」と書いたが，それはだいたいシリーズ第3作「Splinter Cell: Chaos Theory」（2005年）ぐらいまでで，近頃のサムは昼日中でも活躍する。デモも，見ているだけで汗が出てきそうな真昼の砂漠地帯だ。
　潜入してもすぐに正体がバレてしまうのだが，それまでに，敵の何人かの頭上にマークが浮かび上がる。これが新機能「Kill in Motion」で，ターゲットにあらかじめマークを付けておき，ワンボタンで全員を撃ち倒すというもの。前作の「Mark ＆ Execute」とほぼ同じものだが，これを激しく移動している最中でも行えるようになったのがミソっぽい。


　周囲にいる余計な相手を撃ち倒し，上官らしい男を尋問するのだが，これがまた前作の“Interrogate”に輪をかけて凄くなっており，腕をへし折って顔を簡易ベッドに叩きつけたりするのだ。これもまた，新たなサムの横顔。心なしか声も若くなったような気がするが，これまでのマイケル・アイアンサイドさんから変更になったのかもしれない。顔もかなりイケメンになったが，作品ごとに顔が違うのはいつものことで，個人的には上記のChaos Theoryが一番変な顔ではないかと思う。ゲームはシリーズ屈指の傑作だったけど。

　ここからはアクションの連続だ。上記のKill in Motionを使って，一瞬も止まることなく次々に敵を撃ち倒していくサムの姿は，思わず参加者の口からため息がもれるほどだ。
　敵が固まっている場所をマークすると，上空の無人機がそこへ向けてミサイルを放ち，あっという間に一網打尽。さらに，建物の屋上にいる敵には機銃掃射を行う。
　ここでは視点がモノクロ画面の無人機のものに切り替わり，プレイヤーが目標を定めることになる。兵士相手には無慈悲な攻撃だが，敵も対空砲を持っているので，油断しているとやらることもありそうだ。


　それにしても，シリーズ第1作「Splinter Cell」からの変わりようは凄い。Splinter Cellでは，一人の敵も殺すことなく（正確には，最終ターゲットの暗殺は成功させなければならない），暗闇を味方にするだけでゲームを終わらせられたが，10年後のサムは，鋼鉄の戦闘マシンに成長した。時代が厳しいものになったのかもしれないなあ，などと筆者がつまらない感慨にふけっているうちに，サムは岩場を登り，敵を次々に無力化し，ターゲットの男の前に立った。

　どうやら，その男を暗殺ないし誘拐することがミッションの目的だったようだが，男は意外にも自分がイギリス情報部の潜入工作員だと主張し始める。男の顔をスキャンして，グリムのもとに送るが，彼女の返事は男の言葉を肯定するものだった。
　さらにサムが，Blacklistのことを訪ねると，男は自殺してしまう。何が起きているのかよく分からないが，波乱の幕開けだ。Blacklistとは果たして何か？　というところでデモは終了した。
　「Splinter Cell: Double Agent」（2006年）からConvictionまで，4年以上の歳月を要し，アナウンスされたゲーム内容が大幅に変更されるなど，一時は迷走気味だったSplinter Cellシリーズだが，Convictionの成功によって，新たな路線は定まったようだ。アクション要素を大きくクローズアップしたBlacklistの欧米での発売は，2013年春が予定されている。

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