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  • 任天堂
  • 発売日:2013/07/13
  • 価格:パッケージ版/ダウンロード版5985円(共に税込)
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任天堂の宮本 茂氏に聞く,「ピクミン3」の魅力――「インタラクティブメディアは,“自分”が関わっていることが一番面白い」
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印刷2013/07/13 00:00

インタビュー

任天堂の宮本 茂氏に聞く,「ピクミン3」の魅力――「インタラクティブメディアは,“自分”が関わっていることが一番面白い」

 任天堂は本日(2013年7月13日),Wii U専用ソフト「ピクミン3」を発売する。価格はパッケージ版,ダウンロード版共に5985円(税込)。
 なお,本日から2013年7月19日(金)の期間中は「夏の新作 早期購入割引キャンペーン」として,ニンテンドーeショップでのみ,ダウンロード版を10%オフの5387円(税込)で購入可能だ(※ダウンロードカードやダウンロード番号によるソフト引き換えはキャンペーン対象外)。

画像集#001のサムネイル/任天堂の宮本 茂氏に聞く,「ピクミン3」の魅力――「インタラクティブメディアは,“自分”が関わっていることが一番面白い」

 シリーズ第一作の「ピクミン」は,2001年にニンテンドーゲームキューブ用ソフトとして発売された,可愛らしい見た目とは裏腹に骨太のゲーム性で多くのファンを魅了した作品である。2004年には,続編にあたる「ピクミン2」がリリースされ,近年ではそれぞれWiiへの移植もされているが,ナンバリングの新作として登場するのは,実に約9年ぶりのことになる。
 シリーズのタイトルにもなっている「ピクミン」とは,ゲームの主人公ではなく,植物のような生まれ方をし,動物のように二足歩行をする,不思議な生き物の名前だ。
 プレイヤーがストーリー上の主人公を操作し,最多で100匹のピクミンを笛の音で集合させ,集合させたピクミンを投げることによって,壁を破壊して新たなルートを見付けたり,ものを運ばせたり,原生生物と呼ばれる敵と戦わせたりしつつ,ゲーム内で一定の期間を過ごしていく。これは,シリーズのどの作品にも共通した要素だ。

 ここで肝心なのは,ピクミンに種類があるという点。熱や火に強く攻撃力の高い赤ピクミン,高所に投げやすいほか電気が流れてもしびれない黄ピクミン,水中を移動できる青ピクミンという,シリーズで共通しているもののほか,ピクミン3には,固い体を持つ岩ピクミン,羽が生えていて空を飛べる羽ピクミンという,5種類のピクミンが登場する。
 プレイヤーは,これらのピクミンをうまく使い分けながら,ゲームを攻略していくわけだ。

画像集#002のサムネイル/任天堂の宮本 茂氏に聞く,「ピクミン3」の魅力――「インタラクティブメディアは,“自分”が関わっていることが一番面白い」

 第一作の主人公はオリマー,第二作の主人公はオリマーとルーイだったが,今回の主人公は新キャラクターの,チャーリー,アルフ,ブリトニーという3人。彼らは,食料不足に悩む「コッパイ星」から,宇宙船「ドレイク号」に乗って新たな食料供給源を探すべく飛び立ったはいいが,惑星「PNF-404」に不時着してしまったという設定だ。
 プレイヤーは,そんな3人の主人公を切り替えつつ,この惑星に生息(自生?)していたピクミン達を操りながら,食料(フルーツ)を拾い集め,不時着時になくなってしまったドレイク号のパーツを探すことになる。
 ゲーム内では時間が流れており,主人公達は夜になると活動することができず,ゲーム内の朝に活動を開始したら,夜にはドレイク号へ引き上げなければならない。しかも,主人公達が生きていくには,フルーツをドレイク号に持ち帰ることで作られる「ジュース」が必要で,これが尽きてしまうと命運が断たれてしまう。
 これらを同時にこなしていく必要があるため,非常に戦略性が求められる作品になっている。

画像集#037のサムネイル/任天堂の宮本 茂氏に聞く,「ピクミン3」の魅力――「インタラクティブメディアは,“自分”が関わっていることが一番面白い」

 今回は,そんなピクミン3について,任天堂の専務取締役 情報開発本部長の宮本 茂氏に,インタビューする機会が得られた。Wii Uというハードでピクミン3を作ることになった理由や,Wii Uというプラットフォームについての現状認識,そして“ゲームの面白さ”について宮本氏が考えていることなど,気になることをまとめて聞いてきたので,ピクミンシリーズのファンはもちろん,シリーズ未経験者にも目を通していただけると幸いだ。

画像集#003のサムネイル/任天堂の宮本 茂氏に聞く,「ピクミン3」の魅力――「インタラクティブメディアは,“自分”が関わっていることが一番面白い」

「ピクミン3」公式サイト

夏の新作 早期購入割引キャンペーン



理想としていた「ピクミン」を作るうえで

Wii Uというハードが最適だった


4Gamer:
 本日はよろしくお願いいたします。
 僕自身,ニンテンドーゲームキューブ用に「ピクミン」が発売された頃,夢中になって遊んだ経験があるんですが,最後の最後で惨劇(※詳細はどうか各自で)を目の当たりにしてしまったんですね。
 それ以来,ピクミンを遠ざけてきたところがあるんです。もうあんな思いはしたくない! と。で,「ピクミン2」はやらずにきてしまったんですが……。

画像集#004のサムネイル/任天堂の宮本 茂氏に聞く,「ピクミン3」の魅力――「インタラクティブメディアは,“自分”が関わっていることが一番面白い」
宮本 茂氏(以下,宮本氏):
 ああ……やっぱり,ひどかったんですか。「あれがまさにマルチエンディングなんです」って,言い訳のように言ってるんですけど(笑)。
 僕らは,一度終えたところからゲームが始まるんだぐらいに思っていたんですけど,遊んでいる人はこちらの予想以上に時間がないみたいで,一度最後まで遊んだらそこでやめてしまう人が大勢いらっしゃったんですよね。やっぱり皆さん忙しいんだなということを痛感させられました。

4Gamer:
 今思えば,一度目の経験を生かして二度目をやれば,あの惨事はきっと回避できたんですよねぇ。
 ともあれ,ピクミンが面白いということは分かっているつもりだったんです。その状態で先ほど,「ピクミン3」を2時間ほど遊ばせていただいたんですが,率直に言って……非常に面白かったです。

宮本氏:
 あ,面白かったですか。良かった。

4Gamer:
 正直なところ,「Wii U用の新作とはいえ,ピクミンなんでしょ? まあ,面白いのは分かってるけど」みたいな,ちょっと舐めた気持ちでいたんですが,想像していたより,ずっと楽しめました。
 それに何より,「ああ,やっぱりピクミンって面白いんだなぁ」と,あらためて確認できたような気がします。

宮本氏:
 そう言ってもらえると嬉しいですね。救われます。というのもピクミン3は,「ピクミン1は面白かったはずなのに」というところからスタートしているんです。

4Gamer:
 そうだったんですね。

宮本氏:
 ピクミン2は,1の不満点をいろいろと聞いて,それに沿って作ったところがあるんですが,お客さんが不満に思ったところを直せば,それで面白いゲームになるのか? という疑問が残ってしまって。
 そこで,本来あるべきだった1を,マルチエンディングについての反省なんかも踏まえつつ,もう一度ちゃんと作ってみようということで,3を作ることにしたんです。
 そんなときに開発中のWii Uを見て,この能力があればもっと理想的なものが作れるぞ,と。

4Gamer:
 そういえばピクミン3は,もともとWii用として発表されていて,途中でWii U用に変更されたという経緯がありましたね。ピクミン3を作るにあたって,Wii Uのどこに魅力を感じたんでしょうか。

宮本氏:
 ピクミンって,“マネージメント”というとちょっと堅苦しいんですが,効率良く物事を進めていくための工夫をするのが楽しいゲームなんですよね。それを実現するには,画面に映っていない部分も含めて,ゲームの中の世界すべてが同時に,かつ正しく動いていないとダメなんです。
 昔のゲーム作りのテクニックでは,正しく動いているかのように見せつつ,実際はいくつかの処理を端折ったりしていたんですが。

4Gamer:
 プレイヤーが気付かないような部分で,うまくごまかしていたわけですね。

宮本氏:
 ええ。でもピクミン3では,かなり正直に,いろいろなものを同時に動かしています。GamePad上で全体マップを見てみると,ちゃんと全部が動いているのが分かるんです。
 つまり,実際に高度な処理が必要になることや,動いているものをきちんと見せるうえで,Wii Uが最適だったんですよ。

画像集#005のサムネイル/任天堂の宮本 茂氏に聞く,「ピクミン3」の魅力――「インタラクティブメディアは,“自分”が関わっていることが一番面白い」

4Gamer:
 現時点でWiiとWii Uの累計販売台数には10倍以上の開きがありますから,母数だけを考えると当初の予定どおりWii用として出すか,あるいはマルチプラットフォーム展開をするといった形のほうが,より多くの人に遊ばれるのでは? とも思っていたんですが……なるほど,Wii Uでなければいけない理由があるんですね。

宮本氏:
 任天堂としてWii Uを売らないといけないという事情も,なくはないですけどね(笑)。
 それに,Wiiで作ったとしてもそれなりに作れたとは思うんですが,常に全体を動かすことを考えると,やはりWii Uのほうが総合的に良かったんです。そして作ってみた結果,Wii Uでないと実現できないゲームになりました。
 Wii Uだからこその部分,Wiiから引き継いだモーションセンサーも含めて,全部がうまく活きた理想的な仕上がりになっています。Wii Uはピクミンのために設計されたハードではないんですけど,ピクミンを作るのにWii Uは最適のハードだったんですよ。

4Gamer:
 「DEVELOPER DIRECT」(関連記事)で,宮本さんが「ピクミン1が究極の形で仕上がったと感じている」とおっしゃっていたのは,そいうことだったんですね。


経験者と未経験者を

同じゲームで満足させたい


4Gamer:
 ピクミン3を遊びながら,ピクミンの何が面白いのか? と自分なりにいろいろと考えてみたんですが,まず入口の部分で思い当たったのが,いろいろな要素が押しつけがましくないという点でした。
 主人公達やピクミンを動かしていること自体が,単純に楽しいんですよね。それでいて,ゲームに慣れてくるといろいろなことが分かってくる。分かると,さらに楽しくなるという。

画像集#007のサムネイル/任天堂の宮本 茂氏に聞く,「ピクミン3」の魅力――「インタラクティブメディアは,“自分”が関わっていることが一番面白い」
宮本氏:
 僕はアクションゲームをもう30年も作ってきたんですが,日本はアクションゲームの人気がだんだんと落ちていった国で,アメリカは育ち続けた国だと,大きく分けて考えているんですね。
 アクションゲームって,その難しさを超えられない人にとって触りたくないものになっていくという問題点が,どうしてもつきまとうんです。そしてそれが,ゲーム全般に対する「難しいからイヤ」という拒否反応につながってしまっているところがある。
 アメリカの場合は,チャレンジしてくれる人が多いので,最初のハードルを乗り越えて面白味を見付けてくれる人達が大勢いるんですが。

4Gamer:
 確かに,プレイヤーにある程度のスキルを要求するゲームの多くは,アクションゲームですよね。

宮本氏:
 ええ。実際にゲームを遊んでいる人達にも,触っているだけで楽しいという人,最後まで行けると嬉しいという人,そこからさらに高い壁を求める人がいると思うんです。
 高い壁を求める人は,簡単にクリアできるゲームを「ぬるい」と言います。かといって,ゲーム自体を難しくしすぎると,触っているだけで楽しいというぐらいの人が敬遠するようなものになってしまいかねません。
 でも,どっちの人達にも楽しんでもらえるものを作りたかったんです。

4Gamer:
 少々乱暴にまとめてしまうと,ライト層もコア層も同じゲームで満足させたい,と。

宮本氏:
 そうです。で,「ぬるい」と言う人達への答えを考えたときに,自分でチャレンジするポイントを見つけられるようにしようと決めました。つまり,遊びながら「自分はもっとうまくできるはず」と思ってもらえるような作りです。
 これはピクミン1の頃から考えていたもので,あのゲームの場合,ゲームの中の時間で30日経てば終わるようになっているんですが,ダラダラしていると一番いいエンディングにはならない。一方,極めれば20日以下でもいい終わり方ができるという具合にしてあったんです。

4Gamer:
 ただ触って楽しいという人でも,30日で一応の区切りは付けられるし,うまい人ならば,どんどん日数を短縮していくような遊び方ができる。

宮本氏:
 ピクミン3では,それをもっと分かりやすく作ってみました。
 だからバランスとしては,アクションゲームが苦手な人でもゲームの中でフルーツさえ取っていれば,ゲーム内の40〜60日で最後まで終わらせられます。でもこれを20日でクリアできる人もいるでしょう。それに,そういう人がいるという噂を聞いて,自分もチャレンジしようと燃える人も出てくると思うんですね。
 そういったことも考えたうえで,ストーリーモードも最初からやり直すだけじゃなくて,途中からやり直せるような形にしています。

4Gamer:
 イマイチだった日からやり直せる,と。

宮本氏:
 はい。さらにミッションモードも並行して遊んでいると,さらにうまくなります。少しミッションを遊んでからもう一度ストーリーモードを遊んでみると,自分が見違えるように成長していることが分かるようになっているんです。
 こういう具合に,自分の中でハードルを上げながら遊ぶようなことができるので,ピクミン未経験者も,シリーズをやり込んできたという人も,ぜひ遊んでほしいんですよ。

4Gamer:
 最初は動かしているだけで楽しいのに,理解が進むとどんどん挑戦欲が沸いてくるというのは,まさにおっしゃるとおりでした。つまり僕は作り手が意図したとおりの反応をしていたわけですね(笑)。
 チュートリアルも含めてですが,そういった理解のさせ方が,さほど説明的ではないんですが,感覚的に掴んでいけるようになっているのには,少し驚きました。

画像集#009のサムネイル/任天堂の宮本 茂氏に聞く,「ピクミン3」の魅力――「インタラクティブメディアは,“自分”が関わっていることが一番面白い」

宮本氏:
 チュートリアルって,ゲームを理解してもらうために我慢してやってもらう部分になりがちなんですよね。ゲームが複雑になるほど,チュートリアルも長くて。ゲームを買ってきて一番楽しいはずの時期に我慢を強いられるという構造が,当たり前になっていて。それをどうにか崩せないかというのは,2の頃からずっと話してきたことでもあるんです。
 とくにシリーズものだと,前作と同じシステムなのにチュートリアルをスキップできないと,経験者はそこで退屈に思いますよね。

4Gamer:
 そうなんですよね。最近のゲームをやっていてイライラするのは,チュートリアルが長いことなんです。

宮本氏:
 はい。ロード時間とチュートリアル(笑)。

4Gamer:
 こっちは早く自由に遊びたいのに,細かい説明が延々と続いて。

宮本氏:
 分からない人もいるので,仕方ない……ということになってるんですよね。

4Gamer:
 でも,チュートリアルの情報量が多すぎると,それだけでは覚えきれないという本末転倒なこともあります。
 ピクミン3ではそういう不満がまったくありませんでした。最小限のストーリーと一緒に,最小限の操作方法が分かる形になっていて。

宮本氏:
 今回は比較的手短にあらすじを説明して,それでも分かりにくいところはGamePadに操作説明に近いようなメッセージをどんどん出して,それを読めば思い出すこともできるし,分からない人でもそこで考えていけるようになっています。
 つまり,最小限にまとめたチュートリアルをお話に載せることで,遊んでいる人が楽しめる,つまり我慢をしなくていい範囲に抑えていこうと。そういう作りをしているんですね。

4Gamer:
 それはすごく伝わってきました。

宮本氏:
 そういう意味で,難度にしてもチュートリアルにしても,経験者と未経験者の双方に納得してもらえるようなものにできたというか……そこにけっこうエネルギーを注いできたので,評価してもらえるのは嬉しいですね。


「ピクミン」を今の時代に出すためには

HD以外にあり得なかった


4Gamer:
 今回,小さなピクミンが大量に描画されているのを見ると,Wii Uというプラットフォームだからこその,HD化の恩恵も大きいような気がしたんですが,そのあたりはいかがでしょう?

画像集#006のサムネイル/任天堂の宮本 茂氏に聞く,「ピクミン3」の魅力――「インタラクティブメディアは,“自分”が関わっていることが一番面白い」
宮本氏:
 HD化はもっと早くしたかったぐらいなんですよ。
 Wiiも,値段がいくらになっても構わないのであれば,最初からHD対応にしても良かったんです。ただ,HDに対応したTVの普及には時間がかかるだろうし,その段階でWiiだけをHD対応にしても意味がないと考えていたんですね。
 僕らとしてはWiiの次の世代ぐらいの時期になれば,HD対応のTVも普及しているだろうから,そこでゲームもHDに対応させようという順序を考えていたんです。でも,HDの時代が想定より2〜3年早くやってきてしまったんですね。これは外国製の液晶TVの価格が考えられない速度で下がっていったのが,大きな要因でしょう。
 結果,Wiiを売っている最中に,どんどん家庭のリビングにあるTVがHD対応になっていったんですよ。とくに海外は,これまでハードウェアが急激に新しいものへ置き換わることなんてほとんどなかったんですが,アメリカでもHD対応のTVがどんどん一般的になっていったんです。

4Gamer:
 確かにWiiが発売された当時は,フルHD対応のTVなんて,とてもじゃないけど気軽に手を出せない価格でした。

宮本氏:
 それが今では,40インチが10万円以下で買えてしまう時代ですからねぇ。買うほうとしては嬉しいんですけど(笑)。

4Gamer:
 HD対応のTVが普及したと思ったら,今度は4K対応機まで出てきていますし。

宮本氏:
 ねえ。ただゲームに関して言うと,ゼルダは4Kにする意味を感じないんですが,ピクミンの場合,4Kに対応してさらに細かいピクミンが動いて,なおかつ処理が速くなったりすれば,さらに見ていて楽しいものになるかもしれませんよね。

4Gamer:
 それはいつか見てみたい気はしますね。
 ともあれ,先ほどのお話にも通じるところがあると思いますが,ピクミン3を作るにあたってWii Uというプラットフォームを選んだのは,HD対応であるというのも大きそうですね。

宮本氏:
 ええ。ピクミンはとくに,全体を見たいけど部分も見たいというゲームなので,これはもう今の時代に出すからには,HD以外あり得ないと考えました。

4Gamer:
 HD画質に対応してピクミン達がより細かく描写されているのはもちろんですが,動きも生き物っぽさを増したように感じました。

宮本氏:
 そこは,ディレクターの一人がプログラマーなんですが,僕にも教えてくれないいろんな努力をしているみたいです(笑)。
 こういう“群れ”を扱うゲームって,全部が同じモーションで同じように走ったり,ものを運ぶにしても同じ形のものを同じ角度で持ったりすると,ロボットのように見えてくるんですね。
 ピクミンは,生き物に見えるように,細かい工夫をあちこちでしているんです。例えば,それぞれのモーションをずらしていったりとか,言うことを聞かない奴がたまにいたりといった形で。

画像集#008のサムネイル/任天堂の宮本 茂氏に聞く,「ピクミン3」の魅力――「インタラクティブメディアは,“自分”が関わっていることが一番面白い」

4Gamer:
 一緒にいたはずの奴が,いつの間にかいなくなってたりするんですよね。

宮本氏:
 バグかバグじゃないのか分からないぐらいの,微妙な動きをしたりして。
 こういったものは本来,ゲームに直接関係ないんですけど,そういう余計なことを一杯入れたいという話はずっとしていて,それがちゃんと形になっています。どうやって作られているのかはブラックボックスなんですけど。

4Gamer:
 ブラックボックスですか(笑)。

宮本氏:
 そうなんですよ。今,せっかく動いているので,これ以上,触らないようにしようというぐらいで。どこかをいじれば,どこかがおかしくなるような形で成立しているんです。
 だから,「次回作に向けて大きく変えるぐらいのつもりじゃないと,いじれません。部分的ないじりはなしです。ちゃぶ台はひっくり返さないでください」って言われてます(笑)。

4Gamer:
 本当に絶妙なバランスの上に成立しているんですね。

宮本氏:
 ええ。ただ,こうやって苦労して作ったものなので,じっくり見てほしいんですけど,見下ろしの視点で遊んでいると,細かい部分はあんまり見えないんですよね。
 でも,写真モードというものがあって,主観視点で一匹ずつのピクミンの写真を撮れたり,敵にもギリギリまで近付いてドアップの写真を撮れたりするので,そこで確認してもらえると嬉しいです。
 
  • 関連タイトル:

    ピクミン3

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