インタビュー
[インタビュー]「ハースストーン」,神話の世界を扱った次期拡張版「タイタンの目醒め」のコンセプトを元プロゲーマーの開発者に聞いた
「ハースストーン」,新カードセット「タイタンの目醒め」を8月2日に発売。シネマティックトレイラーや,新能力の紹介動画も公開に
Blizzard Entertainmentは2023年6月28日,デジタルカードゲーム「ハースストーン」の最新カードセット「タイタンの目醒め」を,8月2日にリリースすると発表し,シネマティックトレイラーと収録される新要素の情報を公開した。
本稿では,ゲームデザイナーのEdward Goodwin氏(エドワード・グッドウィン。以下,Goodwin氏)と,シニアゲームプロデューサーのAlicia Cornelia氏(アリシア・コーネリア。以下,Cornelia氏)に,次期拡張版のコンセプトを聞いた合同インタビューの模様をお届けしよう。
Edward Goodwin氏 過去にプロゲーマー“Gallon”として活躍していた |
Alicia Cornelia氏 |
タイタンはアゼロスで生命を育んだ神のような存在。その強大な力をゲーム性を損なわずに再現した
――タイタンの目醒めのストーリーを教えてください。
Goodwin氏:
「タイタン」は惑星から惑星に移りつつ,それぞれの惑星で生命を育む神のような存在です。惑星の一つに「World of Warcraft」(以下,WoW)の世界である「アゼロス」があり,そこでタイタンが本拠地とした都市「ウルドゥアー」が本拡張版の舞台です。
Cornelia氏:
ウルドゥアーはWoWのレイドダンジョンであり,WoW Classicにおける最新レイドダンジョンの一つでもあります。配布カードの「ヨグ=サロンの牢獄」もこのダンジョンに由来しています。
Goodwin氏:
しかし,本拡張版のウルドゥアーはWoWの時代より3000年前のものです。旧神に侵食されていないまっさらな都市であり,タイタンの右腕である番人たちもレジェンドミニオンとして登場します。
――タイタンは人気が高く,海外コミュニティを中心に以前から登場が期待されていました。このタイミングで実装した理由を教えてください。
Goodwin氏:
タイタンの強大な力をゲーム性を損なわずに再現することが難題でした。場に出た後に効果を発動するミニオンというアイデアが,面白くかつタイタンに合っていることが分かったので,通常攻撃の代わりに3種類の能力から1つを選んで使用する形で実装できました。
また,ハースストーンはウォークラフトの世界観をコミカルに再現しているタイトルなので,タイタンのようなシリアスなテーマを扱うには時期を見定める必要がありました。
――公式サイトによると,ハースストーン用に新たなタイタンを作成したようですが,どのような取り組みでしたか。
Goodwin氏:
WoWチームが快く承諾してくれたので,私たちが新しいものを作ることになり,とても楽しい挑戦でした。既存のタイタンはシャーマンやウォリアーにマッチしましたが,デスナイトやローグのイメージに合いませんでした。そこで,ハースストーンでは「プライマス」と「V-07-TR-0Nプライム」を,新たにタイタンとして採用することになりました。
※なお,パラディンの「平和の番人アミタス」もハースストーン独自の新タイタン
プライマス(デスナイト) |
V-07-TR-0Nプライム(ローグ) |
――ハースストーンでミニオンが3ターンも生き残ることは珍しいです。タイタンもすぐに倒されてしまうのではないですか。
Goodwin氏:
まさにその微妙な駆け引きが開発陣の狙いです。場に出した1ターンだけ効果を使うのか,3ターン生き残らせることを目指すのかを考えてプレイしてほしいです。対戦相手にとっても早く除去すべきかどうかという選択肢が生まれており,戦略性につながっています。
――新キーワードの「鍛造」とタイタンの関係を教えてください。
Cornelia氏:
2マナを消費するとアップグレードされたカードが手に入る鍛造の効果は,何もないところから素晴らしいものを作り上げていくタイタンのストーリーとリンクしています。
――どうして鍛造を「交換可」と同じ仕組みで実装したのですか。
Goodwin氏:
長期的に考えて専用のオブジェクトを作りすぎるのは良くないので,交換可のシステムを流用しました。UIの拡張には慎重になりながらも,新しいものを追加していきたいと思っています。
――キーワード「超電磁」を復活させた理由は何ですか。
Cornelia氏:
タイタンは物を作ったり,改善したりする種族であり,超電磁はそのテーマに沿っていたので復活させました。開発者にとってもプレイヤーにとっても楽しいキーワードですが,これまでの拡張版では世界観に合わないため採用を見送っていました。
――発表動画の5分28秒頃に,「ティール」はパラディン初の復活カードという発言がありました。過去にも「七つの鯛罪」などの復活カードが存在していたと思うのですが。
Goodwin氏:
実は映像の制作中にその話題も出ていて,私たちも最初ではないことを認識しています。しかし,あのテイクの演技がもっとも上手にできたので,少しの誤りを含んでいますが熱量を優先してお届けしました。
――Goodwin氏は過去にプロゲーマー“Gallon”として活動していました。開発者に転身したことで気づいたことはありますか。
Goodwin氏:
そのテーマだけで何日も話せるくらいのエピソードがあります。最初に気づいたのは,開発陣の全員がハースストーンを心の底から愛しているということです。コミュニティの投稿では開発陣に軽視されているというものも見かけますが,真実とはかけ離れていると断言できます。もうすぐチームに入ってから3年になりますが,いまでもその印象は変わりません。
「タイタンの目醒め」特設ページ
「ハースストーン」公式サイト
「ハースストーン」ダウンロードページ
「ハースストーン」ダウンロードページ
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(C)2017 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.
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