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「GeForce GTX 960」のSLI構成を試す。メモリ周りの弱点はマルチGPU動作で克服できたか?
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印刷2015/02/28 21:00

テストレポート

「GeForce GTX 960」のSLI構成を試す。メモリ周りの弱点はマルチGPU動作で克服できたか?

画像集 No.004のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 960」のSLI構成を試す。メモリ周りの弱点はマルチGPU動作で克服できたか?
 レビュー記事からしばらく経ってしまったが,NVIDIAの新しいミドルクラス市場向けGPU「GeForce GTX 960」(以下,GTX 960)の2-way SLI(以下,SLI)テストレポートをお届けしたい。

 それに先だって軽く振り返っておくと,GTX 960は,極めて電力効率の高いGPUであるものの,メモリインタフェースが128bitしかないため,ターゲットとなる画面解像度は1920×1080ドットが上限という,得手不得手の非常にはっきりしたGPUだ。この128bitというメモリインタフェースは,置き換え対象となる「GeForce GTX 760」(以下,GTX 760)よりも狭かったりする。
 本稿のポイントは,「では,そんなGTX 960をSLIで動作させると,メモリ周りの欠点を補えるのかどうか」である。ベンチマークテストから,GTX 960のSLIが持つ可能性を見てみよう。


GTX 760やGTX 660のSLI,GTX 980単体とも比較

テスト解像度はSLIらしく高めで


画像集 No.002のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 960」のSLI構成を試す。メモリ周りの弱点はマルチGPU動作で克服できたか?
GV-N960WF2OC-2GD(GV-N960WF2OC-2GD-GA)
メーカー:GIGA-BYTE TECHNOLOGY
問い合わせ先:CFD販売(販売代理店) 050-3786-9585(平日10:00〜12:00,13:00〜18:00)
実勢価格:3万〜3万4000円程度(※2015年2月28日現在)
画像集 No.003のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 960」のSLI構成を試す。メモリ周りの弱点はマルチGPU動作で克服できたか?
GV-N960G1 GAMING-2GD
メーカー:GIGA-BYTE TECHNOLOGY
問い合わせ先:CFD販売(販売代理店) 050-3786-9585(平日10:00〜12:00,13:00〜18:00)
実勢価格:3万1000〜3万5000円前後(※2015年1月22日現在)
 GTX 960というGPUそのものの話はレビュー記事を参照してもらうとして,さっそくテストのセットアップに入りたい。今回,比較対象としては,GTX 760と,NVIDIAが乗り換え元と位置づけている「GeForce GTX 660」(以下,GTX 660)のSLI構成を用意した。さらにリファレンスとして,「GeForce GTX 980」(以下,GTX 980)のシングルカード構成とも比較してみたいと考えている。

 テストのために用意した機材はのとおりで,同じGPUを採用したグラフィックスカードでは,上がプライマリ,下がセカンダリとなる。基本的にはリファレンスカードをプライマリとした次第だ。ただし,GIGA-BYTE TECHNOLOGY(以下,GIGABYTE)製カード「GV-N960WF2OC-2GD」は,メーカーレベルで動作クロックが引き上げられたクロックアップモデルとなるため,同社製のオーバークロックツール「OC Guru II」(Version 1.78)を用い,動作クロックを引き下げて使用している。
 実のところを言えば,GIGABYTE製「GV-N960G1 GAMING-2GD」とPalit Microsystems製「NE5X760H1024-1042J」もクロックアップモデルなのだが,SLIの仕様上,動作クロックは低いほうのカードのそれで揃うため,いずれもリファレンス相当のクロックで動作するカード2枚によるSLI構成と理解してもらって差し支えない。

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今回,GIGABYTEの販売代理店であるCFD販売からは,「GeForce GTX 970」搭載カード「GV-N970G1 GAMING-4GD」をお借りしたのだが,最終的に,本製品をテスト対象とする意味があまりなくなってしまったので,紹介だけしておきたい。カード自体は,上位モデルであるGV-N960G1 GAMING-2GDと同じく,3連ファン仕様の「WINDFORCE 3X」クーラーを搭載した,ゲーマー向けのクロックアップモデルだ
画像集 No.005のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 960」のSLI構成を試す。メモリ周りの弱点はマルチGPU動作で克服できたか?
 テストに用いたグラフィックスドライバは,テスト開始時点の最新版である「GeForce 347.52 Driver」で,テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション16.0準拠。先のGPUレビュー記事で,GTX 960は1920×1080ドット解像度環境で良好なスコアを示していたことから,今回はそれより高い解像度として,2560×1600ドットと3840×2160ドットを選択している。そのため,3840×2160ドット解像度でのテストを行えない「BioShock Infinite」は省略した。
 また,SLI動作だと,「標準設定」では描画負荷が低くなりすぎる可能性があるため,今回は「高負荷設定」およびそれに準じた設定でのみテストを行うことも,合わせてお断りしておきたい。

 なお,テストにあたっては,CPUの自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」を,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。これは,テスト状況によってその効果に違いが生じる可能性を排除するためだ。


GTX 960のSLIで常用できるのは

おおむね2560×1600ドットまで


 以下,文中,グラフ中とも,SLI構成は「(GPU名)SLI」と表記することと,グラフ画像は基本的にSLI→シングルカードでGPU順に並べてあるが,クリックすると,より低いテスト条件のスコアで並べ替えたものも表示するようにしてあるとと宣言しつつ,テスト結果を順に見ていこう。

 グラフ1は,「3DMark」(Version 1.4.828)の総合スコアをまとめたものだ。Fire Strike Extremeだと,解像度は2560×1440ドットに固定されるが,そこでGTX 960 SLIはGTX 960のシングルカード構成に対して約70%高いスコアを示し,対GTX 760 SLIで約17%,対GTX 660 SLIでは約47%と,比較対象のSLI構成に対しても優位に立ち回っている。GTX 980とはほぼ互角だ。

 しかし,これが4K解像度でのテストとなるFire Strike Ultraだと,様相が変わってくる。SLI構成間だけで見ると景気はよい一方で,シングルカードとの比較だと,GTX 960に対しては約13%しかスコアを稼げず,対GTX 980ではダブルスコアを付けられて惨敗しているのである。
 GTX 960では,SLI構成であっても,4K解像度での満足なゲームプレイは望めない可能性が見て取れよう。

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 実際のゲームアプリケーションで確かめてみよう。グラフ2は「Battlefield 4」(以下,BF4)の結果となる。
 BF4の2560×1600ドットにおけるGTX 960 SLIは,GTX 960に対して約75%高いスコアを示し,GTX 980とほぼ互角。SLI構成同士の比較だとGTX 760 SLIより約6%,GTX 660 SLIより約30%高いところにある。実フレームレートも50fps台なので,まずまずと言っていいだろう。
 しかし,3840×2160ドットだと,対GTX 960シングルカードとの力関係は維持できる一方,対GTX 980では約79%に沈み,わずかながら,GTX 760 SLIにも後れを取った。GTX 760 SLIの約98%というスコアに,128bit対192bitというメモリインタフェースの違いが影響していることは,想像に難くない。

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 それは,極めて負荷の高いテスト条件である「Crysis 3」でも同様だ(グラフ3)。3840×2160ドットでは,3DMarkのFire Strike Ultraと同じく,GTX 980には2倍以上のスコア差を付けられてしまった。一般にマルチGPU構成は高負荷環境に強いのだが,GTX 960 SLIには見る影もない。
 また,2560×1600ドットで,ベンチマークレギュレーションが最低ラインとしている平均30fpsに届いていないのも気になるところである。

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 グラフ4は「Dragon Age: Inquisition」(以下,Inquisition)の結果となる。ここでも4K解像度はプレイアブルからほど遠いスコアなので,2560×1600ドットを見てみるわけだが,GTX 960に対して約49%,GTX 660 SLIに対して約39%高いスコアは目を見張る……と書こうとしたところで,対GTX 980のスコアが約80%に留まって,うーん,といった感じである。ゲームタイトルによっては,より低い解像度条件からでも,メモリ周りのボトルネックが首をもたげてくる印象だ。

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 「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(以下,新生FFXIVベンチ キャラ編)では,総合スコアをグラフ5に,平均フレームレートをグラフ6をまとめた。
 新生FFXIVは,ここまで取り上げてきたタイトルと比べると描画負荷がかなり低いため,GTX 960 SLIはなかなか良好なスコアを示せている。とくに,3840×2160ドットでもGTX 980と互角というのは注目したい。スクウェア・エニックスの示しているベンチマークの指標でも,上から2番めの指標である「とても快適」の枠内,スコア5000〜6999に収まっているのもポイントだ。

 対GTX 960で83〜84%程度,対GTX 660 SLIで22〜23%程度高いスコアであることも押さえておきたいところである。

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画像集 No.012のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 960」のSLI構成を試す。メモリ周りの弱点はマルチGPU動作で克服できたか?

 グラフ7の「GRID Autosport」は,比較的GPU性能差が素直に出やすいタイトルなのだが,ここでは驚くべきことに,GTX 980がそれ以外のテスト対象を圧倒している。SLI同士で比較すると,対GTX 760 SLIで18〜23%程度,対GTX 660 SLIで37〜57%程度高いスコアではあるのだが,対GTX 960シングルカードでプラス35〜41%程度と,あまり伸びていないことを考えるに,ここでは「SLIであること」のデメリットが出てしまった感じだ。SLIに最適化され切っていないタイトルでは,こういう結果になるということだろう。

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消費電力はGTX 660 SLIよりやや大きい程度

GTX 980よりは最大50Wほど大きい


 消費電力とGPU温度も,参考までに計測しておこう。

 まず,消費電力計測にあたっては,ログの取得が可能な「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を測定し,比較することにした。テストにあたっては,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果はグラフ8のとおり。アプリケーション実行時におけるGTX 960 SLIの消費電力は,GTX 660 SLI比で0〜27W大きいという結果になった。この程度であれば,GTX 660 SLIを構成している環境からそのままカードだけ差し替えても問題ないだろう。GTX 760 SLIと比べると62〜83Wも小さい。
 一方,GTX 980と比べた場合,その消費電力は37〜50W高かった。消費電力あたりの性能が高いGTX 960だが,さすがに2枚差しだと,GTX 980よりは高いわけである。

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 GPUの温度も「GPU-Z」(Version 0.8.1)を用いて確認しておこう。ここでは,3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」として,アイドル時ともども,スコアを取得することにした。テスト時の室温は24℃で,システムはPCケースに組み込まず,いわゆるバラックの状態に置いてある。

 ここでは,GPUクーラーがカードごとに異なり,ファン回転数の制御方法も,果ては温度センサーの位置もそれぞれ異なっている。そのため,横並びの比較にあまり意味はないのだが,WINDFORCEクーラーを搭載するGIGABYTE製のGTX 960カードが,SLI構成時であっても問題なくGPUを冷却できているとはいえるだろう。高負荷時に60℃以下なら,SLI動作にあたって,温度周りの不安はまずないと述べていい。

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GTX 960はシングルカードで運用すべきGPU

SLIにするくらいならGTX 980を選ぶべき


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 シングルGPU構成時がそうであったように,GTX 960 SLIも,GTX 660 SLIからの乗り換えであれば,相応の意味がある。しかし,最初からミドルクラスGPUのSLI構成を選択するというのはあまり現実的な買い換えシナリオではない。絶対性能と消費電力,占有するPCI Expressスロットの数,そしてなにより価格――2015年2月28日現在,GTX 980カードは安価なものなら6万円台後半から購入できる――を考えるに,GTX 960 SLIを選ぶくらいなら,GTX 980カードを選ぶべきだ。

 レビュー記事の補足的なまとめになってしまうが,GTX 960が“おいしい”のは,シングルカード構成で,デスクトップ解像度1920×1080ドットくらいまでの条件で使うときということになるだろう。すでにGTX 960カードを持っている人が,将来的にもう1枚買うというのは止めないが,その場合でも,4K解像度で快適にプレイするには実力がちょっと不足気味なことを憶えておいてほしい。

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「GeForce GTX 960」レビュー。第2世代Maxwell初のミドルクラスGPUは,得手不得手のはっきりした低消費電力モデルだ

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    GeForce GTX 900

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