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[SPIEL’16]「DARK SOULS」の難度と興奮を協力プレイで実現。ボードゲーム版「Dark Souls The Board Game」試遊レポート
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印刷2016/10/17 12:55

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[SPIEL’16]「DARK SOULS」の難度と興奮を協力プレイで実現。ボードゲーム版「Dark Souls The Board Game」試遊レポート

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 かつては比較的珍しかった「デジタルゲームからアナログゲームへの移植作品」も,今やそこまで珍しいものではなくなった。そうしたタイトルがKickstarterなどで強烈な支持を集め,商品化にこぎつけることが多くなってきたからだ。「Dark Souls The Board Game」も,そういったKickstarter発のタイトルの一つで,発売はまだ先(2017年予定)であるにもかかわらず,強い注目を集めている。
 SPIEL'16では,そんな本作を試遊することができたので,そのプレイフィールをお届けしよう。

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「Dark Souls The Board Game」公式サイト

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AIで駆動する強大な敵を,協力して倒せ!


 「Dark Souls The Board Game」は,家庭用ゲームで人気を博した「DARK SOULS」シリーズをモチーフとする,ミニチュアとボードで遊ぶアナログゲームだ。カードによってコントロールされる強大な敵に対し,複数(または1人)のプレイヤーが協力して立ち向かうタイプの内容で,本家さながらのシビアなバランスがウリとのこと。実際,試遊会場でも,数多くのチャレンジャー達が,あっけなく屠られていたようだ。

試遊卓におけるエネミーは“Dancer of the Boreal Valley”――「冷たい谷の踊り子」だった。なお今回の試遊ではこのボス戦のみだったが,複数の敵と戦うようなシチュエーションも,もちろんあり得るという
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 ゲームの手順は,シンプルにまとまっている。

  • 「行動AIカードデッキ」から1枚オープンにし,それに従ってエネミーが行動する。
  • 行動順に従い,プレイヤーが1人行動する。

 この繰り返しである。
 注意すべき点としては,「敵→プレイヤー1→プレイヤー2→敵」ではなく,「敵→プレイヤー1→敵→プレイヤー2→敵」という順になる点だろうか(なお,プレイヤーの行動順は,キャラクターごとに設定されたイニシアティブ値に依存する)。

 エネミーの行動パターンを司る行動AIカード(以下,AIカード)は,エネミーの種類ごとにカードセットがあり,その中から決まった枚数がランダムに選ばれ,AIカードデッキとなる。
 ちょっと分かりにくいが,例えば今回の試遊に登場したエネミーの場合は,6枚からなるAIカードの組み合わせがあり,そこから5枚がランダムに選ばれ,AIデッキが作られていた。つまり,この敵は6種類の行動パターンがあるが,うち1つは今回は使ってこないわけだ。

行動AIカードの一例。ちょっとアイコン多めで読みにくい
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 実際のAIカードの内容は,「2歩前に前進して,自分の周辺1マスに5物理ダメージの攻撃を行う」といった具合で,空振りもありうる。しかし本作にはヘイトの概念(本作の場合,aggroと表現される)があるので,「ヘイトトップのプレイヤーを追尾して攻撃」といった指示もあって,敵さんもなかなかどうしてバカではない。

 面白いのは,AIカードデッキが尽きると,シャッフルせずに山札が再構築される点で,つまりエネミーは,さっきまでの行動を最初から繰り返すのである。従ってプレイヤーは,最初の5ラウンドを防御的に動くことでエネミーの行動を学習し,範囲攻撃やダッシュ攻撃などの危険な攻撃を避けるといった戦略をとれる。

キャラクターフィギュアの横に置かれた灰色のキューブが,ヘイトトップであること示している
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命を削って戦い続けるスリル


 敵の行動を見切ったからといって,楽に倒せるかといえば,もちろんそんなことはない。プレイヤー側としては,攻撃してHPを削らなくてはならないわけだが,そのために「どう行動するか」と言う点で,本作はかなり幅広い選択肢と巧妙なジレンマ,そして確かな戦術眼を要求してくる。

 例えば本作の行動の中で,無条件で(つまりノーコストで)行えるのは,

  • マップ上を1歩だけ移動する。
  • 弱攻撃を1回行う(装備によるが,だいたい2〜3ダメージ程度)。

 いくつかの例外はあるが,これだけである。
 一方で,エネミー側は3歩4歩と平気で移動し,場合によってはこちらを突き飛ばしながら向きを変えてくる。そのうえエネミーのHPは30以上あり,一撃で5点6点が当たり前のダメージを叩き出してくる(こちらのHPは10しかないのに!)。要は,どうしたって勝てっこない。さすがDARK SOULSである。

試遊卓で選ぶことのできたキャラクター,Warrior(上)とHerald(下)。装備はカードで表され,ダメージや防御力は装備によって決まる
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 だがプレイヤーにも選択肢はある。「スタミナ」を消費することで余分に移動したり,強攻撃(ダメージが1〜2点程度増える)を行ったり,あるいは左右の武器(試遊では左手の盾で殴る)で2回攻撃を行ったりできるのだ。

 そしてゲームを面白くしているのは,このスタミナの存在である。なんとスタミナはキャラクターのHPゲージと共有(!)なのだ。キャラクターのHPは10なので,例えば4ダメージを受けているキャラクターであれば,スタミナを6使うと死んでしまうのである。過労死か! もちろんその逆の状況も起こり得て,例えばスタミナを5使っているところに5ダメージを受ければ,それで即死である。

筆者らの前にプレイしていたペアが「詰んだ」瞬間。赤がHPダメージ,緑がスタミナ消費。まぁ,死んではいませんが。まだ……
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 スタミナが回復するタイミングも問題だ。
 スタミナは,自分の手番が来るごとに,2点が自然回復する。なので手番で2スタミナまでは使い放題……かというと,そうでもない。2人で協力プレイをしている場合,「自分の手番」が来るまでに,敵は都合2回行動してくる。従って,安易にスタミナを2使ってターンを終わらせると,HP8の状態で敵の攻撃を2回受ける可能性があるのだ。とはいえ,スタミナを使って積極的に敵のHPを削っていかなくては,いつかジリ貧になるのは明白だ。「どこまで踏み込むのか」は,本作をプレイする上で常にプレイヤーが直面するジレンマだ。


最後まで諦めない敵を,どう仕留めるか


 ゲームを進めていくと,だんだん本作における(あるいは目の前の敵に対処するために最適な)スタミナ配分というのも見えてくる。敵の行動パターンは固定だから,防御が難しい範囲攻撃のブレスは事前に回避し,敵の移動先を先読みして弱点を攻撃する(敵の行動によっては側面や背面などに「弱点」が出現する。弱点を攻撃すればボーナスダメージが得られる),といったことも可能になる。

その場から真正面に向かってコーン状の範囲にまき散らされるブレス。これで一気に2人がダメージを受けると,かなりきつい。でもこの攻撃をした直後は,敵の背後に「弱点」が現れる
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 また敵のダメージは強烈だが,プレイヤーの鎧はなかなかに信頼できる。今回の試遊では,攻撃力特化のWarriorでも平均して2点ちょっとは食い止められるし,防御に優れたHeraldなら3〜4点くらいはなんとかなる(防御がどれくらい機能するかはランダムである)。
 プレイヤーを守るのは,鎧だけではない。攻撃そのものの回避も可能で,軽装備のWarriorなら,なかなかの確率で避けられる(ただし,回避はスタミナ1を消費し,失敗すると鎧で軽減されないフルダメージを受けてしまう。安易な回避は禁物だ)。

回避の判定。先程写真で紹介したブレスであれば,この判定で1つでも回避マーカーが出ればダメージをすべてキャンセルできる(ダイス1つあたりの成功率は50%)
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 強力な盾を持ったHeraldがタンク役となって攻撃を引きつけ,Warriorが弱点を突いて攻撃する。Heraldにヘイトを管理する能力があるわけではないので,この分担が必ずしもうまくいくとは限らないが,なるべくこの分担を意識することで,プレイヤー側は着実にボスのHPを削っていける。
 が,これで終わってしまえばDARK SOULSの名折れというもの。最後に待ち受け,プレイヤーを苦しめるのが「発狂モード」である。

 敵のHPが一定値を割ると,敵AIは発狂モードに突入する。AIデッキに新しいカードが補充され,デッキがリシャッフルされるのだ。
 これだけでも十分に厳しいが,状況はさらに悪化する。発狂モードに突入した場合,AIデッキの中に含まれている特定のカードが公開されると,敵がその行動を終えた後で,AIデッキはリシャッフルされてしまう。もはや「パターンを読んで戦う」ことはできず,「最悪の可能性を考えながら戦う」ことが要求される。

敵が発狂モードに入り,新しい行動AIカードがデッキに追加されたところ。そして初手でそれを食らっているところ
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 しかしながら,敵が発狂モードに入ったということは,敵を倒すまでもう一息ということでもある。ここで今まで以上に慎重に行動して持久戦をするか,それとも今までより強めにプッシュして(=要はスタミナを気持ち多めに使って)一気に削りきるか。プレイヤーの判断が問われることになる。


最高に熱い戦いを求めるなら,これだ


本作のデザイナーであるAlex Hall氏
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 これ以外にも,本作には手番で1度だけ使えるエリクサー(ダメージとスタミナを一度に全快させてくれる),キャラクター固有の特殊能力(ゲーム中1度だけ使用可能で,「スタミナを消費せずに移動して両手で攻撃できる」など強力な効果がある)など,さまざまな要素が詰まっている。
 が,ゲームの基本はシンプルにまとまっているため,プレイヤーはさほどルールの把握に時間を割くことなく,過酷な戦闘に集中できるだろう。個人的な印象では,敵の行動AIカードの読み方がちょっと複雑なので,おそらくそこに最も慣れが必要となると感じた。

 恥ずかしながら,実は筆者もAIカードの読み方を完全には把握できておらず,インストラクターが敵の行動を管理してくれた。とはいえ,それで十分だし,プレイヤーが覚えるべきは「そのカードで敵が実際にどういう行動をするか」なので,極論をいえば「ゲームマスター」的な人が1人いれば,プレイヤーはAIカードを読めなくてもプレイは可能だ。

 ゲームバランスは辛口で,無理をすればすぐに死ぬ。実際,多くの挑戦者は試遊卓に待ち構えていた敵を発狂モードに追い込むこともできずに倒れていった。
 だが慎重かつ適切に,そして必要十分の勇敢さをもって行動すれば,無理ゲーに見えても倒すことはできる。そういう絶妙なバランスを,開発途中の現段階においても,本作は実現していると感じられた。

本文では言及しなかったが,マップデザインも巧妙。マップ上の赤いマーカー1つを1マスとカウントして,敵とキャラクターが移動する
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 なお,協力ゲームに詳しい人なら,いわゆる「コマンダー問題」(=プレイヤーに1人「指揮官」が自然発生し,ほかのプレイヤーはその指示に従うだけになる状況)が気になるかもしれない。
 本作には,コマンダー問題を防止する要素がとくに盛り込まれているわけではないが,そもそも気心知れた友人と一緒にプレイするならば,コマンダー問題はさしたるマイナス要素にはなりえない。「これがベストムーブだ! こっちに移動して攻撃してくれ!」「おう,分かった! ……あっ死んだ,何がベストムーブだよ!」といったやりとりも,気心知れた間であればゲームの楽しさの一部なのだ。

ゼロ距離に踏み込むことも可能……というか,レンジの短い片手武器だと,ゼロ距離に踏み込まざるを得ない
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 発売はまだ若干先のことになるが,協力プレイをするゲームのなかでも,本作は非常にエキサイティングかつ満足できる内容を有する。
 DARK SOULSの世界が好きで,かつ最高に興奮できる戦闘を楽しみたいなら,本作はマストバイの一作となるだろう。

倒した! 倒したぞ! なおインストラクターを担当してくれたデザイナーが,ぽつりと「敵がまだ弱いな」と呟いていたのは,そういう演出だと思いたい
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「Dark Souls The Board Game」公式サイト

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