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「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる
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印刷2020/02/25 18:00

連載

「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる

画像(001)「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる

ある日の硫黄臭い洞窟での冒険


語り部:さて,洞窟の奥深くへ辿り着くと,そこには2つの召喚魔法陣を同時に展開している妖術師がいる
魔術師:複数まとめてとは,かなりの手練れ……!
戦士:ようし,術が完成する前にぶった斬るか
語り部:はっはっは,君達がそういう無粋なふるまいに出る前に,卑怯にも呪文は完成するね
魔術師:何が出てくる……?
右の魔法陣から出現した悪魔:これはこれは召喚者殿,このたびは弊地獄界へのお声がけ,まことにありがとうございます。こちらが契約のお見積りで……
左の魔法陣から出現した魔神:おい,召喚者! 人を呼び出しておいて茶の一杯も出さんのか!
魔術師:なんか対照的なのが出てきたな
戦士:どっちも,ヤバい感じに強そうだけど
妖術師:悪魔よ,魔神よ,契約も饗応も存分にしてやる! だがその前に,あの冒険者達を倒せ!
戦士:ぬぬ,来るか!
悪魔:ご冗談でしょう。まずは契約です。それを済ませる前には何にもできません
魔神:うるさいぞ,人間! 魔神たる我が,貴様に従ういわれはない!
妖術師:うぇぇぇえ?
戦士:よっしゃ,いまのうちに妖術師を
悪魔:そうはいきません。契約をとらないうちに殺させるわけにはいかんので,あなた達を殺さない程度には邪魔しますよ
魔神:めんどくせえ,両方とも殺す!
魔術師:……めんどくさいのはおまえらだよ


 来訪者――我々の世界とは別の世界から来た存在を,ファンタジーものではこう呼ぶことがあります。悪魔や魔神,精霊,妖怪,果ては宇宙人と出自はさまざまですが,舞台となる世界における「自然」とかけ離れた,独自の存在様式であるのがポイントでしょうか。とはいえ,一括りに語ってしまうにはあまりにバラバラな皆さんですから,今回は個々の種族をクローズアップして見ていくことにしましょう。というわけで,まずは……うーん,前回からの流れで,悪魔から行ってみましょうか。

 悪魔のうちでもデヴィル――人を誘惑して堕落させる悪魔というのは,キリスト教でクローズアップされる存在ですが,べつだん専売というわけでもありません。ほかの宗教にも,人間を堕落に誘う超自然の存在や,絶対の善である創造神と対立する絶対の悪は存在しています。今に教義が伝わる最古の宗教の一つ,ゾロアスター教は,善なるアフラ・マツダと悪のアーリマンが,世界の両極として対立する世界観を有しています。仏教にだって,誘惑者としてのマーラって概念がありますし,六道という異界概念も存在します。ただゲームの場合,そういったキリスト教の悪魔以外の邪悪な存在は,モンスターや魔神(デーモン)といった括りになることが多く,キリスト教のデヴィル=悪魔という扱いが多いようです。

 デーモンとデヴィルがどちらも存在する世界では,デーモンが独立独歩でそれぞれが好き勝手に暴れ,デヴィルは組織だっている傾向があります。デーモンが怪獣で,デヴィルが悪の組織の改造人間といった感じでしょうか。これはテーブルトークRPGの元祖「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下,D&D)の影響だと思います。
 D&Dには「アラインメント」という概念があります。これは善と悪,秩序と混沌の2軸でキャラクターの行動規範をあらわしたもので,「秩序にして善」とか「混沌にして中立」といった具合に表記されます。つまり,秩序=善ではないのですね。そしてD&Dでは,「秩序にして悪」がデヴィルで,「混沌にして悪」がデーモンとされました。ディストピアで圧政を敷くのがデヴィルのお仕事,欲望と感情のまま無差別に破壊をまき散らすのがデーモンというわけです。


 さてキリスト教の悪魔の多くが,元は異教の神でありました。イシュタルなどのメソポタミアの神々などがキリスト教信仰に呑み込まれた結果,絶対善である唯一神に対立する,神を騙る邪悪な存在とされたのです。その結果,悪魔にさまざまな固有名詞が与えられることになりました。そうなるとカタログ化したくなる人の性(さが)というもの。古くからいろいろなリストがあったようですが,現代のゲームの多くがネタ元にしている,代表的な著作が二つあります。

「地獄の辞典」(リンクはAmazonアソシエイト)
画像(013)「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる
 まずはソロモン王が使役した72の悪魔を解説した魔術書「ゲーティア」です。ゴエティアなど,さまざまな呼び方がありますが,筆者が初めて触れたのはこの名前でした。これら72の悪魔は,使役される存在としても,そして強敵としてもさまざまなゲームに登場します。最近の有名どころなら「Fate/Grand Order」ですかね。
 そしてもう一つ,悪魔のカタログとして多くの作品の原典になっているのが,19世紀はじめ頃にフランスの著作家・Collin de Plancy(コラン・ド・プランシー)が記した「地獄の辞典」です。本邦でも抄訳版が手にとりやすい文庫で出ていたことがあって,筆者も大いに重宝しています。
 ほかにも物語性の強いものですが,天使ルシファーによる神への反逆を描いたJohn Milton(ジョン・ミルトン)の詩「失楽園」や,キリスト教の聖者がさまざまな異教の神々や怪物と出会う一夜を描いた,Gustave Flaubert(ギュスターヴ・フローベール)の「聖アントワーヌの誘惑」なども押さえておきたいところ。

 悪の権化として恐れられ,忌み嫌われる悪魔ですが,昨今では「神という絶対的権威への反抗者」といった描かれ方もされます。とくに日本では,1970年代前半に「デビルマン」という超傑作がありましたから,その影響も大きいことでしょう。最近では「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま」なんて,かわいらしく善良な悪魔達が登場するコミックもありました。
 ですが,冒険ファンタジーで悪魔や魔神といえば,やはり冒険者が挑むなかでも最強クラスの難敵であってほしいところ。炎をまとい,翼を持ち,巨体で,優秀な戦士でもあれば魔力も強烈。そういったキャラでいてほしいですね。典型は「指輪物語」のバルログでしょうか。映画版でのガンダルフとの対決も印象的です。ただの魔術師ではなく半神である彼をして,ようやく相打ちに持って行けたほどの強敵でありました。

「Fate/Grand Order」におけるソロモンの悪魔は,72柱の魔神柱として登場します。画像はいろんな意味で有名なバルバトスさん
画像(002)「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる


悪魔を使うのは悪魔だけではない


 悪魔の血を引くプレイアブル種族というのは,なかなかに珍しいものです。ぱっと思い出せるのは,やはりD&Dのティーフリングでしょうか。D&Dの第4版以降は,基本ルールブックに掲載されるほどの人気種族です。魔神や悪魔などの血を引いているとされ,ツノやかぎづめ,蹄などの身体的特徴を備えています。
 D&Dでは,デーモンやデヴィルが住んでいる異界にも,実に詳細な設定があります。それぞれが苦しみに満ちた世界で,それにふわしい悪魔や魔神が統べています。モンスターにもそうした悪魔がずらりとラインナップされており,プレイヤキャラクターとして使いたくなるの必然と言えましょう。

「モルデンカイネンの敵対者大全」より,ティーフリング(リンクはAmazonアソシエイト)
画像(009)「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる

 とはいえティーフリングはプレイヤーキャラクター用の種族ですから,その性質はとくに邪悪なものではありません。偏見の目では見られますけどね。この辺りは「ソード・ワールド2.5」ナイトメアも共通です。同作のナイトメアは異界から来たのではなく,輪廻転生の過程で魂に“穢れ”が生じ変異した存在。異界からの来訪者という枠ではありませんが,立ち位置は少し似ています。
 ところで,「ソード・ワールド2.5」のラクシア世界には,異界からやってくる強大な敵として,魔神=デーモンが存在しています。プレイ難度が高く使用にはGMの許可が必要ですが,こうした魔神を使役する存在として「デーモンルーラー」という魔術系統があります。「2.0」で登場し,「2.5」にはアップデートがまだ反映されてませんが。ちなみに前作「ソード・ワールドRPG」のフォーセリア世界にも魔神が登場していまして,これはラクシアの魔神とほぼ同じものです。その理由は,まだ明らかにされていません。二つの世界の架け橋となる種族には,このほかにホビットの回で紹介したグラスランナーがおりまして,どういうわけかしばしば魔神と同じ地域に棲息し,ときに魔神と意思疎通可能な言語を操るんですが……不思議ですよね?

画像(010)「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる

 本来の伝承上における,あるいは現実世界において実践されている魔術には,悪魔を使役することで効果を得ようとするものが多くあります。ただ,こうした使役系の魔術はゲームではあまりメジャーではないようで,さまざまな現象は術者が直接引き起こします。召喚や使役が行える場合も,対象は悪魔に限らないモンスター全般であることが多い気がします。

 そんな中,小説「エルリック」シリーズを原作とするテーブルトークRPG「ストームブリンガー」もしくは「エルリック!」における魔法は,基本的に混沌のデーモンを召喚し,使役することで発現するものでした。またお金さえ積めば,デーモンを封じた武器や鎧を装備できちゃいます。通常の武器や鎧に比べると,これがはるかに強力なのです。
 混沌のデーモンというと,「ウォーハンマー」も忘れるわけにいきません。この作品の世界では,“混沌”の力に触れるとさまざまな突然変異が発症します。頭のてっぺんから親指が生えるとか,足がキャタピラになるとか。サプリメントには,そういった変異をD1000(!)を振って決める,なんて表も収録されていました。筆者の場合,この表をよくほかのゲームに流用したものです。混沌の変異が発症すると化物として社会を追われてしまうため,それを隠して生き延びるわけですね。

 悪魔に近い存在に,アラビア圏のジンがあります。日本語では精霊や妖霊などと訳があてられますが,天使の回にも登場したテーブルトークRPG「ゲヘナ〜アナスタシス」では,これを使役したり,人間と妖霊の間に生まれた種族をプレイしたりできます。このジンから生まれたシャイターン(邪霊)というのもおりまして,これが同作における最大の敵です。「唯一絶対の神の元,人間のための試練として存在が許されている悪」というやつで,多神教であることが多いファンタジーものにあっては珍しい,本来の悪魔らしい悪魔なのです。


コーリング・エレメンタル


「ゲヘナ〜アナスタシス」(リンクはAmazonアソシエイト)
画像(004)「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる
 「ゲヘナ〜アナスタシス」における妖霊(ジン)は,人間より先にこの世にあらわれた,火と風からなる霊的存在でありました。つまりは元素に対応した精霊という側面も持っているわけです。
 地・水・火・風という西洋における四大元素は,そもそもは古代ギリシャの思想に端を発しています。インドにもよく似た元素説があり,中国には木・火・土・金・水の五行があります。古代ギリシャといえば,プラトンが唱えたとされる四大元素に対応する正多面体というのもありまして,これによると六面体が土,二十面体が水,八面体が空気,四面体が火なのだとか。……これを書きながら,まだアマチュアだった遠い昔に,この正多面体説を元にしたテーブルトークRPGを考えていたのを思い出しました。プレイヤーが四大元素の精霊になるゲームで,それぞれに振るダイスの種類が異なるというシステムだったんですけど。途中でプロデビューすることになって,そのままになっちゃってます。

 余談はさておき,この四大元素説を元に,それぞれの元素を司る精霊を設定したのが,かの有名なパラケルススです。お医者さんで,錬金術師で,そして魔術師だった人物ですね。悪魔を使役していたという伝承もあります。
 彼が提唱したのが,火のサラマンダー,水のウンディーネ,風のシルフ,土のノームという元素の精霊で,これらはさまざまなファンタジーゲームに登場します。サラマンダーは炎のトカゲとして描写されます。ウンディーネとシルフは,半透明の女性形が多いですね。この3種はプレイアブルな種族としてではなく,使役される側のモンスターなどとしての登場することが多いです。唯一,土のノームだけは,プレイヤーが選べる種族としてラインナップされやすい傾向にあり,モンスターだった場合も小人として描写され,大地に関わりの深い人型種族となります。ドワーフの亜種的な扱いをされることも多いですね。
 D&Dでは,四大元素に対応する異界が詳細に設定されており,そこから「エレメンタル」という強力な精霊がやってくることがあります。また「火と水の精霊界の間には蒸気の精霊界があり,水と土の精霊界の間には泥の精霊界がある」など,さらに複合化,細分化された精霊の世界も存在します。

デジタルゲームのサラマンダーで思いつくのは,「ポケットモンスター」のヒトカゲでしょうか。英名だとSalamanderをもじってCharmanderですし。人によっては「バハムートラグーン」のほうかもしれませんが,あれは名前がサラマンダーというだけで,実際はドラゴンなのでした
画像(005)「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる

 一方,西洋の四大元素に対する東洋の五行には,それぞれ対応する霊獣がいます。古代中国風世界を舞台にしたテーブルトークRPG「央華封神」では,独自解釈として火=鳥,水=魚,金=虫,木=獣,土=人が割り当てられていました。プレイヤーキャラクターは不老不死の力を得た「仙人」でして,冥界や天界といった異世界にもほいほい行き来できてしまうので,あまり来訪者というイメージではないですけど。


遠い宇宙のかなたから


ある夜の,接近遭遇的な冒険


戦士:いやー,魔神と悪魔の挟み撃ちはさすがに死ぬかと思ったぜ
魔術師:いっぺん死んだけどな,おまえ
語り部:妖術師の持ち物に蘇生薬があってよかったねえ。さて君らの前には,妖術師が異世界に逃亡するのに使った送還の魔法陣が残っているよ。どうする? 転移の魔法陣を使って追いかける?
戦士:もちろん! 俺の仇を討たなければ
魔術師:よせよせ,向こうがどんな世界か分からんのだ。むしろ,送還の魔法陣を逆転させて,消えた妖術師を召喚するとかできんのか
語り部:面白いねえ。妖術師の召喚の魔術書とかは残っているので,試すことはできるよ。サイコロ振って,どうなったか決めよう
魔術師:ならば,チャレンジだ! ……絶対失敗の出目
語り部:あははは。その場合,ランダムな何かが呼び出される。サイコロ2度振って
魔術師:なんでこんなレアケースに,そんな丁寧な表を用意してるんだ。ヒマか。……げ,絶対失敗がさらに2度重なった
語り部:ありゃあ。それだと,異界から恐ろしい吠え声がとどろくねえ。コントラバスの音を逆回転させたものにいろいろと混ぜたような
魔術師:……そ,それは放射能の炎を吐く怪獣王の鳴き声でわ。危険すぎないか。著作権的な意味でも
語り部:だいじょうぶ,名前をはっきり言わなければ怖いことにはならない
戦士:そうか,ゴ■ラって言わなきゃ大丈夫なんだ
魔術師:うわーっ!
語り部:召喚の魔術って相手の名前をはっきり口にすることで発動するんだよね。出現するよー


 ときおり,ファンタジー世界にもSF的な概念が登場することがあります。異界は異界でも“星の世界”――すなわち宇宙ですね。ファンタジー世界には,大地が一つきりで,その周りを太陽や月,星がめぐっている天動説を採用するものもありますが,宇宙に惑星が浮かんでいる地動説であることも少なくありません。例えば「ソード・ワールド2.5」のラクシアは,「球形の惑星」と明言されています。
 テーブルトークRPG「ファンタズム・アドベンチャー」の舞台である惑星モノカンもその一例ですね。そしてこの作品には,テーブルトークRPG史上,最も奇妙な外見を持ったプレイアブル種族が登場します。その名はタフィボーゼ。宇宙からやってきたと明言されている種族です。腕も足も三本,三角形に配置されています。我々とは胴体の上下が逆転しており,排泄口が上に,そして頭部は股間にあります。頭部といっても,巨大な眼球ですが。

 かつては星を渡るほどの科学力を備えていたタフィボーゼですが,魔法の惑星であるモノカンに辿り着き,長らく住み着いた現在,文明的にはかなり退行しています。ですが,魔法が大嫌いという文化を未だ受け継いでいることに独特な見た目も相まって,ほかの種族からは孤立しがちだとか。……ここまで異質だと,どうロールプレイすればいいのやら,という戸惑いが先に立ってしまい,私の周辺ではプレイヤーキャラクターとして選ばれたことがありません。
 そもそもこの「ファンタズム・アドベンチャー」,および後継作である「アドバンスト・ファンタズム・アドベンチャー」は,プレイアブル種族の多様さで著名な一作でもあります。トレントやガーゴイル,マンティコア,ユニコーンなどのモンスターっぽい種族だってプレイできてしまいます。ガスを体内にたくえわて中に浮かんでいるスライム“エアリアル・スラッジ”なんかも異色ですね。筆者がかなり影響を受けた作品でもあります。

 宇宙からやってきたといえば,皆さん大好きなクトゥルー神話の神々やその眷属も,多くは宇宙からの来訪者です。「神話」というくらいですから,ホラーであると同時にダークファンタジーとして読むこともできます。Clark Ashton Smith(C.A.スミス)の作品などは,太古や超未来を舞台とする完全なファンタジーですが,神々の出自として,遠い星々の彼方がよく使われます。
 宇宙まで行かずとも,身近な異界として人の手の届かない地底や海底といったものもありますね。クトゥルーの神々も,しばしばそのあたりに居をかまえていたりします。クトゥルー神話に登場するクトーニアンが元ネタともされる,D&Dの有名敵対種族・マインド・フレイアー(またの名をイリシッド)の生活圏は地底ですが,ヤツらも来訪者に含めていいでしょう。次元を超えてさまざまな世界に移動する種族ですし。頭足類めいた頭部に人型の胴体を持ち,その名のとおり,超能力によって他者の精神を破壊して餌にする恐るべきモンスターですが,過去の版を遡れば,プレイヤーキャラクターとして使用できたこともありました。



かくりよとうつしよのマレビトたち


サンセットゲームズの「ゆうやけこやけ」もまた,妖怪をメインで扱ったテーブルトークRPGの一つです。タイトルどおり,大分ほのぼのですけど(リンクはAmazonアソシエイト)
画像(006)「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる
 魔神は「ほかの神話の神々がおとしめられたもの」という話をしましたが,日本の妖怪変化にもまた,そういう側面があります。かの柳田國男は,「妖怪談義」で「妖怪は神が零落したもの」という考えを示しました。妖怪達が住む世界を,「かくりよ」と称される現実世界のすぐ隣の不思議な世界と設定する作品も多くあり,そういう意味では妖怪もまた異界からの来訪者――デーモンといえましょう。
 妖怪の登場するフィクションは,現代の日本における妖怪のイメージを形作った「ゲゲゲの鬼太郎」を筆頭に,枚挙にいとまがありません。なにせ多岐にわたりすぎるので,妖怪だけでもう一度このシリーズが最初から書けてしまえそうなほど。

 妖怪はゲームにも,さまざまな形で登場します。妖怪をプレイできるテーブルトークRPGとしては,「ガープス」の日本オリジナル背景世界の一つ「妖魔夜行」と,その後継作「百鬼夜翔」を挙げたいですね。この世界における「妖怪」は,「こういう怪物がいるんじゃないか」「こういうお化けがいるといいな」という,人のさまざまな想いが積み重なって生まれてくるもの,とされています。これだと,あまり来訪者らしくはありませんけど。
 ただ,第1シリーズである妖魔夜行の締めくくりとなる小説「戦慄のミレニアム」では,妖怪が生まれてくる過程をダークマターやダークエネルギー,シャドウユニバースと関連付けた疑似科学的な解説がなされており,この設定を事実と捉えるなら,異界からの来訪者に括ることも可能です(どう考えるかは読者にゆだねられています)。

2019年末に発売されたばかりの「異世界転生RPGサンサーラ・バラッド」は,転生チート専用のテーブルトークRPG。さまざまな特殊能力が“チート”としてデータ化されています(リンクはAmazonアソシエイト)
画像(007)「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる
 さて,妖怪がやってくるのが「かくりよ」なら,我々の住む現実世界は「うつしよ」ということになります。漢字で書くと「幽り世」と「現し世」ですね。これらは表裏一体で,互いが互いにとっての異界と言えます。そして,これはファンタジー世界と現実世界においても同じこと。剣と魔法の世界において,昨今もっとも猛威をふるっている来訪者というのなら「現実世界から転生,あるいは召喚されてきた人間(チート性能つき)」なんじゃないでしょうか。例を挙げようにも絞りきれないくらいで,もはや一つのジャンルとして確立した感もあります。
 ただ,こうした転生者/召喚者は,ファンタジー世界における「人間」とは明らかに異なる存在ですが,固有の文化を持って繁殖しているというわけではないので「種族」と呼んでしまって良いものか微妙なところ。こうした存在をサポートするタイトルでも,種族ではなく「クラス」として扱われることが多いようです。


君の宇宙語は分かりにくい


 バラエティに富みすぎていることもあって,来訪者の演じ方を一口に説明するのはなかなか難しいところではあります。ですが,

  • 異質感を醸し出す。
  • 善と悪について考えてみる。

この二つは,大きな要素なんじゃないでしょうか。前者は異種族全般に言えることではありますが,彼らの場合,“世界そのもの”に対する異物であることがポイントです。その世界の人間からすると,エルフやドワーフは異質かもしれませんが,それでも“世界の内側”にある存在です。しかしデーモンをはじめとした来訪者は,“世界の外側”からやってくるわけです。プレイヤーキャラクターである以上,完全にコミュニケーション不可能では困るわけですが,どこか本質的なところで「食い違っている」感が出せるといいですね。

海外ドラマ「ストレンジャーシングス」に登場した怪物・デモゴルゴンは,“裏側の世界”からやってきた,まさに来訪者でありました。その名称は,主人公達が作中で遊んでいたD&Dに登場する,超強力なデーモンの名前から引用されています
画像(008)「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる

 簡単なのは「その世界の基本的な常識に欠けている」アピールでしょうか。どこにでもころがっていそうな品物について「それはなんだい?」と尋ねてみたり,舞台となる世界では当然のふるまいに「君達は面白いことをするねえ」と感心してみたりなどですね。また感情がちぐはぐだったり,名誉の概念が違ったりしても面白いでしょう。
 こういった演出をするときに注意すべきは,「異種族感を演出するためにワザとやっている」ことを,事前にほかのプレイヤーに伝えておくことです。演出でやってるのだと理解してもらわないと「単なる天然ボケの人」とか「会話で絡みづらいひと」みたいになってしまいますから。

 異なる世界からやってきたことを表現するとき,難度は高いけど,うまくハマると盛り上がるのが「倫理観」――すなわち「何が善で何が悪か」という価値観の相違だと思います。うかつに深いところにいくと,戻ってこれなくなるテーマですから,適切なところで引き返せる範囲でやりましょう。
 かつて「ウルトラマン」の第2話「侵略者を撃て」で,「私の友人や警備員や防衛隊の人々の生命を奪ったのはなぜか」とハヤタ隊員が問うたとき,かのバルタン星人は「生命? 分らない。生命とは何か」と答えました。これなんか,強烈に「異質な存在」をかもしだすやり取りですが,プレイヤー側がやると恐らく10分も保たずに行き詰まると思います。
 しかし敵役として登場した魔神に,「魂? 信頼? 理解デキナイ概念だ」などと平板な抑揚でしゃべらせると,「こりゃ,交渉とか無理だな」と問答無用で戦闘に入ることができます。まあ,たまに現実にもこういう……げふんげふん。

画像(011)「異世界Role Players」第11回:異界からの来訪者〜ヤツらは世界の外からやってくる

 さて,まる1年にわたってお届けしてきたこの連載も,次回でひとまずの最終回を迎えることになります。というわけで,3月31日掲載の次回は,これまでの分類に含まれなかった,さまざまな種族についてご紹介していこうかなと。最後までよろしくおつきあいのほど,お願いいたします。

■■友野 詳(グループSNE)■■
1990年代の初めからクリエイター集団・グループSNEに所属し,テーブルトークRPGやライトノベルの執筆を手がける。とくに設定に凝ったホラーやファンタジーを得意とし,代表作に「コクーン・ワールド」「ルナル・サーガ」など。近年はグループSNE刊行のアナログゲーム専門誌「ゲームマスタリーマガジン」でもちょくちょく記事を書いています!(リンクはAmazonアソシエイト)
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