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チームワークと協調性で,新しいメンバーと新しい作品を作る。「Project Prelude Rune」を発表した馬場英雄氏へのインタビュー
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印刷2017/03/18 00:00

インタビュー

チームワークと協調性で,新しいメンバーと新しい作品を作る。「Project Prelude Rune」を発表した馬場英雄氏へのインタビュー

Project Prelude Rune
 こちらの記事でお伝えしたように,スクウェア・エニックス・ホールディングスの100%子会社であるスタジオイストリアの発足と,同スタジオが手がける新規IP「Project Prelude Rune」が,2017年2月21日に発表された。

 今回4Gamerは,スタジオイストリアの代表取締役を務める馬場英雄氏に,スタジオ設立の経緯や「Project Prelude Rune」のコンセプト,そして自身が考えるゲーム開発に対するアプローチなどについて聞いてみたので,その模様をお伝えしよう。


新しい環境で,自分が何を生み出せるのかを確かめたかった


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。さっそくですが,スタジオイストリア発足の経緯から教えてください。

Project Prelude Rune
馬場英雄氏(以下,馬場氏):
 そもそものきっかけは,私が40代半ばとなり,今後いつまでクリエイティブな仕事ができるのか……と考えるようになったことです。
 もちろん前職で手がけていた大きなIPを引き続き成長させていく選択肢もありましたが,一方で後進にバトンを渡し,自分自身はゼロからの新しいチャレンジをスタートさせるのもいいだろうと思っていました。

4Gamer:
 馬場さんは前職でもゲーム開発に留まらず,さまざまなチャレンジをしていた印象があります。

馬場氏:
 はい。大規模なファンイベントやオーケストラコンサートの開催,カフェやアパレルメーカーといった,それまでにはあまり見なかった他業種とのコラボレーションなどにも取り組み,新作発売前の数か月間,全国体験会などの行脚も続けました。プレイヤーの皆さんとできるだけ一緒に楽しみたいという想いから,さまざまなチャレンジを続けてきたんです。

4Gamer:
 そういったチャレンジを続けてきたのはなぜでしょうか。

馬場氏:
 同じゲームのプレイヤーが同じ空間に集まって,思う存分コンテンツへの愛を語れる場を提供したいと思っていたからです。「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」といったシリーズであれば,自然と「今,どこまで進んでる?」みたいな会話が生まれますよね。
 一方,そのタイトルが大好きだけど,周りの友達とそういった会話がなかなかできないという方々もいるので,こちらからその環境を作ってあげたいという思いがありました。さらに“ゲームをプレイヤーに届けたら終了”ではなく,発売後もそうやってプレイヤー同士がゲームについて会話できる場を作りたいという気持ちを持っていたんです。

4Gamer:
 「リリースした後が大事」ということは,ここ数年のゲーム開発で盛んに言われていることですね。

馬場氏:
 そうやってチャレンジした結果,プレイヤーの皆さんが好きなコンテンツを思う存分楽しみ語り合える場所を作り上げることができて,若い人たちに道を譲ろうと思えるようになりましたし,やはり新しい環境に身を置いてみたいという思いも強かったので,スクウェア・エニックスの門を叩いたわけです。

4Gamer:
 そして2月には,馬場さんが代表を務める新会社,スタジオイストリアの発足が発表されました。

馬場氏:
 スクウェア・エニックスからは,私がこれまで培ってきた知識と経験を活かし,若い才能の育成まで含めた新規事業として,新しいIPを立ち上げてほしいと打診されました。
 そこで,新会社を立ち上げて“新規IPを作る集団”ということを内外に打ち出し,さまざまな人材を集めてコンテンツ開発に取り組むことになったんです。

4Gamer:
 スクウェア・エニックスは,ドラゴンクエストやファイナルファンタジー以外にも多くの人気シリーズがあって,ゲームクリエイター,とくにRPGを手がける人であれば「一度は働いてみたい」という場所かもしれません。ただ,その分求められるものやプレッシャーも大きくなると思います。馬場さんほどの実績を持つ人であれば,ほかにも選択肢はあったと思うのですが,スクウェア・エニックスを選んだのはなぜでしょうか。

馬場氏:
 私にはコンシューマRPGへの強いこだわりがありますので,もし新たなチャレンジをするなら,コンシューマ機向けの新しいRPG,それも日本人独特の感性で作り上げるJRPGを作れる環境でスタートしたいと思っていました。
 また,スクウェア・エニックスにはコンシューマやスマートフォンなど,さまざまなプラットフォーム向けにRPGを開発しているチームがあります。そのメンバーと開発のアプローチや技術面での試行錯誤といったことで,積極的に情報交換ができそうだというところも魅力でした。

4Gamer:
 スクウェア・エニックスのノウハウを活かしつつ,新しいJRPGを作りたいと。

馬場氏:
 スクウェア・エニックスの企業理念に「最高の『物語』を提供することで,世界中の人々の幸福に貢献する」とありますが,私が手がけてきたタイトルも,物語やキャラクターの成長といったことを大事にしてきましたから。
 これからは多くのベテランの皆さんと共に戦えるわけですから,そこで私自身に何が生み出せるのか,すごく興味があります。

4Gamer:
 不安よりも期待のほうが大きいわけですね。

馬場氏:
 これまではドラゴンクエストやファイナルファンタジーといった,それこそ雲の上の存在を追いかけていましたから,どうやったら近づけるのか,近づくのが難しいようなら,いかにして独自性を作り出していけるかを考えてきました。
 しかし今回,スクウェア・エニックスに入り,さまざまな方と話していく中で,長く続いてきたシリーズならではの,外からは見えない悩みや苦労があることや,私の経験と同様に皆さんも深い試行錯誤をしていることを改めて知りました。それによって,私自身のRPG作りに対するアプローチも影響を受けています。

Project Prelude Rune

4Gamer:
 “雲の上の存在”を作っていた人たちの話を聞けるのは,確かに大きそうです。

馬場氏:
 スクウェア・エニックス社内のスタッフ一人一人が,自分の作っているコンテンツに対して深い思い入れや高いプロ意識を持っていますね。そのせいか,IPやチームの間には,互いに認め合う仲間であると同時にライバルでもあるという空気があるように感じます。
 私はまだ入社して半年しか経っていませんから,深いところまで知っているわけではありませんが,言葉に出さずとも「どうやってプレイヤーに楽しんでもらうか,ゲームに携わる者として,いかに自身の目標を達成するか」と,互いに切磋琢磨している雰囲気をヒシヒシと感じます。

4Gamer:
 新しい場所で,いろいろと刺激を受けているようですね。

馬場氏:
 入社してからしばらく,私の席は社長室の前にあったんですが,毎日夕方になると社長の松田(松田洋祐氏)が,決まってどこかに行くんです。どこに行っているのだろうと不思議に思い,ある日聞いてみたら,開発が佳境を迎えていた「FINAL FANTASY XV」をプレイしに行っているというんですね。
 「社長自ら自社のゲームに触っている」ということには,新鮮さを感じるとともに「凄い」と思いました。

4Gamer:
 馬場さんはこれまでも大きなチームを率いていたわけですが,今回,会社の代表となりました。何か気持ちのうえでの変化はありましたか。

馬場氏:
 まったくありませんし,ゲーム作りの基本的なスタンスを変えるつもりもないです。これまでと同じく,ディレクターや各パートのリーダーと信頼関係を築き,任せるところは任せて,スタッフと話し合いながら一つ一つ決めていきます。
 もちろん,一つの会社を運営していくにあたって,いろいろ考えることは増えましたが,私としては,新しい環境に飛び込んだからこそ体験することになった,ゲーム開発とは別のチャレンジの一つとして受け止めています。


アニメティックな表現で“正義”を描く


4Gamer:
 それでは「Project Prelude Rune」について聞かせてください。発表直後で話せることは少ないと思いますが,差し支えない範囲で,どんなゲームものになるのか教えていただければと。

馬場氏:
 スクウェア・エニックスにはさまざまなRPGシリーズがありますが,たとえばアート面でいうと,「ファイナルファンタジー」はフォトリアルを標榜し,「ドラゴンクエスト」は鳥山 明先生独特のタッチで世界を描いていて,「KINGDOM HEARTS」は,まさしくディズニーの世界を再現しています。
 そうした中で,私の強みとなるのは“アニメティック”な表現なので,ここを軸に「Project Prelude Rune」を作っていきたいと考えています。なので,絵作りの部分で試行錯誤しています。

Project Prelude Rune

4Gamer:
 “アニメティックな表現”とは,どのようなものでしょうか。

馬場氏:
 最近のゲームの主流は3Dグラフィックスですが,その空間には,プレイヤーが脳内で補完する要素があまりありません。目に入ってくる情報がほとんどありのままになりますよね。
 2Dのドットグラフィックス時代は脳内で補完する楽しみがありましたが,3Dグラフィックスの,とくにリアリスティックを標榜するタイトルだと,たとえば現実社会にあるものが普通に登場し,プレイヤーはそこに描かれているロゴや情報を見て,現実世界と同じように「この世界にはそういう会社や商品があるんだな」と理解するわけです。つまりよりリアルな世界の認識です。

4Gamer:
 プレイヤーはゲームの情報をほぼそのまま受け入れると。

馬場氏:
 そういうことです。そういったリアルな3Dグラフィックスの表現を使ったゲームが主流になっていく中,私達は3Dではあるけれどアニメティックな表現で,あたかもプレイヤーがアニメやコミックの世界でロールプレイしているかのような空間を作り出そうと考えています。

4Gamer:
 馬場さんは,そうした表現を使ったゲームを長らく手がけてきましたが,何かこだわりがあるのでしょうか。

馬場氏:
 日本人の国民性やオリジナリティを考えたとき,何が一番得意で強みになるのかを考えた結果です。
 たとえばアメリカでは,映画の料金が数ドルですから,比較的気軽にハリウッド映画を観られます。身近に強力な映像エンターテインメントがあり,それに触れながら育てば,一番慣れ親しんだ表現はそれに近くなるでしょう。
 一方日本では,テレビをつければたくさんのアニメが無料で放送されており,さらには多種多様なマンガが雑誌で楽しめます。つまりアニメやマンガ的な表現に慣れ親しんで育った人が多いはずです。

4Gamer:
 確かに,日本には“国民的アニメ”と呼んでいい作品がいくつもありますね。

馬場氏:
 国によって育った環境や,影響を受けたコンテンツがまったく違うわけですから,日本でゲームを開発するにあたっては,日本人が慣れ親しんできたアニメやコミックを大事にした方がいいんじゃないか,という思いがあります。そして,そうやって作ったメイドインジャパンのコンテンツを,国内だけでなく海外にも届けていく。それが私の根本的な考え方です。
 この考え方には「古い」という批判もあるでしょうが,たとえそうであっても,日本人らしさを打ち出せて,かつ新しい要素をきちんと入れていれば,それでいいんじゃないかと。つまり温故知新ですね。

4Gamer:
 無理にすべてを新しくする必要はないと。

馬場氏:
 結局は作法の話だと思うんです。今,世界的にRPGはオープンワールドの作法が主流ですが,私達はアニメやコミックをベースにした,クラシックかもしれませんが自分達の強みを最大限発揮できる作法でRPGを作りたいと思います。

4Gamer:
 分かりました。
 ただ,スタジオイストリアの公式サイトなどで公開されている「Project Prelude Rune」のコンセプトアートは,極めてハイファンタジー然としていますよね。これがどのようにアニメティックな表現とつながるのか,非常に気になります。

Project Prelude Rune Project Prelude Rune

馬場氏:
 コンセプトアートは,FFシリーズでおなじみの上国料(スクウェア・エニックスの上国料 勇氏)に描いてもらいました。上国料からは,私の構想に沿ってアニメやコミックのようなテイストにしようかという提案もあったのですが,逆に「むしろ“上国料節”を前面に出してほしい」とリクエストしたんです。
 そもそもコンセプトアートとは,チームのスタッフやプレイヤーの皆さんに「こんな雰囲気,こんな世界観を持つゲームを構想しています」ということを伝えるためのものですから,実際のゲームの絵作りとは違います。それはしっかりお伝えしておきたいです。

4Gamer:
 上国料さんの提案とは逆に「“上国料節”で」とリクエストしたのは,先ほどおっしゃっていた,スクウェア・エニックスのスタッフとの交流によって生まれるものを見たかったから,ということでしょうか。

馬場氏:
 その通りです。繰り返しますが,私が入社するにあたって一番楽しみだったのは,私自身のコンテンツ作りに対する考え方と,スクウェア・エニックスで活躍してきた皆さんのRPGに対するアプローチが融合したときに,どんなゲームができるのかということでした。
 ですから今回のコンセプトアートでも,上国料の持ち味をそのまま活かして,私が今イメージする冒険の世界を描いてもらいました。ドラゴンがいて,キャラクターをこう配置して,神秘的なイメージを強調するためにオレンジや黄色を乗せて……と打ち合わせを重ねて,上国料からの提案もたくさんありました。

4Gamer:
 楽しみにしていたことが,さっそくできたわけですね。

馬場氏:
 上国料は「ここまで細かくアイデアや構図の提案を受けたのは初めてなので,すごく新鮮」と言っていましたが,私が一番嬉しかったのは,「馬場さんと一緒に絵作りをして楽しい,大切なことを改めて気付かせてくれた」と言ってくれたことです。

4Gamer:
 コンセプトアートに添えられたテキストの中に,「幾つもの人々」や「懸命に生きる“正義”」といった文言があります。これを見て,それぞれの“正義”がぶつかりあって国が二分されるといった,最近クローズアップされてもいる現代社会の問題を思い浮かべたのですが,「Project Prelude Rune」がそういったものとリンクする部分があるのでしょうか。

馬場氏:
 リンクするところは確かにあります。今シナリオを作っている最中ですが,スタッフには,現実世界を生きるプレイヤーの応援歌となるようなメッセージを打ち出したいという話をしていますから。
 “正義”とは,清らかで強い一方,すごく曖昧な言葉です。なぜなら,おっしゃったように,立場によって何が正義かは全然変わってしまうからです。それぞれの立場における正義とはどんなものなのか。もちろん私の中にも答えはありませんが,それをキャラクター達と一緒に冒険をしていく中で,描きたいと強く思っています。

4Gamer:
 ゲームを通じてプレイヤーに「正義とは何か」ということを考えてもらうと。

馬場氏:
 はい。そして「幾つもの人々」は種族を意味する一方で,考え方のわずかな違いやズレから生ずるキャラクター達の誤解や疑念,邪心などを示しています。
 もちろん,「Project Prelude Rune」を通じて「正義とはこういうものだ!」という一つの答えを押しつけるつもりはありません。繰り返しですが,ゲームを遊んだ皆さんそれぞれが「正義ってこういうものなんじゃないかな」と思ってくださるような物語を目指しています。

4Gamer:
 コンセプトアートの中にも,二人のキャラクターが互いに背を向けている構図のものがありますよね。コンセプトアートとしては珍しいタイプだと思ったのですが,今のお話であの絵の意図がよりハッキリしたように思います。

Project Prelude Rune

馬場氏:
 まだ構想中のアイデアで確定した設定ではないのですが,あの絵は幼い頃から兄弟もしくは兄弟のように,同じ価値観で仲よく育ってきたと“思っていた”二人を描いています。
 彼らが思春期を迎え,それぞれに異なる正義が芽生え始めて,お互いを否定するわけではないが,それぞれの信じた道を進むというようなドラマを描きたいんです。それで一方は馬に乗って,もう一方は自分の足で歩き,一方には光が当たり,もう一方は暗いトーンにするといったように,対照的な表現を試みています。

4Gamer:
 二人がどこへ行こうとしているのかも気になります。

馬場氏:
 彼らが歩む先には,選択とその行動の結果として,異なる未来が待ってると思います。それがどのようなものになるかは決まっていませんが,私達の人生にも,こういうことがあると思うんです。仕事にしても,友達付き合いにしても。

4Gamer:
 「幾つもの人々」には,異なる正義を信じて進むキャラクター達それぞれの群像劇という意味合いもあるのでしょうか。

馬場氏:
 それはもちろんです。私達は,どうしても自分に起こったことしか知り得ません。たとえば私が今日この時間まで,どうやって過ごしてきたかは,私以外誰も知りませんし,私も,この場にいる皆さんがどのように過ごしてきたか分かりません。
 ただ,皆でこうやって集まり,会話をしていくうちに「そんなことがあったんだ」となることもある。そういった人同士の理解や出会い,そして別れは,すべてドラマです。「Project Prelude Rune」では,普段の生活の中では気に留めないようなところで,ふと足を止めて考えるような物語を描ければと思っています。

Project Prelude Rune


ゲーム開発で最も大切なのはチームワークと協調性


4Gamer:
 「Project Prelude Rune」の発表に合わせて,スタジオイストリアのスタッフ募集も開始されました。職種ごとに求められるスキルは別として,馬場さんの考える「ゲームクリエイターに共通して必要な資質」を教えてください。

馬場氏:
 私が一番大事にしたいのは,チームワーク協調性です。さきほどから交流によって新しいものを生み出すという話をしているように,高い技術力やセンスをぶつけ合うことも大切なんですが,そのうえで,最終的にはチームが決めた方向を向いてもらいたいんですね。
 重要なのは,それぞれの考えを持ちつつも,コミュニケーションによってチームとしての意識を持つことです。それが信頼関係や絆となり,言葉にしなくてもお互いのことが分かるチームとなっていくはずです。

Project Prelude Rune

4Gamer:
 皆の目指す方向を把握し,そこに邁進できる人材,という感じでしょうか。

馬場氏:
 はい。それぞれ考えるところはしっかりと出しつつも,チームとしての意見が決まった後は,その中で自分のクリエイティビティを最大限発揮してもらいたいです。

4Gamer:
 そういったことは確かに必要だとは思いますが,クリエイターにとって,自分の考えを飲み込んでほかの意見に従うというのは,そう簡単なことではないですよね。

馬場氏:
 現在ののゲーム開発では膨大な開発費がかかるため「んー,これじゃない!」などといいながら,作っては壊し作っては壊し……という方法は取れません。今ほど開発費がかからなかったファミコン時代はそれも可能でしたが。
 その意味でも,ちゃんと仕様を切り,話し合って方向性を決めるということを,信頼できる仲間達とやりたいです。

4Gamer:
 以前,あるゲームクリエイターの方が,馬場さんについて「本来新入りがやらないといけない仕事でもやるし,自身に関係ない場所が散らかっていても片付けるし」と褒めていたのを覚えているんですが,今の話を聞いて,すごく腹に落ちたというか……。

馬場氏:
 自分でいうのはおかしいかもしれませんが,何というか,きちんとしていたいんですよね。散らかっているのを見たりすると,気になっちゃうんです。でも「片付けろ」と怒るのではなくて,自分が率先して片付けるという行動で周囲を動かしたい,と考えています。

4Gamer:
 無理やり人を引っ張っていくわけではないんですね。ゲームのプロデューサーやディレクターというと,強烈な個性でチームをグイグイ引っ張っていくタイプが思い浮かぶので,馬場さんの“調和型”はちょっと意外でした。

馬場氏:
 もちろん「こういうことをやろう」という全体の旗振りはしますが,スタッフにそのときどきの判断力を養ってほしいので,任せるところは任せています。
 たとえばシナリオライターとは「こんな世界で,こういうキーワードがあって」といったことを最初に伝えたら,あとは任せてうまくシナリオに落とし込んでもらい,それを今度はチームの皆と話し合って修正していくという方式を取ってきました。
 もちろん,逐一指示を出すやり方もありますが,私には,皆と一緒に作っていきたいという思いがありますから。

4Gamer:
 さきほど,「Project Prelude Rune」では,若い才能の育成まで任されているという話がありましたが,馬場さんの考える人材育成はどのようなものでしょうか。

馬場氏:
 人間はそれぞれに性格や育ってきた環境が違いますから,一つのアプローチで対応してしまってはダメだと思います。まずはその人の考え方やしゃべり方の癖,「こういったら,こう返事するだろう」といった部分を見出すことが必要ですね。
 また,その過程では,私のほうからやる気を削がないようなコミュニケーションを取ることも重要です。そうやってその人の得意なところを引き出し,不得手なところを「こうやってみたらどう?」といった形でフォローするという感じで,相手によって少しずつコミュニケーションの方法を変えます。そういったコミュニケーションの中で,自分自身の目標をチームワークの中で見出して,ステップアップしてほしいと思っています。

4Gamer:
 決まった方法があるわけではないと。

馬場氏:
 そうなんです。私自身は体育会系のハッキリした上下関係が好きなので,会社の組織でいうと,少し緊張感のある営業部の雰囲気が結構馴染むんですよ。
 ただ,ゲーム開発のようなクリエイティブな職場になると,それでは通用しません。すごい技術を持つ反面,繊細な人も少なくないですから,「この人には,こういう話し方のほうがいい」など,それぞれに対する付き合い方を考える必要があります。

4Gamer:
 いろいろな個性や考えを持ったメンバーをまとめていくことも,「Project Prelude Rune」で描くテーマと重なっていくような気がします。それでは最後に,4Gamer読者へのメッセージをお願いします。

馬場氏:
 このたびスタジオイストリアおよび「Project Prelude Rune」を発表できました。まずは私を含め,スタジオイストリアがチームとして新しく手掛けるIPにご期待頂きたいです。皆さんのご期待に添えるようなコンテンツを作り出すべく,注力していきたいと思っておりますので,ぜひスタッフ達を応援してあげてください。私も新しいチャレンジにまい進していきたいと思います。

 「Project Prelude Rune」はゼロスタートのプロジェクトです。なので,ゲーム業界の中で頑張っているクリエイターの皆さんで次のステップに進みたい,新しいチャレンジをしたい,新しい自分の可能性を見出したいという思いが強いのであれば,活躍の場はたくさんあります。
 今回のインタビューを読んで私たちの取り組みに共感していただき,私達と一緒に,チームワークや絆を重んじながら,楽しくゲームを作りたいと思っていただけたのなら、ぜひ私達にご連絡ください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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