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[TGS 2018]SteamのAAAタイトルが動くポータブルゲームPC「SMACH Z」は想像の斜め上をいくマシンだった
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印刷2018/09/21 00:00

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[TGS 2018]SteamのAAAタイトルが動くポータブルゲームPC「SMACH Z」は想像の斜め上をいくマシンだった

Oscar De La Torre氏(Production Manager, SMACH)
画像集 No.002のサムネイル画像 / [TGS 2018]SteamのAAAタイトルが動くポータブルゲームPC「SMACH Z」は想像の斜め上をいくマシンだった
 東京ゲームショウ2018にスペインのSMACHが初出展を果たした。そう,AMD製APU「Ryzen Embedded V1605B」搭載のポータブルゲームPC「SMACH Z」のメーカーだ。ブースにあったのは静態展示だけで,動作する個体はなかったのだが,SMACH Zのプロダクションマネージャーを務めるOscar De La Torre(オスカー・デ・ラ・トーレ)氏(以下,Oscar氏)に,SMACH Zのコンセプトや今後についていろいろ聞いてみると,想像を超える回答が得られたので,実機写真ともども,入手した情報をお伝えしてみたい。

SMACH Z
画像集 No.003のサムネイル画像 / [TGS 2018]SteamのAAAタイトルが動くポータブルゲームPC「SMACH Z」は想像の斜め上をいくマシンだった


SMACH ZはメモリモジュールやSSDどころか,マザーボードすら交換可能!?t0


 まずはその名称だ。よく知られているとおり,SMACH Zはもともと「Steamboy」という名前でKickstarterキャンペーンに登場したわけだが,なぜSteamboyからSMACH Zになったのかについて聞いてみると,氏からは「そもそもSteamboyは計画名であって製品名ではなかった。製品化にあたって与えたのがSMACH Zという名称だ」との答えが返ってきた。

 SMACHというのは会社名でもあるのだが,SMACHの「S」はSteam,「MACH」はスペイン語のmáquinaを英語読みしたmachina(マキナ)の頭4文字を取ったもので,すなわちmachineだ。つまりSMACHとは「Steam Machine」の意味なのである。なら「Z」は? というと,とくに意味はないとのことだった。「ドラゴンボールZ」みたいなものか(?)。

 続いてはコントローラ周りだが,SMACH Zのゲームパッド部は「Steam Controller+α」的な仕様になっているそうだ。Oscar氏いわく「Stream Controllerは仕様が公開されているので,『セットアップ』はSteam Controllerのものを採用している。ただしコンポーネントは我々独自」とのこと。
 とくに特徴的なのはSteam Controllerだとシングルッチ対応のがマルチタッチ対応になっているところで,SMACHではマルチタッチに追加の操作を割り当てることができるという。

SMACH Zの製品イメージ。大きな2つのタッチパッドは「Z-Pad」と言うが,いずれもマルチタッチに対応するそうだ
画像集 No.008のサムネイル画像 / [TGS 2018]SteamのAAAタイトルが動くポータブルゲームPC「SMACH Z」は想像の斜め上をいくマシンだった

別売りZ-Padの例
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 また,タッチパッド部を交換できるのもポイントで,Steam Controller的な操作が不向きなタイトルをプレイするときは,別売りのD-Pad(=十字キー)やアナログスティック,ボタンユニットを取り付けることも可能である。

Z-Padをいろいろ入れ替えたイメージ。いずれも一例だ
画像集 No.010のサムネイル画像 / [TGS 2018]SteamのAAAタイトルが動くポータブルゲームPC「SMACH Z」は想像の斜め上をいくマシンだった 画像集 No.011のサムネイル画像 / [TGS 2018]SteamのAAAタイトルが動くポータブルゲームPC「SMACH Z」は想像の斜め上をいくマシンだった

 入力系についてはもう1つ「ゲーマー向け小型PCというコンセプトが同じGPD WINシリーズはキーボードを搭載するが,その点はどう思うか」と聞いたところ「SMACH ZはUSBにもBluetoothにも対応しているので,キーボードを差して利用したければ利用できる。SMACH Zではあくまでも,ポータブルゲーム機の使い勝手を優先した」との回答が得られたことも付記しておきたい。いにしえの「ゲームギア」みたいなものを想像しているとびっくりするくらい大きなSMACH Zだが,その大きさも画面の見やすさと持ちやすさを優先したためだそうだ。

ちなみにSMACH Zのコンセプトは意外にもSteam Controllerから得たとのこと。言われてみれば,ゲームギアやAtariの「Lynx」から着想を得ていたら,このサイズにはなっていなかったかもしれない
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SMACH ZマザーボードのCG。メモリモジュールは交換可能だ。ちなみに2基のバッテリーパックも交換できるとのこと
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 また,内部のハードウェアについては,さまざまな情報が明らかになった。まず,SMACH ZのDDR4 SO-DIMMモジュールとM.2 Type 2242仕様のSSDモジュールはいずれもエンドユーザー側で交換できる。SMACH Zは筐体のカラーを変えるオプションを用意しているのだが,カラー変更時と同じように筐体を開けると,SO-DIMMスロットやM.2スロットへアクセスできるそうだ。
 SMACHは現在のところ,メインメモリ容量やストレージ容量,カメラの有無で3つのBTO標準構成を用意しているが,少なくともメインメモリ容量とストレージ容量はあとからなんとかすることもできるというわけである。

BTOのベースモデル3製品中,下から2つのスペック概要。最上位モデルは「SMACH Z PRO」のメインメモリ容量(※16GB)およびストレージ容量(※256GB)強化板となる
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 そして,より衝撃的な事実として,SMACH Zは将来的にマザーボードを交換できるようになるという情報が得られたことをお伝えしたい。
 下の写真はSMACHが2018年3月に公開したもので,これを見るとSMACH Zは2枚の基板で構成されているのが分かると思うが,写真左手前のマザーボードを全取っ替えすることで,SMACH Zは異なるコンピュータに“化ける”というのだ。

SMACH Zの内部基板。左手前がマザーボード,右奥がインタフェース類の載るサブボードだ
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 これは筆者(=佐々山薫郁)が「そもそもRyzen Embedded V1605Bを採用した経緯は?」という質問の回答として得られたものだ。直接の回答は「CPUとGPU,チップセットを統合し,15Wという(SMACHの想定する)TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)におさまる1チップのSoC(System-on-a-Chip)ものがRyzen Embedded V1605Bだった」というものなのだが,Oscar氏はそれに続けて「たとえばIntelのCPUを採用するとなると,GPUにはNVIDIA製のものを組み合わせることになるだろう。あるいは(そもそもPCというフォームファクタにこだわらなければ)Tegraなど(のArm系プロセッサ)も考えられる。なので,2年後くらいからになると思うが,交換用マザーボードの提供を開始すべく動く」と述べていたのである。

 氏によると,SMACH Zの基板はプロセッサが載るマザーボードと,I/Oインタフェースの載るサブ基板とがあり,現時点ではマザーボードのほうを交換できるよう計画になっているという。もちろん,2年後に「Intel製CPUとNVIDIA製GPUを搭載して総TDP15W」という構成が現実のものになっているという話ではなく,スケジュール感はあくまでもOscar氏による推測なので,その点に注意してほしいが,それにしても壮大な計画である。

※お詫びと訂正
初出時,「SMACHの想定する消費電力が50W」と記載していましたが,これは筆者の聞き取りミスで,正しくは15Wでした。お詫びして訂正します。


 Oscar氏はSMACH Zを「オープンプラットフォームのゲーム機」と位置づけていたが,どちらかというと「将来にわたって遊び続けられるガジェット」感が一気に強まったように思う。

画像集 No.012のサムネイル画像 / [TGS 2018]SteamのAAAタイトルが動くポータブルゲームPC「SMACH Z」は想像の斜め上をいくマシンだった
 というわけで,ただの「Ryzen Embedded搭載ゲーム機」ではまるでないことが明らかになったSMACH Z。現在,開発は完了して最終テストに入っており,それが終わり次第,Kickstarterの出資者へ向けた発送が始まるという。
 量産はその後だが,未確定ながら,現在はAmazon.co.jpを使っての国内一般販売に向けて動いているとのことだった。


展示機を写真でチェック


 以上を踏まえつつ,ブースにあった静態サンプルをチェックしておこう。すでに触れたとおり,現在のステータスは最終チェック中なので,細かい部分でまだ変更は生じうるが,6インチ,解像度1920×1080ドットのタッチ対応液晶パネルをSteam Controller的なゲームパッドが挟み込むデザインは確定だ。

端的に述べて大きなSMACH Z。6インチ液晶パネル搭載のスマートフォンにゲームパッドモジュールを取り付けたようなデバイス,とも言える
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[A/B/X/Y]ボタンは,「いちおう搭載はしております」的な押下感の,ゴム製だった。しっかりした操作感が必要なときにはボタン搭載の交換用Z-Padをどうぞ,ということなのだろう
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 液晶パネル面から見ていくと,前出のZ-Padが左右にあり,左側はその手前側にアナログスティック,右側には[A/B/X/Y]ボタンが並んでいる。左Z-Padの近くにあるボタンはSteam関連のボタンのようだ。液晶パネルの周辺にはスピーカーとマイクの存在も確認できた。
 気になるのはZ-Padの操作感だが,触れた印象はいかにもSteam Controller互換といった印象で,静態レベルでの違和感はない。本体全体の保持感と重心バランスもよく,ポータブルゲーム機としての仕上がりは良好と言っていいのではなかろうか。ただまあ,この無骨さ,やはりゲームギア的だとは思う。

本体手前側の中央,持ったとき下側に来るところには3.5mmミニピン端子とUSB Type-C端子がある
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ショルダーボタンとトリガーボタンの押下感はいい。滑り止め付きだ
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 握った時の本体上部には[L1/R1]ショルダーボタンと[L2/R2]トリガーのほか,[電源]ボタン,シーソータイプになっている[ボリューム]ボタン,DisplayPort出力端子,USB Type-A端子,USB Micro-B端子の存在を確認できる。
 また,DisplayPort端子の近くにある空気孔が排気孔であろうことも想像可能だ。

本体を握ったときの上部
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形状に試行錯誤の跡を感じたグリップ部。微妙なカーブがほどよく,安定感に寄与している印象で,また「背面ボタンを押しながらZ-Padを操作」というときにも本体がグラついたりはしなかった。
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 なお,背面を見ると,ここにもボタンが2つあった。左右グリップの付け根あたりにあり,いずれも広めの面積を持つボタンになっているため,親指で本体前面側の操作を行うときに影響を及ぼさない。また,押そうと思ったときにはしっかり押せる印象で,なかなかイイ感じである。
 また,握ったときの背面のSMACH Zロゴ部下は少し盛り上がっており,ここが吸気孔として機能する気配がかじられた。このあたりに熱源,つまりはRyzen Embedded V1605Bが配置されるのだろう。

本体背面側。2ボタンに吸気孔と,なかなか見どころが多い
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 なお,SMACHは量産版のSMACH Zが20%引きになるクーポンを配布していた。最大3人までシェアできるので,SMACH Zの存在にズキュンときているのであれば確保しておこう。

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SMACH Z公式Webサイト(英語)


※本稿では前半を4Gamerの佐々山薫郁,後半と写真撮影を林 佑樹氏が担当しました
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