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  • Mohawk Games
  • 発売日:2021/07/01
  • 価格:アーリーアクセス版:4180円(税込)
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日本語に対応した文明構築シム「Old World」は,4Xストラテジーにキャラクター性を盛り込んだ意欲作。王族の跡継ぎ問題はてんやわんやの大騒ぎ
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印刷2022/07/26 12:00

プレイレポート

日本語に対応した文明構築シム「Old World」は,4Xストラテジーにキャラクター性を盛り込んだ意欲作。王族の跡継ぎ問題はてんやわんやの大騒ぎ

 Mohawk Gamesの文明構築シム「Old World」が,2022年7月14日に正式に日本語対応を果たした。
 本作は,「シヴィライゼーション IV」のリードデザイナーを務めたSoren Johnson氏のスタジオが手掛けるタイトルだ。資源獲得や技術革新を進め,ユニットの生産,施設の建設,そして敵国家への対策をおこない,自国の領土を拡大していく,いわゆる4Xストラテジーとなっている。

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 もともと,Epic Gamesストアの時限独占タイトルとして2021年7月に配信されていたが,2022年5月にSteam版が登場。日本語を6月中に実装することも発表されていた。ただ,6月時点では日本語対応はテスト版のみであり,そのうえ翻訳されていない部分も多かった。これが正式対応の形となり,今回遊べるようになったのである。
 というわけで,日本語で楽しんでみたので,プレイレポートをお届けしよう。


基本はだいたいシヴィライゼーション


 本作の舞台となるのは,タイトルの「Old World」が示すとおり古代の世界だ。プレイヤーは,ローマやギリシャ,エジプトなど7つの王国から1つを選び,何世代にもわたって国を率いて,勝利条件を満たすことを目指す。シヴィライゼーションが古代から未来まで発展していく文明を描くのに対して,本作はあくまで古代のお話だ。

 本作に興味を持っている人は,そもそもシヴィライゼーションプレイヤーが多いと思うが,どんなゲームかを説明するには,とりあえずゲーム画面を見てもらうのが手っ取り早い。

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 ぶっちゃけ,だいたいシヴィライゼーションである。ヘックス(6角形)のマスが並んだマップ。さまざまな建造物が並んだ都市。内政や戦争に欠かせない,民間人や兵士などのユニット。見覚えがありすぎて,シヴィライゼーションプレイヤーであれば「何も見なくても,とりあえずプレイはできるわ」というレベルだ。

 基本的な流れを説明しておくと,まずは「入植者」のユニットを使って,マップ上に都市を作る。このときに都市を作れる場所は決まっているので,「どこに都市を作ったほうが出力が高いか……」などと考える必要はなく,シンプルだ。

最初の都市に限らず,すべての都市は「都市拠点」にしか作れない。2都市目以降を作る場所は,マップを探索して見つけていく
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 都市を作ったら,そこから産出される「都市力」を使って,新たなユニットを生産できるようになる。都市内の施設を増やしたいなら「文民ユニット」を,軍備を増強したいなら「軍事ユニット」を作り,自国を強化していく。都市が大きくなったり,第二,第三の都市を作ったりすれば,生み出されるものもどんどん増える。技術の進化により,生産できるユニットや建造物の種類も増え,より強力な王国ができあがっていくのだ。

本作の技術は「科学力」によって獲得が早まる。研究できる技術はいくつかのカードでランダムに提示されるのだが,中には「このタイミングで選ばないと消えてしまうブースト」のカードもあり,これを選ぶと資源やユニットが直接もらえる。そのぶん,技術研究自体は遅れてしまうのが悩ましい
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都市から産出される資源や要素は,成長度,修練度,都市力,資金,科学力,文化力,不満だ。最初の3つは主に都市での生産に使用される資源で,修練度であれば軍事ユニットの生産や強化に必要となる。資源が細分化されているため,最初は面食らうかも
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 そのうち,自分以外の国とも遭遇する。彼らと仲良くするか,戦争するかはプレイヤーの方針次第だが,いずれにせよ,自国にとって大きな影響を与えることになるだろう。
 どういった方針を取るにせよ,最終的には彼らを出し抜き,自分の勝利条件(後述)を満たすのがゲームの目的となる。

基本システムは,日本語でのチュートリアルで教えてくれるので,この手のゲームを遊んだことがない人も安心だ
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キャラクターにフォーカスした独自のシステムが面白い


 こうした基本システムを採用したうえで,本作の最大の特徴であり,ほかの4Xストラテジーとの差別化ポイントとなるのが,王族や貴族からなる宮廷の管理だ。
 例として,ギリシャでゲームをスタートしたときの状況を挙げてみよう。まず,プレイヤーは「あなたはギリシャの統一者,フィリポです」と言われて,この国家の拡大を目指す。「あなた」ことフィリポは,配偶者にオリュンピアス女王,息子にアレクサンドロス王子を持つ。

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どうも,フィリポです
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 こうしたキャラクターは,大使や大臣,スパイ長といった評議員のメンバーにしたり,都市の統治者に任命したり,将官として軍事ユニットを率いさせたりと,さまざまなところで活躍させられる。彼らは,知恵,カリスマ,勇気,規律のパラメータをそれぞれ持っており,これによって役職の効果を強化(あるいは弱体化)できる。勇気の高い将官であれば,率いるユニットの戦闘力が大きく上がるといった感じだ。

 宮廷のメンバーは,「あなた」の身内に限らない。本作では,都市を作ると4つの氏族から1つを選択する。氏族は,都市に強力なボーナスをもたらすので,どの氏族に都市を授けるのかは重要だ。
 この氏族のメンバーも宮廷入りとなり,例えば氏族の後継者(公爵)が生まれれば,赤ちゃんの時点から宮廷のメンバーとして表示される(もちろん,成長するまでは役職に就けられないが)。

 ほかにも,本作にはさまざまなランダムイベントが用意されており(3000以上あるらしい),それによって宮廷のメンバーが増えることもある。

ベテラン兵士であるブーディカが傷ついているのを発見。彼女の軍事知識を学ぶか,宮廷に迎え入れるかを選べる
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 さて,王である「あなた」は,国を統治・拡大するうえで,こうした人材マネジメントをしていかなければならないわけだが,もう1つ重要なお仕事がある。後継者の育成だ。
 ゲーム開始時点のフィリポは39歳。本作は1ターンで1年が経過するので,数十ターンも経てば,フィリポは寿命で死んでしまう。フィリポが死亡した場合,後継者であるアレクサンドロスが新たな王となり,同時に新たな「あなた」となる。
 つまりは,「あなた」が目指す国造りに合わせて,後継者を生み,育て,無事王位を継承してもらう必要があるのだ。もちろん,ランダムイベントによって良いことも悪いことも起こりまくる。4Xストラテジーとは別軸で,この王族ドタバタお家騒動が巻き起こるのが,本作の最も面白いところだ。

 フィリポを例に挙げよう。彼は勇気が4,規律が2の王だ。内政をすれば,軍事ユニットの生産に欠かせない修練度や,資金にブーストをかけられる。将官としても,戦闘力のボーナスが高く優秀だ。
 後継者である息子のアレクサンドロスは,父親譲りの勇気を持つ。若いながら勇気が5で,この先,他国と戦うのに大いに活躍してくれるだろう。しかし,ほかのパラメータは0の脳筋である。長所を伸ばすか,父のように内政も得意にさせるか,育成方針は考えなければならない。

世継ぎの教育方針はプレイヤーが選択できる。まあ,選択しただけでうまくいくわけではないのだが,ここでは彼の長所を伸ばせるよう,兵法を学んでもらう
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しかし,ランダムイベントによって母から素質を受け継いだアレクサンドロスは,勇気が下がってしまった。実は気弱だったらしい。お前の取り得,勇気だけなんじゃないの!?
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 最初は,「あなた」の交代劇もシンプルなので,とくに困ることはないだろう。しかし,ゲームが進むにつれ,お家騒動はどんどん複雑になっていく。
 結婚相手を選ぶのは分かりやすい例だ。だいたい,都市を授けた氏族から「うちの娘と結婚しませんか」と申し出があり,配偶者を選ぶことになるのだが,先に述べたように氏族は複数存在する。そうなると,結婚した氏族からの評価は上がるが,そうでない氏族からは反感を買ってしまう。婚姻の申し出を受けたばかりに,反乱が起きてしまうかもしれない。
 また,氏族だけでなく,ほかの国家や部族(プレイヤーの1人ではなく,マップ上に存在する小規模勢力)からも婚姻の申し出が届くことがあり,「どこと仲良くするか」に悩むことになる。

部族から婚姻の申し出が届いた。うちの大事な息子の配偶者を,君たちからは選べんなぁ
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 もっと大変なのが,うまく後継者を育てられなかった場合だ。例えば「あなた」は,知恵と規律が高く,科学力と資金を生み出すのが得意な王だとしよう。そして「あなた」の王子は,父以上に規律を守る自慢の息子だ。彼が王になれば,大量の資金でさらに豊かな国になるだろう……などと思っていたら,その王子がランダムイベントで急死。では,宮廷メンバーで王位を継げるのは……知恵も規律もマイナスの,どうしようもない脳筋じゃねーか!
 みたいなことが起こるのである。パラメータがマイナスの場合,当然ボーナスもマイナス補正。うっかりバカ息子が王位を継いだりすると,酷いことになる。
 これが余裕のある資源ならまだいいが,戦争真っただ中で修練度が大量に必要なときに,平和主義者が王位を継いでしまうと悲惨だ。筆者は実際に体験したのだが,毎ターンの修練度が,何も生産していないのに赤字になってしまい,軍備増強どころの話ではなくなるのである。
 本作は,こうしたプレイを盛り上げるトラブルが,起こりやすい仕組みになっていると言える。

「あなた」は女王の場合もある。この画像では,バビロニアの女王であるアハツヌは,すべてのパラメータが3と万能型の才女。しかし右上を見ると,王子は勇気が-2,継承権2位の公爵もカリスマが-2。先行き不安すぎる……
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本作の戦闘は,仕掛けた側が非常に有利なバランスになっている。とにかくユニットの数が重要だ。大量生産したいときに修練度が稼げない宮廷メンバーだったりすると,周囲の国に土下座するしかない
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ランダム性の高い勝利条件


 本作の主な勝利条件は,科学や文化といったさまざまな条件のうち1つでゴールを目指すシヴィライゼーション的なものではなく,上記の王位の引継ぎに紐づいたものになっている。

 国の繁栄に尽力する氏族たちは,「あなた」に追求させたい目的となる「野望」を持つ。野望は,「○都市を支配する」「敵のユニットを○体倒す」など,いくつかが提示され,王である「あなた」はその中から1つだけ選択する。これは,その時の王が死亡するまで継続し,新たな王になるとまた野望を選ぶ。同時に,前の王の野望はすぐには消えず,「遺命」として一定のターンは残るので,こちらもしばらくは達成が狙えるようになる。
 つまりは,本作のプレイ方針は,この野望によって決まるわけだ。野望を10個達成すると,ゲームの勝利条件である「野望勝利」となる。


画像集#015のサムネイル/日本語に対応した文明構築シム「Old World」は,4Xストラテジーにキャラクター性を盛り込んだ意欲作。王族の跡継ぎ問題はてんやわんやの大騒ぎ

 ただ,この野望はランダム性が強い。プレイヤーとしては内政で勝ちたいのに「王様,ちょっと他国の都市ぶんどってきてよ」とか言われても困るし,狙える条件だったのに,王が早死にしてしまったせいでターンが足りない,なんてこともある。運が悪いと,どの野望を選んでも達成が狙えそうにないなんて状況に陥ることもあるだろう。
 それはそれで,どうにか達成の道筋を立てていったり,次の王に向けて準備をしたりするのは,楽しいところでもあるのだが。

「伝説的都市を6個管理する」という野望を抱いている状態。伝説的都市とは,要は文化力が高い都市なのだが,いきなりそんなこと言われても無理である。この画像では,該当する都市が首都しかない。分相応の野望を抱いてほしい
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 ほかの勝利条件としては,さまざな条件で手に入る勝利点を一定数獲得して達成する「スコア勝利」,ほかのどの国よりも2倍多い勝利点を獲得して達成する「ダブルスコア勝利」,すべての国を征服して達成する「征服勝利」,時間制限(200ターン)以内に決着がつかなかったときに勝利点が最も高いと達成する「時間勝利」がある。
 ただ,どれも「これを狙って動く」という感じの条件ではないので,基本的には野望の達成がプレイ方針になるはずだ。

本作のユニットは「命令書」を使って動く。これは,毎ターン補充されるリソースで,複数使えば同じユニットを同じターンに何度も動かせるのだが,逆に言えば,全ユニットは命令書の数しか動けない。そのため,シヴィライゼーションよりも特化した方針を取りやすいが,内政と戦争の両立は大変だったりする
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思い通りにならないからこそ楽しいストラテジー


 本作の強みは分かりやすい。4Xストラテジーにキャラクター性を持ち込んだことによって,ほかのタイトルにはない魅力を持っている。次々に加入する宮廷メンバーや,他国との関係性,そしてランダムイベントによって,想定外の事態が巻き起こる。そんなてんやわんやの状況で,なんとか野望を達成できるようにと動いていく。ストラテジーはトラブルを含めて面白い,思い通りにならないからアツいという人は,本作にハマれそうだ。

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 一方で,都市の場所が固定だったり,イベントや野望がランダムだったりするので,戦略の自由度は高くない。戦略性よりもキャラクター性を重視したストラテジーという理解でいいだろう。
 また,シヴィライゼーションよりも情報量が多く,システムも複雑だ。覚えることが多く,マルチプレイよりも,ソロでじっくりプレイするのに向いていると思う。

 こうした点を踏まえて「あ,俺向きだ」という人は,ぜひストアページに駆け込もう。古代の王国を率いる「あなた」になって,王族事情に盛大に振り回されてほしい。

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