インタビュー
RTSシリーズ最新作「Company of Heroes 3」,シニアデザイナーにメールインタビューを実施。新たに実現したかったものとは
PC版はインタフェースと字幕が日本語に対応しているが,5月30日にはセガからPS5版の国内発売も決定している。
4Gamerでは,久々となるCoHシリーズの復活に合わせて,Relic Entertainmentのシニアデザイナー,Andy Fedorchuk氏にメールインタビューを実施した。なお,筆者は2021年に公開されたプレアルファ版を試遊しているが,メールインタビューの質問リストを送信したのはローンチ以前だった。まだ製品版をプレイしていない状態であることを留意していただきたい。
「Company of Heroes 3」のプレアルファ版を試遊してみた。前作から8年を経て,傑作RTSはどんな進化を遂げようとしているのか?
第二次世界大戦のヨーロッパ戦線を舞台とした傑作ゲームは無数に存在するが,RTSにおいてもそれは変わらない。そのなかでも文句なしの名作RTSである「Company of Heroes」シリーズ,その最新作「Company of Heroes 3」のプレアルファ版を試遊する機会を得たのでプレイフィールをお伝えしたい。
PS5版「Company of Heroes 3」,5月30日に発売決定。第二次世界大戦の戦場を舞台としたRTSシリーズ最新作
セガは本日,第二次世界大戦を舞台としたRTSシリーズ最新作「Company of Heroes 3」を,PS5向けに2023年5月30日に発売すると発表した。本作では,イタリアの山岳路や海岸線,北アフリカの砂漠などで白熱のリアルタイムバトルを楽しめる。戦場での行動を停止して,戦術を練られる機能も用意されている。
「Company of Heroes 3」公式サイト
4Gamer:
以前,テスターとして“イタリア戦線”をプレイしましたが,RTSまたはCoHシリーズに慣れていないプレイヤーにとっては,けっこう厳しいと感じました。最初のマップからしてやるべきことが多く,初心者には相当ハードルが高いと思いますが,意図的なものでしょうか。
Andy Fedorchuk氏:
CoH3のゲームプレイには多くの要素が含まれます。初心者の方には,各ユニットの役割や直面する脅威の種類に慣れるまで,最も易しい難度でプレイしていただくことをおすすめします。
本作は時間をかけて慣れていくゲームでもあるので,ゲームプレイ中に可能な限りツールチップやヘルプを提供するように徹底しました。新機能「フルタクティカルポーズ」もその一つで,どんな場面でもプレイヤーは一息ついて状況を判断することができます。
さらにコミュニティメンバーと協力して,ゲームプレイのコンセプトを案内する動画をいくつか作成しました。初級,中級,上級に分かれていますので,プレイの際にはぜひ参考にしていただけたらと思います。
※YouTubeのプレイリストは「こちら」
4Gamer:
プレアルファ版では,以前にも増してマイクロマネジメントが多いゲームだと感じました。このバランスは製品版のリリースまでにどう変化しましたか。
Andy Fedorchuk氏:
ゲームの難度については,ユーザーからのフィードバックをもとに,直前まで多くのチューニングと調整を行いました。PC版が発売された現在も,あらゆるスキルレベルの方に快適なゲーム体験を提供するために,引き続きプレイヤーと協力して調整を続けています。
4Gamer:
プレアルファ版を遊んでいたときよりも,さらに「RTSといえばMOBA(もしくはタワーディフェンス)」の風潮が高まっているように感じます。大量のユニットを指揮するタイプのRTSの傑作,CoHの最新作として「現代のRTSプレイヤー」に向けて意識した点を教えてください。
Andy Fedorchuk氏:
本作はCoHファンが受け入れやすいゲームデザインになっていますが,高いAPM(Action Per Minute。1分間にプレイヤーが行えるアクションの数)を要求されるゲームプレイに慣れていない方も楽しめるように,フルタクティカルポーズ機能を追加しました。
さらに,司令部からの自動補充や自動建設(工兵不要),部隊兵器に兵士を配備する手段の増加,これまで移動できなかった重火器の位置を調整する牽引など,軍隊管理をいくぶんシンプルにするための便利機能もいくつか追加しています。
4Gamer:
PCゲームをゲームパッドで遊ぶユーザーは確実に増えているようです。家庭用ゲーム機にもリリースを予定されていますが,PCでもゲームパッド向けのUIを利用できるようにする予定はありますか。
Andy Fedorchuk氏:
CoH3は開発当初からコミュニティと連携しながら制作しています。もし「PC版にもゲームパッドのサポートが欲しい」という要望があれば,積極的に検討するつもりです。
●北アフリカ戦線キャンペーンについて
4Gamer:
イギリス軍が各国の兵士を使えるというニュースは,とても興味深いです。しかしながら,例えばエル・アラメインの戦いにおいてはオーストラリア第9師団,南アフリカ第1軍団,インド第5師団,ニュージーランド第2師団がエル・アラメイン正面を守っていました。また,戦争全体を見てもイギリスの総動員兵士数589万に対し,インドの総動員兵士数は250万であり,英軍全体(約1000万)の25%はインド出身の兵士でした。
こうした英軍の「偏りが強い多様性」について,本作ではどのようなアプローチを採用しているのでしょうか。
Andy Fedorchuk氏:
今回,私たちは過去のシリーズ作品で取り上げられなかった国を登場させようと考えました。これは,第二次世界大戦を世界規模の紛争として,ゲームに反映させることを目的としています。
例えば,プレイヤーはインド砲兵をマルチプレイの戦隊として,イタリア戦線ではキャンペーン中隊として使用することができます。また,北アフリカ作戦でドイツ・アフリカ軍団としてプレイしていると,グルカ・ライフル分隊の敵として遭遇します。
キャンペーンやマルチプレイでユニットとして使用できる国は,ほかにもありますよ。
4Gamer:
上記の質問の補足になりますが,本作でグルカ兵(動員25万)が華々しく取り上げられている理由は理解しています。チュニジアでのVictorian Cross,モンテ・カッシーノでの勇戦からも,グルカ兵を特別なユニットとして登場させないほうがおかしいでしょう。 ただ,そうした視点に立つと,(北アフリカ戦線の話ではありませんが)グスタフ・ライン突破におけるアメリカ第100歩兵大隊の扱いも気になるところです。
Andy Fedorchuk氏:
私たちは,CoH3を自由にプレイしてもらいたいと考えています。そのため,厳密な正確性よりも,歴史的な信憑性を重視しました。
もし,特定のユニットの英雄的行為を再現したいのであれば,プレイヤー自身でそのような展開を作ることは可能ですが,私たちは特定の体験を定めませんでした。
史実に近い状況の再現はもちろん,「if」のシナリオを作ることもできる。それが私たちの目指したことです。
4Gamer:
DAK側が「特別なユニット」としてイタリア軍を使えるようになっていますが,これも史実を踏まえると困惑するところです。資料を拝読した限りにおいては,北アフリカ戦線がイタリア兵にとって主体性を持って戦う戦線であったという視点が欠けているように思えました。この点はカバーされているのでしょうか。
Andy Fedorchuk氏:
第二次世界大戦ではさまざまな国や軍隊が戦いましたが,CoH3ではそれらをゲーム内の戦隊や多様なユニットで表現しようとしました。私たちのチームは第二次世界大戦の研究に多くの時間を使い,また文化分野の専門家と協力して,ゲーム内のストーリーがプレイヤーにとって信憑性のある体験になるように努めました。
4Gamer:
史実上の北アフリカ戦線では,1942年末からDAKにTigerが配備されました。つまり,1943年5月に降伏するまでの非常に短い期間しか,Tigerを装備していなかったわけです。
こうした「時期による装備の違い」は,どの程度まで反映しているのでしょうか。
Andy Fedorchuk氏:
私たちはゲームの面白さを追求するために,意図的に軍の構成を調整しました。安易にできることではありませんが,厳密に史実に合わせるのではなく,ゲームがより楽しくなる構成にしたかったのです。
プレイヤーの多くは,より楽しいツールを自由に使いたいと思います。
●2023年に「戦争ゲーム」を作ること
4Gamer:
自分は「戦争ゲーム」の中心がまだコンピュータ上に移行する以前から,このジャンルを楽しみ,また制作もしてきました。「戦争ゲーム」はゲーム市場の巨大化と相まって,かつてない困難な状況に置かれるようになったと感じます。CoH3チームが現代に「戦争ゲーム」を作るにあたり,最も注意した点を教えてください。
Andy Fedorchuk氏:
私たちは,Creative Assemblyの仲間が「Total War」シリーズで実現していることをリスペクトしています。
今回,「Company of Heroes」を優れたRTSというジャンルからさらに進化させ,「Total War」のような大作ゲームが得意とする一部の要素も新たに取り入れたいと考えました。
その結果,プレイヤーは地上レベルの兵士視点に加えて,キャンペーン全体の統制という異なる視点を持てるようになりました。上層レベルでの指揮と地上レベルでの指揮を組み合わせることで,これまでにRTSをプレイしたことがないユーザーにも興味を持ってもらえる作品になったと考えています。
「Company of Heroes 3」公式サイト
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