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  • 発表日:2008/03/03
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[COMPUTEX]基調講演と技術オリエンテーションで語られた2010年のIntel。今年も全方位に新技術/プロセッサを市場に投入
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印刷2010/06/03 00:30

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[COMPUTEX]基調講演と技術オリエンテーションで語られた2010年のIntel。今年も全方位に新技術/プロセッサを市場に投入

Intel,2010年のキーワードは「Compute Continuum」=「演算連続体」
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 Intelは開催中のCOMPUTEX TAIPEI 2010において,基調講演とクライアントPC向け技術のオリエンテーションを行っているのだが,ここでは,その二つで語られた話題のうちから,興味深いものをかいつまんでお届けしたい。

「演算連続体」を担うIntel


Executive Vice President, Architecture Group, IntelのDadi Perlmutter(ダディ・パルムッター)氏
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 基調講演で登壇したDadi Perlmutter氏が掲げたキーワードは「Compute Continuum」だ。なんとも難しい雰囲気の言葉だが,直訳すると「演算連続体」となる。これでもまだ難しい。

 かなり噛み砕いて言うと「演算プロセッサがあらゆるところにある状態」を意味するのだが,なんだったら「Intel製のプロセッサがあらゆるところにある状態」という解釈もできるだろう。「インテル入ってる」をクールに言い直したのが,Compute Continuumといったところである。
 要するに,クライアントPCからサーバー,通信端末,テレビ,電話機に至るまで,Intelのプロセッサがそれらの中核を担う,というコンセプトワードだ。
 サーバーやクラウドシステムにはXeonシリーズ,一般的なPCにはCoreシリーズ,そして小型携帯機器にはAtomシリーズと,あらゆるジャンルのデバイスの中心にIntelがある。そう,Intelこそがパーフェクトソリューションである……と,Perlmutter氏は強調するのだ。

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ありとあらゆるデジタル機器にIntelのプロセッサ
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サーバーやクラウドシステムはXeonにおまかせ

 そんなCompute Continuumコンセプトに沿って,2010年以降の一般ユーザー向け製品の中で最大のホットトピックとして示されたのが,開発コードネーム「Sandy Bridge」と呼ばれる次世代Coreアーキテクチャのプロセッサだ。
 Sandy Bridgeでは,CPUとGPUが同一のダイに統合され,非常に効率のよい電力管理によってハイパフォーマンスを発揮する。
 Perlmutter氏はElectronic ArtsのRPG,「Mass Effect 2」を動作させた2台のPCを示し,「グラフィックスの違いはほとんどない」と指摘した。1台は某社のミドルクラスGPUを,もう1台はSandy Bridgeを搭載していたのだが,同一のクオリティとパフォーマンスを発揮しながら,「Sandy Bridgeの消費電力は,GPUの半分」であることもアピールし,言外に「Sandy Bridge時代には,ミドルクラスのGPUは不要になる」と訴えていた。

一般ユーザー向けCPUの次世代アーキテクチャ「Sandy Bridge」(開発コードネーム)
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某社ミドルクラスGPUとSandy Bridge内蔵GPUはパフォーマンスが同じ(左)だが,消費電力はSandy Bridgeのほうが低い(右)
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 「発売後の一定期間で比べて,BlackBerryやiPod,そして任天堂Wiiより多く出荷されたデジタル機器は何か。それはNetbookだ」とPerlmutter氏は言う。ノートPCのサブカテゴリとして定着したNetbookだが,その中心となるプロセッサ,Atomも次世代へ移行することが続けてアナウンスされたのだ。

驚異的な伸びを見せ,急速に普及したNetbook
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Intelは2010年以降,Netbook革命の第二の波が到来すると予告。それにひっかけてサーフボードが持ち込まれるショートコントはスベり気味だったが,なんだかホノボノしてしまうのは,いつものIntelがお堅い企業だからだろう
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 次世代Atom「Pine Trail-M」でAtomはデュアルコアになり,ここにDDR3メモリが組み合わされることで,これまでシングルタスク/シングルウィンドウでの使用が前提だったNetbookにおいて,マルチタスク/マルチウィンドウが自然に行える(注:従来のAtomでも,ハイパースレッディングで2スレッド同時実行に対応していることになっていたほか,デュアルコアモデルも存在はしていた)。さらに高性能なGPUコアも統合され,グラフィックスパフォーマンスも向上するという。
 ステージでは複数のWebサイトの閲覧や,720p相当のハイビジョン動画の再生がデモンストレーションされ,先代AtomベースのNetbookよりスムーズに行えることがアピールされた。

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複数開いたWebサイトをスイッチングしていくデモ。デュアルコアの次世代Atomの動作は非常にスムーズだった
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先代AtomではSD映像の再生がぎりぎりだったが,最新のAtomでは内蔵GPUコアだけでハイビジョン再生が可能だ

組み込み機器向けAtomは,業務用ビデオカメラやロボットなど,意外なものにも搭載される
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 さらに次世代のAtomは,Netbookだけでなく,さまざまな組み込み機器への展開も本格化させていくという。Perlmutter氏はこれを「Atom Everywhere」と説明。「2010年以降,Intelが期待を寄せているAtomの組み込みへの応用先分野は,テレビである」と続けた。
 ソニーが「Google TV」をベースの「Sony Internet TV」の開発をアナウンスしたことが記憶に新しいが,これは次世代のAtomを搭載したものになるといわれている。スマートフォンならぬ「スマートTV」といわれるこの分野において,Atomが躍進するとIntelは考えているようだ。
 テレビは現在,各社が独自の機能を搭載した製品を販売しているが,今後,Google TVがスタンダードになると,テレビも使い勝手がどれも似たものになる。高機能テレビの個性がなくなるのか,あるいは使いやすくなるのか。未来のテレビの行方は,IntelとGoogleが握っているのかもしれない。

Atomのラインナップ。左上のNetbook以外に,さまざまなデジタル機器への応用が想定され,その対象デバイスごとに適した設計のAtomが提供される
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デジタルサイネージ(デジタル看板)の分野も,今後Atomが入り込む余地が大きいとPerlmutter氏
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Google TVは果たしてスマートTVブームの火付け役となるだろうか

スマートフォンをカバーする,Atom Z6xxシリーズ
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 話題は小型な方向に移り,次はスマートフォン。Perlmutter氏は,AtomのZ6xxシリーズがスマートフォンをカバーするとし,大きさも性能も上のタブレットPCには,「Oak Trail」(開発コードネーム)ベースのAtomが適用されるという。

 iPadがブームの火付け役になっているタブレットPC分野では,PCほどの性能は要求されないが,薄型軽量でありながら高いマルチメディア処理性能が要求される。IntelとしてはCoreシリーズではなく,かといってNetbook向けのPine Trail-M系でもなく,それでいてスマートフォン向けAtomより高性能なOak Trailを提供するということのようだ。

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予想を超えたタブレットPCブーム。Netbookと共存できるのかについても興味深い
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Oak TrailベースのAtomは,タブレットPC向けのソリューションとして提供される


IntelベースのPCは経済危機にもめげません


IntelのVice President, General Manager, PC client GroupのMooley Eden氏
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 「Computing Evolution & Revolution:A Global Growth Engine」と題されたクライアントPC向け技術オリエンテーションでは,Mooley Eden(ムーリー・エデン)氏が登壇したが,ほとんどの講演内容が上記のPerlmutter氏のものと同じであったため,ダブっていた部分については省略した。

 Eden氏が語ったことで,とくに興味深かったのは,昨年(2009年)の経済危機に関する考察だ。
 リーマンショックに端を発した世界的な経済危機のため,2009年の各国のGDPは激減したが,同じ年のPCの市場規模(TAM:Total Available Market)は,上昇率こそ下がったものの,依然として拡大傾向にあったという。
 PCおよびその関連テクノロジーに対する消費者の興味は,世界的な経済危機にあってもそれほど衰えることはなく,逆に言えば,それだけ,現代社会において,PCとその関連テクノロジーが必要とされている。そのことがハッキリと証明されたというわけだ。
 Eden氏は「PCは経済危機をものともしない」とし,これからもIT関連産業は発展し続けるだろうという見通しを語った。「ビールや自転車は待てても,PCが今日壊れたら,新しいPCを今日買いに行きたくなる。それが自然だ」とEden氏は笑う。

経済危機により上昇率は鈍ったものの,依然として右肩上がりのIT産業。「PCは不況に強い」とEden氏
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 このあとの講演の流れはPerlmutter氏とほぼ同じだったが,Perlmutter氏のときよりも多くの実演が行われた。
 PCの使用状況においては,多数のコアが低クロックで動作するより,一つのコアが高クロック動作したほうがメリットが大きい場合がある。例えば,アプリケーションがドキュメントを開いた直後などだ。そのため,使用状況に応じて各コアの動作クロックを変調させるテクノロジーが「Intel Turbo Boost Technology」(以下,Turbo Boost)だ。その効果が,「CINEBENCH」を用いて実演された。

マルチコアCPUの各コアの動作クロックを,リアルタイム変調する技術がTurbo Boost
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「CINEBENCH」を使用してTurbo Boostの効果を実演。マルチスレッド対応プログラムでは,低クロックでもマルチコア動作のほうがパフォーマンスが高いという趣旨のデモ。左がシングルコアの高クロック動作,右がマルチコアの規定クロック動作。同じ消費電力と発熱量で,ここまでパフォーマンスが違う
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 このほか,ワイヤレス・ディスプレイ・インタフェースのデモも行われた。HDMI信号をワイヤレスで伝送するものだが,ホストPCからの遅延の大きさが気になった。
 だいたい数十フレームは遅れている印象で,ゲームなどのリアルタイムアプリケーションには適さないことが,かえってハッキリしてしまったようだ。家庭内利用においては,無線LANが有線LANをほぼ置き換えた印象があるが,無線HDMIが有線HDMIに取って代わるまではまだ時間がかかる気がする。

HDMIをワイヤレス伝送する,ワイヤレス・ディスプレイ・インタフェース
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Eden氏が持っているホストPCの映像が,背後の大型モニタにワイヤレスで映し出されている。便利だが,フレーム遅延がどうしようもないほど大きいのが課題
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 Sandy Bridgeの紹介も行われたが,デモはPerlmutter氏と同じく,ゲームグラフィックスのパフォーマンスとクオリティにまつわる話題が中心であった。とはいえ,一つの新ネタとして,Sixenseの新モーションコントローラ「TrueMotion」が注目を集めた。
 Sandy Bridgeの持つ,高いパフォーマンスの使い道の一つとして紹介されたTrueMotionは,X,Y,Zの各軸について位置情報,角度情報,回転情報,そして加速度情報が取得でき,その精度はWiiやPlaystation 3の同種のコントローラよりも高いという。情報の取得は,赤外線LED用のセンサー,ジャイロ,加速度センサー,そしてCCDカメラのコンビネーションで行われている。6月中旬にロサンゼルスで開催されるE3では,Razer USAのブースでTrueMotionを使った製品が出展されるという。なお,対応プラットフォームは現在のところ,PCのみだ。

「SIXENSE TRUMOTION」はモーションで入力するタイプのゲームコントローラ
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使い勝手は直感的。奥行き方向の位置入力も正確に検出する
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 講演の後半は,今回のCOMPUTEX TAIPEI 2010の各社ブースで展示されているIntel製CPU搭載製品のプロモーションが主体となったので,それについては,ここでは触れないことにする。
 ともあれ,二つのセッションを通じて,Intelは不況下においても歩みを止めず,次から次へと新技術/新プロセッサを投入していくというメッセージだった。プロセッサに関しては相変わらず,Intelアーキテクチャ(IA)の全方位展開が強力だが,PCやNetbookはともかく,2010年以降,IAベースのタブレットPCやIAベースのスマートTVが市場や業界にどの程度,浸透していくのかが注目される。

IntelのデュアルコアAtom搭載のコンセプト機。「あまりにも薄いので封筒に2台入れられる」とEden氏(左)と,MSIのOak Trailベースの2画面タブレットのコンセプト機。両画面ともタッチパネル対応で,一つをソフトウェアキーボードにして,ノートPCライクにも使える(右)
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    Atom

  • 関連タイトル:

    Core i7・i5・i3-2000番台(Sandy Bridge)

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