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「ファイナルファンタジーXIV」のパッチ3.35で実装される「ディープダンジョン」などについて,E3で吉田直樹氏に聞いてみた
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印刷2016/06/29 15:14

インタビュー

「ファイナルファンタジーXIV」のパッチ3.35で実装される「ディープダンジョン」などについて,E3で吉田直樹氏に聞いてみた

 北米時間の2016年6月16日,アメリカ・ロサンゼルスで開催されたゲームショウ「E3 2016」の会場で,「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド」PC / PS4 / PS3 / Mac)のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏へのメディア合同インタビューが行われた。

 パッチ3.35で実装予定の「ディープダンジョン」を中心に,多種多彩な話を聞けたので,その内容をお伝えしよう。

「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹氏
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――ディープダンジョンを導入しようと思ったきっかけを教えてください。

吉田直樹氏(以下,吉田氏)
 ディープダンジョンには,2つのコンセプトがあります。1つは,新規で始めた人とベテランプレイヤーが一緒に遊べること。もう1つは,ギミック中心ではなく,とにかくワイワイ奥へ奥へと進んでいくだけのシンプルなバトルコンテンツです。この2つを念頭に置いて企画したのがディープダンジョンです。

――アップデートで200階層まで追加されて,ランキングも用意されるとのことでしたが,200階層到達のアチーブメントやランキング上位の報酬などはありますか。

吉田氏:
 ランキングの順位に報酬を用意する予定はありません。誰がどこまでスコアを稼いだかを純粋に競ってもらおうと思って用意したものなのです。
 ただ200階到達のアチーブと,強さにあまり関係しない報酬は用意してあります。

――まず3.35で50階層が実装されるということは,200階層まであと3回アップデートがあるということでしょうか。

吉田氏:
 いえ,次回のアップデートで200階層まで開放します。小分けにする理由はないと思っていますし,やりこみ要素なので,早めに深いフロアまで実装したほうが,楽しんでもらえると思っています。ただ,ディープダンジョンというシリーズ自体は続けていくので,次期拡張パッケージでも実装していきたいと思っています。

――それはさらに階層を増やしていくということですか。

吉田氏:
 そうではなくて,「ディープダンジョンシリーズ」として,別のものが追加されるイメージです。ディープダンジョンは,新しいバトルコンテンツカテゴリだと考えてもらえればと。

――50階層に到達するまでに,だいたいどれくらいの時間が必要ですか。

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吉田氏:
 10階層毎にセーブをして外に出られるので,小まめに休憩していただいても大丈夫です。仮に一気に地下1階から50階まで通しでプレイすると2時間くらいかな,と思います。各セーブポイントに到達するまでの時間を,インスタンスダンジョン(以下,ID)一回分くらいに設定しているので,お気軽にどうぞ。ダンジョンから出ることにペナルティはないので,セーブポイントまで到達したら一回外に出て,ほかのコンテツで遊んだりしても構いません。

――報酬は「光り輝く武器」ということですが。

吉田氏:
 50階層までの報酬はそれがメインになります。

――50階層から先の報酬はどうなるのでしょうか。

吉田氏:
 100階層とか200階層にまた別のものを用意しています。性能が高い装備というよりは自慢要素の強いものになります。

――ディープダンジョン内で手に入る装備のアイテムレベルってどれくらいですか。

吉田氏:
 詳しくは言えませんが,アニマウェポンも作っていないし,伝承武器もメインジョブに渡しちゃってるし……という人にとっては,サブとしてはなかなか使えるレベルなのではないかと思います。

――特殊なプロパティとかは付いているのですか。

吉田氏:
 そういうものはないです。光っているのが最大の特徴となります。

――光っている武器の正式名称を教えてください。

吉田氏:
 日本語は「魔器装備」です。特殊な空間である死者の宮殿内部でも力を発揮するように,エーテルで作られた特殊な装備。それを強化することで死者の迷宮の中でも強さを発揮できるという設定なのです。

――コンテンツの報酬は基本的に武器だけなのでしょうか。

吉田氏:
 そうです。

――ダンジョン内では何階層あたりでキャラクターのレベルがカンストしますか。

吉田氏:
 40階層あたりで60レベルになっているはずです。逆にそこまでに60になっていないのであれば,途中の敵を無視しすぎているかもしれません。もっとも,序盤はあまり経験値を稼ぐことを意識しなくても大丈夫です。

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――ダンジョン内での戦闘で得た経験値は,実際の経験値として加算されるのでしょうか。

吉田氏:
 外へ出た時に,ダンジョン内で稼いだ経験値が換算されるので,経験値も報酬といえば報酬です。ディープダンジョンはフリートライアル中でも入れるので,レベリングにも使ってもらえればと思います。

――100階以降はセーブできないチャレンジの部分と聞きました。そうなると,かなりの時間が必要になりそうですが……。

吉田氏:
 実のところ,100階層以降にセーブポイントを作るかどうかは悩んでいる最中なんです。セーブできないとコンテンツに縛られる時間が長過ぎますし,サーバーダウンも怖いので,なんらかの形でセーブは必要かもね,という話をしているところです。

――パーティで挑戦した場合,パーティで到達した階層からソロでプレイできますか。

吉田氏:
 セーブスロットが2個ありますので,パーティとソロで使い分ける必要があります。パーティで挑んだ場合は,その時のメンバー構成がデータとして記録されます。ですので,続きをやりたい時は,その4人が揃ってからになります。人数を集めずに進めた場合,以降そのセーブデータでは元の4人では突入できなくなります。つまり,ソロで上書きセーブしたという考え方ですね。ただ,セーブスロットは2個あるので,片方をソロないしマッチングでやるためのスロットとして使ってもらえれば,使い分けは可能です。

――セーブデータ間での武器の強化値はどうなりますか。

吉田氏:
 武器と防具の強化値だけはセーブデータ間で共通です。進行度だけ別に保存されるとお考えください。

――ディープダンジョン内で武器を強化して外に持ち出したとして,また中に入れば使えるのでしょうか。

吉田氏:
 特定以上まで強化したものを外にいるNPCに渡すと,現実化してくれるのですが,それをすると,また新しい武器を鍛え直すことになります。そうしないと,すべてのジョブの武器が一回で取れてしまうことになります。ただ,現実化するときは好きなジョブの武器にしてくれます。

――ディープダンジョン内の構造はランダムに生成されるようですが,どのような仕組みになっているのでしょうか。

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吉田氏:
 不思議のダンジョンシリーズと似たアルゴリズムを採用しようと思ったのですが,サーバークライアントで出入り口の判定をしているので,そこのつなぎをどう作るかというのがなかなか難しく,そのままでは無理だと分かりました。ですので,オリジナルのアルゴリズムを作って,つなぎのパターンをデータベース化し,そこからランダムに組み合わせていく感じで落ち着きました。

――1階層あたり何部屋で構成されているのでしょうか。

吉田氏:
 最大でも8部屋くらいです。ただ,お試しということで,1階層から10階層までは4部屋くらいで構成されています。

――部屋の広さはどれくらいですか。

吉田氏:
 ボス戦のエリアは,40m×40mというレギュレーションに基づいているのですが,ディープダンジョンの部屋はそれより少し狭いです。

――ということは,結構サクサクいける感じなんですね。

吉田氏:
 そうです。どんどん移動できるので,スプリントをガンガン使っちゃってください。TPもバトルをしなければ自然回復しますし,部屋から部屋への移動はスプリントしてもらったほうが断然早いです。ただ,トラップを踏んだ時だけは気をつけてくださいね(笑)。

――スプリントの使用が禁止されているなど,幾つかのフロアギミックがあるようでしたが。

吉田氏:
 フロアトラップとして効果が複数存在します。ただ,プレイヤーにとってマイナスばかりではなく,プラスになる効果もあります。いずれもランダム発生ですので,どれがどのフロアで発生するかは運ですね。

――ディープダンジョンにはいろいろなアイテムが用意されているようですが,その中でも強力なものを教えてください

吉田氏:
 やっぱりマンティコアに変身できるアイテムですね。一撃で敵を倒せるので。ただ,調子に乗って前に出過ぎると,大型地雷を踏んで大惨事になることもあるので,油断は禁物です。

――マンティコア以外に変身できるモンスターはいますか。

吉田氏:
 パッチ3.35では,サキュバスとマンティコアの2種類です。そもそもFFXIVのジョブは,アディショナルを付ければ1人でも大抵のことができるので,モンスターになるメリットが,実はあまりないのです。よほど効果的なモンスターにならないと面白くないので,今後増やすとしたら尖ったモンスターになるでしょう。

――パーティが全滅しそうになったとき,逃げることはできるのでしょうか。

吉田氏:
 いいえ,いったん敵視されると,敵は延々プレイヤーを追ってきます。もっとも,基本的にソロで殴りあって倒せない敵はいないので,そこまで気を張る必要もないかと。だいたいやられるパターンは,モンスターに囲まれているときにトラップを食らったりした場合です。ポーションの有無が結構重要ですね。

――ギミックの難度はどれくらいですか。

吉田氏:
 なんだかすごく警戒されているみたいですが,レイドのようなギミックはないですよ(笑)。あっても範囲攻撃を避けるくらいです。序盤のIDをクリア出来ていれば,ディープダンジョンで苦労することはないでしょう。コンテンツの入場条件をレベル17にしているのも,序盤にある3つのIDを抜けたあたりのレベルだからです。

――ディープダンジョンのストーリーについても教えてください。

吉田氏:
 黒衣の森に古くから存在していたゲルモラという遺跡があり,そこに妖異達が溢れかえる事件が発生したので,その調査を頼まれる……というのがプロローグです。妖異は何によって大量発生したのか,その先になにが待っているのか,っていうところは,ぜひプレイして確かめていただきたいです。

――最初に実装される50階層で,ストーリーは完結するのでしょうか。

吉田氏:
 一応の区切りですが,完結はしません。50階層でとある出来事が起きるのですが,なぜそうなったのかは次のアップデートで,100階層へ行くまでに分かるといった感じです。ですので,その先の100階層から200階までは完全にチャレンジだけのものになります。

――ディープダンジョンはロールフリーになっていますが,DPS4人でも100階層まで行って,ストーリーを確認できますか。

吉田氏:
 問題ありません。ただ100階層以降は保証できないです。

――DPSだけだとキツイぞとなった時は,一度外に出て編成を考え直したほうがいいのでしょうか。

吉田氏:
 地下50階まではそうならないように調整してあるので安心してください。僕らはDPS4人でずっとチェックしていたので大丈夫です。

――コンテンツファインダーを介さない意図を教えてください。

吉田氏:
 フリーロールにしたり,進行度を合わせたりと,複雑なマッチングをやっているからです。その特殊マッチングをコンテンツファインダーに積むとなると,コンテンツファインダーそのもののデバッグを最初からやり直すことになってしまいますので……。安全性のためにNPCからマッチングしてくださいという形にしています。ただ,裏で動いているのは,基本コンテンツファインダーです。

――新しいディープダンジョンが追加された時に,前回のディープダンジョンで強化した武器は引き継がれますか。

吉田氏:
 引き継がれないです。コンテンツとしては別になりますし,その頃には皆さんのアイテムレベルも大きく変わっていると思います。

――専用のUIが使われていたと思うのですが,それも配置変更できますか。

吉田氏:
 もちろんできますよ。

――ジョブのアイコンが可愛いなと思ったのですが,なぜあれを持ってきたのでしょうか。

吉田氏:
 「ディープダンジョン」というのは,その昔,当時のスクウェアがファミリーコンピュータなどに向けて出していたゲームの名前なんです。ですので,こちらもノスタルジックなコンテンツにしようと思ってのことです。セーブスロットという概念も,あのUIが一番分かりやすいので。

――初期のFFナンバリングタイトルで見られたセーブデータ画面ですよね。

吉田氏:
 そうです。ドット職人達が作っていて,すごく良くできていますので楽しんでくださると嬉しいです。

――それでは,ディープダンジョン以外のことも教えてください。新しく実装されたレイドファインダーの稼働状況はどうでしょうか。現状だとタンク待ちになることが多いかなと思うのですが。

吉田氏:
 パッチ3.3はコンテンツ量が多く,やることもたくさんあるので,実装直後はかみ合わないだろうなとは予想していました。それでも,ログデータを確認する限りでは,かなり使ってもらえていると思っています。また,ワールドの異なるプレイヤー同士でマッチングした時に,どちらのローカル戦法でやるのかというやり取りもあって,その辺りはファインダーっぽいなと思って拝見していました。

――土地の転売はNGということでしたが,サーバー移動などでやむを得ない場合は認められるのでしょうか。

吉田氏:
 最初から転売目的で買った土地を売るのはNGです。ワールドを移るから誰かに譲るよというのは止めるつもりはありません。そもそも,それは転売ではなく譲渡なので,そういった区別はきちんと調査させていただきます。通常のプレイ範疇はご安心ください。

――譲渡にギルが絡む場合はどうでしょうか。

吉田氏:
 最初から「土地を売って儲けよう」という意識でないのなら問題はありません。

――土地が還元された場合は,土地の価格は戻るのでしょうか。

吉田氏:
 元に戻ります。

――土地が一瞬で完売したり,転売されたりといった問題がありますが。吉田さんの考えるハウジングの理想的な姿はどういうものなのでしょうか。

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吉田氏:
 うーん,何をもって理想というのかは難しいところですね。だいたい土地の8割が埋まっており,2割くらいは新規で始めた方の目標になるように空いている,というのが理想でしょうか。今回土地が完売しているのは,一部の超過密ワールドで,他のワールドは比較的前述のような状態にあります。管理上,ワールド毎に土地の数が違うのは問題が多く,また過密ワールドにだけ土地を多くすると,結果過密がさらに進むことになりますので,悩ましいところです。

――即完売,転売という状況は,単に人口が多いから生まれるのでしょうか。それともブローカーのようなものが活動しているから?

吉田氏:
 やっぱりそれで儲けをしたいという人がいるってことですよね……。現実と同じで過密ワールドであれば,それだけ需要も多いはず。たくさんのギルを出す人もいるはずだ,という心理がそうさせているんだと思います。ただ,パッチ3.4で実装するアパートメントで,個人需要は絶対に満たせるはずなので,その後,FC優先の土地販売もありなのかなと考えることもあります。ただ,個人で家を持ちたい欲求と,FCで家を持ちたい欲求は,等しく同じ意志だと思いますので,これも難しい判断です。

――転売をシステムで禁止することは難しいのでしょうか。

吉田氏:
 土地を手放すことができる以上,悪意を持ってその仕組みを利用されてしまうと,システムで制限することは難しいです。トレード機能もそうですが,何が善意で何が悪意なのかは,僕らで判断することが難しいからです。
 かといって土地を放棄するシステムをなくしてしまうと,「引退するから譲ってあげるよ,でも帰ってきたときに返してね,もしくは共同にさせてよ」といった,いわゆるロールプレイができなくなってしまいます。

――1アカウントに対して1軒というのはどうでしょう。

吉田氏:
 1つのアカウントで複数のキャラを育てている人の中には,キャラクターごとに家を持たせたいと考えている人もいるはずです。FFXIVで土地を購入するためには,それぞれのキャラクターをレベル50にして,かつギルを溜めなきゃいけないわけですが,これは結構ハードルが高いと思っています。
 アカウントに対して1軒という制限をかけてしまうと,そこまでやって楽しんでくれている人を潰すことになります。果たしてそこまでして,やることなのかなと。また,転売目的の人が複数アカウントでそれを行う場合,制限にはならなくなってしまいます。結局のところ,それを全部制限していくと,すごく窮屈なハウジングシステムになってしまうので避けたいところではあります。

――できるだけ制限はしたくないと。

吉田氏:
 「転売はNGです」とお伝えすれば,FFXIVのプレイヤーのみなさんは「ダメなんだったら止めよう」と,キチンと理解してくださる方が多いと思っています。ですので,まずはしっかりそれをお伝えさせていただきました。それでもRMTのようなことをやるプレイヤーは,徹底的に処罰していくつもりです。

――パッチ3.3以降,宝物庫だったり討伐手帳だったりでギルが稼ぎやすくなったと思うのでが,ギルのインフレは大丈夫でしょうか。

吉田氏:
 そもそもパッチ3.3以前の調査で,所有ギルの格差が大きくなりすぎたと判断しました。みなさん実生活も忙しいので,バトルコンテンツ一辺倒というプレイヤーの方も多いのです。しかし,それだけだとギルの貯蓄量がすごく悪い状態になりつつありました。ヘタをすると装備の修理代すらもキツくなってきたという方もいらっしゃいましたし,高難度レイドに行こうとなると,食事も薬品も買わなきゃいけない。
 マーケットは別としても,システムに払うギルが辛いというのは問題なので,今回のパッチでかなりギルを出すようにしています。ですので,バトルコンテンツ中心の人達は,ぜひアクアポリスも楽しんでください。

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――インベントリを増やすとプロデューサーレターLIVEで告知されましたが,すでに所持数がキツイ人もいるかと思います。デイリーやウィークリークエストなどで使用するアイテムを,「イベントアイテム」のインベントリに移すなどの予定はないでしょうか。また,スタックできないアイテムをスタックできるようにするなどの調整は行われませんか。

吉田氏:
 通貨はこれからも増えていきますが,それらをデータ化してしまうと,今度は不要になった通貨までデータに残ってしまうことになります。現在の通貨はパッチ3.xシリーズを超えると,おそらくそんなに重要ではなくなります。ただ,日本のプレイヤーは過去の通貨も大事にとっておく傾向があるので,それも圧迫の一因かもしれないですね……北米のプレイヤーはあっさりと捨てちゃうんですが(笑)。
 いずれにせよ,みなさんからすると,所持品に入っているか,ウィジェットになっているかの違いに見えますが,結局セーブワークを使っているので,通貨をデータ化した場合,それは「通貨しか入らない所持品枠が追加されている」のと変わらないのです。それを行ってしまうと,追加しようと思っている所持品枠を消費してしまいますので,もう少しお待ちいただくことになりますが,しっかり所持品枠を追加することでお返ししたいと思っています。

――パッチ3.3で竜詩戦争が節目を迎えたわけですが,イシュガルドを舞台にした物語はまだ続くのでしょうか。

吉田氏:
 イシュガルドだけが舞台とは限らなくなります。次の大きなストーリーの幕開けでもあるので。

――それはパッチ3.4からでしょうか。

吉田氏:
 大きく変わるのはパッチ3.5かなと思ってます。前回の拡張パッケージ前もパッチ2.5からの転換は大きかったと思うので。

――パッチ3.xは,いくつまで続く予定ですか。

吉田氏:
 少なくともパッチ3.5までは確定です。

――イシュガルド編で吉田さんが一番好きなキャラクターを教えてください。

吉田氏:
 イシュガルド編だけというわけではないのですが,やっぱりアルフィノが好きですね。アルフィノとアリゼーは旧FFXIVと新生を繋ぐキャラクターとして作成されました。アルフィノはああ見えて,実は一番人間臭いというか……子供なんです,本当に。家柄も良くて学校の成績も抜群。そのうえで野心もあるし情熱もあるけど,根本的に自分の手で何かを成し遂げたことがない。だから,それだけで突っ走った結果,初めての挫折を心の底から味わうんです。普通の人なら心が折れかねない出来事を経験して,周囲の手を借りて立ち上がり,それでもアルフィノはそこから1個ずつ,今度は自分の手足も使って積み上げて,また進んでいきます。そういった成長していく姿は,これからもこだわって描いていきたいと思っています。

――それを聞いて,今後の物語がさらに楽しみになりました。

吉田氏:
 もうひとり挙げるとするならば,エスティニアンでしょうか。彼は旧FFXIVの竜騎士のジョブクエストから登場しているキャラクターです。「FFXIVの拡張パッケージを作るなら,行く先は絶対にイシュガルドになる,そこで彼はキーキャラクターになる」と決めて歩きだしたキャラクターなのです。
 邪竜ニーズヘッグは,妹であるラタトスクを人間の裏切りによって殺されて,すべての人間を憎むようになりました。対してエスティニアンは,弟と両親を目の前でニーズヘッグに殺されて竜そのものを憎んでいます。どちらも竜詩戦争を代表するキャラクターですが,ニーズヘッグは最後まで孤独でした。出会いのきっかけはともかく,同じ境遇のエスティニアンしか分かり合える人がいないぐらいに。
 ですが,同じく孤独に戦ってきたエスティニアンは,パッチ3.0での最後の旅で仲間ができた。それによって彼だけはなんとか憎しみから踏みとどまれた……この辺りまで描き切れたかなと思っていますので,エスティニアンもお気に入りですね。

エスティニアン
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――では,好きなシーンはありますか。

吉田氏:
 作り手である僕が言うのもおかしな話なのですが……やはりレベル57の教皇庁をクリアした後,一連の出来事の中で光の戦士がオルシファンの手をとるシーンですね。相当な回数のリテイクを出したのですが,あのシーンはリテイクが上がってくるたびに,夜中に泣きながらチェックしてたので……歳のせいか涙もろくて(笑)。あとは,今回のラスト付近,竜の目をなんとかしようとするアルフィノと光の戦士という場面も,かなりこだわったところなので,その2か所は,3.xシリーズでは忘れられないパートかなとは思います。

――禁忌都市マハの難度について,開発側の想定としてどうでしょうか。

吉田氏:
 もともとマハは,本来あるべき難度から変えていないつもりです。どちらかというと,難易度はクリスタルタワーシリーズに戻したという形で,やはり前回の24人レイドである「ヴォイドアーク」があまりにも簡単すぎたのがまずかったと思っています。クリスタルタワーシリーズは,毎回リリースからの2,3日はカオスと呼ばれるくらい全滅しまくるし,クリアできない。チャットでは「あーでもない,こーでもない」と,会話が飛び交うのですが,大体一週間すると安定して会話も減ってきて,初見です!と人がいると,パーティ内で教えてあげるという文化ができていました。
 しかし,ヴォイドアークがあまりにも簡単すぎて,チャットをしない,ギミックがわからなくても死なない,仮に死んだとしても立て直しが余裕でできてしまう,といった感じで,今まで築いてきた文化が薄れていってしまいました。

――そこまで簡単だと,作業感が強くなりますね。

吉田氏:
 そうですね,まさしく作業感。今回マハを実装してショックだったのが,初日にレイドに失敗したアライアンスと,うまくいったアライアンスのログを見ていたら,失敗してるアライアンスにはチャットが殆どありませんでした。全滅しても黙々と突っ込んでまた全滅をして……。
 今回は本来のあるべき難度に戻したぶん,そのギャップにインパクトを感じた方もいたと思います。

――では,マハの難度は意図通りということでしょうか。

吉田氏:
 オズマのデブリバーストだけは悩みました。結果,ダメージは下げてリリースしたので,あとは回避方法が浸透すれば多分大丈夫だろうと。
 ボスが硬いと言われているプレイヤーの方もいらっしゃいますが,アイテムレベルは215のマテリア装着無しでバランスをとっているので,硬いということはないはずです。今回は難易度を戻したこともあり,最後の調整でボスの最大HPを10%ずつ削ったので,慣れが進めばより硬さは感じなくなると思います。ただ,今のところ死んでいる人が多いので,そこで全体のDPSが下がって硬く感じることはあると思います。ある程度慣れてきて,みんな生きている状態で戦えれば,倒すまでの時間がすごく速く感じるはずです。

――ニーズヘッグはどうでしょうか。

吉田氏:
 4人IDであるドラゴンズ・エアリーのボスだったときは,「あんなに引っ張っといてニーズヘッグ弱くない?」というお声もいただいたので,竜詩戦争の完結に当たって,今回はダメージをちょっと高めにしました。ただ,3,4人死んだとしても立て直せるくらいのバランスにはしてあるので,ぜひシナリオボスのつもりで挑んでいただけると嬉しいです。

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――パッチ3.1や3.3といった奇数パッチでは,今までになかったような幅広いプレイヤー層が遊べる毛色の違う新しいコンテンツが実装されました。一方,偶数のパッチでは,アレキサンダーのような戦闘メインのエンドコンテンツが入ってくるような流れだと思うのですが,今後も同様の流れでコンテンツは増えていくのでしょうか。

吉田氏:
 そうですね。アイテムレベルの更新が2パッチに1回入ることになるので,その更新に合わせてレイドを入れています。
 みなさん,大体2,3か月かけてアイテムレベルが上昇していくのですが,カジュアルコンテンツを偶数パッチで入れてしまうと,1つ前のパッチのアイテムレベルでクリアできるようにしなくてはいけなくて,3か月半後には,めちゃくちゃ簡単なコンテンツになってしまいます。そうなると今度は,報酬の払い戻しが難しくなるんです。

とはいえ,いずれのパッチにも新規コンテンツやカジュアルコンテンツ,ハードコンテンツはバランス良く実装されていた方が良いのは間違いないです。詳しくは言えませんが,パッチ3.4でも新しい遊びは用意してあります。

――東京ゲームショウのタイミングで,3.4の詳細は出そうですか。

吉田氏:
 コンテンツに関する情報は出ていると思います。メインシナリオについては話せませんが。

――そこまで隠す理由は,新展開だからでしょうか。

吉田氏:
 そうですね。

――プレイヤーが驚くような内容になりますか。

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吉田氏:
 うーん,最初はそうでもない気がします。僕はミステリー好きなので,伏線を張って皆さんの予想を裏切るのも好きですし,逆に「やっぱりな! 俺の思った通りだ!」という感覚も大切にしたいし……ってこれではよくわからないですね(笑)。FFXIVの場合,やっぱりゲーム内だけではなく,ゲーム外でも楽しんでもらいたい。情報発信もコンテンツの一つとして楽しんでもらえればなと思っていますので,ファンフェスなどにもご注目いただければと思います。

――今年もファンフェスティバルに入場特典,有料ライブストリームに特典が付くことがアナウンスされましたが,このようなイベントの特典は今後販売はされないのでしょうか。

吉田氏:
 参加している人達限定という言い方をしている特典を後から一般販売すると,「じゃあ後でいいや」と考える人も出てしまいます。それを楽しみに買った方にもちょっと失礼かなと。サウンドトラックの初回限定に付いているミニオンなどを一切再販していないのも,意外と僕がその辺にこだわるからです。とはいえ,いただくお声の多さで検討していきたいと思います。

――以前,巨大なフィギュアを出すという話ありましたが,どうなっていますか。

吉田氏:
 絶賛作業中ですが,出すとしたらファンフェスです。結構値は張りますが,出来はいいですよ。

――例えば,3万円とか……。

吉田氏:
 さすがにそこまでではないですが,欲しい方はファンフェスに来られる際,いつもよりは多めにお金を握りしめて来ていただいたほうが良いかもしれません(笑)。

――中国版の課金アイテムとして登場していたミニオンが,パッチ3.3で日本でも販売されるようになりました。今回ミニオンのみですが,反響が大きかったチャイナ服などは追加されないのでしょうか。

吉田氏:
 チャイナドレスも予定しています。日本側でデータ追加をする準備もしていますので,もう少ししたら正式にお話できると思います。

――最近のMMOではメガサーバーを採用する作品が増えてきましたが,FFXIVでは採用を検討していませんか。

吉田氏:
 たぶん無理です。データベースからなにまで,初期のサーバー設計に依存しているものなので,今からメガサーバーをやるのなら新しいMMOを作ります。

――データセンター間のマッチングはどうですか。

吉田氏:
 トライはしていきますが,一朝一夕でできるものではないです。今全力でやっているのは,ワールドを超えたパーティ募集で,ワールドを超えてチャットもできるようにという部分です。パッチ3.5での実装を目指しています。これでまずDC内は,ほぼ同じワールド内にいるのに等しい状態になるので,データセンターについてはそれができてからですね。

――PlayStation VRで何かやろうといった計画はありますか。

吉田氏:
 昨年のTGSでタイタンを出展しましたが,やはりVRのゲームは秒間120フレームを維持しないと,人によってはかなり酔います。また,いざ本格的に導入するとなると,VRプレイヤーとガチプレイヤーがコンテンツで一緒になったとき,どうしても動きの精度差が出てしまいます。
 それに,「遊べる人が少ないVRのコンテンツよりも,みんなで遊べるものを実装してほしい」というお声も出ると思いますので,やはり今は難しいと思います。これはVRタイタンを開発したからこそ言えることで,やるならVRに特化したものを作るべきだと思いました。

 VRの可能性自体はすごく感じていますし,今VRのタイトルを作れと言われたら,もちろん全力投球すると思いますが,FFXIVでやることなのかな,とは思います。

――FFXIVの世界観を楽しむようなコンテンツとかはどうでしょうか。

吉田氏:
 それならばまだ可能性はあると思います。「ミコッテレッスン」みたいな(笑)。イディルシャイアの特定の家には,VRを持っている人しかアクセスできなくて,入るとそこにはミコッテパラダイスが待っている……みたいなのは,別料金でありだよね,みたいな話は冗談半分でしています。でも,それくらいやらないと,たぶん面白くならないと思ってるので,今はまだそんな感じですね。

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――E3 2016で気になったタイトルはありましたか

吉田氏:
 「God of War」と「Horizon Zero Dawn」でしょうか。高水準にHDゲームを完成させる安定性,ノウハウ,経験値といったところで日本のゲームとの開きを感じて,悔しいところが結構大きいです。
 とくに「Horizon Zero Dawn」ですが,草を自動で生やすやり方や,LOD(Level of Detail,カメラからの距離によってキャラクターモデルの精密さを切り替え,マシンパワーを節約する方法)の滑らかさと割り切り,安定したフレームレート。この辺りはもう完全に作り慣れだと感じました。
 今の日本の会社だと,2〜3年であのレベルのゲーム作れるところは殆どないのではないかと思います。いろいろな新要素に目が行きがちだと思うんですが,あれが当たり前に作れることのほうが脅威だと思っていて,それがショックというか,悔しいです。
 あとシェーダーが単なるフォトリアルに見えないように,芸術的にしてあるので,上はやっぱりレベルが一段違うなと。やっぱりああいうのと戦わないといけない。

――今後,PS3のサポートはどうなりますか。

吉田氏:
 以前もお話ししましたが,PS3に関しては3.x中は絶対にサポートを続けます,というところから特に変更はありません。

――レベリングが結構辛いイメージがあるのですが,「World of Warcraft」みたいに,ジャンプポーションみたいなものは販売しないのですか。

吉田氏:
 中国や韓国リージョン版ではすでに実装されていて,需要次第ではグローバル版への導入も検討しています。ただし,FFXIVで始めてMMORPGに触れた方も多くいらっしゃいますので,必要性をしっかり見極めていきたいと思います。

――では最後に,3.35を待っているプレイヤーに一言お願いします。

吉田氏:
 パッチ3.3は,極ニーズヘッグ征竜戦からカジュアルなものまで,たくさんのコンテンツを用意できたパッチだと思っているので,それらを遊びながら死者の迷宮を待っていただきたいと思っています。ディープダンジョンは,よりカジュアルですし,今までのバトルコンテンツとは遊び心地の違うものになっているので,それらを楽しんだうえで,さらにフィードバックをいただけると,新しいジャンルのコンテンツを作る時の参考になります。ぜひよろしくお願いいたします!

――ありがとうございました。

「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド」公式サイト

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