SGF: Play Daysにて,Studio Wildcardの共同創設者であり,ゲームおよびアニメシリーズのディレクターを務めるジェレミー・スティグリッツ(Jeremy Stieglitz)氏にインタビューする機会を得た。同社が手がけた海洋MMO「Atlas」の反省を「ARK」にどう活かしたのか,「ARK Maker」が描くUGCの未来,そして同社のビジネス戦略まで幅広く話を聞いてきた。
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再構築された「Genesis」リメイク,物理演算がもたらす「生きた水」の衝撃
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本日はよろしくお願いします。
さっそくですが,「ARK: Survival Evolved」のメインストーリーマップだった「ARK: Genesis Part 1」のリメイクについて,どのようなアプローチで制作されたのか教えてください。
ジェレミー・スティグリッツ氏(以下,スティグリッツ氏):
「ARK: Genesis Part 1」は単なる現行機への移植ではありません。「ARK: Survival Ascended」向けにビジュアル面と機能面の両方をゼロから再構築しています。グラフィックスはすべてが刷新されており,その多くは完全に一から作り直したものです。
前作のデータをただ最適化しただけのものではないので,劇的なクオリティの変化をはっきりと感じていただけるレベルに達しています。
4Gamer:
ビジュアルの進化だけでなく,新生物も追加されるそうですね。
スティグリッツ氏:
はい。少しコミュニティにお話ししたことがありますが,「パレオ・オクトパス」(Paleo octopus)という巨大なタコが登場します。壁を垂直に登ることができ,長い触手でオブジェクトやほかの生物をホールドできるユニークな生物です。
今回導入される中型帆船のブリガンティンと同じくらいの巨体を誇ります。この巨大なタコを飼い慣らして海中を自在に駆けるのは,プレイヤーにとってもまったく新しい体験になるはずです。
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4Gamer:
旧バージョンの「Genesis」は,いくつかの明確なバイオームに分断されていました。マップの構造そのものにも手が入っているのでしょうか。
スティグリッツ氏:
そこが今回のリメイクにおける最大の変更点であり,私たちが最も興奮している部分です。以前のマップは沼地,火山,雪山,あるいは海洋といったさまざまなバイオームがありましたが,海洋エリアは比較的狭く,少し物足りない空間でした。
今回は海洋エリアを大幅に拡張し,それ自体が独立したフルマップに匹敵する広さになっており,島々の数が劇的に増え,全域にわたってシームレスな水中探索が可能になっています。
そして技術面における最大の挑戦が,水にリアルタイムの物理演算を導入したことです。
4Gamer:
水の物理演算は,ゲームプレイにどのような影響をもたらすのでしょうか。
スティグリッツ氏:
水が単なるシェーダーではなく,物理的な実体としてキャラクターや乗り物に干渉するようになります。嵐が起きれば高波が発生し,いかだ(Raft)を含む水上の乗り物すべてに動的な影響が及びます。
いかだを荒れた海に出せば,波によって激しく揺さぶられ,流体力学的に押し流されることになります。海を渡るという行為そのものの難度と,サバイバルのリアリティが大きく変化します。
4Gamer:
海でのナビゲーションが完全に別物になりそうですね。この物理演算による水は,ほかのマップにも適用されるのでしょうか。
スティグリッツ氏:
その予定です。ただし,まずはリメイク版「Genesis」でシステムが正常に機能するかどうか,予期せぬ同期ズレや不具合が起きないかを見極めたいと考えています。
そのため,まずはこのマップだけで徹底的に検証を行います。問題がないと確認できたら,今年後半には「The Island」をはじめとする過去の古いマップにも適用し,物理演算に対応した水の動きを順次パッチで追加していく計画です。
将来的には,今後私たちが制作する,水域を持つすべてのマップで共通の基礎技術として機能させる予定です。
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「Atlas」の経験から学んだ,ソロでも大船を操れる「純粋な楽しさ」への回帰
4Gamer:
もう1つのコンテンツ,有償アップグレード「ARK: Tides of Fortune」について聞かせてください。これは昨年の「Bob's Tall Tales」と同じ路線のコンテンツと考えていいのでしょうか。
スティグリッツ氏:
その通りです。当初は「Bob's True Tales: Tides of Fortune」という名前を検討していたのですが,タイトルとして長すぎたため,シンプルにしました。
ボブに関するストーリー要素も一部含まれますが,メインとなるのはプレイヤーが最も関心を持つであろう「本格的な大型帆船システム」の追加です。スタンドアロンのマップではなく,既存のマップすべてに新しいゲームプレイのレイヤーを追加する形式のアップグレードになります。
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4Gamer:
どのような船が登場するのでしょうか。
スティグリッツ氏:
主に3つのティアの帆船を導入します。小型でハンドリングが速い「スループ(Sloop)」,中型の「ブリガンティン(Brigantine)」,そして速度は劣るものの最も多くの大砲を搭載できる大型の「ガレオン(Galleon)」です。
船のサイズによって,戦闘時に搭載できる大砲の門数が異なるため,明確なロール(役割)の調整を行っています。これらはプレイヤーが木材などを集めて建造し,実際に操縦することができます。
4Gamer:
Studio Wildcardは以前,海洋MMO「Atlas」を開発・運営していましたね。今回の船舶システムは当時の培ったものがベースになっているのでしょうか。
スティグリッツ氏:
「Atlas」のエッセンスは色濃く受け継いでいますが,ゲームプレイの快適性という点では,当時の反省をもとに180度異なるアプローチを取っています。
「Atlas」の最大の課題は,リアリズムを追求しすぎた結果,大型船の運用に大量のAIクルーが必要で,金貨を払い続けなければならなかった点です。支払いが滞るとクルーが反乱を起こすため,ソロや小規模グループでの大型船運用は非常に困難でした。
今回の「Tides of Fortune」では,そうした煩わしいマイクロマネジメント要素をすべて排除しました。
4Gamer:
つまり,1人でも巨大なガレオン船を操れる?
スティグリッツ氏:
はい,そこが今回の大きなブレイクスルーです。1人で舵を握りながら,専用UIを介してボタン一つで片舷の大砲を一斉射撃できる仕組みにしました。クルーの管理は不要で,入手した瞬間から直感的に動かせます。数千時間のプレイを重ねなくても大型船を楽しめるよう設計しています。
「Atlas」ではリアリズムにこだわりすぎて,「大きな船で大砲を撃ち合う楽しさ」というビデオゲームの本質を見失っていました。
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4Gamer:
トライブ(部族)の仲間と一緒に船を動かす場合のメリットはあるのでしょうか。
スティグリッツ氏:
もちろん,トライブでの役割分担も可能です。ソロのワンマン運用を可能にしつつも,トライブのメンバーが個別の大砲に付いて手動で照準を合わせる自由度も残してあります。
その場合,状況に応じて弾薬の種類をリアルタイムに切り替えたり,特定の敵の弱点をピンポイントで狙い撃ったりできる精密射撃のアドバンテージが生まれます。劇的な差とは言えませんが,明確なメリットになります。
また,船の上に構造物を配置してカスタマイズできる自由度は,「Atlas」から継承しています。「Sea of Thieves」のようにあらかじめ固定されたデザインの船を使うのではなく,攻撃特化型,防衛特化型,物資輸送用,恐竜の檻の設置など,プレイヤーの好みに応じた唯一無二の船を作り上げることが可能です。
4Gamer:
「Atlas」は船体(外板)のパーツが1枚破壊されるだけで,そこからリアルタイムに浸水が始まり,パッチを当てないと沈没するというハードコアなシステムを採用していました。
スティグリッツ氏:
ソロプレイヤーには「どこが壊れたか,船底を這い回って探す」のが苦痛でしかなかったため,今回はシンプルなHP制に変更しました。ダメージを受けてHPが低下すると,被害の度合いを表現するために船の巡航速度が徐々に低下していきます。
しかし,船内に設置した「リソースバケツ」に必要な資材を入れておけば,自動的にHPが回復していくカジュアルな仕様に落ち着かせました。浸水した穴を手作業で塞ぐ緊迫感も一部のコア層には支持されていましたが,今回はアクセシビリティを優先しています。
ローンチ後,「あのハードコアなシステムを戻してほしい」という声が多ければサーバーオプションとして検討しますが,まずはカジュアルな仕様が広く受け入れられると考えています。Modによって独自に組み込むことも容易な設計にしています。
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4Gamer:
新生物「アホロートル(ウーパールーパー)」にもユニークな仕様があると聞きました。
スティグリッツ氏:
アホロートル(Axolotl)には,近年の私たちとしては実験的な「分岐進化」のシステムを取り入れています。「ポケットモンスター」に少し近いアイデアと言えるかもしれません。
手に入れたアホロートルを子供(若年期)のままで維持することを選択した場合,プレイヤーの肩に乗るサイズに留まり,さまざまな便利なバフ(強化効果)を周囲に提供してくれます。
一方で,成体へと進化させる道を選んだ場合,肩には乗せられなくなる代わりに,イルカほどのサイズに成長して騎乗でき,水中移動に特化した別の固有能力を発揮します。
1つの生物から,プレイヤーのプレイスタイルに応じて異なるカスタマイズ性を引き出せるのが魅力です。
4Gamer:
「Tides of Fortune」を購入していないプレイヤーは,海洋に出現する新たな敵やコンテンツを楽しめないのでしょうか。Pay-to-Winになってしまう懸念はありませんか。
スティグリッツ氏:
その点は慎重にバランスを取っています。このアップグレードを購入しなくても,拡張された巨大な海洋エリアを探索することはできますし,海を支配するAIの敵艦隊や,島々に築かれた敵の要塞(ウォーター・フォートレス)と戦うことは可能です。
既存の海洋生物や,エンジンを搭載したモーターボートなどを使って敵を倒せば,ここでしか手に入らない最高品質の戦利品を獲得できます。
大型帆船やアホロートルは,あくまで「新しい攻略の選択肢」の1つであり,ゲームを進行させたりマップを楽しんだりするための必須条件にはしていません。購入しなくても不利益を被らない,完全なオプショナル・ゲームプレイ・アップグレードです。
「Bob's Tall Tales」で列車や飛行船,バトルカーを追加したように,ビークル(乗り物)指向のバリエーションですね。
「ARK 2」につなぐためのビジネスモデル。そして2027年の「Atlantis」へ
4Gamer:
プレミアムDLCは「乗り物」をテーマにしたものが続いていますが,ビジネス戦略としての意図を教えてください。
スティグリッツ氏:
率直に言えば,スタジオの運営を維持しながら「ARK 2」の開発資金を確保するためのビジネスモデルです。「ARK 2」が完成するまで直接的な収益は見込めないため,魅力的なオプションコンテンツを提供し続ける必要があります。
ただ,マップそのものを切り売りするマネタイズはしたくないと考えています。今回の「Genesis Part 1」もそうですし,今後の「Genesis Part 2」,そして「Fjorder」や「Lost Island」「Crystal Isles」といったカスタムマップもすべて,「ARK: Survival Ascended」の購入者には無料で提供していきます。
有償のプレミアム要素は,スタジオを次の数年間にわたって存続させるための重要な役割を果たしているのです。前作から続いてきたプレミアムModなどの試みも,すべてクリエイターとスタジオの存続を両立させるためのものです。
4Gamer:
マップの切り売りはしないで,ゲームルールやビークルの拡張でマネタイズしていくと。次の乗り物のテーマは決まっているのでしょうか。
スティグリッツ氏:
ここで次のプレミアム・ゲームプレイ・アップグレードのネタバレをしましょう。帆船の次に私たちが用意しているステージは「宇宙(アウター・スペース)」です。宇宙船同士のドッグファイト,あるいは巨大な主砲を備えたキャピタル・シップ(宇宙戦艦)の実装を予定しています。
技術的に注目してほしいのは,宇宙船がどの角度に回転・反転しても船内に局所的な重力が働き,ドッグファイト中もプレイヤーが船内を自由に歩き回れるシステムです。ネットワーク同期と物理演算の処理はプログラマーとして血が騒ぐ挑戦であり,今から楽しみにしています。
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4Gamer:
それは壮大なスケールになりそうです。ここで得られた技術的な知見やプレイヤーからのフィードバックは,次回作にも生かされるのでしょうか。
スティグリッツ氏:
その通りです。「ARK: Survival Ascended」のすべての試みは,技術的な洗練と学習のプロセスであり,「ARK 2」にそのまま応用されます。
例えば,AIの挙動に関して,私たちは単調な経験値稼ぎ(グラインド)を避けるため,単純なXPシステムからの脱却を進めています。基礎ステータスを上げるためのXPは残しつつ,前回の「Lost Colony」からは特定のゲームプレイ・マイルストーンを達成することでスキルを開放するシステムを導入しました。
「Tides of Fortune」でも船専用のマイルストーンツリーを用意し,ゲームプレイに応じた特定の目標を達成することで船のスキルが開放される仕様にしました。
しかも,一度ツリーを進めれば,自分が最初の建築者であるすべての船にアップグレードが自動適用されるため,同じグラインドを繰り返す必要はありません。こうした新しい試みが,将来の作品の質を高めていきます。
4Gamer:
当初は「Tides of Fortune」のタイミングで導入が噂されていた,自動生成の島々(プロシージャル・アイランド)のシステムは含まれていますか。
スティグリッツ氏:
残念ながら,「Genesis Part 1」のリメイクには間に合いませんでした。私たちが満足できるクオリティに達しなかったためです。今回のマップに配置されている約30の島々は,すべて手作業で固定配置されたものになります。
しかし,これも次の計画への布石です。来年(2027年)には水中と海洋に特化した新しい有償マップ「ARK Atlantis」のリリースを予定しています。今回見送った自動生成の島々というシステムを完璧な形でローンチし,非常に海洋指向の強いマップになる見込みです。
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PlayStationでも動く「ARK Maker」。コンソールにおけるゲーム開発の民主化の先
4Gamer:
9月後半に公開を予定している「ARK Maker」は,コンソール上で動作するインゲームのレベルエディタとのことですが,どのような仕様になるのでしょうか。
スティグリッツ氏:
映像を見た人からは「PC向けのUnreal Editor画面をそのまま見せているだけではないか」と疑われましたが,あれはPlayStationの実機で動作しているゲーム画面です。現時点では,コンソールにUSB接続(ワイヤレスも可)のマウスとキーボードを接続して操作してもらう必要がありますが,コンソールだけで完全に一からマップを作れます。
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4Gamer:
このツールのインスピレーションの源泉はどこにあるのでしょう。
スティグリッツ氏:
任天堂の「スーパーマリオメーカー」から多大な刺激を受けました。ゲームデベロッパでなくても,特別な機材を持っていなくても,ゲーム機があれば誰もがコンテンツクリエイターになれる点がすばらしい。一部のマップは任天堂が作るものに匹敵するほど革新的です。それを可能にしたのが,ツールをゲームに内蔵するという仕組みでした。
私たちがプレイヤーを対象に実施した調査では,約30%が「自分でコンテンツを作ってみたい」と回答しています。しかし,従来のPC向け開発キットをダウンロードして,本格的なModを制作していたプレイヤーは全体の1%にすぎませんでした。
つまり,開発のハードルがボトルネックになっていたわけです。コンソールで手軽に作れるツールを提供すれば,コンテンツの量が10倍,20倍,あるいは30倍に跳ね上がる可能性があります。まったく新しい層の創造性を解放できることに興奮しています。
4Gamer:
どのようなコンテンツを作成できますか。
スティグリッツ氏:
初期段階では「マップ(レベル)の制作」に特化しています。完全に白紙の空間から地形を盛り上げてマップを作れますし,既存のマップを読み込んで,巨大な城を建てたり,配置をいじったりして,自分だけのカスタムマップとして保存することも可能です。
さらに,通常のModブラウザからアートアセットを読み込む機能も備えているため,実質的に無限のアセットを利用して世界を構築できます。
例えば,ゲーム内に存在しない特定の鎧のセットを使いたい場合,オンラインのモデルサイトからアセットをダウンロードし,それをMod化してアップロードすれば,「ARK Maker」内で自由に使えるようになります。将来的には,純粋にビジュアル素材だけを詰め込んだ「アートライブラリMod」という新たなジャンルが生まれると予測しています。
4Gamer:
静的なオブジェクトや恐竜のスポナー(出現ポイント)を配置するだけでなく,ゲームのルールそのものを変更するような,動的な仕掛けを作ることはできるのでしょうか。
スティグリッツ氏:
まさにそこが「ARK Maker」で最も重要視した部分です。開発チームには,ただオブジェクトが置かれているだけのスタティックな環境では面白くない,ゲームプレイに「機能性」を追加できなければ意味がないと伝えました。
プレイヤーが部屋に入ったら罠が発動する,新しいボスが出現する,タレットが起動する,あるいは見事にクリアしたら派手なエフェクトと共に祝福の音楽が流れるといった,ゲームらしいインタラクティブ性が不可欠です。そのために,テキストベースのスクリプト言語として「Lua」を導入しました。
4Gamer:
コンソール上のエディタで,Luaスクリプトのコードを書くということですか。
スティグリッツ氏:
はい。コンソールの画面に複数のウィンドウを開き,キーボードを使ってJavaScriptやPythonに似た感覚でコードをタイピングします。コピー&ペーストの機能はもちろん,作成したスクリプトをライブラリに保存して再利用する機能も備えています。
技術的な背景を明かすと,これはTencentがオープンソースとしてGitHubで公開しているAPI「UnLua」をベースにしています。Unreal Engineのビジュアルスクリプトである「ブループリントAPI」のほぼすべての機能やプロパティを,テキストベースのコードに露出させることができる優れたフレームワークです。
商用利用を認めてくれたTencentの開発チームに感謝しています。私たちはさらに拡張し,オブジェクト指向のクラス継承やサブクラス化が行える階層システムを独自に組み込みました。私はプログラマー出身なので,テキストでロジックを組み立てていく環境には,我が家に帰ってきたような心地よさがあります。
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4Gamer:
一般のプレイヤーにとって,テキストベースのプログラミングはややハードルが高いように思えます。
スティグリッツ氏:
実際にコードを書くのは,おそらくクリエイター全体の5人に1人,あるいは10人に1人でしょう。しかし,問題はありません。
「スーパーマリオメーカー」がそうであったように,「ARK Maker」では誰かが作ったマップをダウンロードし,その中で使われているスクリプトをコピーして自分のマップに流用することができます。コードが書けないプレイヤーも「あの面白い仕掛けをそのまま持ってこよう」という形で,コミュニティ全体の知恵をオープンソースのように相互共有し,学び合える環境を目指しています。
モッダーのコミュニティはクローズドになりがちで,自分の技術を隠したがる傾向もありますが,私たちのツールが垣根を取り払うことを期待しています。
4Gamer:
プレイヤーがオブジェクトやスクリプトを大量に配置しすぎて,ゲームの動作が極端に重くなったり,クラッシュしたりする懸念はないのでしょうか。コンソールにはPCのようなスペックの余裕がない場合もあります。
スティグリッツ氏:
それは確実に起こるでしょう(笑)。そもそもLuaスクリプトの処理速度はそれほど速くないため,超高性能なリアルタイムストラテジーゲームを構築しようとすれば,フレームレートは5コマ以下に落ちてしまいます。
スクリプトはあくまで簡易的なイベント制御のためのものであり,複雑なゲームシステムを一から構築するためのものではありません。ちなみに,Luaを使ってカスタムメニューやUIを作成することも可能です。
エディタのメニュー画面には「Studio Wildcardが制作したものではなく,動作が不安定になる可能性がある」という明確な免責事項を表示する予定です。お金が絡まないコンテンツだからこそ,リスクを事前に提示します。
ただし,クオリティの低すぎるコンテンツは,コミュニティの評価システムやダウンロード数によって自然と淘汰されていくでしょう。万が一,致命的なクラッシュを引き起こすような悪質なマップがあれば,私たちの判断で一時的に非公開にする権利は留保します。
基本的にはモッダーたちの自主管理に委ねる形になりますが,テキストベースの制限されたAPIを叩いているだけなので,メモリに直接アクセスしてコンソールにウイルスを仕込むといった悪用は不可能な設計です。
4Gamer:
作成されたコンテンツは,異なるプラットフォーム間でも共有できるのでしょうか。
スティグリッツ氏:
100%完全なクロスプラットフォーム対応です。アセットを含まない軽量な設定データに過ぎないため,解凍前のファイルサイズは300〜400KB程度しかありません。マルチプレイサーバーに参加した瞬間,進捗バーが表示される間もなくダウンロードが完了します。
従来の大型Modマップとは,手軽さの次元が違います。プレイしたマップはローカルにキャッシュされ,履歴からいつでも永続的に保存できます。
ユーザーの創造性にかけてきた歴史,アニメシリーズ完成にかける執念
4Gamer:
「ARK Maker」が成功を収めた場合,長期的にはどのようなエコシステムに成長させたいと考えていますか。「Roblox」や「フォートナイト」のような巨大プラットフォームを目指すのでしょうか。
スティグリッツ氏:
現在の規模はそれらと真っ向から競合するレベルではありませんが,目指す方向性の思想は共通しています。私たちは「ARK」を最高のサバイバルゲームとしてだけでなく,ユーザーが自由に遊べる「究極のサンドボックスの遊び場」にしたいと考えています。
そのためにUGCは必要不可欠です。長期的には,マップの制作に限定されている「ARK Maker」の機能を拡張し,マップを伴わない「純粋な新しい武器,新しい生物,新しいゲームモードの機能だけ」をコンソールで作成して配布できるようにしたい。Modがサポートする領域の多くを,このライトなエディタでカバーするのが最終的な目標です。
私たちの歴史を振り返っても,ユーザーの創造性にかけた選択は常に成功を収めてきました。2015年にModを全面サポートしたときも,2023年にそれをクロスプラットフォームに対応させたときも,結果的にタイトルの寿命を大きく伸ばしました。
直近で導入した,手動インストール不要で他人の衣装スキンが同期される「ダイナミック・コスメティクス」のシステムも成功しています。ユーザーの創造性を信じることは,私たちにとって最も確実な賭けなのです。
4Gamer:
クリエイターの熱量が作品を支えているのですね。
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スティグリッツ氏:
実際,私たちは半年に1回ほどのペースで,Modコミュニティから人材を直接雇用しています。彼らの多くはゲーム業界の経験者ではなく,学生やホビー層ですが,何よりも「ARK」に対する熱量が非常に高い。情熱に突き動かされ,かつ信じられないほどスマートです。
だからこそチームに迎え入れるのですが,雇用すると「公式の開発に集中するため,新しいModを作れなくなる」というジレンマもあります(笑)。
4Gamer:
なるほど(笑)。
それでは最後の質問です。あなたが監督を務めるアニメシリーズ「ARK: The Animated Series」の進捗を教えてください。パート1の公開から2年以上経過していますが,パート2の状況はどうなっていますか。
スティグリッツ氏:
大変お待たせしました。現在はカラーグレーディングとオーディオミキシングをハリウッドのスタジオで行う,ポストプロダクションの最終段階にあります。
本作のサウンドエフェクトは既存の鳴き声ライブラリからダウンロードしてきたものではなく,映像界のフォーリーアーティスト(効果音職人)たちが専用の機材を使って,恐竜の足音や格闘シーンの衝撃音を生の演技で作り出しています。
すばらしいサラウンド音声に仕上がっているので,音響面には非常に誇りを持っています。あと2〜3か月もあれば,すべての制作プロセスが完了する見込みです。
4Gamer:
公開が待ち遠しいです。しかし,これほど期間が空いてしまった理由は?
スティグリッツ氏:
率直に言って,私がゲームのディレクターとアニメの監督を兼任し,時間を二分せざるを得なかったことが原因です。
スタジオには優秀なスタッフが大勢いますが,私にはゲームのデザインや開発の方向性といったクリティカルな決断を下す役割があるからです。
しかし,スローペースながらも完成したパート2は,パート1を遥かにしのぐクオリティに仕上がっています。総ボリュームは約4時間に及び,昨今のアニメーションとしては極めて珍しく,AIやCGIを一切使用していません。すべて鉛筆と紙を使い,昔ながらの手法による「完全手描き(ハンドアニメーション)」のセル画(デジタル彩色)で構成されています。
2年前に描き終えた原画は,倉庫に約3トン分も保管されています。いつかオークションサイトに出品するか,ファンへのプレゼントにしたいと考えていますが,それほど伝統的なスタイルにこだわりました。
4Gamer:
約3トンの生原画とは恐れ入ります。見どころを教えてもらえますか。
スティグリッツ氏:
ファンが最も見たがっているであろう「巨大な恐竜同士の過酷なバトル」,あるいは「ARK」の物語の背景にあるSF的な世界設定を掘り下げています。プロダクションの完成度は非常に高く,ファンの要望に完全に応えられる内容です。パラマウントとの今後の展開にもつながることを期待しています。
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4Gamer:
実にキャストが豪華ですね。
スティグリッツ氏:
パート1では顔見せ程度だったラッセル・クロウさん,ヴィン・ディーゼルさんのキャラクターが本格的に活躍します。さらに映画ファンにはたまらないオールドスクールな大物俳優として,「時計じかけのオレンジ」のマルコム・マクダウェルさん,「マトリックス」シリーズでも知られるイタリアの名女優モニカ・ベルッチさんも参加しています。
ローマの将軍を演じるジェラード・バトラーさんに「俺の相手役は誰だ?」と聞かれたので,「モニカ・ベルッチです」と答えたところ,「よし,乗った!」と即答してくれました(笑)。
4Gamer:
これからの「ARK」の展開が非常に楽しみになりました。本日は貴重な話をありがとうございました。


















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