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恐竜に乗って自ら殴りに行くRTS「Dinolords」を体験。なぜ恐竜なのかは,開発元代表の“恐竜の一声”[TGS2026]
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印刷2026/09/20 17:06

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恐竜に乗って自ら殴りに行くRTS「Dinolords」を体験。なぜ恐竜なのかは,開発元代表の“恐竜の一声”[TGS2026]

 デンマークのデベロッパNorthplayが開発し,「Deep Rock Galactic」のGhost Ship GamesによるパブリッシングレーベルGhost Ship Publishingが展開予定の新作ゲーム「Dinolords」。その日本語ビルドが,東京ゲームショウ2026で初めて出展された。

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 リアルタイムストラテジー(RTS)と街づくり,そしてアクションRPG的な戦闘を一本にまとめた作品で,開発チームはこれを「ハクスラ」ならぬ「ハック・アンド・ストラテジー」という新しいジャンル名で呼んでいる。

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 会場では実機を試遊したうえで,NorthplayのCEOであるMichael Flarup氏,CTOでリード開発者のUlrik Damm氏,プログラマのKasra Tahmasebi氏に話を聞くことができた。
 試遊レポートと合わせてお届けしよう。

左からKasra Tahmasebi氏,Ulrik Damm氏,Michael Flarup氏
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 画面の見た目は俯瞰視点のRTSだが,プレイヤーが動かすのは軍全体ではなく,領主であるキャラクターのみだ。拠点に戻って建物を建て,資源を集め,兵を訓練する。そのうえで恐竜や人間の兵士にも指示を飛ばさなければならない。

 兵の生産は,人間と恐竜で建物が分かれている。人間の部隊だけでは心もとないと感じたら恐竜を作りに行く,という流れだ。生産に必要なリソースは人間が肉と金属,恐竜が卵と木で,それぞれ独立している。多くは施設を建てれば得られるようになるが,卵だけは恐竜の巣を確保する必要がある。

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 生産したユニットの集合地点をあらかじめ指定しておく機能や,プレイヤーに追従させる機能もあった。

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 同じ兵科を一定数そろえると,主人公が使えるスキルが開放される。試遊中はソードマンを複数生産したところで,味方にバフを配るスキルが開放された。自分から一定範囲内にいるユニットに効果が及ぶ性能で,集合させてから使うとお得だ。

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 マップの一角には,大型の恐竜が捕らわれている場所がある。そこで恐竜を開放すると騎乗できるようになる。ここからの暴れっぷりが本作の見せ場だ。

 開放したティラノサウルスに乗り,木々をなぎ倒しながら突き進むと,なんとそのまま資源として回収できた。また,専用のスキルも用意されているため,指揮官でありながら一番前線で戦う構図になってしまった。

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 なお,デモ版では恐竜から降りられなかった。今考えられている仕様としては,恐竜から降りると,その恐竜が暴れ出し,周囲のものを無差別に攻撃するようになるという。手綱を握っていないと自分の身も危ないというわけだ。

 このほか,建設クレーンのような役割を果たす恐竜や,伐採用の建物を作ると自動で木を切ってくれる恐竜など,戦闘以外の場面にも恐竜が組み込まれている。

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 戦いは本拠地を破壊されたほうが敗北となる。試遊ではそのままティラノサウルスで突っ込み,勝利となった。

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 なお,カメラはプレイヤーに追従するのが基本だが,[Tab]キーを押すと俯瞰のまま好きに動かせるようになる。拠点の生産を管理したいときは,この機能をうまく使って効率的に前線と内政を切り替えよう。

 試遊を終えたあと,開発陣に話を聞いてみた。まず意外だったのは,本作の企画の始まりが恐竜ではないということだ。

 出発点にあったのはRTSやストラテジーへの純粋な好みで,2023年ごろの時点では「Dinolords」というタイトルすら決まっていなかった。イングランドの城を建て,軍を編成して戦う。その程度の輪郭のまま,チームは6か月ほど開発を続けていたという。

 ちなみに,「Dinolords」というタイトルが発表されたのは,2024年の「The Triple-i Initiative」でのことだった。


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[2024/04/11 03:03]

 そうして開発を進めているうち,ある日突然CEOのFlarup氏がオフィスに入ってきて「恐竜だ。これは,今から恐竜のゲームになる」と宣言した。

 Tahmasebi氏によれば,そこから2,3か月は会議のたびにFlarup氏から「恐竜はどこですか?」と問われ続けたが,当時のスタッフにはまだその絵が見えていなかったらしい。

 なぜ6か月も進めたところで方針を変えたのか。Flarup氏は,ジャンルとしてはすでに面白いという手応えがあった,と前置きしたうえで,もうひと押し,何かプラスアルファの要素が欲しかったと振り返る。

 中世という設定と恐竜が噛み合うという確信は,最初からあったという。ファンタジーではない。ドラゴンでもないし,魔法でもない。楽しさはありつつも,あくまで歴史を感じられるものにしたかった。

 加えて,実務上の切実な理由もあった。新しいゲームプレイは説明が難しく,人を引き込みにくい。まず入ってきてもらって,体験してもらうための何かが必要だった。恐竜に騎乗して自ら戦えるという分かりやすさは,そのまま本作の入口になっている。

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 その後,恐竜という軸が決まってからさらに4年かかり,その大半は試行錯誤に費やされたという。Damm氏は「最初はそんなに楽しくなかったんですよ」と振り返る。

 どういう操作にするのか,どういう拠点を作るのかが難しく,初期はどの兵士(ユニット)でもすべての恐竜に乗れるという案もあったが,複雑になりすぎてボツになった。

 もっとも根深かったのは,お手本が存在しないことだ。新しいストラテジーのサブジャンルを作ろうとしている以上,参考にできるものがない。RTSとアクションRPGにどういう共通点があり,どこがうまく組み合わさるのか。その調査から始めなければならなかったとDamm氏は語る。

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 4年という時間は短くない。恐竜に舵を切ったことへの後悔はなかったのかとFlarup氏に聞くと「笑い話にはなるが,シナジーは本当に良かった」と,即座に否定した。

 中世の家畜運用を基にしたアイデアが次々に出てきて,恐竜を経済に組み込んだり,戦争に組み込んだりする方向性が,実によく噛み合ったという。

 それに,みんな恐竜が好きで,「恐竜があったからこそPC Gamerの表紙に載ることができましたから」と,笑顔で伝えてくれた。


 そもそも,なぜ恐竜なのか。
 そう聞くと,Flarup氏から「なぜ? 恐竜が嫌いな人なんていないでしょう」と逆に質問されてしまった。

 「我々はみんな子供の頃から恐竜と一緒に育ってきた。ファンタジーの生き物より恐竜のほうがずっとかっこいい。恐竜は我々の世界にとってのドラゴンなんですから」と語るFlarup氏には,謎の説得力があった。

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 また,Damm氏は恐竜という題材の開発における利点も挙げてくれた。恐竜はもう絶滅しているので,どんな色だったのか,羽毛がどれくらいあったのか,どれくらいの大きさだったのかなどをこちらで決められる。クリエイティブになれる余地がある,というわけだ。

 とはいえ,好き放題にやっているわけではない。チームには恐竜オタクも歴史オタクも多く,恐竜についても中世についてもかなり調べているという。

 楽しくてクレイジーなゲームではあるが,そのどちらにも本物らしさを入れているつもりだとFlarup氏は語る。

 たとえば,ラプトルに翼を与えればかっこいいかもしれないが,知っている人が見れば違和感を覚えてしまうので,そこまではやらない。そういった線引きはしっかりしているそうだ。

右側の騎士が乗っている恐竜を指さしながら説明していた
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 陣営はイングランド側とバイキング側に分かれており,それぞれ別のタイプの恐竜を持ち,プレイスタイルが異なる。

 この分け方は史実に由来しているという。バイキングがイングランドへ攻め込んだ側であることから,イングランド側は城を建てられるが,バイキング側は建てられない。結果として,片方は防御的で動きが遅く,もう片方は攻撃的でよく動き回るという非対称性が生まれている,とDamm氏は説明する。

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 また,資源にある「卵」は,本作の世界観である「バイキングがグリーンランドへ渡り,氷の中から恐竜の卵を見つけて持ち帰り,育てた」という設定を反映したものだ。
 だが,実は「プレイヤーに,人間を作るか恐竜を作るかを選ばせたくなかった」というゲームデザイン側の狙いが本質とのこと。

 恐竜も作ってほしいから,恐竜専用の資源をわざわざ分けたのだという。資源が共通だと,人間ユニットばかり作ってしまうかもしれない。専用の資源で強いユニットを作れるようにすれば,プレイヤーは両方を混ぜて編成するようになる。

 卵は恐竜の巣を確保することで,時間経過とともに手に入る。確保した巣が多いほど入手量も増えていく形で,拠点の奪い合いがそのまま恐竜の生産力の奪い合いになる。
 なお,技術ツリーの最後まで到達すれば自分で卵を生産できるようにもなるが,コストはかなり高くつくとのことだった。

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 このほか,パブリッシャのGhost Ship Publishingとの関係についても聞いてみた。
 Northplayは12年間ゲームを作り続けてきたが,これまですべて自社パブリッシングだった。しかし,今回のゲームは規模が大きすぎたためパブリッシャを探すことになり,30社に声をかけたという。

 そのなかで最初にゲームを見せた相手が,Ghost Ship Publishingだった。彼らはすぐにゲームを気に入ってくれて,ほかにもオファーはあったが,最終的にGhost Ship Publishingを選んだそうだ。

 理由を聞いてみると,Flarup氏は「同じデンマークの企業であることも理由の1つだが,なによりもGhost Shipはアーリーアクセスのゲームを作るのが非常にうまい」と述べた。
 「Deep Rock Galactic」をコミュニティととともに作り上げてきたように「Dinolords」もコミュニティと一緒に育てていきたいと考えているそうだ。

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 最後に,注目してほしい部分を聞いてみると,「もちろん恐竜を好きになってほしい」と前置きしつつ,本当に理解してほしいのは「自分たちは新しいタイプのストラテジーゲーム,新しいサブジャンルを作ろうとしている」ことだと,Flarup氏は語る。

 彼らはそれを「Hack'n'Strat」(ハック・アンド・ストラテジー。日本語で略すと“ハクスト”だろうか)と呼ぶ。この新しい呼び方が当たり前になる日を目指して。恐竜の裏には,新ジャンルを開拓する挑戦が隠されていた。



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