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FFシリーズとのBGMコラボも発表された「FANTASIAN Neo Dimension」スペシャルトークステージをレポート[TGS2024]
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印刷2024/09/28 16:33

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FFシリーズとのBGMコラボも発表された「FANTASIAN Neo Dimension」スペシャルトークステージをレポート[TGS2024]

 東京ゲームショウ2024の3日目(2024年9月28日),一般公開初日を迎えた会場で,スクウェア・エニックスによる「FANTASIAN Neo Dimension」PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / PS4)のスペシャルステージが開催された。

画像集 No.005のサムネイル画像 / FFシリーズとのBGMコラボも発表された「FANTASIAN Neo Dimension」スペシャルトークステージをレポート[TGS2024]

 FF14プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏がMCを務めるこのステージでは,「ファイナルファンタジー」シリーズの生みの親である坂口博信氏と,同シリーズの音楽を手がけた作曲家・植松伸夫氏が,「FANTASIAN」の魅力や開発秘話などを語った。本稿ではその内容まとめてお届けする。

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魔法と科学技術の融合世界


 「FANTASIAN Neo Dimension」は,Apple Arcade向けにリリースされた「FANTASIAN」をベースに,声優陣によるキャラクターボイス対応や難度設定を追加した新作だ。手作りのジオラマ素材を用いたビジュアル表現が特徴で,"仲間と共に記憶を探す旅へ。"というキャッチフレーズのもと,2024年12月5日に発売予定である。

 坂口氏は本作のストーリーを,プロットからライティングまで手がけている。「世界観とキャラクターが何より大事」と語る坂口氏はゲームのストーリーを組み立てる際,とくに「倒すべき存在」である悪役の構築に力を入れるそうだ。
 「悪の存在に説得力がないと世界観も崩壊する」と,テーマと悪役を連動させて練り上げていくという。

 植松氏は,2019年のコンサートツアー中に坂口氏から本作の構想を聞かされたそうで,「暖かみのある設定を見て,坂口さん味を感じた」と,懐かしさと新鮮さが同居する企画に惹かれたことを明かした。

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 そして本作の大きな特徴の1つが,フルボイス対応である。しかし坂口氏は当初,ボイスにこだわりがなかったそうだ。吉田氏も,ボイスを付けることを会議で提案したとき「いらないかな」と言われて焦ったという。

 坂口氏は「ファミコンから始まった流れで,想像力を掻き立てるという意味で,ボイスなしにどこか思うところがあったのかも」と語り,テキストのみで表現することの魅力にも言及した。ただ,実際にボイスがついた時の仕上がりを見て「すごくいい」と感じたそうだ。

 ちなみに,主人公役を演じた内田雄馬さんは,「FFの主人公をやりたくて声優になった」という熱意の持ち主で,坂口氏との対面時には緊張していたというエピソードが,吉田氏から明かされた。

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 本作の特徴的な表現方法である,実物のジオラマを使用した背景制作についても,その裏側が明かされた。ジオラマはすべて手作りで,スクラップのオブジェトには,PCを壊して取り出した部品を使用するなど,こだわったそうだ。

 中でもとくに力を入れたのは「ウズラ号」と呼ばれる船のジオラマだ。坂口氏は,最後にウズラ号を爆破させる予定だったそうだが,その完成度の高さに「それだけは本当に勘弁してほしい」とスタッフたちに止められたという。
 爆破させようとした理由を聞かれると,坂口氏は「単純に“かっこいいから”」と答え,会場の笑いを誘った。

 坂口氏は「CGだときっちり作りすぎてしまう。ジオラマだと変なところが出てくる。それが逆に手作り感があっていい」と,この手法を選んだ理由を説明。植松氏も初めてゲーム画面を見たとき「初めての体験でこれはすごい」と感銘を受けたという。

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 ここで,吉田氏は興味深い指摘をした。「FANTASIAN」のビジュアルに「FINAL FANTASY VII」の手法を感じたというのだ。その理由として,「FINAL FANTASY VII」はプリレンダリングしたCGをベースのマップポリゴンの上にテクスチャとして貼ることで,ハード性能の制限の中で緻密な世界観を表現していたと説明した。つまり,実際の3Dモデルではなく,事前に描画した高品質な画像を活用することで,当時のハードウェアの限界を超えた表現を可能にしていたのだ。

 この指摘を受けて坂口氏は「確かにある意味「FANTASIAN」と同じ手法かも」とうなずいた。さらに,あるきっかけで「FINAL FANTASY VI」をプレイし直したことが,「FANTASIAN」の制作のきっかけの1つだったと明かし,「FINAL FANTASY VII」の手法に似ているのもそこに影響があるのかもしれないと振り返った。


FANTASIANの音楽は,植松伸夫氏の集大成


 植松氏は本作で60〜70曲ほどを手がけたそうだ。「ゲーム音楽を最初から最後まで一人でやるのは最後にしよう」という覚悟で臨んだそうで,「自分が作ったゲーム音楽で一番好きだ」と,本作を振り返った。

 植松氏は本作の音楽制作にあたり,アナログシンセサイザーを多用したという。KORGのMS-20,MoogのMother-32,DFAM,SOMAのThe PIPEなど,さまざまな機材を駆使して制作に臨んだという。

 興味深いのは,その作曲プロセスだ。「バラードやメロディアスな曲は鍵盤で作るが,FANTASIANではアナログシンセで変な音を作り,それをシーケンサーに録音。偶然出た変な音をためて,使えそうなところに入れていく」という独特の手法を採用したそうだ。
 この過程で植松氏は「果たして音楽は12音だけで作らなければならないものだろうか」という疑問を抱き,ノイズなども積極的に取り入れる試みを行ったという。

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 また,植松氏は本作の制作のため,自宅の地下室を「FANTASIANシフト」と名付けて改造し,作曲に没頭できる環境を整えたという。キーボードで自分を囲って閉じ込めるなど,「作曲しかできないような環境」を作り上げ,ひたすら曲を描き続けた日々を振り返った。

 そして植松氏は,坂口氏との仕事の進め方についても言及した。「最終的にBGMリストは作るけど,発注されるときにはリストがない」そうで,坂口氏が曲の必要性を感じたときに随時依頼が来るのだという。その代わり,細かい要望はなく,植松氏の好きなように作曲できる自由があったという。

 一方で,制作の終盤に近づくと植松氏に時間的余裕が出てくるのを見計らって,坂口氏が新たな曲の発注をしてくるのだとか。「昔からそう」とのことで,「FINAL FANTASY」のプレリュードも,任天堂にROMを提出する直前に突然追加を依頼されたという驚きのエピソードも明かされた。

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 植松氏は,FANTASIANの制作を終えてから思い浮かんだというアイデアについても言及。オーケストラとアナログシンセサイザーの音をモーフィングさせるという発想が頭の中にあるとのことで,それを聞いた坂口氏は「新作を作っているから」と即座に反応。監修だったらいいよと植松氏が返し,会場を沸かせた。

 そしてトークの終盤,サプライズとして「FINAL FANTASY」シリーズと「FANTASIAN Neo Dimension」のコラボが発表された。「FINAL FANTASY」シリーズのBGMが本作に収録されるというもので,戦闘中のBGMを好きなように切り替えられるそうだ。
 このコラボは,坂口氏がFF14をプレイ中に,祖堅氏がアレンジした植松氏の楽曲を聴いて着想を得たという。植松氏も「遊びの発想で面白い」と賛同したそうだ。

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 ステージの締めくくりとして,植松氏は11月5日と6日に開催予定のコンサートを告知。6日のチケットがまだ残っており,その日はFANTASIANの楽曲もやるとのことで,ぜひ来てほしいと呼びかけた。そして坂口氏は,FF14のプレイヤーとして3周年を迎えたことを報告し,「ぜひ一緒にFF14を遊びましょう」と,なぜかFF14をアピール。会場の笑いを誘って,ステージは幕を閉じた。

「FANTASIAN Neo Dimension」公式サイト


東京ゲームショウ2024公式サイト

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