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殺しのライセンスを持たない27歳のボンドをIO Interactiveはどう描いたのか。「007 ファースト・ライト」開発者インタビュー[TGS2026]
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印刷2026/09/21 11:53

インタビュー

殺しのライセンスを持たない27歳のボンドをIO Interactiveはどう描いたのか。「007 ファースト・ライト」開発者インタビュー[TGS2026]

 H2 INTERACTIVEは,2027年3月発売予定のSwitch2版「007 First Light」PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch 2)を,東京ゲームショウ2026に出展した。

Switch2版「007 ファースト・ライト」の試遊台。会場ではハピネットのブースに出展され,ゲームの冒頭約15分間をプレイできた(筆者撮影)
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 この出展にあたり,本作の企画・開発を手がけたIO Interactiveの開発陣が来日し,メディアの取材に対応した。同社はステルスアクションの傑作「HITMAN」のデベロッパとして知られ,本作にもそのノウハウが生かされている。

 本作は,小説や映画で知られる「ジェームズ・ボンド」シリーズの公式ライセンスを取得して制作されたタイトルだ。27歳のボンドが「殺しのライセンス(License to Kill)」を得るためのミッションを遂行しながら,スパイとして成長していく物語が描かれる。

TGS会場に展示された,本作の主人公ジェームズ・ボンドの等身大スタチュー(筆者撮影)
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 ライセンス作品でありながら,本作のストーリーは完全なオリジナルだ。なぜそれが可能だったのか。そして,まだ007ではないボンドをどう形づくったのか。来日した2人に聞いた。

左からIO InteractiveのLaurine Deschamps氏(Global Brand Manager),Cristina Vega氏(Executive Technical Producer)
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開発陣全員が「007」の大ファン。その熱意が版権元に伝わった


4Gamer:
 「007 ファースト・ライト」を御社で開発することになった経緯や,企画の立ち上げについてお聞かせください。

Deschamps氏:
 今回の開発の大前提にあるのは,チームのメンバー全員が,人生をかけてもいいというほど「ジェームズ・ボンド」という存在や「007」という作品を愛しているということです。
 古くはショーン・コネリーさんから,近年のダニエル・クレイグさんまで,幅広い作品のボンドファンがいて,それをゲームとして手がけることをかねてから夢見ていました。

 この企画をライセンス元へ届けた際は,私たちチームがボンドや007のどれほどのファンであるかを認めていただいたことが,許諾が下りたきっかけになったと自負しています(笑)。

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Vega氏:
 そんな私たちですから,ボンドの世界は隅々まで理解しています。ゲームとはいえ“やっていいこと”と“やってはいけないこと”も把握していました。タイトルを世界に発表した際,ファンの方々から「完璧な組み合わせだ」と賞賛されたことは,今でもよく覚えています。

 我々がこれまで手がけてきた「HITMAN」シリーズの“ターゲットを倒す”というゲームデザインのノウハウを生かしつつ,“ボンドらしい”アクションを追求する。大きなチャレンジでもありました。

4Gamer:
 すでにゲームは発売されていますが,Switch2版などでこれから遊ぶ人に向けて,改めて本作がどんなゲームなのか解説をお願いします。

Deschamps氏:
 本作は「007」シリーズのスパイストーリーを描くアクションアドベンチャーです。原作小説や映画のストーリーとは直接関係のない,完全なオリジナルストーリーで構成されています。

 登場するジェームズ・ボンドは27歳。007シリーズ史上もっとも若いボンドとして描かれています。プレイヤーも彼とともにスパイの仕事に初めて触れ,学びながら「007」の称号を得るまでの過程を体験していくんです。

画像ギャラリー No.005のサムネイル画像 / 殺しのライセンスを持たない27歳のボンドをIO Interactiveはどう描いたのか。「007 ファースト・ライト」開発者インタビュー[TGS2026]

Vega氏:
 ゲームプレイはワイドリニア方式で,いくつかあるアプローチのなかから自由に選んで進行していきます。「HITMAN」も同様に,1つの目的に対してさまざまな解決策が存在するというゲームデザインですね。

 「HITMAN」はステルスがメインで,銃を取り出すところを見られると失敗になることも多かったんですが,本作はボンドらしさを追求するために,銃撃戦,ステルス,カーチェイス,近接格闘,会話によるブラフ,あるいは会話に聞き耳を立てて情報を得るといった幅広い選択肢を用意しています。

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Deschamps氏:
 またダイナミックなアクションだけでなく,ストーリーや演出,キャスト,音楽など,ゲームプレイ以外の要素も非常に豪華な仕上がりになっていますので,いろいろなところに注目していただきたいですね。

4Gamer:
 「007」というIPで完全オリジナルのストーリーや世界観を構築するにあたって,とくに注力したポイントやこだわりはありますか。

Vega氏:
 「007」は60年以上の歴史があるIPですので,映画だけに絞ってもたくさんの要素があります。まずは“ボンドらしさ”に必要な象徴的な要素をリストアップすることから始めました。
 それは見た目や装備だけでなく,ダイナミックなアクションや車の運転,ロマンスといった行動も含めてです。ステルス行動についても,「HITMAN」のように隠れるだけでなく,正面から堂々と入って巧みな話術で相手を信用させるような,彼らしい振る舞いを再構築しました。

画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / 殺しのライセンスを持たない27歳のボンドをIO Interactiveはどう描いたのか。「007 ファースト・ライト」開発者インタビュー[TGS2026]

Deschamps氏:
 Qから提供される車や時計などのガジェットに加えて,実在するブランドとのパートナーシップも非常に重視しました。通常,ゲーム内に実在のブランドを出すと広告のように見えてネガティブに受け取られがちですが,ボンド作品においては実在するブランドが登場すること自体が,作品のリアリティや魅力に直結するんです。

4Gamer:
 プレイヤーが,実在するブランドのアイテムを手に取ったり身につけたりできるのですね。

Vega氏:
 そうなんです。面白いエピソードとしては,私たちがゲーム用にデザインしたオリジナルのOMEGA製の時計を先方が大変気に入ってくださって,現実のモデルとして製作されたんです。
 またバイクのTriumph社にも,本作のためにデザインしたMI6仕様のバイク用バッグを気に入っていただき,実物を作りたいとおっしゃっていただけました。
 ゲームの枠を超えたパートナーシップが生まれたことは,私たちとしても本当にうれしい出来事でした。

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若きボンド役には俳優のパトリック・ギブソンさんを起用。プレイヤーとともに成長していくボンドを演じる


4Gamer:
 本作のジェームズ・ボンド役には,俳優のパトリック・ギブソンさんをキャスティングされています。その起用理由や,決定までのプロセスについて教えてください。

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Deschamps氏:
 キャラクターのキャスティングには非常に長い時間をかけました。とくにボンド役については,我々もファンを自認するだけに,映画と同様,相当慎重にならざるをえませんでした。

 先ほど話したように,本作のボンドは27歳と若く,冷酷なスパイの世界を知りません。未来に対してポジティブでありつつ未熟さもあり,プレイヤーと一緒に成長していける人物像が求められました。
 ギブソンさんは豊かな演技の表現を持っていて,本作で描きたいボンドを完璧に表現できる。だから彼がベストだと確信しました。ほかにもたくさんの候補を検討しましたが,何度検討しても最終的には彼の名前が挙がるほど,評価が高かったんです。

Vega氏:
 開発側でボンドの仮の3Dモデルを作成していたときも,髪型や顔立ちについて毎週のように議論し,作業は難航していました。ところがギブソンさんの存在をスタッフが知ってからは,その見た目も含めて「彼こそがジェームズ・ボンドだ」と確信するに至り,満場一致で決定しました。

4Gamer:
 これまで「007」のIPを使ったゲームが数多く発売されてきましたが,過去作からの影響や,差別化しようと考えた点はありますか。

Vega氏:
 「007 ゴールデンアイ」などは社内でも大人気ですが,過去作を意識して影響を受けたり,逆に強く差別化しようとしたりという意図はなかったですね。
 調べてみると,移植やリメイク以外の「007」のゲームは10年以上作られていませんでしたので,弊社オリジナルのフレッシュな作品を目指しました。
 「ゴールデンアイ」を筆頭とするシューターではなく,スパイとしてのスキルや成長を描くフルスケールのアクションアドベンチャー。それが企画段階から私たちの目指すところだったんです。

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Deschamps氏:
 ミッションの進行においては,ストーリーの主軸をベースにしつつ,「HITMAN」でも味わえた自由度の高いアプローチを用意しています。アクション重視で進めることもできますし,会話によるブラフで敵を欺いて潜入することもできます。
 また,ボンドは必要以上の殺人を好まないため,「殺しのライセンス(License to Kill)」を行使できる状況下でのみ使える独自の格闘システムも導入しています。

4Gamer:
 あまりいないとは思いますが,「007」や「HITMAN」シリーズを知らない新規のプレイヤーでも楽しめるのでしょうか。

Deschamps氏:
 実は,その部分が本作の最大の特徴なんです。海軍を出たばかりで,MI6のこともよく知らない「スパイになる前のボンド」を描いたストーリーですので,事前の知識がなくても,彼とともに学びながら楽しめる作りにしています。

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Vega氏:
 私たちは本作の対象プレイヤーを「ジェームズ・ボンドファン」「ステルスアクション/HITMANファン」「アクションアドベンチャーファン」という3つの層に設定しています。完全オリジナルのストーリーだからこそ事前の知識が不要で,あらゆる層のプレイヤーに楽しんでいただけるゲームデザインを目指しました。

4Gamer:
 お話しいただける範囲でかまいませんが,Switch2版のリリースが2度ほど延期された理由と,現在の開発状況を教えていただけますか。

Vega氏:
 Switch2のユーザーの方を大変お待たせしている状況ですが,延期の理由はごく単純で,全体の作業量が非常に多く,それぞれのユーザーの方に最高の品質で届けるための判断でした。内容に違いはありませんし,どのハードで遊んでも素晴らしい体験ができるよう作っています。

Deschamps氏:
 PCのような環境とは異なり,家庭用ゲーム機にはその端末でできる表現を意図的に取捨選択し,最適化して作り込めるという利点があります。Switch2版も弊社の最新エンジンであるGlacierを活用して,他機種と同等の体験が得られるよう,現在は最終調整を行っています。

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4Gamer:
 最後に,本作を期待している日本のプレイヤーへメッセージをお願いします。

Deschamps氏:
 先日,本作の出荷本数が400万本を突破したという報せを受けました。コミュニティの皆さんの熱い歓迎とフィードバックには心から感謝しています。日本のファンの皆さんも,ぜひプレイして,ボンドと一緒に「007」の称号を勝ち取ってください。

Vega氏:
 私も同じ気持ちです。「007」のファンである私たちが,ボンドへの愛を注ぐように開発してきましたので,楽しんでいただければ本当にうれしいです。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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  • 関連タイトル:

    007 First Light

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    007 ファースト・ライト

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    007 First Light

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