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印刷2017/12/28 00:15

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La MirageのAmie氏とROBINのまんがコーナーのROBIN氏を招いた座談会「MMO今昔物語」。「UO」「EQ」「WoW」……MMOの黄金時代を駆け抜けたプレイヤーたち

フィニッシャーになったWorld of WarcraftとMMOの新たな方向性


2004年にBlizzard EntertainmentからリリースされたWorld of Warcraft。RTSシリーズ「Warcraft」の世界をMMORPGにした作品で,多くのプレイヤーを魅了した。この後に登場したほとんどのタイトルは少なからず本作の影響を受けている
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ROBIN氏:
 EQの後,僕は「World of Warcraft」に行ったんですよね。

原田氏:
 僕もです。

ROBIN氏:
 原田くんとは意見が違うかもしれないけど,WoWはEQのマゾいところとか,プレイしにくいところをとことん改善してるゲームだなと思った。

原田氏:
 まったく同意見です(笑)。ある程度UOとかEQの良いところを踏襲しつつ,みんなが楽しめる最大公約数を作り出したと思いましたね。よくそれを見つけ出したなと。
 何もかもバランスが良くて,こんなに早くMMORPGが完成するとは思わなかったです。

ROBIN氏:
 でも原田くん,WoWやって「ぬるい!」って言ってたじゃん。

原田氏:
 ……そうなんですけど,「ぬるいぬるい」って言いながらちゃんとハマって最後に「ぬるい」って言ってやめたんです(笑)。

ROBIN氏:
 あれをやった後はEQに戻れなくない?

原田氏:
 戻れない。だからあれが僕の中でMMORPGを終わらせちゃったと思ってます。
 その後は,WoW以上の刺激はないかといろんなMMOをつまみながら,尖ってる部分はあるけど,ここはずっと住める場所じゃないなって,MMO探しの旅に出てしまった。最終的には時間的な余裕もなくなって,MMOから離れちゃったんですけど。

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徳岡氏:
 そういう人って多いと思いますよ。統計でもそういうのが出ちゃってるんですよね。
 MMOが盛り上がった時期のWoWのシェアは5割を超えてて,最盛期は6〜7割行ってたんじゃないですかね。全MMO人口の6割を占めてて,その頃から危機は叫ばれてたんですよ。「WoWが倒れたらMMORPGっていうジャンルが滅びる」って。いまだにWoWを超えるMMORPGは出てないんですけどね。

4Gamer:
 そうですね。

原田氏:
 WoWはゲーム業界でもかなりの人がハマってました(笑)。

ROBIN氏:
 WoWってすごく計算されて作られてて,導線がしっかりしてるんですよね。最初の方はアイテムとか気にしなくていいんですけど,徐々に新しい要素が気になりだすような仕組みとか。遊んでるうちに目の前のニンジンがドンドン入れ替わっていく。

原田氏:
 PvP要素もあるんですよね。

ROBIN氏:
 そう。とにかくあのゲームは何でもやれちゃって。冒険感があり,攻略しがいのあるダンジョンがあり,レイドもできて,毎回違う戦況を楽しめるPvPもある。本来なら1人用のゲームだからこそ楽しめたはずのドラマチックな演出もやってるんですよね。

徳岡氏:
 やれることを全部やられてしまった。

原田氏:
 そう。10年くらい先に遊べるだろうと思っていたことがあの時点で全部できちゃった。

4Gamer:
 フィニッシャーですよね。

原田氏:
 完全にフィニッシャーですよ。人間って不思議なもので,ある程度完成したものを見ると冒険心を失うんですね。

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徳岡氏:
 自分は序盤しかやってないんですよね。同時期の「Guild Wars」にハマってたので。GWは死ぬほどやりましたけどね。世界一のアライアンスに入ってリサーチャーをやってたので,毎日デッキを作っては4Gamerの原稿を遅らせるという。

4Gamer:
 ……原稿が遅れるのはいつものことですよね?

徳岡氏:
 あのときは特にひどかったんですよ!

ROBIN氏:
 方向性を変えたというか,模索したという面ではGuild Warsもそうだし,「Dark Age of Camelot」とか,「PlanetSide」もそうだったよね。

徳岡氏:
 PlanetSide! よかったですね! 良いゲームでした。

ROBIN氏:
 あれ大好きなんだよね。当時は忙しくなってマンガは描かなくなっちゃってたんだけど,続けてたらPlanetSideとWoWとDiabloのマンガを描こうと思ってた。その中でもPlanetSideは一番描きたかった。
 銃撃戦しかできないけど,その中でできることは全部やらせてくれたよね。

原田氏:
 あのゲームって映画みたいなカッコイイシチュエーションがよく起きるんですよ。自分がヒーローになれるというか。MAXスーツっていうロボットみたいなやつに乗って,敵が押し寄せる通路にアンカーを打って「ここは俺が食い止める! 先に行け!」って感じで「俺今カッコイイ!!」って浸れる。すぐに死ぬんですけど(笑)。

(一同笑)

Sony Online Entertainment(現:Daybreak Game Company)が
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ROBIN氏:
 後ろで一生懸命修理してくれる人がいたりね。
 重要地点の橋の取り合いとかもあって,戦争っぽさがあったよね。

原田氏:
 そういうのもあって面白かったんですけどね。

ROBIN氏:
 ああいうゲームの仕組み上,ラグが発生しちゃうんですけど,撃つ人と撃たれる人でどっちがラグを許容できるかといえば,撃たれる人なんですよ。MMOだから「どこかから撃たれて何かにやられた」って無理やり納得できるんですけど,撃ってる方はそうじゃない。
 それで開発者としては当然,撃つ人の問題を回避しようとするんですよ。サーバーで処理するとラグが発生しちゃうから,ローカルでやろうっていう話になって,それをやったらチーターが増えちゃった。
 その辺って人の良心に頼る部分なんだけど。すごく残念でした。

原田氏:
 そうなんですよねぇ……。

ROBIN氏:
 僕の同期に「オンラインゲームの企画を出したいならPlanetSideをやってみるといいよ」って言ったんですよ。でも遊んだ感想は「すぐに死ぬから面白くない」だった。
 それでアドバイスしたのが,ログインして戦場に行ったら敵を倒さなくていいからとにかく生き延びろってこと。

徳岡氏:
 新兵に対する大事な訓示ですね(笑)。

ROBIN氏:
 戦場に行くのはそういうゲームだから当然なんだけど,行ったからって別に敵を倒さなくてもいいんです。その後は面白いって言ってしばらく遊んでました。

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原田氏:
 あの人数でやって妙にリアルだからこそ,死なずに戦場にいるだけでもいろんなことが起きて面白いんですよね。

ROBIN氏:
 ね。

原田氏:
 膠着状態の戦場に敵の大型輸送機が飛んできて,アレから降下されたらヤバイって思ってたら,味方の対空部隊にすごい勢いで落とされたり。

ROBIN氏:
 ギャラクシーね。AC-130みたいなガンシップタイプもあった。

徳岡氏:
 あと所持品の制限がシビアだったので,補給が重要になってたのもよかったですね。基地のエネルギーも補給しないと尽きて機能停止するんで,兵糧攻めのような包囲戦も起きてました。

ROBIN氏:
 あとCertっていうライセンスシステムがあったけど,初心者の少ないポイントでもやりくりしていろんなことができた。

原田氏:
 ベテランと差がつきにくくなってましたよね。

ROBIN氏:
 初心者にはありがたいんだけど,儲ける気がないなぁって思った。もっと煽るような仕様だったら儲かったと思うんだけど,開発者がみんないい人だったんだなって。

原田氏:
 いわゆるクリエイターばかりが作ってたんですよ。

徳岡氏:
 ビジネスマンがいなかった(笑)。

原田氏:
 何事もバランスが大事だなってことです。シリーズが途切れて次の世代に託せないってのは,そのIPにとっての死を意味しますからね。

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ROBIN氏:
 僕の奥さんもPlanetSideをやってたんだけど,FPSで敵を狙うのが下手で銃撃戦は勝てないから,戦車の運転手とかお願いしてたの。
 正直すぐ辞めちゃうかなって思ってたら,ある日,敵をドンドン倒し始めて。何やってるんだろって思って見たら,透明スーツを着て,前線に地雷を仕掛けて,戦車を壊しまくってた(笑)。

原田氏:
 地雷女(笑)。

ROBIN氏:
 そう。自動で撃つタレットだとか,敵の位置を教えるアンテナだとかを設置したり,リモコン爆弾を巧みに使ったり。工兵みたいなことしてスコアを稼いでた。

原田氏:
 海外の猛者たちがやりたがらない仕事を全部やってるみたいな(笑)。

ROBIN氏:
 僕もそういうのが好きなんで,真似してみたんだけど,すぐ死んじゃうのね。奥さんに「なんで動いちゃうの? 動いたら姿が見えるんだから,死んでも動いちゃダメ!」って怒られた。

原田氏:
 危ないと思ったら逃げちゃうし,攻め時だと思ったら撃ちたくなるんですよね。

ROBIN氏:
 奥さんが敵基地のリスポーンポイントに潜伏してたことがあったんですよ。そのときリスポーンしてきた敵が警戒心の強いやつで,隠れてる敵がいないか銃を乱射して確かめたの。何発か当たって僕が「死んじゃうよ?」って言っても,「大丈夫」って言って動かなくて,敵が弾切れになって装備を取りに行くところを狙って,ドカーンって(笑)。

原田氏:
 ゲリラみたいな戦い方しますね(笑)。

ROBIN氏:
 そう。まさに弱者の戦い方をする(笑)。
 倒された敵はすごい怒って馬事雑言を浴びせてきたんだけど,最後に「お前凄いな! あれだけチェックしたのに」って

原田氏:
 凄いですね。

ROBIN氏:
 狙って撃って倒して気持ちいいっていう遊び方だけじゃなかったんだよね。

4Gamer:
 PlanetSideにはそれを許容する懐の広さがありましたね。ROBINさんの奥さんみたいに破壊工作をすることもできたし,ひたすら補給部隊として前線で戦う人を支援することもできた。
 「PlanetSide2」も出てるんですけど,いろんな要素がスポイルされて遊びやすくなった分,裾野が狭くなったんですよね。
 World of Warcraftもそうですけど,ゲームは全体的にいい意味でも悪い意味でも「遊びやすい」方向にシフトしていった気がします。

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