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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第52回「成り上がれ,『ゴッドファーザー』に(9)」
今回から,現在リリースされているゴッドファーザーゲームの最新作,エレクトロニック・アーツの「ゴッドファーザーII」(原題 The Godfather II)を紹介……する前に,開発元のElectronic Arts Redwood Shores(現 Visceral Games)に関するエピソードを取り上げよう。
筆者は2008年の夏前ぐらいに,親密な付き合いをしている海外のジャーナリストから,Redwood Shoresが前作のゲームエンジンに若干の手直しを加えて本作を開発しているという噂を聞いていた。
そして夏には正式発表があり,2009年2月に海外で発売。日本でも,わずか2か月後の4月にリリースされた。前作のときに生じたタイムラグを思うと,非常に嬉しかったものだ。
なお本作は,Redwood Shores名義での開発作品としては,最後のビッグタイトルでもある(「Dante's Inferno」はVisceral Games名義になっちゃうだろうし)。
前作の開発も担当していた同スタジオは,EAのシネマゲームにおいて,非常に重要なポジションを占めていた。スタジオのオープンは1998年のことだったが,最初のうちはEAが抱える数多くの下請けデベロッパの一つにすぎず,PlayStationやPC向けタイトルの開発において,陽の目を見ないような裏方業務に徹していたのである。
1999〜2000年には,タイガー・ウッズ選手の肖像権を獲得したゴルフゲーム「CyberTiger」が,Game Boy Color,Nintendo 64,PlayStation用としてEAから発売されたのだが,このうちのPlayStation版の開発を担当したのがRedwood Shoresだった。
これが高い評価を受け,その流れでPlayStation用「Tiger Woods PGA Tour 2000」の開発も委託されることに。この後,同スタジオは「Tiger Woods PGA Tour 07」まで,毎年このシリーズの開発を任されていた。
こうして着々とEAからの評価を得てきた同スタジオが,立ち上げから初めてデベロッパとして大々的に名前を出せる大きなチャンスを得たのは,「007: Agent Under Fire」だった。Redwood Shoresとしても,このチャンスをものにすべく,猛スピードで開発を行い,それが功を奏してEAからの高い評価を得ることに成功。
そして「Medal of Honor: Frontline」「The Lord of the Rings」シリーズ,「007: Everything or Nothing」「007: From Russia with Love」「The Simpsons Game」「The Sims」シリーズといった,ビッグタイトルの開発に携われるようになる。
しかし,Redwood Shoresが開発を担当するのは,どれも既存の版権ものゲームばかり。数年後に版権切れになった途端,お役ご免になってしまうことが懸念されていた。
最初からRedwood Shoresのオリジナルコンテンツとして企画されており,EAからのオファーがあったわけでもなかったのだが,EAに対してプレゼンした結果,数万本売れれば上々とった程度の中堅的タイトルとして,開発に正式なGOサインが出た。
ただし,条件として,最新プラットフォーム向けとしての開発が求められることになった。そして,その結果,Dead Spaceは徹底的にグラフィックスが描き込まれたSFホラー作品に仕上がったのである。
なお,Dead Spaceは,どこかホラー映画のようなテイストを持っているのだが,それはRedwood Shoresのスタッフの多くが映画好きであることが影響しているようだ。
2008年秋に発売され,年末までに100万本以上の売り上げを記録したDead Spaceは,当たりの少なかった海外のゲーム市場において,ちょっとした社会現象をも巻き起こした。
ちなみにXbox 360版のみ,限定1000セットの「Ultra Limited Edition」が149.95ドルで発売されたのだが,この1000セットという数は,EAがそもそもDead Spaceのヒットを予測していなかったからである。おかげで現在,この限定版はプレミア化し,未開封新品が400ドル前後で取り引きされている(メイキング映像が収録されたDVDが見たいので,個人的には喉から手が出るほど欲しい!)。
と,Dead Spaceの勢いで,ゴッドファーザーIIの発売に弾みがつくか……? と思いきや,アメリカ国内のゲームメディア向けプレスキットに同梱されていた,ブラスナックルが問題となってしまう(関連記事)。
ブラスナックルと聞いて分からなくても,メリケンサックと言われれば思い浮かぶ人も多いだろう,握り拳を金属のプロテクターで強化する,破壊力抜群のアイテムだ。日本では,1970年代〜1980年代初頭まで,不良グループの護身用グッズとして重宝されていたものだ。アメリカのいくつかの州では,このブラスナックルを殺人も行える違法性の高い武器としており,販売はおろか所持すら認められていない。
EAは,これを回収すべくプレスリリースまで出して呼びかけたのだが,すべてを回収するには至らなかった模様。
これはあくまでも個人的見解ではあるが,EAはこの問題を話題作りに転化させるために,回収を仰々しく呼びかけていたのではないか……。真相は不明だが。
さて次回は,Redwood Shoresが開発したゴッドファーザーIIのゲーム内容を,海外版と国内版の両方併せて紹介しよう。
■ドブ漬けゲームスープレックス(51)
Xbox 360 / PLAYSTATION 3
「Red Faction: Guerrilla」(スパイク)
忘れた頃に新作がリリースされる,「Red Faction」シリーズの最新作「Red Faction: Guerrilla」が,日本でも発売されることに! ってことで,一足先にプレイしてみた。
2003年に発売された「Red Faction II」は,ハリウッドスターのランス・ヘンリクセン氏やジェイソン・ステイサム氏が声の出演をしていたこともあって,リリース当時は燃えまくって散々遊んだ記憶がある。パート1での不満点が解消されていたのも,燃えまくった大きな理由だ。
そして最新作であるGuerrillaは,「Saints Row 2」を開発したVolitionが時間をかけまくって(かけすぎて)作り込みまくっただけあって,非常に丁寧な仕上がりになっている。
ゲームの舞台は,このシリーズらしく火星。だが,シリーズの知名度が日本で低いことを考えると,なぜ火星? と疑問に思う人もいるかも。まあ,細かいことは気にせずに。
最大16人で戦えるオンラインバトルもワールドワイド仕様になっているし,バイオレンス表現も海外版そのままになっているしで,プレイすれば良さが分かるはず。ひょっとしたら,そんな人達のクチコミ効果で,ロングテールな売り方が期待できるタイトルかもしれない。
本作で特徴的なのは,コンクリートハンマーを使ってすべての建物を破壊できる点だ。まるで「レッキングクルー」のマリオが3Dになったかのような,派手な“破壊アクション”を楽しめるのだ。
プレイヤーキャラクターのライフは自動回復だが,敵に囲まれるとあっという間に死んでしまう。そこで,コンクリートハンマーで建物を破壊し,うまいことスナイピングしやすい位置を作り上げたり,瓦礫を使ってうろつく敵に見つからないように隠れたり,あるいは敵を破壊した建物の下敷きにしてやったりと,ある種のパズル要素も盛り込まれているのだ。
もちろん,敵を直接殴り殺すことも可能。これを行わないと,スグに武器は弾切れを起こしてしまうゲームでもあるので,ハンマーキラーとしての間合いを覚えれば,サクサク進めるようになるはず。
そうそう,リモート爆弾という武器もあるのだが,これを敵に投げて取り付けると面白いことが起きるので,本作で遊ぶ人にはぜひぜひ試してもらいたい。
「Red Faction: Guerrilla」公式サイト
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