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[TGS 2017]Wargamingが目指す未来はどこにあるのか。CEOビクター・キスリー氏に現状と今後の展開を聞いた
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印刷2017/09/23 19:23

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[TGS 2017]Wargamingが目指す未来はどこにあるのか。CEOビクター・キスリー氏に現状と今後の展開を聞いた

 今年で5回めのTGS出展となるWargaming.net。日本にオフィスを構えてからもちょうど5年目で1つの節目ともいえる時期にさしかかったところだろう。東欧の小さなデベロッパだったWargamingは「World of Tanks」PC / PS4 / Xbox One / Xbox 360)を機に急成長を遂げているが,そんなWargamingが次に目指す場所はどこなのだろうか。同社のCEOビクター・キスリー氏に現状と今後の展開の話を聞いた。

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Wargaming.net公式サイト


 インタビューの前に,ビクター氏によるWargamingの現状説明を受けたので,まずそれからお伝えしよう。
 Wargamingは2010年にロシアで「World of Tanks」をリリースして以降,非常に早い速度で成長を遂げている。「World of Tanks」以外にもコンシューマ版の「World of Tanks」や「World of Tanks Blitz」PC / Mac / iOS / Android「World of Warships」,一部地域でサービスされている「World of Warplanes」など,多くのタイトルを提供している。

 現在は8つの開発スタジオを持ち,CISはもちろん,北米や欧州,アジアなど世界の各地域に主要オフィスを作って,パブリッシングや開発といった取り組みを行っている。現時点でも多くの地域に進出しているが,まだ十分にカバーできていない地域もあるため,今後はそういった場所にオフィスを設立し,より広範囲でサポートできる体制を整えていくことを考えているそうだ。具体的にはオーストラリアや南米といった地域でのオフィスの設立を計画しているという。

 また,TGSといった大きなエキスポに合わせて,新情報が届けられるように準備をしているという。「World of Tanks」では30対30の大規模戦が楽しめる「グランドバトル」を追加する9.20アップデートが実装,コンシューマ版「World of Tanks」ではPvEモードである「ウォー・ストーリーズ」の3つめのストーリーが追加,「World of Warships」では「アーティストシグネチャー」シリーズとして小林 誠氏とのコラボレーションが発表され,戦艦「紀伊」とその「迷彩」が登場した(関連記事)。
 そのほかにも「World of Tanks」と「LET IT DIE」のコラボレーションが発表されており,TGS 2017に合わせて,活発に展開している様子がうかがえる。

発表されたばかりの小林 誠氏とのコラボレーション
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 コンテンツの開発力や新たなサービス展開といった面でも,ここ最近の動きは活発だ。
 Creative Assemblyとのパートナーシップにより実現した「Total War: Arena」や,「ウォーハンマー 40,000」とのコラボの発表。ロシアで勢力を伸ばすVRTechとのパートナーシップの締結,コペンハーゲンのモバイルゲームデベロッパHapti.coを買収し,Wargaming Copenhagenを設立するなど,まだまだ成長を続けている。
 特にVRは,昨今のゲーム業界の例に漏れずWargamingも注目している技術だ。今回のTGS 2017のブース内にはVRTechの「CinemaVR」と「PolygonVR」という2つのコンテンツが展示されている。
 CinemaVRは従来型のVRだが,PolygonVRの方は身体にセンサーを付け,PCを背負い,VR機器を装着し,専用のデバイス使用して遊ぶシューティングゲームで,ビクター氏は「あの体験を言葉で説明するのは難しいが,実際に体験してもらえればどのくらい凄いのかが分かる」と太鼓判を押していた。
 ちなみにVRTechはロシアで大手と呼ばれるアーケード会社で,ビクター氏は「アーケードゲームが発展している日本にそうした企業のタイトルを出展できたことは嬉しい」と語っていた。

 ここまでが現在のWargamingの状況だ。以下はそうした現状を踏まえた上でのインタビューを送りする。

4Gamer:
 なるほど。Wargamingの現状は理解できました。VRは非常に注目している技術ということですが,VRTechと提携したことでWargaming自身がVRタイトルを開発するといったビジョンはあるのですか?

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ビクター・キスリー氏(以下,キスリー氏):
 もちろん,その可能性はあります。今現在,技術自体は蓄積されており,実際にお見せできるほど完成度を高めています。今後はVRコンテンツを増やしていきたいと考えています。

4Gamer:
 期待してます。
 もう1つ,提携というかこちらは買収という形なのですが,Hapti.coを買収してWargaming Copenhagenを設立しましたが,日本もしくはアジア圏でもそういった展開をする可能性はありますか?

キスリー氏:
 日本でというわけではないのですが,アジアに関しては上海に新しいオフィスを立ち上げて,そこでモバイルゲームを開発すること考えています。それがうまくいけば,ほかのアジアの地域,例えば日本でも展開する可能性は高いです。

4Gamer:
 Creative Assemblyと協業して「Total War: Arena」を開発するという発表は,個人的にはかなり驚いた出来事なのですが,協業するきっかけというのはなんでしょう?

キスリー氏:
 私個人としてはストラテジーゲームが好きで,「Total War」シリーズのファンでした。2000年に発売された「Shogun: Total War」を初めてプレイした時は衝撃を受けました。その時からずっとCreative Assemblyと何かできないかと考えていたんです。
 ようやく今回Creative Assemblyと協力して,Total WarシリーズをWargamingからお贈りできることになりました。私個人としても「Total War: Arena」の今後の展開がとても楽しみです。

4Gamer:
 なるほど。今後「Total War: Arena」のような協業での展開をしていくことも考えているんですか?

キスリー氏:
 もちろん,そういう機会があればやりたいと思っています。そういったタイトルを探してはいるのですが,幸か不幸かまだ見つかっていません。私たちが望むタイトルはその数が少ないんです。Wargamingが提供するタイトルである場合,Free-to-Playというのは必須の条件になりますし,開発している会社も私たちと近い理念を持っている必要があります。その条件に見合う対象を見つけるのは非常に難しいですね。
 私たちが多くの開発オフィスを持っているのは,自分たちで見合うゲームを作るため,というのが理由です。

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4Gamer:
 2016年はパッケージタイトルとして「Master of Orion」PC / Mac)をリリースしましたが,そういったパッケージタイトルを開発したりはしないのでしょうか?

キスリー氏:
 実は「Master of Orion」に関しては私のわがままで作ったところがあります。個人的にこの作品が好きで,多くの人にこのゲームを遊んでほしいという思いがあったので,無理を言ってタイトルを買い取り,グラフィックスや音楽,システムを壊さない形でリメイクをして販売したという経緯があります。

4Gamer:
 なんと。

キスリー氏:
 個人的には好きなパッケージタイトルのリメイクを,どんどんやっていきたいと思っているんですが。やはり会社として考えないといけないので,私のわがままでいくつもタイトルを開発できないのは理解していただきたいです(笑)。
 我々としては今あるものをブラッシュアップしてより多くの人に楽しんでもらいたいと思っていますし,逆に新しいものにもどんどん取り組んでいきたいと考えています。

4Gamer:
 好きなタイトルを普及したいという気持ちからの開発だったんですね。お気持ちはよくわかります。
 Wargamingは今年で5回めの東京ゲームショウへの出展ですが,そこに関して思うことはありますか?

キスリー氏:
 毎年素晴らしいと思っています。ブースの出来も良いですし,ステージプログラムだったり,多くのプレイヤーや来場者に会えることを,いつも楽しみにしています。東京ゲームショウ自体も素晴らしいエキスポです。

4Gamer:
 PCゲームがメインのゲーム会社で5年続けてここまで大きいブースを出展できるのはすごいことだと思います。
 ここまでやってきて日本での展開の感触というのはいかがでしょう。

キスリー氏:
 非常に良い手ごたえを感じています。数字で見ても他国と比べて非常に優秀で,例として使用することもあります。日本という国は,多くのゲーマーがいて,さまざまなエンターテイメントがあります。世界中でヒットしているものは日本で作られたものが多い。そういった点で見ても魅力的なマーケットだと思っています。

4Gamer:
 ところで,今年はもう行きました? 神戸牛。

キスリー氏:
 ちょうど今夜食べに行く予定です。神戸牛。シイタケマッシュルーム。

4Gamer:
 今夜ですか! ぜひ日本の夜を楽しんできてください。
 本日はありがとうございました。

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