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NTTドコモ2017夏スマホ「Xperia XZ Premium」&「AQUOS R」テストレポート。気になるハイエンド端末をベンチマークで検証してみた
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印刷2017/05/30 15:07

テストレポート

NTTドコモ2017夏スマホ「Xperia XZ Premium」&「AQUOS R」テストレポート。気になるハイエンド端末をベンチマークで検証してみた

画像集 No.043のサムネイル画像 / NTTドコモ2017夏スマホ「Xperia XZ Premium」&「AQUOS R」テストレポート。気になるハイエンド端末をベンチマークで検証してみた
 NTTドコモが発表した2017年夏モデルスマートフォンのテストレポート第2弾では,「Xperia XZ Premium SO-04J」と「AQUOS R SH-03J」を取り上げたい。2製品とも,Qualcomm製のハイエンドSoC(System-on-a-Chip)「Snapdragon 835 Mobile Platform」(以下,Snapdragon 835)を搭載し,受信時最大788Mbpsの高速データ通信に対応するハイスペック端末だ。

  • Xperia XZ Premium SO-04J:5.5インチ4K(2160×3840ドット)&HDR対応液晶パネルと960fps高速度撮影対応アウトカメラ搭載。搭載SoCはSnapdragon 835。6月中旬発売予定
  • AQUOS R SH-03J:5.3インチ,解像度1440×2560ドットのIGZO液晶パネル搭載。SoCはSnapdragon 835。7月発売予定


Xperia XZ Premium SO-04J


 国内ではNTTドコモ独占販売のみというXperia XZ Premium SO-04J(以下,Xperia XZ Premium)は,5.5インチサイズで4K解像度(2160×3840ドット),HDR表示にも対応する「トリルミナスディスプレイ for Mobile」を採用するXperiaブランドのフラッグシップモデルである。2016年夏に登場した世界初の4K液晶パネル採用スマートフォン「Xperia Z5 Premium」の進化版といった性格の端末だ。

2017年5月30日22:45頃追記:掲載当初,「Xperia X Performance」の進化版と記載しておりましたが,正しくは「Xperia Z5 Premium」でした。お詫びして訂正いたします。

Xperia XZ Premium。前面から見るとあまり色の違いは分からないが,写真左側がLuminous Chromeで,右側はDeepsea Blackである
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 ボディ形状自体は,Xperia X Performanceからあまり変化していないのだが,背面パネルがてかてかの鏡面仕上げになったことが大きな違いといえる。Galaxy S8シリーズも背面が鏡面仕上げになっているのだが,Xperia XZ Premiumの背面はほとんど鏡そのもので,反射がきつい。

前面(左):形状は既存のXperiaと変わらないが,ベゼル部分も鏡面仕上げとなっている。フロントの上下にあるステレオスピーカーは,もはやXperiaの伝統といってもいい
背面(右):ほぼフラットな背面には,左上にメインカメラ,その右横に赤外線センサーとLEDフラッシュが並ぶ。写真では見えないが,赤外線センサーの左横には,オートフォーカス用のレーザーセンサーもある
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背面はほとんど鏡のようだ(左)。右写真の下側はXperia XZ Premiumであるが,どれくらい鏡なのかが分かるかと思う
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 本体右側面にシャッターボタンや指紋認証センサー内蔵の[電源/スリープ]ボタンなどを並べたボタンレイアウトも,Xperia X Performanceと同じである。

上側面(左):サブマイク孔とヘッドセット端子がある。ヘッドセット端子は端に寄った配置なので,横持ちのときに邪魔になりにくい
下側面(右):マイク孔とUSB Type-C(※バージョン未公開)がある
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左側面:SIMカード兼microSDカードスロットがあるだけ。容量256GBまでのmicroSDXCカードに対応する
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右側面:左からシャッターボタン,[電源/スリープ]ボタン,音量調整ボタンが並ぶという,いつもどおりのレイアウト
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 鏡面仕上げでテカテカな点を除くと,今までのXperiaとあまり変わらないのではと,感じる人が多いのではないだろうか。それはおそらく正解で,Xperia XZ Premiumは外観よりも,冒頭で触れた4K+HDR対応の新型液晶パネルや,最大960fpsの高速度撮影が可能なアウトカメラ「Motion Eye」の採用といった中身のアップデートに重点を置いた端末なのだろう。
 ただ残念なことに,現状では本機のHDR表示を利用できるのは,「dTV」や「Amazonプライム・ビデオ」といったストリーミングビデオサービスくらいで,ゲームアプリで対応するものはないはずだ。HDR表示に対応するディスプレイを備えたスマートフォンが増えてくれば,ゲームでの対応も進む可能性はあるものの,現状ではビデオ視聴以外に使い道がないことは覚えておこう。


ソニー独自のメモリ積層型センサーを使ったアウトカメラが売り


 映像に関しては,ちょっと気になる変更があった。これまでのXperiaでは,画像や映像に高画質化処理を施す機能「X-Reality for mobile」というものがあった。しかしXperia XZ Premiumの場合,この機能は映像の超解像技術に位置づけが変わっている。
 その一方で,Xperia XZ Premiumの表示全体に影響を与える機能として,「色域とコントラスト」という新しい項目が,Android OSの設定に追加された。この色域とコントラストでは,「プロフェッショナルモード」「スタンダードモード」「ダイナミックモード」という3つの設定を選択して,画面全体の色調を変更する機能であるそうだ。

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X-Reality for mobileは映像の超解像技術に限定された
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「色域とコントラスト」の設定画面。こちらは映像以外にも影響する

 たとえばプロフェッショナルモードは,「sRGBの色域を使用」する設定と書かれている。Xperia XZ Premiumが採用する液晶パネルが,どの程度のsRGBカバー率を有しているのかは,公表された情報がないので分からないのだが,PC用ディスプレイでお馴染みのsRGB規格に準拠した発色傾向になると考えればいいだろう。
 デフォルト設定のスタンダードモードは,液晶パネルである「トリルミナスディスプレイ for Mobileの鮮やかな色域を使用する」との説明がある。具体的にどう変わるのかは説明がないものの,見た目は色鮮やかになったので,ゲームに向いたモードと言えそうだ。
 ダイナミックモードは,スタンダードモードよりも色彩を強調するという設定で,発色の傾向は,X-Reality for mobileを有効にした状態の映像表示に似た印象を受けた。派手めの色調が似合うゲームタイトルであれば,これを選ぶというのもありかもしれない。

アウトカメラは少し出っ張っている。フルフラットにしてほしいところだが,内蔵するアクチュエータのサイズがネックになっているのだろう。レンズの横には,レーザーAFセンサーと赤外線(RGBC-IR)センサーを備える
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 4K液晶パネルと並ぶ特徴である,アウトカメラのMotion Eyeも簡単に見ておこう。
 ソニーはいまやイメージセンサーのトップ企業であり,大手カメラメーカーでさえ,ソニー製センサーを採用していることを新製品でアピールするほどだ。Xperiaに最新の技術を導入したイメージセンサーを導入できるのは,グループ内でセンサーを開発しているおかげである。

 さて,Xperia XZ Premiumが採用する「メモリ積層型イメージセンサー」は,センサー内にメモリを内蔵することにより,最大960fpsの高速度撮影機能や,シャッターを切ったタイミングから遡って最大4枚の写真を保存する先読み撮影機能を実現している。
 ゲームでこうした機能を活用することを考えてみたが,たとえば友人のゲームプレイをスローモーションで録画しておき,後から見返すと新たな知見が得られて面白いかもしれない。

ソニーが2017年2月に公開したメモリ積層型イメージセンサーの断面構造。メモリ容量は1Gbit(=128MB)とのこと
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 ちなみに,Motion Eyeの有効画素数は約1920万画素となっている。2016年冬モデルの「Xperia XZ」は約2300万画素だったので,有効画素数は減っているのだ。しかし,センサーのサイズは同じ1/2.3型なので,画素ピッチが広がっていることになる。
 画素ピッチを広げると,1画素あたりの受光能力を上げられるため,最終的な画質の向上につながる。とくに暗所での描写能力が大きく向上するのが利点だ。ゲーム系イベントは暗めの場所で行うことが多いので,Motion Eyeの特性が効果を発揮することは多いのではないだろうか。


Galaxy S8+とほぼ同スペックだが,ベンチマークテストでの性能は8割程度


 ベンチマークテストによる性能計測に入る前に,スペックをおさらいしておこう。
 Xperia XZ Premium搭載SoCは,冒頭で触れたとおりSnapdragon 835。Qualcommの最新ハイエンドSoCである。メインメモリ容量は4GBで,内蔵ストレージ容量は64GBと,2017年夏モデルのハイエンド端末では標準的なスペックといえよう。
 プリインストールOSはAndroid 7.1(Nougat)。ホームアプリは独自にカスタマイズしたものであるが,見た目はOS標準から大きくは変わっておらず,素のAndroid 7.1に近いようだ。

 それではテストに進もう。Xperia XZ Premiumで実施したテストは,3Dグラフィックスベンチマークアプリである「3DMark」の「Sling Shot Extreme Unlimited」プリセットと,総合ベンチマークアプリ「PCMark for Android」の「Storage test」,そしてCPUの動作クロックを見る「CPU-Z」,そして連打応答性を見る「ぺしぺしIkina」という,いつもの4点セットである。
 なお,ゲームテストで定番の「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(以下,デレステ)だが,発表会場の電波状況が悪くてダウンロードが終わらず,テストを行えなかった。後日,テストする機会があれば改めて検証したい。

Xperia XZ PremiumにおけるSling Shot Extreme Unlimitedの細目スコア
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 それではまず3DMarkだが,Sling Shot Extreme Unlimitedプリセットの結果は「3075」。同じSnapdragon 835を搭載するGalaxy S8+は「3811」だったので,80%程度のスコアに留まった。念のため,2回追試をしたが,結果の変動は誤差範囲だ。

 Monitoring dataを見ると,「Graphics test 2」でCPUの動作クロックがほとんど変動しない時間が長く,クロック自体もGalaxy S8+ほど上まで上がっていないことが見てとれる。この挙動の差が,スコアの差につながった可能性は高いだろう。
 また,ベンチマークテスト中は,背面が妙に熱を持っていた。これはMonitoring dateの「Temperature」からもうかがえ,Xperia XZ Premiumは約40℃前後まで温度が上がっている。それに対してGalaxy S8+は,テスト中も35℃以下を維持していた。この結果から推測すると,Xperia XZ Premiumは3DMarkのテスト中,サーマルスロットリングに突入してしまい,CPUやGPUの動作クロックを上げられなかった可能性が高そうだ。

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Xperia XZ PremiumにおけるSling Shot Extreme Unlimitedの「Monitoring data」グラフ。
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こちらはGalaxy S8+におけるSling Shot Extreme Unlimitedの「Monitoring data」グラフ

 会場の説明員に確認してみたが,試用機は製品版と同等であるとのことだった。そうなると,ハードウェアの改良で対策する余地はなさそうなので,ソフトウェアレベルで対策するしかない。SoCの制御を担当するソフトウェアをアップデートするといった対応が考えられるので,端末発売後に修正が入る可能性も高いのではないだろうか。SoCの負荷が高いゲームをプレイしようと考えている人は,様子見を推奨したい。

 気を取り直して,PCMark fo Andoroidをテストしてみよう。
 Storage testの結果は「4239」。Galaxy S8+が「5344」だったのに比べると,79%程度のスコアに留まる。ただ,これまでのテスト傾向からすると,ハイスペック端末でスコアが4000以上あれば,遅さを体感することはあまりないので,この差をシビアに見る必要はなさそうだ。実際の操作でも,とくにストレスを感じることはなかった。
 とはいえGalaxy S8+と同じく,ランダム書き込み性能が妙に低いのは気になる。

Xperia XZ PremiumにおけるStorage testの細目スコア(左)と「Monitoring data」グラフ(右)。
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CPU-Zで動作クロックをチェックしている様子。CPUの動作クロックは300MHzから上がることが少なかった
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 CPU-ZでCPU動作クロックを確認してみたところ,アイドル時および低負荷時は,動作クロックが300MHzから上がらない様子が目立ち,CPU 0〜CPU 3がときおり441MHzまで上昇するシーンがあった程度。一般的な操作の範囲で1000MHzを超えるシーンは,ごくわずかなようだった。
 なお,GPUの名称と動作クロックを示す「GPU Renderer」の項目が正常に取得できておらず,動作クロックは不明だ。

ぺしぺしIkinaの結果は「85」。ゲームのプレイにも支障はなさそうだ
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 最後のぺしぺしIkinaだが,連打回数が93〜96になるよう連打して「85」。初回タップから42タップめまではストレートに取得できていた。筆者がテストをしている様子を見ていた説明員は,「以前のXperiaでタッチ操作周りに問題が起きたことがあり,今は細かくチェックしています」と述べていたので,ゲーム用途も問題なさそうである。

●Xperia XZ Premium SO-04Jの主なスペック
  • メーカー:ソニーモバイルコミュニケーションズ
  • OS:Android 7.1(Nougat)
  • ディスプレイパネル:5.5インチ液晶「トリルミナスディスプレイ for mobile」,解像度2160×3840ドット
  • プロセッサ(プラットフォーム):Qualcomm製「Snapdragon 835 Mobile Platform」(MSM8998,「Kryo 280」CPU(8コア,最大CPU動作クロック2.45GHz)+「Adreno 540」GPU)
  • メインメモリ容量:4GB
  • ストレージ:内蔵(容量64GB)+microSDXC(最大容量256GB)
  • アウトカメラ:有効画素数約1920万画素(メモリ積層型イメージセンサー採用「Motion Eye」),F値2.0
  • インカメラ:有効画素数約1320万画素,F値2.0
  • バッテリー容量:3230mAh
  • 公称最大通信速度:受信時 788Mbps,送信時 50Mbps
  • 対応LTEバンド:未公開
  • 対応3Gバンド:未公開
  • SIMカードスロット:nanoSIM(nanoUIM)
  • 待受時間:約460時間(LTE)
  • 連続通話時間:約1140分(LTE)
  • 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
  • Bluetooth対応:4.2
  • USB:USB Type-C
  • 本体サイズ:77(W)×156(D)×7.9(H)mm
  • 本体重量:約191g
  • 本体カラー:Deepsea Black,Luminous Chrome
  • 主な対応サービス&機能:VoLTE,VoLTE(HD+),おサイフケータイ,防水(IPX5,8),防塵(IP6X),指紋認証,ワンセグ,フルセグ,ハイレゾ音楽再生,HDR動画再生


AQUOS R SH-03J


 次は「AQUOS R SH-03J」(以下,AQUOS R)をチェックしていこう。2016年8月に,鴻海精密工業の傘下となったシャープ製端末としては,初のハイエンドスマートフォンである。

AQUOS R。カラーバリエーションは左からMercury Black,Crystal Lavender,Zirconia Whiteの3色
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 まずは外観から。5.3インチサイズで解像度1440×2560ドットのIGZO液晶パネルを中心としたボディ形状はごく一般的なデザインを採用しており,目立つ特徴は見当たらない。
 背面は多層膜蒸着コーティングを施こしており,見る角度によって光の反射具合が変わるため,カラーバリエーションによって,それぞれ雰囲気がだいぶ違ってみえるのは面白い。とくに「Marcury Black」は質感のあるブラックといった印象で,男性から人気が出そうである。

前面(左):下側ににホームボタン兼指紋認証センサーがある。今夏のNTTドコモ新製品で,ホームボタンがハードウェアボタンになっているのは,本機と「Galaxy Feel SC-04」だけだ。ドコモロゴは液晶パネルとホームボタンの間という,「誰が決めたのか」と文句を言いたくなるほど,おかしな場所にある
背面(右):アウトカメラとLEDライトがあるだけのシンプルなものだ
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 側面や背面の末端に複雑なカーブを採用して,持ちやすくしているのは最近のトレンドどおりだが,カープのピークをやや尖らせることで,平坦なところから持ち上げるときに,指がかかりやすいように配慮した加工が施されていた。

上側面(左):サブマイク孔とヘッドセット端子がある,ごく普通のレイアウト
下側面(右):スピーカーとUSB Type-C(※バージョン未公開),マイク孔が並ぶ
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左側面:トレイ式のSIMカード兼microSDカードスロットがある。microSDカードスロットは,容量256GBまでのmicroSDXCカードに対応
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右側面:左から[電源/スリープ]ボタン,音量調整ボタンとなっている
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 ディスプレイには,IGZO液晶パネルを採用しており,120Hz駆動に対応するのが大きな特徴だ。HDR表示にも対応しているのに加えて,既存のSDR映像をHDR風に変換して表示する「バーチャルHDR」という機能も搭載している。
 さらに,従来機に比べてタッチパネルの反応速度が約1.5倍に向上しているとのこと。Webブラウザを操作してみると,たしかに指先の操作にしっかりと追従するのを確認できた。
 これらの特徴を生かした新機能に,「なめらか倍速表示」というものがある。対象のアプリを倍速表示にするもので,残像を抑制しながら,なめらかな操作体験を実現できるというものだ。

HDR動画設定の画面(左)。SDR映像を擬似HDR化する「バーチャルHDR」機能もここにある。「なめらか倍速表示」は,対象にするアプリを選べるので,ゲームを120Hzで表示させることも可能だ
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「長エネスイッチ」は,各種機能を制限することでバッテリー消費量を減らすという独自機能だ(左)。説明書きにはないが,SoCの動作クロック制御もシビアになるという。Webブラウズ程度であればそれほど遅くならないので,普段使いなら,これをオンにしたままでもいいかもしれない。主な独自機能は「AQUOS便利機能」に説明つきでまとめられている(右)。カスタマイズもやりやすい
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ベンチマーク結果はXperia XZ Premiumと同等かやや上


 AQUOS Rの主なスペックは,Xperia XZ Premiumとまったく同じである。搭載SoCはSnapdragon 835で,メインメモリ容量は4GB,内蔵ストレージ容量は64GB。プリインストールOSはAndroid 7.1(Nougat)と,いずれも同一だ。
 ただ,従来のAQUOSシリーズは,バッテリー駆動時間を最優先して性能を低めにするシビアなSoC管理を採用していたので,ハイスペックな端末でも実際の性能はミドルクラス並みか,それ以下ということが多かった。シャープが鴻海傘下となったこともあり,そうした傾向が変わっているかなと少し期待してみたのだが,結論から言えば,AQUOS Rでも性能を制約する傾向に変わりはない。

 SoCの性能が向上しているので,バッテリー残量が減少した状態でも,従来の製品ほどもっさりした動作にはならないようだ。とはいえ,ゲーム用途では不安な要素であり,SoC制御をオフにする機能がほしいところである。なぜかというと,先述した「なめらか倍速表示」が,実にリズムゲームに適した機能だったからだ。

 ともあれ,ベンチマークテストの結果から見ていこう。
 まず,3DMarkのSling Shot Extreme Unlimitedプリセットだが,スコアは「3166」と,Xperia XZ Premiumよりはやや高く,Galaxy S8+比では83%程度の結果となった。SoC制御の傾向を考えると妥当なスコアといえるが,もしかするとGalaxy S8+のスコアが高すぎたのかもしれないなと,少し疑いを持っている。

AQUOS RにおけるSling Shot Extreme Unlimitedの細目スコア(左)と「Monitoring data」グラフ(右)
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 PCMark for AndoridにおけるStorage testの結果は「5727」で,NTTドコモ2017年夏モデルでは最も高いスコアとなった。ベンチマーク実行前,妙に応答が速いなと感じたのは,ストレージ性能の高さからかもしれない。細目の傾向はGalaxy S8+と似ているのだが,なぜか「SQLite read」が際立って高いのは不思議だ。

AQUOS RにおけるStorage testの総合スコア(左)と細目スコア(右)
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 CPU-Zで挙動を観察したところ,アイドル時は全CPUが300MHzまで下がる一方で,軽い負荷をかけると,ごく短時間ながらCPU 0〜CPU 3が1900MHzまで上昇する様子を確認できた。これは,今までのシャープ製端末とは異なる挙動だ。充電しながらだったので,バッテリーのみでの動作を傾向が違う可能性はあるが,今までのSoC制御とは,少し異なる方向に変更しているのかもしれない。
 ちなみに,GPUの動作クロックを正常に取得できないのは,Xperia XZ Premiumとまったく同様である。

CPU-Zで動作クロックをチェックしている様子
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ぺしぺしIkinaの結果
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 ぺしぺしIkinaでは,なめらか倍速表示でタッチパネルの反応が変わるかも検証してみた。結果は,なめらか倍速表示有効時が「88」で,無効時が「87」と,誤差程度の差に留まっている。少なくとも,なめらか倍速表示がタッチの取得に悪影響を与えることはなさそうだ。
 連打中は断続的に飽和を確認したが,入力開始から36タップめまではストレートにカウントしていたので,ゲームにおいては問題ナシといっていいだろう。ここ最近のスマートフォンでは,連打応答性に問題のある結果を見ることが少なくなっているので,そろそろぺしぺしIkinaともお別れかもしれない。

もはや「3D標準」は当たり前で,そろそろ言及する必要はないかも。なお,タイミング調整は+21〜+23になった
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 さて,Xperia XZ Premiumでは時間が足らずできなかったデレステでの検証だが,こちらはなんとか時間内にテストを終えられたので,結果を見ていこう。
 チュートリアル時の判定は,例によって「3D標準」。そのままプレイしても,処理のもたつきやタップの取得漏れはなく,動作は良好だった。AQOUSのお約束である性能控えめなSoC制御があっても,デレステを快適にプレイするのに必要十分な性能を実現しているようだ。

 さて,デレステに慣れて高い難易度に挑戦するようになると,ノーツが密集して見にくくなるので,ノーツの速度を上げて視認性を確保しているというプレイヤーは多いだろう。ただ,速度が最大に近づくと,表示の残像が気になりがちであり,残像を抑制するために,あえて速度を落としたことはないだろうか。たとえば筆者の場合,iPhone 7 Plusでデレステをプレイするときは,ノーツの速度が「8.6」以上だと残像がきついので,「8.5」にしている。
 そこで残像感の低減に使えないかと,AQUOS Rのなめらか倍速表示にデレステを登録して使ってみた。すると,デレステのメニュー画面はぬめぬめと動くので,ノーツの移動もそうなるのかと思ったのだが,実際には小規模なワープを繰り返すような描写になった。恐らくだが,デレステ側でフレームレートのリミッターが働いているのではないだろうか。

 では視認性は改善されなかったのかというと,意外にも効果アリだ。飛び飛び描写に見えるものの,残像感がなくなるので見やすさが向上して,タップタイミングが掴みやすくなった。これならば,ノーツ速度「9.5」でもプレイしやすいと感じる人もいるだろう。

MVはもたつきなく動作したが,なめらか倍速表示との相性はイマイチ。ゲームで役立つかどうかは,アプリによりけりだ
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●AQUOS R SH-03Jの主なスペック
  • メーカー:シャープ
  • OS:Android 7.1(Nougat)
  • ディスプレイパネル:5.3インチ液晶(IGZO/IPS),解像度1440×2560ドット
  • プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 835」(MSM8998,「Kryo」CPU(オクタコア,最大CPU動作クロック2.2GHz)+「Adreno 540」GPU)
  • メインメモリ容量:4GB
  • ストレージ:内蔵(容量64GB)+microSDXC(最大容量256GB)
  • アウトカメラ:有効画素数約2260万画素,F値1.9
  • インカメラ:有効画素数約1630万画素,F値2.0
  • バッテリー容量:3160mAh
  • 公称最大通信速度:受信時 788Mbps,送信時 50Mbps
  • 対応LTEバンド:未公開
  • 対応3Gバンド:未公開
  • SIMカードスロット:nanoSIM(nanoUIM)
  • 待受時間:未定
  • 連続通話時間:未定
  • 無線LAN対応:未公開
  • Bluetooth対応:5.0
  • USBポート:Type-C
  • 本体公称サイズ:74(W)×153(D)×8.7(H)mm
  • 本体公称重量:約169g
  • 本体カラー:Zirconia White,Mercury Black,Crystal Lavender
  • 主な対応サービス&機能:VoLTE,VoLTE(HD+),おサイフケータイ,防水(IPX5,8),防塵(IP6X),指紋認証,ワンセグ,フルセグ,ハイレゾ音楽再生,HDR動画再生


Xperia Premiumはもう少し様子見

AQUOS Rは優秀だが,実機での確認も必要


 今回テストした2製品のまとめに入ろう。
 Xperia XZ Premiumは,高負荷時の発熱が気になったものの,バランスの取れたスマートフォンであることは確かだ。スマートフォンで写真をよく撮り,ゲームもそこそこプレイするというのであれば,買って「失敗した!」と思う可能性は低い。Xperiaシリーズは国内でのシェアが高いため,ゲーム側での動作検証も行われやすく,動作で問題が起きる可能性が低い点もポイントである。
 とはいえ,今回はデレステなどのゲームテストができなかったため,評価の確定は,製品版での再検証を待ちたい。

 一方のAQUOS Rは,クセはあるものの,ハイスペック端末らしい快適な動作が魅力だ。2Dゲームが中心で,動画もよく見るというのであれば,120Hz駆動のIGZO液晶パネルは評価すべきポイントになる。ただ,なめらか倍速表示は,実際にゲームで体験してみないと評価できない部分があるので,発売が近づいて店頭で実機が触れるようになったら,プレイしたいゲームで試してみることをお勧めする。スマートフォンゲームで,表示の残像感が気になっているような人には,役立つ機能になるはずだ。

NTTドコモのXperia XZ Premium 製品情報ページ

NTTドコモのAQUOS R 製品情報ページ

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