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[CEDEC 2011]奇跡の一枚を描いたアイデアマンは誰だったのか。ペラ紙一枚でゲームの企画を競う「ペラ企画コンテスト」の結果が発表
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印刷2011/09/10 14:59

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[CEDEC 2011]奇跡の一枚を描いたアイデアマンは誰だったのか。ペラ紙一枚でゲームの企画を競う「ペラ企画コンテスト」の結果が発表

 CEDEC 2011の最終日となる2011年9月8日に行われた「奇跡の一枚はコレだ!〜ペラ企画コンテスト結果発表」(以下,ペラコン)の模様をお伝えしたい。
 「ペラ企画コンテスト」とは,一つのテーマに沿ってゲームの「コンセプトシート」を一枚のペラ紙にまとめ,その優劣を競うコンテストだ。企画書や提案書ではなく,それらの原型となるコンセプトシートを競うわけで,「読ませるものではなく,見せるもの」というところがミソ。詳しい内容は分からなくても,ともかく面白そう,こんなゲームを作ってみようという気持ちにさせれば勝ちなわけだ。

画像集#019のサムネイル/[CEDEC 2011]奇跡の一枚を描いたアイデアマンは誰だったのか。ペラ紙一枚でゲームの企画を競う「ペラ企画コンテスト」の結果が発表
 レギュレーションや審査方法については,「こちら」の特設ページを参考にしてほしいが,今回のテーマは「途中下車」。この言葉でピンと来た人々の応募総数は57作品で,内訳は会場応募16,ネット応募41。
 これらの応募作に対し,直接審査結果に影響しないものの,作品を評価するネット投票数も144件あったという。
 プレゼンターは審査委員長の遠藤雅伸氏,審査副委員長の三上浩司氏,そして特別招待審査委員の杏野はるな氏の3氏が務めた。

左からゲームアイドル 杏野はるな氏,モバイル&ゲームスタジオの遠藤雅伸氏,東京工科大学講師 三上浩司氏
画像集#018のサムネイル/[CEDEC 2011]奇跡の一枚を描いたアイデアマンは誰だったのか。ペラ紙一枚でゲームの企画を競う「ペラ企画コンテスト」の結果が発表

 さて,「予想以上に大変だった」と遠藤氏がいうように,審査は困難をきわめたようだ。実はセッションの開始直前まで集計作業が行われており,作品のスライドも途中までしか用意できなかった。そんな理由と,セッションの時間が限られていることを勘案して,優秀な作品から順番に公開し,時間の許す限りより多くの作品を紹介していくことになった。

「ペラ企画コンテスト」特設ページ


■最優秀賞「私降ります!!」木村貴信氏
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 テーマを聞いて瞬時にアイデアが浮かんだという木村氏は,「お題になるべく忠実に脱線しすぎないように注意しました」と語る。ちなみに木村氏はセガのデザイナーだそうだ。ご覧のように,さすがプロと思わせる仕上がり。どんなことがあっても途中下車する,スペクタクル満点のゲームになりそうだ。


■第2位「途中下車推理〜次に降りるのはお前だ!〜」柳谷達之氏
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 三上氏よりベストアマ賞を贈られた作品で,オリジナリティの高い内容が票を集めた。ちなみに,第5位になった簗瀬氏から「私自身,現実の現象をゲームに落とし込むのが好きなので,この作品はすばらしいと思いました。ゲームシステムとしても不自然なこともなく,あるあるといった感じだったので。たぶん,普通に歩いているだけでも面白いことを考えている方なのではないでしょうか」というメッセージが送られた。


■第3位「ワレ途中デ下車ニ成功セリ」菅原隆行氏
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 ご本人が会場入りしていなかったので,残念ながらコメントは聞けなかったが,プロである審査員から高い評価を得た作品。ゲームそのものを「途中下車」するところが,発想の転換だ。


■第4位「YAMANOTE-BEAT-LINE」山田祐希氏
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 スクウェア・エニックスでプランナーをしているという,プロ中のプロの方の応募作品だ。「変わった音ゲームが作りたいと考えており,途中下車というテーマを聞いたときに,どうにか結び付けられないかなと考えました」と山田氏。渋谷だったら若者風とか,駅の雰囲気に合わせた曲に変わったりするのだろうか。


■第5位「つけろ!」簗瀬洋平氏
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 簗瀬氏はサイバーコネクトツーでゲームデザインをしているという,こちらもプロフェッショナル。「企画を出すチャンスがあるときに企画を提出し,ほかの人の意見を聞くのは重要なことなんです」と話す簗瀬氏は,「最初に出す企画が面白い必要はまったくなくて,人の意見を聞いて修正すればいいと思う」と続けた。最後に,「この企画を使いたい人はどうぞ。サイバーコネクトではこういうゲームは絶対作りません」と会場を笑わせた。


■第6位「僕って誰?(ボクダレ)」こばやしえいすけ氏
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 投稿者は審査員の杏野氏の知り合いとのことだが,詳しいことは不明。周囲の人々の反応など,さまざまな手がかりから,自分の姿を想像するという内容で,“逆FPS”という,キャッチーなリードが印象的だ。


■第7位「ズバリ!途中下車」石川将光氏
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 娯匠のゲームデザイナーである石川氏は「こういうチャンスには出しておくべき」と力強く語り,「この企画はタイトルで勝負しよう」という意図を持って企画を練ったという。キャンペーンをからめてマネタイズするなど,プロらしい仕上がりが審査員の高評価を獲得したようだ。


■第8位「セカイムジカ」岩本 翔氏
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 岩本氏は審査員の三上氏と面識がある学生さんで,応募作は「音とゲーム」にこだわった作品。「途中下車したくなる」という発想が巧みだ。ゲーム関連企業へ内定も決まっているとのことで,今後の活躍に期待したい。


■第9位「チームトレイン」安本匡佑氏
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 本職は大学の先生だが,以前はコンシューマゲームのデザインをやったことがあるという安本氏。残念ながら会場入りしていなかったので話は聞けなかったが,「満員電車が強そうなので,(このゲームをしていれば)満員電車も苦にならずに済みそうです」という審査員のコメントが寄せられていた。駅ポイントの仕組みが,ちょっと分かりづらいか。


■第10位「偏在彼女。」土本 強氏
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 審査員枠から投稿したという「ゲーム制作雑誌 がまぐ!」編集部の土本氏の作品。土本氏は「これはダメ企画です。よく読むと分かるのですが,かっこいい言葉でデコレートしているだけで,中身はありません」と自らバッサリ。それに対して,“彼女”という言葉で思わず票を入れてしまった審査員も多いのではと杏野氏が返し,会場を沸かせていた。


■第11位「無羅籬 途中下車」早川征志氏
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 投稿者の情報がなく,三上氏によれば学生さんではないか,とのこと。この作品を見た杏野氏から「若そうじゃないですか? くにおくんシリーズとか好きそう」とナチュラルな感じのコメントが飛び出し,会場からは「くにおくんは若くないだろう」と突っ込みが。


■第12位「STOP!途中下車」渡辺恵介氏
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 ゲームアーツのデザイナーである渡辺氏の作品。フリーのツールを用いて作ったQRコードまで貼り付けてあるのだが,ゲーム内容については「雰囲気重視で」とのこと。


■第13位「むわり途中下車の旅」松村憲男氏
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 「こういうものには応募せねばならん」との思いから,取り急ぎ考えたという作品だが,杏野氏のお気に入りとのこと。ちなみに杏野氏は「加齢臭がするのは新橋。ベルギーワッフルは,渋谷あたりではないか」とのこと。においをどのように発生させるかが,キーテクノロジーになりそうだ。


■第14位「ブラザー電車 乗客麻雀」鈴木輝彦氏
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 CEDEC会場で配られていたアンケート用紙の裏に書かれた作品。「セッションの合間に,そこらへんにある紙で書いて出しても楽しめるコンテストにしようと話していたのですが,それを具現化してくれたので嬉しかったですね」と三上氏。ここでも杏野氏の「この絵を描いたのは,女性の方ですかね?」というナチュラルな発言が炸裂。鈴木氏は来場していなかったが,たぶん男性だと思われる。


■第15位「オリルモレル」上原倫利氏
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 「ネタばらしをすると,業界に関係ない友人が考えた企画です」と話す上原氏は,「ディレクターの意見を聞いたプランナーが,話を広げて企画にするのは,仕事として間違っていない」と続けた。このとき遠藤氏は「イラストだけプロの方にお願いしたのですが,(レギュレーションにひっかからないか)大丈夫ですか,というメールをいただきました。私は,プロの方も立派なツールですので問題ありませんと返答しました」との裏話を披露し,「本当に尿意が限界のとき,このゲームで気を紛らわせてほしい」との発言で締めくくった。


■第16位「〜公衆電話〜」加藤 匠氏
画像集#016のサムネイル/[CEDEC 2011]奇跡の一枚を描いたアイデアマンは誰だったのか。ペラ紙一枚でゲームの企画を競う「ペラ企画コンテスト」の結果が発表

 大学院生である加藤氏の作品。本人いわく「テーマからかけ離れているとは思ったのですが,ぶらり途中下車の旅の“おやおや○○さん”という部分にインスパイアされて,音だけで面白いことができないかと考え,この作品に行き着きました」とのこと。こちらには,準杏野賞が贈られた。


■第17位「普通列車,魔王の城行き。」鬼頭雅英氏
 バンダイナムコゲームスの鬼頭氏の作品。「ユーザーの行動から学ぶゲームデザイン」というセッションで講師を務めてた鬼頭氏は,17位という結果にショックを受けていたようだった。
画像集#017のサムネイル/[CEDEC 2011]奇跡の一枚を描いたアイデアマンは誰だったのか。ペラ紙一枚でゲームの企画を競う「ペラ企画コンテスト」の結果が発表


 以上17位まで発表したところで「ここまでしか用意できていませんでした」とのスライドが表示され,一応,ここで一区切りとなった。

 会社の方針や市場動向といった束縛から解き放たれた,フリーな企画バトルは見ごたえ十分だった。プレゼンター3人のトークと,来場者のノリが独特のライブ感を生み,予想以上の盛り上がりをみせていたことから,企画自体も成功だったといえそうだ。
 応募者,審査員,そして来場者の誰もがゲーム業界に携わる者,言い変えると関係者が集まっているのだから,盛り上がるのも当然なのかもしれない。仕事や学業の合間にこのようなコンセプトシートを制作する熱意ある人がいるかぎり,ゲーム業界の未来は明るいのかもしれないと思える発表会だった。
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