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あ,やられた。水口哲也氏が語る思い出の一本「WipEout」。――ゲームアーカイブス700本突破記念! 特別インタビュー第3弾
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印刷2012/03/08 00:00

インタビュー

あ,やられた。水口哲也氏が語る思い出の一本「WipEout」。――ゲームアーカイブス700本突破記念! 特別インタビュー第3弾

 PlayStation Storeで展開されている「ゲームアーカイブス」の配信タイトル総数が,2月23日に700本を突破した。これを記念し,ゲーム業界を代表するクリエイター7名に,「思い出に残る1本」をピックアップしてもらい,そのタイトルに関する話を聞いてみようというのが,この企画である。

○第1弾 北瀬佳範氏 (スクウェア・エニックス)※2月23日掲載 
○第2弾 須田剛一氏 (グラスホッパー・マニファクチュア)※3月1日掲載
○第3弾 水口哲也氏 (キューエンタテインメント)※3月8日掲載
○第4弾 馬場英雄氏 (バンダイナムコゲームス)※3月15日掲載
○第5弾 名越稔洋氏 (セガ)※3月22日掲載
○第6弾 小林裕幸氏 (カプコン)※3月29日掲載
○第7弾 小島秀夫氏 (コナミデジタルエンタテインメント)※4月5日掲載予定

「PlayStation Store」公式サイト


 今回は,ユービーアイソフトより4月19日に発売予定のPlayStation Vita用ソフト「ルミネス エレクトロニック シンフォニー」を開発している,キューエンタテインメントの取締役CCO 水口哲也氏に話を聞いた。
 水口氏にとっての思い出の1本は,1996年にソニー・コンピュータエンタテインメントよりPlayStation版が発売された,「WipEout」である。
 本作は,反重力テクノロジーを用いて地表から浮いた状態で走行できる乗り物を使った,SFテイストのレーシングゲーム。その圧倒的なスピード感と,それを盛り上げるテクノサウンドが大きな話題を呼んだ。当時セガでアーケードゲームを手がけていた水口氏は,この作品に何を感じたのだろうか。

水口哲也(みずぐち てつや):1990年,セガ・エンタープライゼス入社。2003年,キューエンタテインメント共同設立。「セガラリーチャンピオンシップ」(1994年)や「マンクスTT スーパーバイク」(1996年)といったアーケードゲームを手がけた後,「スペースチャンネル5」(1999年),「Rez」(2001年),「Child of Eden」(2010年)など,音楽と映像を融合させた作品を次々と発表。初代PSPのローンチと共に発売した「ルミネス 音と光の電飾パズル」(2004年)は,現在に至るまで,さまざまなプラットフォームに移植され,世界中で愛されている。現在,キューエンタテインメント取締役CCO
画像集#002のサムネイル/あ,やられた。水口哲也氏が語る思い出の一本「WipEout」。――ゲームアーカイブス700本突破記念! 特別インタビュー第3弾

○「WipEout」とは

画像集#001のサムネイル/あ,やられた。水口哲也氏が語る思い出の一本「WipEout」。――ゲームアーカイブス700本突破記念! 特別インタビュー第3弾
 1996年に発売された,“反重力レーシング”ゲーム。先週,グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏に語ってもらった「デストラクション・ダービー」同様,Psygnosis(現SCEE Studio Liverpool)が開発を手がけていた。
 実車モチーフでは体感できないような圧倒的なスピード感と,Orbital,The Chemical Brothers,New Order,Prodigyといった日本でも著名なアーティストが手がけた楽曲をBGMとして採用していることなどで,ゲームファンのみならず音楽ファンをもうならせた。
 なお,シリーズ最新作「WipEout 2048」が,今年1月,PlayStation Vita用に発売されている。

ゲームアーカイブス「WipEout」紹介ページ



「WipEout」に触れて,「あ,やられた」という気持ちに


4Gamer:
 本日はよろしくお願いいたします。
 PlayStation Storeで配信されている「ゲームアーカイブス」の中で,思い入れのある作品をうかがったところ,1996年に発売された「WipEout」を挙げていただきました。

画像集#003のサムネイル/あ,やられた。水口哲也氏が語る思い出の一本「WipEout」。――ゲームアーカイブス700本突破記念! 特別インタビュー第3弾
水口哲也氏(以下,水口氏):
 当時,僕はセガにいたんですね。1994年に初めてプロデュースした,アーケードゲームの「セガラリーチャンピオンシップ」を皮切りに,アーケード用のレースゲームや体感ゲームを何本か作っていました。
 僕自身,もともと音楽や映像が大好きで,ゲームと音楽を融合させる試みを,長いスパンでやっていきたいと思いながら,そういったゲームを作っていたんですが,そうこうしているうちにコンシューマ用としてWipEoutが出てきて,ちょっとびっくりしたんです。正直,「あ,やられた」みたいな気持ちも若干ありましたね。

4Gamer:
 それは,どういうポイントでしょう?

水口氏:
 技術や表現に関しては,自分がやっていたもののほうが優れていたと思います。ハイエンドなアーケードゲームでしたから,解像度も当時のコンシューマ機に比べて優れていましたしね。
 でもそういった差をセンスでカバーした作品が,ヨーロッパの会社……イギリスのPsygnosisによって作られたというのが新鮮だったんです。

4Gamer:
 当時のヨーロッパのゲームについて,水口さんはどういう印象をお持ちでしたか?

水口氏:
 印象……というか,ゲームそのものだけでなく,ゲーム文化そのものに影響を受けていましたね。例えば,自分が仕事としてゲームを作ろうと考える前の学生時代,Amigaを持っていたんです。それでAmiga用のデモソフトを作っているアマチュアグループの動きは,ずっと追っていました。彼らが,とても自由にものを作って表現するというムーブメントを起こしていたんですよ。
 それと,音楽性でもヨーロッパの影響は受けていますね。最近になって振り返ると,当時はとくにUKの音楽やミュージックビデオが好きだったんです。

4Gamer:
 アーティストでいうと?

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水口氏:
 New OrderやPeter Gabriel,それとDepeche Modeみたいにちょっと重い感じのものも好きでしたね。MadonnaやMichael Jacksonのようなアメリカのポップにも力があったけど,それよりもアート性のある独特の表現が,ヨーロッパから生まれている空気が気になっていたんです。
 そういう流れから,ゲームがぽんと出てきた感じを,WipEoutから受けたんです。

4Gamer:
 音楽や映像を含めたヨーロッパのカルチャーの文脈の延長線上にあるゲームとして,WipEoutをとらえたということですね。

水口氏:
 ええ。WipEoutでは,OrbitalやThe Chemical Brothers,Prodigyといった,当時はもちろん,今でも活躍しているアーティスト達が音楽で参加していて,それも僕の中では事件だったんです。ゲームでこういうアーティストを使うのか,と。
 それを見て,自分のクリエイター魂にも火がついたことが,「Rez」や「スペースチャンネル5」,「ルミネス」に繋がっているところはありますね。

4Gamer:
 そこまで明確な影響があったんですね。
 例えばWipEoutの存在がなかった場合,Rezなどの発想が生まれるのは,もう少し遅かったかもしれないということでしょうか?

水口氏:
 うーん,どうでしょう……。ただ,何かを強く刺激し,広げてくれたというのは確かだと思います。WipEoutの場合,バックグラウンドミュージックとしての使い方でしたが,一つのスタイルは切り開いたでしょうし。
 僕はそれを受けて,ゲームデザインにもっと音楽を利用したいと思って,KEN ISHIIやCOLDCUT,Adam Freelandといった人達と一緒にRezを作りました。彼らから音源をそのままもらって,それをバラバラにして効果音に使ったんです。そしてバラバラだったものが,ゲームを進めていくとまた一つの音楽にまとまっていくという気持ち良さや,楽しさを目指したんですね。
 そういう意味で,WipEoutの存在が,その下地を作ってくれたというのはあるかもしれません。

4Gamer:
 では,レースゲームを作っていた水口さんから見て,レースゲームとしてのWipEoutは,どのように映りましたか?

水口氏:
 僕は現実をベースにしたリアルな方向のものを作ってたんですが,当時,SFのレースゲームはアーケードでもなかなかヒットしなかったんですよね。
 そういう中で,あれだけ尖っていて,それなりの結果を出したというのは,評価されるべきだと思っていました。

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PlayStation黎明期,水口氏が対岸から見ていたもの


4Gamer:
 PlayStationプラットフォームが立ち上がって間もない頃は,WipEoutに限らず,国産タイトルにしろ海外産タイトルにしろ,尖った作品が少なくなかったですよね。こうした動きを,当時セガにいらっしゃった水口さんは,どのように見ていましたか?

画像集#005のサムネイル/あ,やられた。水口哲也氏が語る思い出の一本「WipEout」。――ゲームアーカイブス700本突破記念! 特別インタビュー第3弾
水口氏:
 あちらでもゲームを作りたいなぁ,と思っていました。セガとして初めてPlayStationプラットフォームに送り出したのがRezだったんですが,そのときは一番乗りできたことが嬉しかったです。
 当時,横浜アリーナでWIREという屋内レイヴにRezで協賛して,思い切ったこともできましたし。

4Gamer:
 2001年のWIRE01のときですね。
 そう考えると,WipEoutにしろRezにしろ,テクノカルチャーとゲームを結びつけたという点でも,共通する意義があったように思います。

水口氏:
 そうですね。そういった動きが,PlayStationプラットフォームのブランディングにも,大きな役割を果たしたと思います。
 ハードの性能が上がって,「クラッシュ・バンディクー」や「パラッパラッパー」のように,いろいろなタイプのゲームが生まれてくる中,「こんなものをゲームにしていいんだ」とか「こんなジャンルがあっていいんだ」という勢いも出たでしょうし。そういったことが盛んに行われていたのが,PlayStationの黎明期でした。
 僕はそれと戦う側ではあったんですけど,反対側から見ていて,小気味いいなと思っていました。いけいけー! みたいな(笑)。

4Gamer:
 当時のセガプラットフォーム側では,そういった動きは,PlayStationと比べると少なかったと思うんです。それは,なぜだったんでしょう?

水口氏:
 けっこうシンプルな理由でしょうね。セガは内製が強く,内部に優れたクリエイターが大勢いたんです。
 でもWipEoutやクラッシュ・バンディクーは,クリエイティブパートナーというか,外部でいろいろなことに挑戦している人達が,PlayStationに集結しているような雰囲気の中からじゃないと,出て来なかった作品じゃないかと思うんです。
 簡単に言うと,ファーストパーティが中心になっていたか,サードパーティが中心になっていたかという差ですよね。とにかく当時のPlayStationには,「あまり堅いことを言わずにさ,形なんてどうでもいいじゃん」みたいな自由な雰囲気がありました。

ゲームアーカイブス「クラッシュ・バンディクー」紹介ページ
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4Gamer:
 当時は日本国内にプラットフォーマーとして任天堂とセガが確固たる地位を築いていましたし,そこに割って入る形だったということもあるかもしれません。

水口氏:
 そうですね。だからソニーのPlayStationというブランドには,常に挑戦的であってほしいですよね。

4Gamer:
 常にチャレンジャーの気持ちで,というか。
 ちょっと話題に出たので,ゲームアーカイブスでは配信されていないのですが,パラッパラッパーについても,どう思われていたのか教えていただけますか?

水口氏:
 パラッパラッパーが出たことで,当時の雰囲気やゲームというものに対する印象が変わったと思います。これもPlayStationのブランディングに,大きく寄与した作品ですよね。

4Gamer:
 音楽と映像で遊ぶゲームという意味で,水口さんが手がけてきた作品とも通じる部分はあるように思えます。

水口氏:
 自分のテーマがそうですからね。やっぱり同じようなものを目指そうとしているクリエイターのことは,常に気になります。いい友人でもありますし,いいライバルでもあります。

ゲームアーカイブス「ウンジャマ・ラミー」(※「パラッパラッパー」の流れをくむタイトル)紹介ページ
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4Gamer:
 ゲームとして見た場合,パラッパラッパーのように音楽が流れて,画面に記号が表示されて,タイミング良くボタンを押していくものと,水口さんの作品は一線を画していますよね。
 そこは,音楽と映像で遊ぶというコンセプトを,あえて異なるアプローチで表現しているということでしょうか?

水口氏:
 そうですね。僕の場合は画面のどこかに記号を表示して,そこに集中させてしまうより,画面全体で描いている世界に浸ってもらいたいんです。だから,スペースチャンネル5では,踊らせたわけで。

4Gamer:
 凄く納得がいきます。どちらも面白いんですけど,音楽とタイミングだけではなく,映像のイメージも強固に残るというか。

水口氏:
 もしかしたらそういうのは,僕自身が演奏家じゃないからできる発想なのかもしれませんね。もちろん,音楽は心の底から大好きです。

4Gamer:
 演奏家じゃないから,というのも何となく分かります。「音楽のゲーム」というと,楽器をシミュレートするような方向性の作品もありますが,水口さんの作品は,それとは違う形で音楽が組み上がっていく過程を楽しませてくれますし。でも,そういう発想はそもそもどこから生まれたものなんでしょうか?

水口氏:
 Rezを作ったときには,いくつかのインスピレーションソースがありましたが,その中でも大きいのは,アフリカのケニアに行って帰ってきた友人が見せてくれた映像なんです。
 それはバーで10人ぐらいが飲んでいる風景で,最初は普通に会話をしているだけなんですが,誰かが机を手で叩き始めると,そのリズムに合わせて隣の人が瓶を叩き始め,さらにその隣の人が手拍子を始め,やがてみんなの体が横に揺れ始め,しまいには女性がすっと立ち上がって突然歌い出すというものでした。
 何かBGMがかかっていたわけでもなく,シーンとしたところからグルーヴが生まれていく様子が,その映像には収められていたんです。

4Gamer:
 グルーヴが生まれていく様子,ですか。

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水口氏:
 ええ。このメカニズムって,一体何なのかな? グルーヴ感って,どうやったら生まれるんだろう? そんなことを考えるきっかけの一つになったんです。
 それをゲームで能動的に体験できるようにしたいと,あれこれ考えていった結果として,スペースチャンネル5やRezに繋がっていったんです。

4Gamer:
 そもそも水口さんは,グルーヴ感をどういったものととらえていますか?

水口氏:
 言葉にするのは凄く難しいんですけど,人間の持っている特殊能力の一つだと思っています。
 人が集まってそこにグルーヴが生まれていくプロセスって,人間同士がもの凄いスピードでインとアウトを繰り返しているわけです。コール&レスポンスをするし,集中してお互いの反応や,お互いのビート,雰囲気,感情みたいなものなんかを,感じ取るわけですよね。とてもセンシティビティが高い状態で,みんなが繋がる瞬間というか。
 人間の歴史を振り返ってみると,きっと古来からこういうことをやってきているわけですよね。火の周りで踊ったりとか。そういう感じで音や情景,人の動きや感情が共鳴していくプロセスを,どうやったらゲームとしてデザインできるかなというのは,いつも考えています。

4Gamer:
 グルーヴ感という言葉もよく分かるし,これがグルーヴ感なんだろうなという体験をしたことはあるんですが,確かに言葉にするのは難しいものですよね。根源的な快楽に根ざしているからだと思うんですが。

水口氏:
 人間って,そういう分からないことだらけなんですよね。みんな「無意識」で通り過ぎてる。

4Gamer:
 だからこそ,水口さんはそういうことを常に考えているわけですか。

水口氏:
 そうですね。映画を見て「面白かったね」とは言うけど,ほとんどの人は,そこで何が面白かったとか考えないでしょう? どうやったらもっと面白くなるんだろう? とか,俺だったらこうするのにな,みたいなことは,あまり考えないで通り過ぎることが多いと思うんです。でもそういうのは,何かを創作する立場では避けられないことなんですよ。そんなことばかり考えていると,だんだんこんな人間になっちゃうんですけど(笑)。

4Gamer:
 なるほど(笑)。

水口氏:
 でもゲームを作るのって,本当に面白いと思いますよ。常に見えないものをデザインし続ける感じです。ちょっと建築に似ているというか。目に見えない,そして動き続ける建築物を作っている感じというか。


定義を満たしつつ,新しくなった「ルミネス」


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4Gamer:
 さて,PS Vita用の新作「ルミネス エレクトロニック シンフォニー」についても聞かせてください。

水口氏:
 欧米では2月22日のPS Vitaのローンチに合わせて発売しましたが,日本では4月19日に発売します。2004年に第一作をPSPで発売してから,さまざまなプラットフォームで展開してきて,気付いたら7年ぐらい経っていました。とくにアメリカではすごく受けて,モバイルでは全世界76か国ぐらいで遊ばれています。
 この間,消えてしまうことなく育ってくれたところで,PS Vitaが発表されて,「これは絶対にルミネスをやらなければいけない」と思って作ったものです。PSPが好きでしたし。

4Gamer:
 新プラットフォームだから,とりあえず出そう……というわけではないということですか?

水口氏:
 ええ。PSPが発表されたとき,「これは“インタラクティブウォークマン”だ」と思ったんです。当時の携帯型ゲーム機としては画質も音質も優れていて,音と映像を使った新しいインタラクティブな遊びを作れそうだな,と。しかも,それをいつでもどこでも楽しめるという点が魅力で,とても興奮したんです。だからPSPの発売と同時に出したくて,日米欧でローンチタイトルにしました。

4Gamer:
 なるほど。それをきっかけに,世界中で愛されるコンテンツに育ったからこそ,PS Vitaでも新作を出さねば! となったわけですね。

水口氏:
 もちろん,そう。今回もまた,多くの人が聞いたことがあるような,昔の曲から新しい曲まで世界中の33曲のライセンス楽曲を入れています。そんな楽曲のサウンドを,うちのサウンドエンジニア達が,ルミネスというゲームを最大限に面白くて気持ち良いものにするべく,加工してチューニングしています。その結果,ゲームとしての面白さと,音楽の演奏感が凄く高いレベルで交わっていると思います。
 ルミネスだけでなく,ゲームと音楽をどのように高いレベルでブレンドするかという試みは,「Child of Eden」(PlayStation 3 / Xbox 360)などでもやってきましたが,そのノウハウやセンスみたいなものを,さらに高いところで実現してみた感じになっています。作っているスタッフ達が,みんな自信を持っているので,きっと皆さんに楽しんでいただけると思います。

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4Gamer:
 それは楽しみです。
 PS Vitaならではの要素として,注目すべきポイントはどこでしょう?

水口氏:
 タッチスクリーンを使った操作も取り入れました。それに,インターネットに常時繋がることもできますから,それを生かしたルミネスならではのアイデアも入っているところですね。これは,世界中の人達と繋がってルミネスを競い合うというか,一緒に楽しむ感じになっています。

4Gamer:
 ゲームの基本的なルールに,大きな変更はないんですよね?

水口氏:
 そこはやはり,ルミネスたる定義というものがありますからね。そこが変わってしまうと,別のゲームになってしまいますし。シンプルな面白さは,不変です。

4Gamer:
 ルミネスのこれまでを振り返ると,さまざまなプラットフォームで展開するにあたって,それに適したアレンジが加えられてきたと思うんです。そのとき,絶対に外せない,ルミネスであることの定義を,あらためて教えていただけますか?

水口氏:
 すべての効果音が音楽化していく気持ち良さを味わえるパズルゲームである,ということ。そして,ゲーム自体はシンプルでありながら演奏感が常にある,ということですね。そして,プレイヤーが上手ければ上手いほど,ブロックや背景,音楽がどんどん変わっていく……常に変化を続けるというのも,重要です。
 今回も当然,それらを残しつつ,いろいろなスペシャルブロックやアイテムを入れているので,ゲームの幅や深さも相当上がりましたし,エンターテイメント性も高くなったと思います。
 ただ,ルミネスの定義の周り積み上がっているものは,いろいろと新しくなっているんです。

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4Gamer:
 それが先ほどおっしゃった,Child of Edenなどを経て積み上げてきたものということですね。

水口氏:
 ええ。僕らがシナスタジアと言っている,共感覚みたいなものを映像と音との連動で作るという部分に関しては,最初のルミネスと比較するとかなり違うものになっています。

4Gamer:
 その違いを遊びながら見つけるというのも,一つの楽しみになりそうですね。WipEoutなども遊びつつ,発売を楽しみにしています。ありがとうございました。

「ルミネス エレクトロニック シンフォニー」公式サイト

「PlayStation Store」公式サイト


(2012年2月14日収録)
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