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ベラルーシにあるWargaming最大の開発拠点を訪問。「World of Tank Blitz」ディレクターに独占インタビュー
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印刷2017/11/16 12:00

インタビュー

ベラルーシにあるWargaming最大の開発拠点を訪問。「World of Tank Blitz」ディレクターに独占インタビュー

画像集 No.019のサムネイル画像 / ベラルーシにあるWargaming最大の開発拠点を訪問。「World of Tank Blitz」ディレクターに独占インタビュー
 11月11日,これまで数か月にわたって行われてきたモバイルゲーム「World of Tank Blitz」PC / Mac / iOS / Android)の各地域の代表チームによる決勝戦「Twister Cup 2017」が,Wargamingの創立の地ベラルーシの首都ミンスクで開催された。海外からは唯一のメディアとして招待された4Gamerでは,アジア代表となる日本チームEHR2を交えて行われたトーナメントの様子をお伝えした
 その前日には,ミンスク郊外にあるWargamingのオフィスにも招かれており,4Gamer的には4か月ぶり2度めの訪問となる同社最大のオフィスをチェックしつつ,Publishing Product Directorとして同社の作品を管轄するアンドレイ・リャボヴォル(Andrey Ryabovol)氏にお話しをうかがう機会があったので紹介しよう。

「World of Tanks Blitz」公式サイト

「World of Tanks Blitz」ダウンロードページ

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画像集 No.001のサムネイル画像 / ベラルーシにあるWargaming最大の開発拠点を訪問。「World of Tank Blitz」ディレクターに独占インタビュー

 ちなみに,ベラルーシは閉鎖的な国であり,これまでは入国するのにビザの取得が必要で,人々の往来が気軽にできない国であった。そのためか,正式には,同社のブロックバスタータイトルとなった「World of Tanks」がグローバルローンチされた2011年に,Wargamingの本社はキプロスに移転しており,そこで経理などは行われているので,ミンスクオフィスは「本社」ではなく,開発本部あるいは実働拠点といったところだ。

 今では,アメリカやイギリス,そして日本や韓国にも支社を構えるほどに成長したWargamingであるが,グローバルで5000人を超える雇用人員のうち,ミンスク本部では2000人もの開発者や経営陣,マーケティング担当者などが働いているというから,実質的にミンスク本部がWargamingの動力であるのには変わりがないといえるだろう。
 2017年2月に,ようやく5日間までの短期滞在であれば日本やアメリカを含む80か国からの入国にビザ取得が必要なくなったため,Wargamingが初めて母国で国際的なゲームイベントを開催し,世界各国に存在する同社タイトルのゲーマーやファンたちだけでなく,筆者のようなジャーナリストを含めた関係者を気軽に迎え入れる素地が出来上がりつつある,というわけだ。


ベラルーシに生まれたFree-to-Play型ゲームの優良企業


 Wargamingのオフィスがあるのは,ミンスク中心部から車で30分ほどの郊外にある,160社2万7000もの人が働く,The Belarus Hi Tech Parkという地域の一角にある。Rakutenの傘下にあるメッセージアプリ「Viber」の開発拠点もあり,ベラルーシ政府が“東欧のシリコンバレー”となることを期待しているようだが,そこで最大となる2000人の従業員を雇用しているのがWargamingなのだ。
 そのWargamingのオフィスは16階建てのビルだ。2011年の「World of Tanks」のローンチ以降,従業員が余りにも急速に増えたために,急遽3年ほど前に見つけた物件であるという。

 Wargamingは,「World of Tanks」で世界的に知名度を上げたゲーム企業だが,元々はソ連崩壊以前にあたる1988年に,現CEOのビクター・キスリー(Victor Kislyi)氏などによって設立された,世界的に見ても古参のメーカーである。
 2000年代には,メックウォーリアーに影響を受けたようなターン制ストラテジーゲーム「Massive Assault」シリーズが欧米で評価を受け,2009年にはスクウェア・エニックスから販売された「Order of War」というリアルタイム戦略シムも開発しているが,その翌年にCIS(旧ソ連諸国独立国家共同体)地域で試験的にリリースされたFree-to-Play型のオンライン専用アクションシューティングが,「World of Tanks」になったというわけだ。

入口の受け付けは,戦艦のようなアートワークがあしらわれており,その奥には社員食堂がある
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入口脇にあったのが,博物館に置けなくなったものを譲り受けたという本物のMS-1
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Wargamingの“ミンスク食堂”とメニュー。自由に好きな一品料理を取っていき,それが社員証の認証コードを使って給料から天引きされるという仕組み。1ベラルーシ・ルーブルは約57円なので,一番高いものでも100円ちょっとくらい。主食のパンは取り放題で,安い付け合わせなら10円もしない格安メニューになっている
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ベラルーシでも有数のIT企業となったWargamingの内部


 さて,今回のWargamingのオフィス訪問は,CIS地域以外のクランリーダーやマネージャー,そしてコントリビューター(ファンフォーラムやゲーム動画投稿者)たちに,Wargaming側が「World of Tanks Blitz」の今後の方針について語るとともに,コミュニティの意見を直接的に汲み取って,より良いゲームにしていこうという趣旨で行われた。
 このミーティングには,アジアからはEHR2のサブマネージャーであるNeo_J18氏と,NDのelinaandsakura氏,そして東南アジア地域のメンバーを中心に活動しているというM-I-BのリーダーであるHades氏がベトナムから参加した。
 そしてメディアという立場で参加している筆者のみが広報担当者に連れられて,オフィス内を見学するという運びとなったわけだ。

休憩を交えながら4時間にもわたって行われたというコミュニティミーティング。今後の様々な方針が,ここで話し合われたようだ
画像集 No.006のサムネイル画像 / ベラルーシにあるWargaming最大の開発拠点を訪問。「World of Tank Blitz」ディレクターに独占インタビュー

 オフィスビルの一室にあったのが,「World of Tanks」シリーズのファンたちが作り上げた様々なオブジェクトが飾られた「ミュージアム」と呼ばれる場所だ。一部地域では“コミュニティチャレンジ”なるものが行われ,マッチ棒で作ったタンクだとか,手編みのタンク型靴下のようなものがファンたちによって本社に投稿されてくるという。そこから入賞作品を選んで,ゲーム内通貨を授与したりすることもあるそうだ。部屋自体はそれほど大きくなく,陳列棚はもう一杯になっている状態だったが,もっと拡張していくことを考えているのか,部屋を見回して何かを語り合っている従業員たちがいた。
 また,このミュージアムの一角には大きな地図が貼られており,これまでWargamingが宣伝活動を行い,公式大会を開催したことのある場所を,旗の形をしたピンで留めている。カムチャッカ半島にまで遠征したのは恐れ入るが,広報担当者も「余りにも回線状況が悪くてゲームにならないほどだった」と笑いながら話していた。

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棚一杯に並べられたファンメイドの戦車グッズ。Wargamingは,ここを“ミュージアム”と呼んでいた
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Wargamingのオフィスには,過去の作品をプレートにして通路に埋めていく「ウォーク・オブ・フェイム」がある
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日本からは遠い印象のベラルーシだが,広大なロシアを挟めば,大概のCIS諸国は「隣の隣」の国だ

筆者が許可を得て散策できたのは11階までだが,上に行くほどインテリアやアメニティも凝ったものになっていくという,ちょっとわかりやすいヒエラルキーになっている様子
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■「World of Tanks Blitz」ディレクター独占インタビュー
プレイヤーたちが,e-Sportsのヒーローになることを願っている


Wargaming/Publishing Product DirectorのAndrey Ryabvol氏
画像集 No.014のサムネイル画像 / ベラルーシにあるWargaming最大の開発拠点を訪問。「World of Tank Blitz」ディレクターに独占インタビュー
 今回のWargamingの本部訪問も貴重な体験であったが,さらにPublishing Product Directorとして同社の全タイトルに関与するアンドレイ・リャボヴォル(Andrey Ryabovol)氏にもインタビューできた。
 「World of Tanks Blitz」というWargaming初のモバイルタイトルにおいて陣頭指揮をとったばかりでなく,今回の「World of Tanks Blitz」のクランリーダーたちとのコミュニティミーティングにおける司会,そしてTwister Cup 2017の運営にまで関わっていて,なんとも忙しそうな人物だ。
 なお,このインタビューはコミュニティミーティングの後,つまりTwister Cup 2017の前夜に行われたものである。

4Gamer:
 それではまず,今回コミュニティミーティングで話されたことを,できる範囲で良いのでお話しください。

Andrey Ryabovol (以下,Ryabovol)氏:
 そうですね。今回,4時間にわたって日本を含める「World of Tanks Blitz」のコミュニティメンバー代表者と話し合ったのは,大きく分けていくつかのカテゴリに分類されますが,Twister Cup 2017の開催にあたって,まずはe-Sports関連,そしてクラン運営に対するサポートなどについて話しました。Twister Cup 2017のあと,つまり来年はどういうことを計画しているか,ということを話し合ったのです。

4Gamer:
 「World of Tanks Blitz」でe-Sportsを始めたのはつい最近のことですよね。

Ryabovol氏:
 ご存じのように,「World of Tanks Blitz」でe-Sportsを本格的に始めたのは昨年のことです。初めて行われたTwister Cup 2016はアップデートで新機能などが追加されたばかりで,トーナメントを運営するのが非常に難しい状態でした。
 アメリカにも多くのプレイヤーがおり,支社もあるのですが,それでもニューヨークで開催するというのは準備や開催に必要なコストや期間という意味でも,大変なものになってしまいました。
 そういう意味では,今年はベラルーシで行うことができて良かったと思っています。夏から始まったシーズンの最終地点としてTwister Cupを位置付け,そこに到達するために各地域でクランたちが戦うという素地ができたと言えます。

4Gamer:
 先ほど来年以降の方向性を話し合ったということですが,ロードマップはどのように描かれているのでしょうか。

Ryabovol氏:
 まだ具体的にはお話しできませんが,実はCIS地域でe-Sports専用のポータルと契約を結んでおり,彼らのノウハウを利用して,より多くの人が楽しめるような地域トーナメントの運営を行う予定です。
 これは,北米やEU,アジアなどの他の地域でも個別に行っていく案件となります。これをベースにして,来年以降は2シーズン制にしていきたいというのが我々の意向なのです。

4Gamer:
 なるほど。2シーズンになると,どのような効果が生まれますか。

Ryabovol氏:
 まずは,「World of Tanks Blitz」のトーナメントが,これまでよりも定期的にメディアの皆さんに報じてもらえることになるはずで,我々のe-Sportsに対する知名度が上がっていくことを期待しています。
 もちろんまだ,モバイルゲームにおけるe-Sportsというのは産業として成り立っているとは言えず,今回Twister Cup 2017に出場した選手たちがプロアスリートとして生計を立てていくような状態になっていません。しかし,よりプレイヤーベースが広がりを見せていく中で,現在の賞金総額3万ドルという金額もさらにアップしていくでしょうし,何よりも今回の出場選手や新しい人材がスタープレイヤーとして継続的にプレイし,彼らが社会的に認知されていくことを,我々がサポートしていくべきであると考えているわけです。
 プレイヤーたちの中からヒーローが生まれることを願っています。

4Gamer:
 そもそも,なぜWargamingが,「World of Tanks」をモバイル化し,さらにe-Sportsに参入しようと考えたのでしょうか。

Ryabovol氏:
 当初はやはり興味でしたね。まだFree-to-Playというコンセプトが,欧米地域ではそれほど認知されていなかった頃に「World of Tanks」をローンチしたように,まだモバイルゲーム市場でe-Sportsが定着していないからこそ,新しいことをやってみようと考えたわけです。
 もちろん,「World of Tanks」のコントロールや複雑な機能をモバイルアプリとして押し込むのは非常に困難なことでした。プロトタイプを何度も作り直し,様々な部分でチューニングを繰り返していったのです。

4Gamer:
 確かに,「World of Tanks Blitz」がリリースされた当初,こういうゲームならコントローラでプレイしたほうが良いはずと思っていろいろ試したり,調べてみたんです。やはり欧米でも同じことを考えていたゲーマーもいたようで,結局はコントローラを試したあとで,本作のタッチコントロールの良さを再認識していたようでした。

Ryabovol氏:
 そう思っていただけたことは本当にうれしいですね。とにかく,異なるOSやデバイスでも快適にプレイできる操作性の追求に時間をかけました。デバイスによってプレイヤーに差が出てしまうことを嫌ったわけです。全てのプレイヤーがフェアにプレイできるという環境作りは,e-Sportsを考えるうえでも非常に重要なことでした。

画像集 No.017のサムネイル画像 / ベラルーシにあるWargaming最大の開発拠点を訪問。「World of Tank Blitz」ディレクターに独占インタビュー

4Gamer:
 カジュアルにプレイする人が大多数であるモバイルゲーム市場では,まだe-Sportsとしてプレイする人は少ない状態ではないでしょうか。

Ryabovol氏:
 そうですね。それは理解していますし,だからこそ参入したわけです。今のところ,トーナメントが開催されていたりするのは,例えば「Vainglory」や「Arena of Valor」のようなMOBAゲームだったりするわけですが,そうした意味でもシューティングアクション,特にWargamingが培ってきたノウハウを最大限に利用できるタンクのシューティングゲームにおいて,e-Sports向けのものが存在しなかったので,「良いニッチが残っていた」というのが我々の正直な感想ですね。

4Gamer:
 「World of Tanks Blitz」のモバイルゲームとしての良さとは?

Ryabovol氏:
 「World of Tanks Blitz」は,一般的なシューティングゲームとは異なり,よりスローなペースで戦略的にプレイしていくゲームです。ドライビング,シューティング, “タンキング”,さらには7人のプレイヤーが使用する250種以上の戦車の構成や,その特性の理解,そしてチームとしての戦略性や決断力に至るまで,短いマッチの中でミクロ/マクロレベルで様々なことが起こっています。
 それにどれだけ習熟しているかが,カジュアルなプレイヤーとTwister Cupに参加できるレベルのプレイヤーたちの差であると考えます。それでいて,「World of Tanks」よりカジュアルで,例えばPCは一家に一台しかなくても,スマホはちょっとした年齢の人であれば持っている時代で,そのハードルの低さは圧倒的ですよね。その辺りが,「World of Tanks Blitz」の良さだと思います。

4Gamer:
 Wargamingとしては,地元CIS圏のC4が連覇することに期待しているのでしょうか。

Ryabovol氏:
 いえ,C4が連覇しても,他のチームが勝ってもドラマになると期待していました。実は私が応援しているのは日本から参加している,アジア代表のEHR2なんです。彼らは大きなスポンサーもないまま,トーナメントを1つ1つ勝ち抜き,ここまでやってきました。
 東京ゲームショウで彼らのプレイを見たときからそう思っていましたが,彼らのこれまでの軌跡が,e-Sportsとしての「World of Tanks Blitz」の面白さが実証できるのではないかと思っているのです。

画像集 No.018のサムネイル画像 / ベラルーシにあるWargaming最大の開発拠点を訪問。「World of Tank Blitz」ディレクターに独占インタビュー

4Gamer:
 彼らのようなプレイヤーの活躍で,e-Sportsとしての「World of Tanks Blitz」の面白さが世に伝わるということですね。

Ryabovol氏:
 我々は短いスパンで「World of Tanks Blitz」が成長していく計画を練っています。来年には,さらに良いシーズンをより多くのゲーマーや観衆に楽しんでもらえるよう頑張っていきます。

4Gamer:
 ありがとうございました。



 結果として,EHR2はトーナメントで勝利することはできなかったものの,そのプレイやスポーツマンシップは会場を沸かせた。その活躍ぶりはRyabovol氏もアフターパーティの演説で,EHR2を応援していたことを公言したほどだ。
 今後,「World of Tanks Blitz」がe-Sportsの中で確固たる地位を確立できるかは,Ryabovol氏らWargamingのスタッフの努力と,ゲーマーたちの熱意に掛かってくるわけだが,今回のイベント取材を通じて,その心意気は十分に感じ取れた。これからの発展に期待したい。

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