そうだ アニメ，見よう：第170回はMAPPA渾身の注目作「チェンソーマン」。悪魔を身に宿した少年が暴れ回るダークヒーローアクション

　“チェンソーの悪魔”を身に宿した少年・デンジの活躍を描いた，藤本タツキ氏のマンガ「チェンソーマン」（ジャンプ・コミックス刊/既刊12巻）。本作は，「週刊少年ジャンプ」にて第1部“公安編”が連載され，現在は第2部“学園編”を「少年ジャンプ＋」にて連載中のダークヒーローアクションだ。コミックス累計部数が2000万部を突破しているメガヒット作品となる。
　というわけで，「そうだ アニメ，見よう」第170回のタイトルは，同作をアニメ化した「チェンソーマン」。制作はMAPPA，脚本を「進撃の巨人」や「劇場版 呪術廻戦０」などの瀬古浩司氏が担当。監督は「呪術廻戦」では絵コンテ・演出、「劇場版 呪術廻戦０」では原画を手掛けた中山 竜氏が務めている。

「チェンソーマン」

　デビルハンターとして暮らす少年・デンジ（CV：戸谷菊之介）は，親が遺した借金返済のため，ヤクザから受けた依頼をこなしながら，“チェンソーの悪魔”ポチタ（CV：井澤詩織）と共に，貧乏な生活を送っていた。

　ある日，デンジはヤクザに騙され，“ゾンビの悪魔”によって殺されてしまう。しかし，ポチタが心臓となったことで復活し，「チェンソーマン」へと変身する力を手に入れ，ゾンビの集団を一掃。現場に駆け付けた公安のデビルハンターであるマキマ（CV：楠木ともり）に保護され，彼女の管理下に入ることになった。


　デビルハンター東京本部に連行されたデンジは，「公安対魔特異4課」に所属することに。4課のリーダーであるマキマの命令で，先輩の早川アキ（CV：坂田将吾）と“血の魔人”パワー（CV：ファイルーズあい）との同居を始めるが，奔放で人間の常識が通じない彼女に振り回される毎日だった。

　そんな中，デンジはパワーから，かつて飼っていた猫のニャーコを悪魔から取り戻してほしいと頼まれる。その交換条件として，胸を揉んでよいという。夢が叶いそうな状況を目前に，俄然気合いが入るデンジだったが，パワーに騙されて“コウモリの悪魔”に捕まってしまい……。

恐怖映画のオマージュ

　2020年にアニメ化が発表されて以来，日本はもちろん海外からも放送開始が待ち望まれていた「チェンソーマン」。いよいよ放送がスタートし，そのクオリティの高い映像と展開の読めないストーリーにハマっている人も多いはず。

　本作の舞台となるのは，悪魔が日常に溶け込んでいる世界。主人公のデンジは，相棒の“チェンソーの悪魔”の力を取り込み「チェンソーマン」となった少年だ。その姿は，頭と両腕にチェンソーが生えたようなシンプルなもの。チェンソーといえば，林業や木工関係に携わる人でもなければ，普段の生活ではなじみが薄い工具。むしろ恐怖映画などに登場するアイテムとして認識している人も多いのではないだろうか。


　原作者の藤本氏は，やはりスプラッター映画「悪魔のいけにえ」から影響を受けたとのことで，作中にはさまざまな恐怖映画のオマージュが登場するという。例えば，第1話でデンジが戦う“トマトの悪魔”は，1978年の映画「アタック・オブ・ザ・キラー・トマト」を連想させる姿をしているといった感じだ。
　そのほかにも，さまざまな映画をモチーフにしたシーンやアイテムが，作中に登場しているので，デンジの活躍を観ながら探してみるのも面白そうだ。

公安対魔特異4課のメンバーたち

　デンジは，自分の欲望に忠実な少年だ。美味いものが食えて，美女を抱きたいというデンジを，アキは「軽い気持ちで仕事をするな」と軽蔑する。しかし，それは過酷な幼少期を過ごしたデンジの“人並みの生活”への憧れによるもの。借金返済のために眼球や内臓を売り，日々何もつけない食パンをかじる生活を送っていた，デンジならではの切なる願いが「美味いものが食べたい」なのである。
　そんな幼少期を過ごしたデンジは，やや常識に欠ける部分があるが，それは相棒のパワーにも言えること。というより輪をかけて奔放で，トイレは流さないし，風呂にも入らない。もちろんチームプレイもできないときている。同居するアキの心痛を思うと同情に堪えない。


　デンジ，パワー，アキの3人を中心に，やはり変わり者ぞろいの「公安対魔特異4課」の活躍が，本作「チェンソーマン」のメインストーリーとなる。

MAPPAのこだわりに注目

　本作を手掛けているのは，「呪術廻戦」や「進撃の巨人」など数多くのヒット作を世に送り出し，この連載でもお馴染みのアニメスタジオMAPPAだ。同社は今回，オープニング・テーマに米津玄師さんの「KICK BACK」を起用。全12話のエンディング・テーマは，EveやAimerなど12組のアーティストが担当するという，前代未聞の試みに挑戦している。毎回ストーリーに絡んだ内容になっているため，これを楽しみにしている視聴者も少なくないはず。MAPPAの本作へのこだわりがひしひしと伝わってくるようだ。

■楽曲ラインナップ
OP）米津玄師「KICK BACK」
挿入歌）マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」
01）Vaundy「CHAINSAW BLOOD」
02）ずっと真夜中でいいのに。「残機」
03）マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」
04）TOOBOE「錠剤」
05）syudou「インザバックルーム」
06）Kanaria「大脳的なランデブー」
07）ano「ちゅ、多様性。」
08）TK from 凛として時雨「first death」
09）Aimer「Deep down」
?）Eve「ファイトソング」
?）女王蜂「バイオレンス」
?）PEOPLE 1「DOGLAND」

　目を見張るほどのアクションシーンや，映画のような印象的なカットなど，毎回クライマックスのような盛り上がりが楽しめる本作。物語では「公安対魔特異4課」の宿敵ともいえる“銃の悪魔”の姿が見え隠れし始めている。アキの仇であり，かつて5分ほど姿を現しただけで100万以上の人間を殺した恐るべき悪魔だ。
　マキマは，“銃の悪魔”を倒せたら「キミの願いをなんでも一つ叶えてあげる」とデンジと約束するが，それほど強力な悪魔をデンジが倒せるのか。そして，いろいろ謎に包まれているマキマとは何者なのか，今後の見どころとなりそう。
　ともあれ，全12話とアナウンスされている本作。MAPPAのこだわりが詰まった残りのエピソードもじっくりと楽しみたい。

アニメ「チェンソーマン」公式サイト

アニメ「チェンソーマン」公式Twitter

放映データ
2022年10月〜12月まで
全12話

キャスト
デンジ：戸谷菊之介
ポチタ：井澤詩織
マキマ：楠木ともり
早川アキ：坂田将吾
パワー：ファイルーズあい
姫野：伊瀬茉莉也
東山コベニ：高橋花林
荒井ヒロカズ：八代 拓
岸辺：津田健次郎
天使の悪魔： 内田真礼
サメの魔人：花江夏樹
暴力の魔人：内田夕夜
蜘蛛の悪魔：後藤沙緒里
沢渡アカネ：大地葉
サムライソード：濱野大輝

スタッフ
原作：藤本タツキ（集英社「少年ジャンプ＋」連載）
監督：中山 竜
脚本：瀬古浩司
キャラクターデザイン：杉山和隆
アクションディレクター：吉原達矢
チーフ演出：中園真登
悪魔デザイン：押山清高
美術監督：竹田悠介
色彩設計：中野尚美
撮影監修：宮原洋平
音楽：牛尾憲輔
オープニング・テーマ：米津玄師「KICK BACK」
挿入歌：マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」
エンディング・テーマ：
ano「ちゅ、多様性。」
Eve「ファイトソング」
Aimer「Deep down」
Kanaria「大脳的なランデブー」
syudou「インザバックルーム」
女王蜂「バイオレンス」
ずっと真夜中でいいのに。「残機」
TK from 凛として時雨「first death」
TOOBOE「錠剤」
Vaundy「CHAINSAW BLOOD」
PEOPLE 1「DOGLAND」
マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」
アニメーションプロデューサー：瀬下恵介
制作：MAPPA

■Blu-ray＆DVD情報

Blu-ray＆DVD第1巻
発売日：2023.01.27
価格： \7,480（税込）／\6,800（税抜）　Blu-ray
\6,380（税込）／\5,800（税抜）　DVD

【本編】
・１話〜3話収録

【仕様】
・MAPPA特製描き下ろしスペシャルケース

【封入特典】
・特製ブックレット

【特典映像】
・ノンクレジットOP
・第1話スペシャルED
・ノンクレジットED２
・ノンクレジットED３
・ワールドプレミア舞台挨拶
・いよいよ放送直前！TVアニメ『チェンソーマン』徹底解剖 SP
・キャスト座談会
※ジャケット・商品デザイン、特典ほか商品仕様は予告なく変更になる場合があります。
※特典映像には一部再編集があります。
(C)藤本タツキ／集英社・MAPPA