プレイレポート
お馴染みのリスボンから大海原を往く。シリーズ最新作「大航海時代VI」クローズドβテストのプレイレポート
大航海時代シリーズのナンバリング最新作となるウミロクは,シリーズ伝統の「交易」「海戦」「探検」の要素を引き継ぎながらも,スマホで手軽に楽しめるようチューニングされた意欲作だ。
なぜスマホで大航海時代を提供するのか。ウミロクが目指している方向性とは。それらはプロデューサーを務める竹田智一氏へのインタビューを読んでもらうとして,ここでは実際のプレイ体験をまとめていく。
「大航海時代VI」プロデューサーインタビュー。5年ぶりのナンバリング最新作は,商館経営とリアルタイム海戦を主軸に
コーエーテクモゲームスの新作スマホゲーム「大航海時代VI」の発表に先駆けて,プロデューサーの竹田智一氏にインタビューをした。お馴染みの魅力はそのままに,かつ作品ごとに趣をガラッと変えてみせる大航海時代シリーズだが,今回は“商館経営”と“リアルタイム海戦”に重きを置いてきたようだ。
「大航海時代VI」公式サイト
目的を見失わずに進められるゲーム性
世界史における15世紀から17世紀,いわゆる“大航海時代”をモチーフとする本シリーズは,当時の世界情勢をゲーム内に落とし込んでいるのが大きな特徴だ。そこでプレイヤーは広大な海をめぐり,冒険と発見を繰り返しながら名声を高めていく。実在の地理に基づいた世界地図が用いられていることから,往年のファンであれば「手元に地図を置いてプレイした」という経験者も少なくないだろう。
また,都市ごとに設定されている交易用の「特産品」も,各地の風土にきちんと合わせられており,ウミロクでもその理念に変わりはない。
ちなみに,本当に世界地図を眺めながら遊んでいると,国や都市が具体的にイメージしやすくなる。実際のプレイでも「ここがイギリスだから,こっちがフランスか」などと実利的な操作ができるのでオススメだ。海洋ロマンに想いを馳せながら,スエズやパナマなど2つの海を結ぶ運河の重要性に気づいたりできる体験は,本シリーズならではである。
ウミロクでプレイヤーが最初に降り立つのは,ポルトガルの首都「リスボン」だ。大航海時代と言えば,ここからのスタートが伝統である。ゲーム内では,リスボンとの関連性が深いヴァスコ・ダ・ガマとの出会いもあったりするので,歴史好きには垂涎ものかもしれない。
なお,本作におけるプレイヤーは船団を率いる船長ではなく,各地にある拠点の“商館の経営者”という立場でゲームを進行していく。そのため,リスボンなどに自分なりの施設を建てていけるのだ。
ゲームの主な進行方法はメインクエストだ。これを進めていくことでストーリーも進展する。ただし,クエストで要求される課題は徐々に難しくなっていくので,スムーズにクリアしていくためには「船」や「航海士」などを並行して育成しておく必要がある。
ならば,どんな方法でドゥカート(ゲーム内通貨)を稼ぐか。どうやって航海士に経験を積ませるか。それらはすべて自由だ。シリーズを初めて遊ぶ人でも迷うことがないようにと,目指すべき目標はしっかりと設定されているし,広大な海にいきなり放り出されることもないしで配慮されているが,そのうえで“プレイヤーの采配に任される部分”は大きい。
とはいえ,基本的にはシングルプレイを重視した作品である。オンライン要素として,エンドコンテンツ相当のリアルタイムPvPなども備わっているが,まずは目測に惑わされずに遊んでほしい。自分のペースでゆっくりと世界観を楽しみながらプレイするのが最良だ。
ストーリーに関しては実際にプレイしてほしいところだが,端的に表現すると“タイムスリップもの”に近い導入部になっている。そしてストーリーを進めると「パートナー」と呼ばれる特殊なNPCと出会い,パートナーごとの個別シナリオをプレイできるようになる。
このパートナーというのがポイントで,彼ら彼女らはそれぞれ出自や年代,それに伴う活動拠点も異なる存在だ。これをうまくつなぐためのタイムスリップもの,なのだろう。それに完全なSFやファンタジーではなく,歴史に基づいた物語が主軸にあるので,そこは安心してほしい。
パートナーの切り替えは,ストーリーさえ進めれば自由に行える。切り替えは1日1回制限で,毎朝5時に反映される。就寝前の気分で物語を選んだり,ドゥカートや経験値を稼ぎやすい効率的な場所を探したりして,思い思いに切り替えていくといいだろう。
なお,拠点がリスボンからほかの場所に移っても,リスボンの施設や状況は引き継がれる。以降の拠点に関しても同様なので,リセットさせるなどの懸念は持たずに安心して利用してほしい。
ストーリーを攻略するうえで重要なのは,船と航海士だ。ウミロクでは複数の帆船で船団を組み,そこに航海士を配置していく。
航海士は冒険中に見つけられる「契約書」(ガチャチケットに相当)や,有償通貨「ジュエル」を使った購入,あるいはガチャで入手できる。航海士にはそれぞれレアリティ(コモン<レア<エピック<レジェンド)が存在し,当然高ければ高いほど能力も上がる。
ちなみにCBTで確認できた航海士は,シリーズオリジナルキャラクターと実在した人物が入り混じった構成で,往年のファンなら懐かしさを感じるであろう,歴代の主人公たちの姿も目にできた。
ガチャに頼らずとも,普通にゲームを進めているだけで結構な数の航海士を集められるようになっており,その点はよく考えられている。しかし,こういう場合はやはりというか,コモンからエピックまでの航海士が編成の中心になっていく。
高レアに目移りするのはゲームの常であるが,ウミロクでは同じキャラクターを重ねて「昇進」させ,レベル上限を開放したり,スキルを強化したりできるので,コツコツ育成さえすれば,お金を使わずとも立派な戦力になってくれるように思えた。「レジェンドがいなければクリアできない」といったものが出てくるまでは,各々のさじ加減としておこう。
重要なのは「交易」「海戦」「探検」の3点
シリーズの伝統であり,ゲームを進めるうえで欠かせないのが「交易」「海戦」「探検」への理解だ。
簡単に説明すると,航海で都市から都市へと特産品を運んでお金を稼ぐ「交易」。海賊船などを相手にリアルタイムバトルを繰り広げる「海戦」。遺跡を調査して最奥に眠るお宝を手に入れる「探検」といった具合だ。クエストにはこの3点が細かく散りばめられているので,それぞれの特徴を詳しく説明していくとしよう。
なお,航海士にはそれぞれ交易,海戦,探検をどれだけうまくこなせるかを表す,パラメータとスキルが割り振られている。序盤は流れで進めていてもそれほど問題ないが,難しいクエストのクリアを目指すときは,目的に合った航海士を選出するのが大切だ。
●「交易」
拠点や船団の整備,さらに航海士の育成など,大航海時代を生き抜くにはとにかくお金がかかる。そのための資本を確保するには,船に交易品を積み込んで,各国の都市で売り払う必要が出てくる。
交易品の基本は「物の相場」だ。一例で言えば,ある都市でワインを安く買って,ワインが貴重品とされる遠方の都市で高く売る,といった対応がベターである。加えて,ウミロクでは拠点に「農園」などを設置することで,自前の生産品を用意できるため,手ずから作ったものを売りさばくだけでもいい。生産品は時限式なのがネックだが,画面を見ていなくても確保できるところは実にスマホゲームらしくて楽だ。
なお,交易関連のクエストでは,特定の交易品を納品しなければならない。その際,倉庫に蓄えておいたもので済ませるか,対象品を取り扱っている都市で買ってくる必要に迫られる。
都市間の航行はオート移動できるので操作は面倒ではないが,やはり多少の時間はかかってしまう。なので,遠出しなければならないクエストのときは,一旦キャンセルしてしまうのも手だ。新しいクエストが出現するのを待ったり,ついでにこなせる目標と合わせたりして,やり手の経営者らしく効率的な仕事を目指そう。
●「海戦」
大航海時代の海では,海賊の存在を無視することはできない。彼らはストーリー上はもちろんのこと,交易や探検で海をわたっているときにもランダムで出現し,船団を率いて襲いかかってくる(いわゆるシンボルエンカウント)。そうなったら,海戦の開戦だ。
海戦はリアルタイムバトルとなり,プレイヤーは船団の一番艦をスワイプで操り,移動や砲撃を行っていく。帆船らしい砲撃範囲(船体の側面)を意識しながら,敵に一方的に撃たれないよう動き回ろう。さらに航海士の攻撃・回復スキルもあるので,クールタイムや使用タイミングも考慮していく。煩雑ではないが,判断力が試される操作だ。
実際にプレイした感覚だと,動かすのは一隻のみとはいえ操作性が独特で,慣れないうちは難しく感じた。ウミロクの船は,ゆっくりと円を描くように曲がる“帆船らしい挙動”になっているからだ。もちろん嫌な難しさではなく,大航海時代ならではの一味を思わせる作りである。
ただ,海戦にもオート操作が存在する。カッコいいカメラアングルを考えながら,バトルの風景を眺めるだけでも十分に楽しめるので,当面のお手本や気楽な脇見プレイなどで活用するといい。
さらにウミロクには,リアルタイムでほかのプレイヤーと対戦するPvPコンテンツ「海戦アリーナ」も搭載されており,CBTでは特定の時間帯に“2vs.2のチーム戦”を体験することができた。
こちらも実際に参加してみたが,短い時間で決着がつくカジュアルなPvPといった印象だ。ローンチ後はランキングなどもあるのだろうが,ここでもオート操作を使えたので,気楽に参戦できそうだった。
ただし,オート進行のAIは猪突猛進なので,分かっている相手には通用しなくなるのかもしれない。波を読んで操作し,仲間と連携して勝ちたいなら,手動で戦う術を頑張って学んだほうがよさそうだ。
●「探検」
未知の航海に旅立ち,新たな土地を発見するのも探検と言えるが,ここでいう「探検」はクエストで訪れる“遺跡調査”を指す。探検の依頼を受けると,大まかに向かうべき場所が指示されるので,まずはそこを目指して船を進めていこう。
目的地に到着したら,内部調査に入る。ここからはスゴロク風のミニゲームとなり,何枚か提示される「航海士の提案(カード)」の中から1枚を選び,進むマスを決定していく。マスには罠が設置されていたり,敵が潜んでいたりするが,マスの内容は一度止まらないかぎり判別できないので,最初のチャレンジでは手探りで進むほかない。
また,カードは「プレイヤーの行動力分」しか引けないので(画像左下のようなスキルカードは行動力消費なし),行動力が尽きる前に遺跡の最奥,つまりゴールマスにいるボスまでたどり着かなければならない。手軽そうに見えても一筋縄ではいかないので,探検に優れた航海士の能力をフル活用し,お宝を目指そう。
ゴールマスでは航海士とボスが戦闘する。こちらは海戦とは違い,2Dイラストのキャラクターたちがワイワイと動く姿を見せるオートバトルだ。ここでボスに負けてしまうと,探検はスタート地点からやり直しとなってしまう(道中で「拠点マス」を通っていたらそこから)。
仮にやり直しになっても,戦っていたボスの体力は回復しないので,そこは一安心してほしい。問題は,行動力がそのままなのであらためてボスのもとにたどり着くのが厳しくなることである。
なお,行動力が尽きてしまったら,ボスの体力が全回復し,はじまりの状態に戻されてしまう。ただ幸いなことに,前回の探検で明らかになった状況(止まったマスの内容など)は引き継がれるので,諦めずに再挑戦すれば,より良い結果につなげられるだろう。
カジュアルであってもシリーズの醍醐味は健在
今回はゲーム序盤をひととおり遊んでみたが,大航海時代シリーズならではの自由度を担保しつつも,各々が目的を見失わないよう,ストーリーおよびクエストでかじ取りされているので,快適なプレイフィールを備えた完成度の高いゲームに感じられた。
また,ところどころがスマホナイズされていて,遊びやすさも光る。航海中は物資を消費しながら進むが,物資が尽きても拠点に強制的に戻されるだけで,船の修理に多少の時間がかかるものの,さして大きなペナルティはないし,拠点に即戻れる機能もあってかなり便利だ。
過去作では北極圏や南極圏に近づいただけで即ゲームオーバー,なんてこともあったので,経験者は緊張感が薄れていると思うかもしれないが,実際にゲーム内でリスボンから喜望峰を目指すと,やはりそう簡単には到達できない。カジュアルであってもシリーズの醍醐味はしっかりと詰め込まれている。ウミロクにはそういう魅力があるようだ。
補足だが,本作ではストーリーを進める以外にも,黒塗りになっている世界地図を完成させる,未知のお宝をコンプリートするといった,個々人にとっての大目標となり得る要素がいくつかある。
魅力的な航海士たちをチマチマと育成していくのもRPG的で十分面白いので,大航海時代シリーズを遊んだことがない人でも,自分なりの楽しみを見つけてプレイしてみてほしい。
「大航海時代VI」公式サイト
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