このゲームの読者の評価
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個性のトゲを隠そうともしていない。握りしめるのは痛みを伴う。されど… 70 - 投稿者:professor(男性/40代)
- 投稿日:2020/01/02
- 良い点
- ◆一貫した世界観と雰囲気づくり
美しいビジュアル、フラメンコギターを駆使した静かだが盛り上がるBGM、オブジェクトのデザイン、ほぼ全てのアイテムに付記された伝承など全ての要素が世界観づくりに寄与しています。
イメージは一貫しており、場当たり的に設定された物事はありません。
考察のし甲斐があります。かなり多くの要素に「元ネタ」があるので、そちらを知る必要も…。
道中で語られる事は少ないですが、根幹のストーリーとそれを打開するプレイヤーの行動にも注目です。
◆戦闘のメリハリ
ドッジでよける、ガードする、ジャンプなどで接触せずよける、先に斬りつけて攻撃を阻止する、一部の敵には祈詞(魔法)も非常に有効…と、有効な戦法は敵ごとに存在し飽きにくい作りです。
ボスも試行錯誤で確実に対抗策が見つかっていき、戦闘での理不尽は少ないと言えます。
ガードが高性能なため、シビアなパリングが連続成功するまで…というようなプレイにもなりにくいです。
◆丁寧な翻訳
本作はテキストが膨大、かつ難しい単語と言い回し、謎めいたはっきりしない言葉遣いが続出しますが、ローカライズは見事。宗教物語として雰囲気満点です。 - 悪い点
- ◆重たい操作と悪質なトラップエリア
歩きにもジャンプ中の空中操作にも微妙に「すべり」が有ったり、一部足場の判定が分かりにくかったり、カメラ移動の範囲が狭かったりといった諸々の要素が重なった結果トラップエリアが非常にイライラする作りです。失敗即死ポイントだと再チャレンジの面倒さと合わさって非常に腹立たしい思いをするかもしれません。
特に「下を見通す事ができない」のを意図的に利用したトラップエリアは…
◆そのせいで探索が億劫
二度と通りたくないトラップエリアなのに、アビリティを得て新しく行けるようになった場所を探索するために再度通らねばならない事例がかなり多いのがストレスです。一度訪れた場所を再訪する意欲を削ぐ要素は、探索ゲームとしてかなり問題。
◆ボスの連続攻撃
一部ボスが使う連続攻撃が、(恐らくは意図的に)一発喰らうと次弾が自機の起き上がりにピタリ重なるため連続で喰らって為す術なく大ダメージになる仕様。
「そういう火力、そういう難易度」と言ってしまえばそれまでですが、「何もさせてくれない」という理不尽を感じるとボス戦が腹立たしくなるかも。
◆謎解きが凶悪
難しくしてあるといえばそれまでですが、隠し扉やギミックの解明が大変。断片的にヒントはあるのですが曖昧すぎる。
◆人を選ぶ宗教的空気
全編を通して宗教(恐らく、制作チームの出身地である南スペインで広く信じられるカトリック)の影響が強烈。それと関連して言葉遣いもカチカチに硬い。これが合わない・茶化さずに考えられない人は本作を出だしでつまづく可能性あり。 - 総評
- 最近多くリリースされているメトロイドヴァニアの中でも強烈な個性をひるむ事なく突きつけている一作です。
音・映像・テキストとそれらを合わせた世界観とストーリー。
マップの奥の奥まで要素が仕込まれた探索。
「お題」を理解して精密に操作するトラップエリア。
どの敵にも独自の個性があり、こちらの無数の手札と合わせれば必ず攻略できる戦闘。
雑・手抜きは何もなく、隅々まで魂込めて作り込まれているのは間違いありません。
しかしその全てが、あまりにもクセが強い。
何が起きているのか、何をすればいいのかさっぱり分からない。
ちょっと歩くとすぐにトゲでぐっさり、また長い道をとことこ歩いていくのはダルい。
ボスには連続被弾でやられてうんざり。
宗教臭い、説法臭い。
そう感じられても仕方ない面が多々あります。
それを踏まえて、なお「やりたい事」を突き通した姿勢はインディーゲームとして好もしい。
プレイヤー側は「メーカーが好き放題やってるゲーム」だという事を承知でやる必要があると思います。その上で、いずれかの要素に魅力を感じられれば本作は素晴らしい贈り物になるでしょう。
筆者はBGMとビジュアル、考察、ストーリー(特に真ENDの条件を知ったときには感動した)、ボスとの熱い戦いなど大いに楽しめた一方、トラップエリアの腹立たしさが許せないので評価は70点とさせていただきました。 - プレイ時間
- 20〜40時間
グラフィックス サウンド 快適さ/運営 熱中度/ストーリー ボリューム 5 5 2 5 3
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