「そうだ アニメ，見よう」第107回は3DCGアニメ「ULTRAMAN」。メタリックなスーツに身を包んだ“新生ウルトラマン”の見どころは

　懐かしの特撮ヒーロー「ウルトラマン」（1966年放送）の力を受け継いだ少年の活躍を描く，清水栄一氏×下口智裕氏による漫画「ULTRAMAN」（ヒーローズコミックス刊/既刊15巻）。「月刊ヒーローズ」創刊時から連載されている本作は，ハードな世界観と斬新な切り口が話題を呼び，コミックス累計発行部数が300万部を超えるヒット作となっている。
　というわけで「そうだ アニメ，見よう」第107回のタイトルは，同作を3DCGアニメーション化した「ULTRAMAN」。アニメーション制作はProduction I.GとSOLA DIGITAL ARTSが担当し，監督はこの連載でも紹介した「攻殻機動隊 SAC_2045」（関連記事）の神山健治氏と荒牧伸志氏が務めている。

「ULTRAMAN」

　光の巨人「ウルトラマン」が地球を去ってから時が流れた世界。同化していた地球人の早田 進（CV：田中秀幸）は，それまでの記憶を失うことで自らの在るべき場所へと戻っていった。ウルトラマンの存在は過去のモノとなり，「科学特捜隊日本支部」もその役割を終えて，「光の巨人記念館」へとその姿を変えていた。
　進の息子である早田進次郎（CV：木村良平）は，多感な思春期を過ごす高校生。進次郎は，自分が驚異的な跳躍力や頑丈な肉体といった，人間離れした“普通”ではない力を持っていることを自覚していた。

　そんなある日，進次郎は謎の存在・ベムラー（CV：曽世海司）の襲撃を受け，そこで秘匿組織として健在する科学特捜隊の井手（CV：魚 建）から自分がウルトラマンの因子を持つことを知らされる。
「単刀直入に言おう――キミにウルトラマンになってもらいたい」


　父親がウルトラマンだったという事実に戸惑いながらも，進次郎は井手が開発した“ULTRAMAN SUIT”を着用し，ベムラーを辛くも撃退するのだった。
　そして，ウルトラマン無き地球に暗躍する宇宙人達の存在を知らされた進次郎は，新たなウルトラマンとしての活動を開始した。

等身大サイズに生まれ変わったウルトラマン。新たなヒーローの誕生だ

　初代「ウルトラマン」のその後の世界が舞台という，一部のファン（筆者含む）にとって胸躍る設定でスタートするのが，本作「ULTRAMAN」だ。ところが，登場するのは巨大な宇宙人ではなく，メタリックボディの強化スーツに身を包んだ高校生。その昔，怪獣図鑑を片手にブラウン管の前で，中腰に構える巨大ヒーローを応援したファンとしては，いささか違和感を覚える設定だ。

　しかし，そのマッシブなスーツのファイティングポーズや，手を空に突き上げる変身ポーズから，かつての特撮ヒーローのスピリッツが脈々と受け継がれているのを感じ，「いやだ，カッコイイ」と思わずときめいた。なかでも，決め技“スペシウム光線”を放つ際に，手首のコネクタを接続し，往年のポーズを再現しているところが心憎い。

懐かしさあふれる“スペシウム光線”のポーズ

　等身大でなおかつメタリックなスーツ着用という，現代風にアレンジされながらも，ウルトラマンはやはり，少年（大人も）の心を引き付けてやまない“ヒーロー”なのだ。

お馴染みのカラータイマーだが，本作でリミッター解除状態の合図となる

ウルトラマンの力に翻弄される主人公

　超人的な力に振り回され，苦悩する主人公・進次郎の成長を軸に物語は展開し，ウルトラマンを失った地球に降りかかる，さまざまな危機が描かれる。人間を襲う凶悪な異星人の脅威はもちろん，アイドルをネットで誹謗中傷した人物を襲う異星人など，現代風な事件もテーマになっている。

狙われたアイドル・佐山レナ（CV：諸星すみれ）

　じつは，地球にはウルトラマンが去った後にも多数の異星人が移り住み，一般人の知らないコミュニティが形成されているという。科学特捜隊はそれを人知れず処理してきたが，進次郎の登場に呼応するように，それらが表舞台に現れ始める。
　さらに，「星団評議会」と呼ばれる異星人の組織が事件の裏で暗躍し，地球はなにやらきな臭い状況に追い込まれている模様。今後彼らが物語のキーとなりそうだ。

科学特捜隊に協力するゼットン星人のエド（CV：牛山 茂）

SEVENとACEが進次郎の前に登場

　本作には，進次郎のほかに2人のウルトラマンが登場する。1人は進次郎にとって科学特捜隊の先輩である諸星 弾（CV：江口拓也）で，ULTRAMAN SUIT Ver.7（通称SEVEN）を装着。諸星は，甘さの抜けない進次郎に対して，彼を叱責する役どころで，さながら鬼教官といったところ。ときおり助言めいた言葉も口にするなど，その真意を測りかねる。


　もう1人は，ACE SUITを装着する北斗星司（CV：潘めぐみ）で，進次郎の学校の後輩として現われるが，こちらもなにやら隠している雰囲気。科学特捜隊でもない星司が，なぜスーツを着ているのかは，今後明らかにされるだろう。


　3DCGで制作されている本作だが，その動きのすべてが、モーションアクターおよびアクションアクターの演技をモーションキャプチャしたものだ。通常アクションシーンのみ使われるところを，本作では普段の会話シーンでも，それぞれ俳優としても活躍するモーションアクターが実際に演じているのだとか。これは「手書きアニメの代用でない，3DCGを使った新しいアニメにしたい」という荒牧氏の意向を反映した演出とのこと。実写ドラマのような細やかな動きは，こうした監督のこだわりによって生まれているようだ。



　本作は現在，TOKYO MXおよびBS11にてテレビ放送中だ。こちらにはNETFLIXの配信時にはなかったOPやEDが追加されている。NETFLIXで一度視聴した人も，非常に印象的な音楽と映像なので，チェックしてみてはいかがだろう。
　第9話まで放送され，物語にはいよいよ星司が登場。進次郎を取り巻く環境も変化し，クライマックスまで目が放せない展開となりそうだ。なお，Season2の製作が決定しており，最終話（第13話）以降も「ULTRAMAN」の物語は続いていく。進次郎が真の“ウルトラマン”として成長できるのか，今後を見守りたい。
　
　また，本作をモチーフにしたスマホアプリ「ULTRAMAN:BE ULTRA」（iOS / Android）では，SEVENやACEのほかにも多数のULTRAMAN SUITが登場している。アニメ版とは異なるストーリーも楽しめるので，そちらも合わせてチェックしておこう。

TVアニメ「ULTRAMAN」公式サイト

TVアニメ「ULTRAMAN」公式Twitter

放映データ
2020年4月〜7月まで
全13話

キャスト
早田進次郎：木村良平
諸星 弾：江口拓也
北斗星司：潘めぐみ
早田 進：田中秀幸
佐山レナ：諸星すみれ
井手光弘：魚 建
エド：牛山 茂
ジャック：竹内良太
遠藤庸介：花輪英司
倉田：関戸博一
白石：白石 稔
アダド：津田健次郎
ベムラー：曽世海司

スタッフ
原作：円谷プロダクション、清水栄一×下口智裕（「月刊ヒーローズ」連載）
監督：神山健治×荒牧伸志
音楽：戸田信子×陣内一真
アニメーション制作：Production I.G×SOLA DIGITAL ARTS
OP主題歌　OLDCODEX「Core Fade」
ED主題歌　Void_Chords feat. Ryohei & Foggy-D「my ID」

■Blu-ray情報

Blu-ray BOX(特装限定版)
Blu-ray BOX Limited Edition(初回限定生産)
【プレミアムバンダイ、A-on STORE限定】
2020年8月27日(木) 発売!!
発売・販売元：バンダイナムコアーツ


＜特装限定版＞
品番：BCXA-1548／価格：30,000円（税抜）
・収録分数：440分予定（本編ディスク約290分＋特典ディスク約150分）
・スペック〔本編ディスク〕： カラー／DTS-HD Master Audio(5.1ch) ・ﾘﾆｱPCM(ｽﾃﾚｵ)／AVC／BD50G×3枚／16:9<1080p High Definition>／日本語字幕付（ON・OFF可能）

〔特典ディスク〕：
DTS-HD Master Audio(5.1ch)・一部ﾘﾆｱPCM(ｽﾃﾚｵ)／AVC／BD50G×1枚、BD25G×1枚／16:9<1080p High Definition>・一部16:9 1080i High Definition
・収録内容：本編全13話＋映像特典
・映像特典：
■『ULTRAMAN』Season1 総集編、
■『ULTRAMAN』メイキングドキュメンタリー「これぞ我らのウルトラマン」
■ノンクレジットオープニング（地上波放送版）
■ノンクレジットエンディング（地上波放送版）
■プロモーション映像アーカイブス
・封入特典：
■作品解説書「ORIGINAL BOOKLET A TYPE」（84P）
■Blu-ray BOX限定コミック（44P）
・他、仕様：
■清水栄一×下口智裕描き下ろしイラスト使用くるみBOX
■特殊ジャケット仕様


＜Limited Edition(初回限定生産)＞
品番：BCXM-1549／価格：32,000円（税抜）
・Limited Edition限定特典：
■3DCGメイキング解説書「ORIGINAL BOOKLET B TYPE」（84P）
※その他商品仕様・特典は特装限定版と同様です。

【作品解説書に加え、原作者描き下ろしBOX＆限定コミック本が付属】
封入特典として、神山健治×荒牧伸志両監督による全エピソード解説や、3DCG素材をはじめとする膨大な資料を掲載した84P作品解説書を収録。さらに、ここでしか読むことの出来ない原作・清水栄一×下口智裕による描き下ろしエピソード「rendezvous」を収録した、原作単行本と同仕様のBlu-ray BOX限定コミックが封入されます。


また、くるみBOXデザインは、アニメオリジナル演出である「ウルトラマンスーツ装着シークエンス」に感銘を受けたという原作・清水栄一×下口智裕による描き下ろしイラストが施され、まさに『ULTRAMAN』の到達点と呼ぶに相応しい豪華仕様となります。

【さらに、コアユーザー必見の「Limited Edition」予約受付開始】
プレミアムバンダイおよびA-on STOREにて、完全受注限定版「Blu-ray BOX Limited Edition」の取扱いが決定。アニメ『ULTRAMAN』のハイクオリティな3DCG映像はどのように制作されたのか？SOLA DIGITAL ARTSスタジオ徹底協力によりその極意を収めた完全保存版メイキング読本が、「Limited Edition」限定特典として収録されます。



(C)円谷プロ (C)Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi (C)ULTRAMAN製作委員会