［プレイレポ］ 「トルトゥーガ パイレーツ テイル」で大航海時代の海賊になろう。大切なのは乗組員のご機嫌取り？

　2023年2月23日，カリプソメディアジャパンは，PS5/PS4版「トルトゥーガ パイレーツ テイル」を発売する（PC/Xbox Series X|S/Xbox One版は1月20日に発売）。本作は，大航海時代の海賊となり，カリブ海の覇者を目指すシミュレーションゲームだ。


　開発は「ポート ロイヤル」シリーズでお馴染みのGaming Minds Studiosが手掛けている。どちらも大航海時代をテーマとしているのは同じだが，「ポート ロイヤル4」が4つの職業から選ぶ交易シムだったのに対し、本作は海賊の船長にフォーカスしたゲーム性が特徴だ。両作品の舞台となる大航海時代は，敵国の船を襲う私掠船が合法だった。1人の船長が交易から海賊行為までを手広くやっていた時代だったのだ。

　「ポート ロイヤル4」でも海賊行為は可能だが，略奪だけで生計を立てるのは難しかった。その後，海賊行為がメインとなる「バッカニアモード」を追加するDLCも発売されたが，本作「トルトゥーガ パイレーツ テイル」は海賊行為にフォーカスしたものとなっている。本稿でレポートしていこう。

海賊団のリーダーとなり，カリブ海の覇者を目指せ！

　プレイヤーは海賊団のリーダーだが，ゲーム開始時点ではまだまだ駆け出し。船は1隻しかないし，アジトも持たない根無し草のような状態だ。カリブ海にはたくさんの商船や軍艦が行き来しているが，格上の相手にケンカを売ったのでは返り討ちにされてしまう。
　まずは海をうろつきながら，襲うのに手ごろな商船を探そう。商船を見つけたら即座に略奪……といきたいが，その前に周囲を確認し，武装した軍艦がいないことを確認しよう。普段，プレイヤーの船は民間船を装っているため，軍船に襲われることはない。しかし，ほかの船を襲う際には「黒旗（海賊旗）」を掲げる必要があるため，これを目撃した軍艦が襲いかかってくるのだ。しかも，黒旗は一度掲げてしまうとしばらくは下げられないため，慎重に旗を掲げる必要があるのだ。


　戦闘へ突入すると，ヘックスで表現されたバトルアリーナが出現する。戦闘はターン制で，敵艦をすべて沈めるか拿捕すれば勝ちとなる。基本的には移動と攻撃を繰り返していくのだが，海戦らしい要素が盛り込まれている。
　特徴的なのが，船の移動に影響する要素だ。ヘックスの中には風が吹いているところがあり，順風なら移動力が増し，逆風なら反対に移動力が落ちる。また，前のターンで多く移動している（スピードを出している）と，次のターンでは勢いがついているため最低でも数ヘックス移動しなければならない。岸や味方の船の近くで移動を終えると，衝突してダメージを受けてしまうことがあるため，風や船の挙動を計算しながら移動する必要があるのだ。

ドクロマークの位置で移動を終えると「衝突」が発生。ダメージを受けたり，動けなくなったりする。また，右上の風マークが付いたヘックスでは強風が吹いており，移動に影響を及ぼす

　また，海賊船の大砲は向きを変えられないという点も押さえておきたい。大砲は基本的に船の側面に積まれているため，砲撃したければ相手に側面を向ける必要があるのだ。大砲の種類ごとに攻撃可能範囲や最も火力が出る距離は異なるし，船長が後述する「アビリティ」を覚えている場合，特定の射程に相手を捉えたいという場合も出てくる。

　船の装甲も気にしておきたい。敵味方の船は「前方」「右舷」「左舷」「後方」の4か所に装甲があり，それぞれが独立した耐久力を持っている。沈めるにしても，拿捕するにしてもまずは装甲を破壊することが重要で，装甲を破壊すれば船体に大きなダメージを与えられるし，「グレープショット（対人用散弾）」を浴びせて船員を減らすことができる。

　つまり，敵を攻撃するなら同じ方向へ攻撃を集中させて素早く装甲を破壊すること，大砲を撃つ時は，より多く装甲が残っている側を敵に向けることを心がけよう。風やスピードと大砲の射程，敵味方の装甲を考慮に入れつつ，効率よい操船をしなければならないわけだ。

うまく操船すれば，両側の敵に砲撃ができる

敵艦は右舷の装甲が全壊している。射程内に味方がいるが，チャンスを逃さず追撃したいので，巻き添えにしつつ大砲をぶっ放す

　船にダメージを与えていくと，火災が起こって船体の耐久力が減少したり，乗組員が減って大砲の装填に時間がかかったりといった状態異常が発生し，限界を越えると沈没する。
　すべての敵船を沈めれば大勝利……となるのだが，実はこの状態，そうめでたいわけでもない。というのも，船を沈めてしまうと手に入る戦利品がかなり少なくなるからだ。船の修理や船員の雇用など，カネはとにかく必要なので，海戦を仕掛けた挙句に儲からないというのは死活問題なのである。儲けるためには敵船を拿捕することが必要。サーベル片手に敵船へ「移乗」し，白兵戦を仕掛けて船をぶんどるのだ。

敵船に「移乗」すれば，拿捕することができる

　移乗の成功率は敵船の速度が遅いほど高まる。まずは「鎖弾」で帆を壊して移動力を下げ……とじっくり取り組みたいが，その間にも敵は躊躇なく攻撃してくるため，ある程度のところで見切りを付けるのも重要だ。

　移乗に成功すれば，次は敵船での白兵戦「移乗イベント」に移行する。ゲームブックのような選択肢を選んで攻撃を成功させ，「戦力」ゲージを一定より下げれば，敵船を自分のものにできる。逆に，こちらの戦力を削りきられると船は乗っ取られてしまい，行動不能となる。戦闘に勝つと船は返ってくるが，こうした事態はなんとか避けたいところだ。そのためには選択肢をしっかりと選びたい。

　選択肢には「乗組員の数は多く減るが，士気の減少も少なく，攻撃成功率も高いもの」「乗組員の損耗は少ないが，士気の減少は多く，攻撃成功率はそこそこなもの」の2系列が存在する。時には死者が多く出ることを承知で突撃命令を下さなければならないこともあり，リーダーの悲哀が表現されている。
　敵の戦力を削りきり，移乗イベントに成功すれば敵船が手に入る。良い船なら自分で使ってもいいし，港で売ってカネにしてもいい。積み荷も丸々もらえるし，手ごわい海賊の船を奪えば一気に戦力がアップできていいことづくめだ。

「移乗イベント」ではユーモラスな情景も。敵を買収しようと試みたり，罵りあったりする

カネと約束で乗組員の機嫌を取り，リーダーの座にしがみつけ

　洋上生活を続けていくうえでは，乗組員たちの士気も非常に重要だ。航海を続ける中で，乗組員たちの士気は少しずつ減少していき，下がりすぎると海賊団を追放されてしまい，一からやり直しとなってしまう。
　これを防ぐために必要なのが，酒場で行える「戦利品の分配」だ。分配の比率はリーダーであるプレイヤー自身が決められる。乗組員たちにたくさんカネを渡すほど支持率（士気）が上がるが，それでは手元に残るカネが少なくなってしまう。前述の通り，船の修理や武装の強化，船員の雇用や物資の購入など，設備投資にはカネが必要なため，あまり景気よくばらまくわけにもいかない。
　しかし，相手は大航海時代の海賊たち。「今は俺の懐にあるが，回り回ってお前たちのためになるんだ」などと説いたところでどこ吹く風，分け前を渋ると士気が下がり，追放の可能性も出てくる。手元に運転資金を残しつつ，士気も確保できるラインを探っていかなければならない。

乗組員の士気が下がったら，港の酒場で戦利品を分配しよう

私財を投げ打てば士気を100％にすることも夢ではない。しかし，海賊団としての運転資金に困ることになるし，あげすぎると調子に乗ってどんどん報酬を要求してくるようになる。バランスが大切だ

　戦利品を分配しても士気が足りないなら，「約束」をするという手もある。これは公約のようなもので，「海戦に×回勝つ」「戦利品を一定値以上手に入れる」「特定国の船を×隻以上襲う」「船員を×人以上雇う」といった約束を行い，次の航海で達成すると士気がアップする。プレイのお題としても機能しており，普段とは違った立ち回りを意識させられる。
　酒場にはそのほかにも「船長」たちがたむろしており，特定条件を満たすと部下にできる。船長には船を任せることができ，そうなれば戦闘もかなり楽になる。部下にするための条件も，特定国の船を襲ったり，爵位が必要だったりとさまざまで，プレイの目標となってくれることだろう。

約束はさまざまな種類があり，達成すると士気がアップする。逆に，条件を満たせないと士気は下がる

　そして，酒場の最も重要な機能が船長のレベルアップ。航海中にいくら経験値を得ても，酒場で戦利品分配をしないとレベルが上がらない。レベルが上がれば，さまざまなアビリティを習得可能だ。
　大砲が必ず命中する「ラッキーショット」，敵が良い船に乗っていたら移動力と移乗成功率が上昇する「移乗乱闘」，遠くの敵には移動回数が増える「波乗り名人」など，どのアビリティも海戦を優位にしてくれるため，レベルアップは忘れずにやろう。

　乗組員を増やし，良い船を拿捕し，レベルアップして戦力が充実すれば，敵船を襲う前に脅して積み荷を差し出させることもできる。その後は，ライバルの海賊たちが住む「隠れ家」を攻め落とそう。倒せば，隠れ家をファストトラベルの地点にできるうえ，資材とカネを使って拡張が可能だ。修理ドックを作れば無料で修繕でき，酒場を開けば上陸の際に士気ボーナスがつくなどさまざまな効果が得られるため，積極的に活用していこう。

「火船」のアビリティは，可燃物を満載した小舟をぶつけて炎上ダメージを与える

「移乗乱闘」は移乗成功率と移動力をアップ。敵船の帆にダメージも与えておいたので，成功率100％が出た

海賊を倒して手に入る隠れ家は手に入ればいいことづくめ。戦力が整ったら積極的に奪っていきたい

　プレイした感想としては，交易シミュレーションであった「ポート ロイヤル4」に対し，「トルトゥーガ パイレーツ テイル」は海賊としての成り上がりを目指していくRPG的な要素が強いという印象だった。無法の海賊でありながらも，士気や資金に頭を悩ませ，裏の仕事をこなしつつも領主から仕事を請けて地位を上げていくなど，大航海時代の混沌とした部分が表現されている。大航海時代にロマンを感じる人なら海賊稼業を楽しく遊べるタイトルだ。

「トルトゥーガ パイレーツ テイル」公式サイト

「トルトゥーガ パイレーツ テイル」Epic Games Store

「トルトゥーガ パイレーツ テイル」PlayStation Store