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[COMPUTEX]GPU第三勢力の今〜XGIは多視点立体視レンダリングに対応,S3はデュアルGPUで8画面出力対応
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印刷2010/06/07 00:00

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[COMPUTEX]GPU第三勢力の今〜XGIは多視点立体視レンダリングに対応,S3はデュアルGPUで8画面出力対応

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 PC用グラフィックス市場で最も大きなシェアを持つのがIntelであることは間違いない一方,単体GPU,こと高性能なGPUということになると,AMD&NVIDIAの寡占状態になっているというのは,4Gamer読者には釈迦に説法だろう。
 しかし,5年ほど前までは,AMD(※当時はATI Technologies)とNVIDIAに対して,果敢に食らいつこうとする勢力があった。
 筆者は,これを「GPU第三勢力」勝手に呼んだりしていたのだが,COMPUTEX TAIPEI 2010の会場で,第三勢力がユニークな活動を行っていたので,その内容を紹介しようと思う。


XGI,新作GPU「Volari 2」を発表!?


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 XGIは一時期,「Vorali」(ヴォラーリ)というGPUで注目を集めたベンダーだ。同社は,SiS(Silicon Integrated Systems)で「Xabre」(セイバー)GPUなどを開発していたグラフィックス事業部がスピンアウトして設立された企業で,DirectX 9世代には,Shader Model 3.0対応の「Volari 8000」を投入したものの,その後はなりを潜めてしまっていた。

 そんな同社が,COMPUTEX TAIPEI 2010の立体視関連展示セクションでひっそりと展示を行っていたのを発見,直撃した次第だ。

 さて,XGIブースの目玉はズバリ「Volari I2」。その名称から,Volariの最新モデルか? と思ってしまうのだが,実はこれ,“3D”GPUでありながら,シェーダユニットをもたない製品なのであった。そう,3D立体視用のGPUなのだ。

Volari I2のブロックダイアグラム
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 順序立てて説明しよう。
 一般的に知られている,3D立体視映像とは,左右の目,それぞれに向けた2枚のフレームから構成される。これはある意味,一人称視点の立体視映像だ。
 そして,もう一つの立体視映像に,多視点立体視映像(n-View 3D Stereo)というものがある。

Volari I2の処理工程フロー
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 これは,「左から見たら,そのオブジェクトの左側面の立体視映像が得られ,右から見たらそのオブジェクトの右側面の立体視映像が得られる」というもの。こうした立体視映像は,裸眼立体視ディスプレイで表示するのが一般的となっている。
 例えば4視点立体視映像の場合,ディスプレイに対して,4か所の視点から見た「左右の目に向けた映像」,つまり,4点×左右=8枚の映像を用意する必要があり,データ量が膨大になってしまう(※隣接視点同士の映像を共有化することで,5枚の映像で済ませるソリューションも存在するが,いずれにせよデータ量は膨大になる)。

2D映像(上・画面左)とデプスマップ(上・画面右)をペアでVolari I2に入力してやると,多視点立体視映像が得られるという仕組み(下)。デプスマップは黒になればなるほど奥側,白になればなるほど手前側であることを示す
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 そこで,多視点用の立体視映像生成に当たって,画質とデータ量のトレードオフを与える手法が考案された。それは「2Dフレーム映像と,その2D映像の奥行き情報をペアにして取り扱う」という手法である。
 ボールを例に考えてみると,2D映像としての円と,球状を表すデプスマップ(深度マップ,Zバッファの内容のこと)で表現するということだ。もちろん,このソリューションでは,前後関係の遮蔽を飛び越えるような角度からの視線には対応できない。しかし,少なくともデータ量を大幅に削減して,多視点立体視映像は作り出せるようにはなる。

 Volari I2は,この手法を用いて,「2D映像と対応するデプスマップを与えてやると,自動的に多視点の立体視映像をレンダリングするプロセッサ」なのだ。
 対応視点数は2視点から12視点まで。入力された映像が多視点映像に変換されて出力されるまでのレイテンシは視点数にもよるが,数秒のオーダーだという。
 入力映像は解像度1920×1080〜2048×1536ドットのフレームレート60fpsに対応。出力映像(=多視点立体視映像)は同1920×1080ドット・60fpsまでとなる。

 ブースで行われていたのは,1920×1080ドットの液晶パネルに,8視点の立体視映像を表示するデモ。立体視対応テレビへの応用というよりは,デジタルサイネージ(=デジタル看板)用途がメインになるだろうとのことだ。なお,出荷時期は未定だとのこと。

レンチキュラーレンズタイプの裸眼立体視ディスプレイによる8視点立体視映像のデモ。静止画なのに,角度を変えてみると,立体視映像の見え方が変わるのは面白い
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S3 Graphics,デュアルChrome 5400E搭載カードを披露


 GPU第三勢力として,まだチャレンジングスピリットの火を灯し続けており,DirectX 10.1世代,Shader Model 4.1対応GPUまでリリースしてきたS3 Graphics。COMPUTEX TAIPEI 2010では,同社が誇るChromeアーキテクチャの最新モデル「Chrome 5400E」2基搭載のグラフィックスカード「Chrome 5400E x2」を,VIA Technologiesのブースで実動デモとともに展示していた。
 ちなみにVIA Technologiesは,S3 Graphicsの親会社である。

Chrome 5400E x2。2基のChrome 5400Eは,PLX Technology製ブリッジチップを介して接続される。PCI Expressインタフェースは8レーン仕様という
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 Chrome 5400EについてはS3 Graphicsの公式Webサイトにスペックシートが公開されているので,詳細はそちらを参照してほしいが,基本的には,省電力志向のDirectX 10.1(Shader Model 4.1)対応GPUとなる。

 Chrome 5400E x2が特徴的なのは,1カードで8画面の同時出力に対応するところ。デモは4画面で行われていたが,展示機の外部出力インタフェースとしては実際,Mini DisplayPort端子が8個用意されていた。

8個のMini Displayport端子を搭載する
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 この製品はデジタルサイネージ向けの組み込み用途をメインに据えた製品で,どちらかといえばフレームバッファ&ビデオデコーダとして利用するためのものになるようだ。
 単体のChrome 5400Eは,1920×1080ドット(1080p)で,H.264やVC-1,WMV-HDといった高解像度ビデオストリームを2本同時デコード&再生できる能力がある。そのため,GPUを2基搭載したこのカードでは,合計4本のビデオ再生を同時に行えるとのこと。ブースの担当者いわく「最大8画面について,任意の位置に4本のビデオストリームを再生表示できる」。その省電力性能も相まって組み込み向けには最適なのだという。

 8画面のレイアウトは自由で,ディスプレイを横に8台,縦に8台並べるような構成はもちろん,8画面に一つのデスクトップを表示するスパン(拡張)モードもサポートされる。また,任意の画面を回転表示させたり,クローンモードで表示させたりもできるとのこと。各画面の同期用にGenlockもサポートされる。
 価格とリリース時期については未定。また,位置づけが組み込み用ということもあり,一般ユーザーに向けた提供が行われるかどうかも未定という。

画面のレイアウトは自由自在
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ビデオストリームを4画面にスパン表示しているデモ
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複数のビデオストリームと複数のスライドショウを同時実行するデモ

 担当者は「3Dグラフィックス性能は訴求しない。2D性能とビデオ性能のほうを訴求する」と断言していたので,3Dグラフィックス性能は期待できないようだ。ただ,AMDのマルチグラフィックス技術「ATI Eyefinity」に触発された昨今の多画面ブームもあったりはするので,安価な多画面対応グラフィックスカードとして登場すれば,それなりにニーズはあると思うのだが。
  • 関連タイトル:

    Volari

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    Chrome

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