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アジア競技大会の日本代表Tredsred選手にインタビュー。大会での出来事やプロとしての生活について聞いてみた
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印刷2018/12/22 00:00

インタビュー

アジア競技大会の日本代表Tredsred選手にインタビュー。大会での出来事やプロとしての生活について聞いてみた

 2018年8月18日,インドネシアのジャカルタにてアジア競技大会が開幕し,eスポーツがデモンストレーション競技として採用された。その中の1つハースストーン部門では,4Gamer所属プロのTredsred選手が日本代表として参加している。

 そのTredsred選手に,アジア競技大会での出来事や,「ハースストーン」PC / iOS / Android)のプロとしての生活について聞いてみたので,その内容を紹介したい。

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eスポーツ選手でもドーピングの研修を受ける


4Gamer:
 アジア競技大会,お疲れ様でした。今回,日本代表に選ばれるまでにはどういった経緯があったのでしょうか

画像集 No.001のサムネイル画像 / アジア競技大会の日本代表Tredsred選手にインタビュー。大会での出来事やプロとしての生活について聞いてみた
Tredsred選手:
 ハースストーンの場合は,日本,中国,韓国,台湾などの数か国によるアジア予選がありました。僕はそこを2位で抜けられたので,東アジア代表という形でジャカルタのアジア競技大会本選に進出したという流れです。

4Gamer:
 日本代表に選ばれた後で,何か大きな変化はありましたか。

Tredsred選手:
 JeSU(日本eスポーツ連合)の方々と関わる機会が増えましたね。オフィスに訪問して,インドネシアの本戦に向けての打ち合わせをしたり。あとは,日本記者クラブというところで記者会見を行いました。日本の主要メディアのほとんどが来ていたくらい豪華なものだったので,貴重な経験ができたと思っています。

4Gamer:
 新聞に名前が載っていて驚きました(笑)。

Tredsred選手:
 そうですよね(笑)。 友達に「新聞に名前が載ってたよ」と言われたりもしましたし,ハースストーンを知らない人達にも反響が届いたのかなと思っています。普段,ハースストーンの大会をやっていても,コミュニティ内でしか知られることはなかったので。

4Gamer:
 ご両親はこのことをいつごろ知ったのでしょうか。

Tredsred選手:
 予選大会はオンラインで行われていたので家から参加しました。その時点で,ある程度の流れは知っていましたね。ただ,新聞に載ったことで,今まで以上に応援してもらえました。

4Gamer:
 JeSUとはどのようなやり取りがありましたか。

Tredsred選手:
 JeSUのオフィスには2回ほど行ったんですけど,最初は顔合わせがメインでした。浜村さんをはじめ,主要メンバーの方々とその時に挨拶したり,写真撮影をしたりしました。あとは,ドーピング研修というものを受けましたね。

4Gamer:
 え,ドーピング研修ですか?

Tredsred選手:
 JOC(日本オリンピック委員会)の本部だったかな? その施設の中に,日本アンチ・ドーピング機構というものがあって,そこで研修を受けました。ドーピングはいけないっていうビデオを観て,そこで「eスポーツは今回初参加だから,ドーピング騒ぎがあるとeスポーツ全体の信頼を失う大問題になる。そこはとくに気をつけてください」と強く言われましたね。

4Gamer:
 もし,そうなったらスキャンダルですからね。

Tredsred選手:
 持病などで薬が必要なときは,ドーピング専門のスポーツドクター的な資格を持っている専門医に相談して出してもらうようにも言われました。あと,食品や漢方薬などはドーピングの対象になる成分が入っている可能性があるので,口にする場合はすべて自己責任だと言われました。そういった食品には表示義務がないらしくて。

4Gamer:
 なるほど。とはいえ,表示がないと難しいですよね。

Tredsred選手:
 ちょっとだけ隠し味として入れてるものは,成分として表示していないことがあるみたいです。なので,なるべく食事は選手村で提供されるものだけにしてほしいと。

4Gamer:
 軽い気持ちで何かを口にしたら,それが原因でドーピングに引っかかってしまうかもしれないわけですね。

Tredsred選手:
 リスクはできるだけ少なくしましょう,という圧をかけられた感じです(笑)。 向こうとしては責任の取りようがないから,できるだけ避けて,というスタンスだったんだと思います。

4Gamer:
 そうなると,現地の普通の食事は全然食べていない?

Tredsred選手:
 買い食いもやめてくださいと言われていましたし,基本は選手村の食事だけでした。日本から持ち込んだものもダメだと言われました。ただ,韓国の選手とかは自分で持ってきたカップ麺とか食べていて,AESFというJeSUのアジア版みたいなところのスタッフの人が,「韓国の選手は全然言うことを聞いてくれない」という話をしていました。

4Gamer:
 韓国の選手はドーピングに引っかかることを恐れていないんですかね。

Tredsred選手:
 韓国はeスポーツの組織がかなりしっかりしているので,おそらくチームドクターが判断しているんだと思います。「あそこは全部自分達でやっているけど,君達は食べないでね」と,そのAESFのスタッフに言われました。

4Gamer:
 ドーピングに関しては,eスポーツでも厳しいんですね。

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選手村では,ほかのスポーツの選手と一緒


4Gamer:
 ドーピング以外には何か言われましたか。

Tredsred選手:
 アジア競技大会に関する「SNSや報道規制」の資料を渡されました。基本的に「選手がジャーナリストになってはいけない」ということがとにかく徹底されていて,僕が直接レポートするようなことはできませんでした。なので,今回もインタビューを受けるという形でやってもらっています。

 Twitterとかで「頑張ります!」みたいな意気込みや感想を述べるぶんには問題ないのですが,三人称で「当日会場では○時から△△選手が試合します」的なことを伝えることはダメだという話でした。

4Gamer:
 現地で撮った写真の提供ができないというのも,その規制に入るからなんですね。ここで掲載できないのはとても残念です。

画像集 No.002のサムネイル画像 / アジア競技大会の日本代表Tredsred選手にインタビュー。大会での出来事やプロとしての生活について聞いてみた
Tredsred選手:
 今までのeスポーツ大会ではそういうのはなかっただけに,規制がしっかりした大会だという印象を受けました。

4Gamer:
 格式のある大会だったと。ちなみに,それはほかの国の選手も同じだったのですか。

Tredsred選手:
 そうだと思います。僕が渡された資料は日本語が不自然なものでしたが,それとは別に英語の資料があって,基本はそちらが配られていたので。

4Gamer:
 少し話が変わりますが,現地へ向かう時の旅費はどこから出たのでしょうか。

Tredsred選手:
 JeSUが全額負担してくれました。予約とかの手配もしてくれて,そこそこ良い飛行機で行くことができたので,JeSUには感謝しています。
 また,先程も少し話題に上げましたが,アジア競技大会の選手村に入れることになったので,そこの「日本選手棟」というアパートみたいな空間に泊まることもできました。3人部屋だったので,僕とJeSUのスタッフ2人で1部屋を使っていましたね。

4Gamer:
 1人部屋ではなかったんですね。

Tredsred選手:
 日本のeスポーツ選手団には2部屋与えられて,1つはWinning Elevenの代表選手が,もう1つを僕らが使っていましたね。

4Gamer:
 選手村の雰囲気はどんな感じでしたか。

Tredsred選手:
 全体的にアパートみたいな感じなんですけど,中央にステージがあって,そこでダンスのパフォーマンスなどの催しが行われていました。卓球やビリヤードで遊べるスペースもありましたね。それとは別に食堂があって,バイキング形式で各国の料理が用意されていました。給食とか学食みたいな,そういうレベルの食事が無料で食べられました。もちろん,選手村で提供されるものなので,ドーピングのことを気にしなくて大丈夫でしたね。

4Gamer:
 体を動かす競技の選手も一緒の選手村だったんですか。

Tredsred選手:
 そうです。あれだけ筋肉が発達した人や背が高い人が,周りに集まっている空間は初めてでした(笑)。

4Gamer:
 何か話したりはしましたか?

Tredsred選手:
 あまり積極的に干渉するような雰囲気ではなかったですね。その国のその競技ごとに固まって移動してるという感じでした。選手村のエレベーターの中で,ムキムキの人に「洗濯サービスはあっちだ」って教えてもらったぐらいです(笑)。

画像集 No.009のサムネイル画像 / アジア競技大会の日本代表Tredsred選手にインタビュー。大会での出来事やプロとしての生活について聞いてみた


日の丸を背負うという経験とプレッシャー


4Gamer:
 試合の日程的にはどうでしたか。

画像集 No.003のサムネイル画像 / アジア競技大会の日本代表Tredsred選手にインタビュー。大会での出来事やプロとしての生活について聞いてみた
Tredsred選手:
 試合までに撮影のほか,することがあって,実際に試合があったのは到着してから3日後ぐらいでした。AESFスタッフによる撮影で,普段ハースストーンをしている感じの映像を撮ったんです。「そこにもたれかかって,ランクマッチを回してくれ」みたいな。 あとは,インタビュー映像も撮りました。「自信のあるデッキは何か」とか「試合へ向けての意気込みは?」といったことを話しました。

4Gamer:
 なるほど。試合自体は残念な結果に終わってしまいましたが……,その前後でゴタゴタとかはなかったんですか。

Tredsred選手:
 とくになかったです。普通に現地で試合を観て,飽きたら選手村に戻って……みたいな感じです。ドーピングに引っかかることもなく,そういうゴタゴタがなかったのは本当に良かったと思います。

4Gamer:
 試合に一般の観客はいましたか。

Tredsred選手:
 普通に一般の人も入れるようになってました。前日にLeague of Legendsの試合があって,韓国と中国が決勝をやっていたんですけど,その時はすごい盛り上がってました。あとは,ハースストーンではインドネシアの選手が決勝まで残っていたのですが,その時の「インドーネーシア!!」っていうコールが印象的で。

4Gamer:
 観客はほとんど現地の人なんですか?

Tredsred選手:
 そうだったと思います。僕の試合の時は,インドネシアに駐在している日本人のハースストーン勢の方が見に来てくれたそうなんですけど,基本的には現地の人が多かったですね。インドネシアの選手や,現地の人でも知ってるスーパースターが活躍しているときにがワーっと盛り上る感じでした。

4Gamer:
 試合に関して,悔いが残る点などはありましたか。

Tredsred選手:
 最初の試合なのですが,相手の回復Zooに対して,ハッピーグールのケアを忘れて序盤にハンターのヒーローパワーを押してしまったことです。その結果,体力を回復され,0コストになったハッピーグールを出されました。

 最初の試合ということで,知らないうちに舞い上がっていたんだと思うんです。そのプレイミスが響いて負けてしまいましたね。試合が進んで温まってくると,そういったミスはしなくなるのですが……。デッキ選択そのものは間違っていなかったと思うので,やはりプレイングの反省が大きいです。

4Gamer:
 なるほど。雰囲気とかプレッシャーというのも普段の大会とは違いましたか。

Tredsred選手:
 プレッシャーはありましたが,海外の大会への参加経験や,普段から“緊張しない”ような練習もしているので,「頭が真っ白になった」というほどではなかったです。それだけに,最初のプレイミスに悔いが残るわけですけど。ただ,試合が始まるまでに「日の丸を背負うことについてどう思いますか?」的なことをたくさん聞かれたので,背負っているものの重大さについては無意識に実感していたんだと思います。

4Gamer:
 eスポーツに限らず,日本の代表として日の丸を背負う責任感ってなかなか想像しにくいことですよね。

Tredsred選手:
 そういった経験もなかなかできませんから。なので,また次の機会があったら出たいと思っています。次の予選のときは,ほかの皆さんも,想像している以上に価値のあるものだと思って参加したほうが良いですよ。

画像集 No.007のサムネイル画像 / アジア競技大会の日本代表Tredsred選手にインタビュー。大会での出来事やプロとしての生活について聞いてみた


ハースストーンプロとしての日常


4Gamer:
 せっかくの機会ですので,普段の生活についても教えてください。今は4Gamer所属のプロゲーマーとして活動してもらっているわけですけど,普段は何をやってるんですか。

画像集 No.004のサムネイル画像 / アジア競技大会の日本代表Tredsred選手にインタビュー。大会での出来事やプロとしての生活について聞いてみた
Tredsred選手:
 時期によって違いますが,大会があるシーズンはハースストーンをやっています。とくに,今年の8〜9月はずっと大会に追われていました。アジア競技大会とグローバルゲームとアジア選手権の3つが重なっていたので,ひたすらハースストーンでしたね。

 あと,9月ぐらいからテレビ出演の仕事とかも増えてきたので,そういうところに出てハースストーンをアピールする活動をしたり,「ダラランの喧嘩」という公式の学生大会の解説をしたりもしていました。

4Gamer:
 普段のプレイ時間はどのぐらいなんですか。

Tredsred選手:
 モチベーションがある時とない時で差が激しいです。月末ラダーは10時間とかやってますし,この前は1日23時間ぐらいやって頭がおかしくなりそうでした。 逆に月初は1〜2時間しかやらない日や,まったくプレイしない日もあります。ハースストーンプレイヤーにありがちなスケジュールですね。

4Gamer:
 月末ラダーは勝てるまでやりますからね。

Tredsred選手:
 順調に勝てると短くて済むんですけどね。勝てないと夜通しになります。

4Gamer:
 ハースストーン以外のゲームを触ることはあるんですか。

Tredsred選手:
 eスポーツとして本気ではやりませんが,息抜きで触ることはあります。最近だと「Dead by Daylight」とか「Fate/Grand Order」とかを触りました。あとは,「クラッシュロワイヤル」や「シャドウバース」「ドラゴンクエストライバルズ」とかも触りましたね。

4Gamer:
 「Dead by Daylight」といえば,YouTubeで本田翼さんが実況して話題になりましたよね。

Tredsred選手:
 そうそう。その実況を見て,やってみたくなったんです。

4Gamer:
 ミーハーじゃないですか(笑)

Tredsred選手:
 いちゲーマーとして,売れてるものや話題になってるものは,できるだけ触るようにしてるんです!(笑)。

4Gamer:
 ゲーム以外にやってることはあるんですか。

Tredsred選手:
 最近はエアロバイクを買って,1日30分ぐらいこぐようになりました。 専業のeスポーツ選手として活動していると,ホント家から出ないので。とくに最近,ほかの人と歩くスピードを合わせただけで疲れたりと,体力が落ちていることを実感したので,それで始めたという感じですね。


これからの日本のeスポーツシーンはどうなるのか?


4Gamer:
 最後に,最近のeスポーツシーンについて,思うところがあれば教えてください。

画像集 No.005のサムネイル画像 / アジア競技大会の日本代表Tredsred選手にインタビュー。大会での出来事やプロとしての生活について聞いてみた
Tredsred選手:
 少しずつ盛り上がってきてるんだろうなとは思います。ハースストーンも4年ぐらいやってきて,年々獲得できる賞金や仕事も増えていますから。もっとも,ハースストーン全体でいえば,自分のポジションはハースストーンの黎明期の頃とそんな大きくは変わっていないと思います。そういった実感ができるのは,やはりeスポーツ全体が盛り上がってるからなのかなと。

4Gamer:
 これから日本のeスポーツシーンがますます発展していくためには何が必要だと思いますか。

Tredsred選手:
 僕としては,だんだんと盛り上がってきているとは思うので,このまま少しずつ認知度が上がっていって,選手も増えていって……,というように進んでいければと思いますね。
 世間が言うほど,「これが足りてないからこれが欲しい」みたいなことは感じていないです。あえて言えば,もっと積極的に自分から海外に出ていくような,気概を持った選手が増えてくれればと思います。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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