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「NIGHTMARE OPERATOR」は,コマンド入力を通じて格闘ゲームの魅力を伝えたいという思いが生んだ作品。開発者のNolan Joseph氏に聞いた[BitSummit]
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印刷2026/05/26 11:00

インタビュー

「NIGHTMARE OPERATOR」は,コマンド入力を通じて格闘ゲームの魅力を伝えたいという思いが生んだ作品。開発者のNolan Joseph氏に聞いた[BitSummit]

 京都・みやこめっせにて,2026年5月22日から5月24日まで開催されたインディーゲームイベント「BitSummit PUNCH」。その会場で,NIGHTMARE OPERATORの開発者であるNolan Joseph氏(DDDistortion代表)にインタビューする機会を得た。

DDDistortion代表 Nolan Joseph氏
画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / 「NIGHTMARE OPERATOR」は,コマンド入力を通じて格闘ゲームの魅力を伝えたいという思いが生んだ作品。開発者のNolan Joseph氏に聞いた[BitSummit]

 本作は,荒廃した東京で妖怪を狩るTPSアクションホラーだ。3Dゲーム黎明期を思わせるローポリゴンなグラフィックスや,「クラッチ」と呼ばれる格闘ゲームのコマンドを入力して武器のアタッチメントを切り替えるシステムが特徴的なタイトルとなっている。

 もともと格闘ゲームが大好きなJoseph氏のゲーム遍歴や,クラッチシステムの名前の由来など興味深い話を聞けたので,本稿ではその内容をお届けしよう。

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 2026年5月22日から5月24日まで京都・みやこめっせにて開催中のインディーゲームイベント「BitSummit PUNCH」に,DDDistortionが手掛けるタイトル「NIGHTMARE OPERATOR」が出展されている。4Gamerでは,BitSummit開催に先駆けて本作に触れる機会を得たので,紹介しよう。

[2026/05/22 12:00]



格闘ゲームの魅力を広めたい――
という思いが生んだ「クラッチ」システム


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは,DDDistortionについて聞かせてください。どのような経緯で立ち上がったデベロッパなのでしょうか。

Nolan Joseph氏(以下,Joseph氏):
 もともと,私はeスポーツ関係の会社に勤めていて,Web開発に携わっていたのですが,私が社長に「ゲーム開発にチャレンジしてみませんか」と提案してOKが出たのがきっかけです。

 最初は私1人だったんですが,3人の開発者を誘って1年くらいで「NIGHTMARE OPERATOR」のデモ版を作りました。それが,東京ゲームショウ2024のSelected Indie 80に選ばれ,イベント出展をすることになりました。
 それからチームの規模が大きくなり,今は9人くらいのメンバーで開発を続けています。

4Gamer:
 「NIGHTMARE OPERATOR」のコンセプトについて聞かせてください。

Joseph氏:
 ホラー系のTPSで,格闘ゲームのコマンドで武器のモジュールを変えられる「クラッチ」を入れようというのは,私が最初に作ったプロトタイプからあまり変わっていません。
 私は格闘ゲームが大好きで,本作を通じていろいろな人たちに格闘ゲームのコマンド入力というシステムの面白さを紹介したいという思いから「クラッチ」のシステムを作りました。

画像ギャラリー No.003のサムネイル画像 / 「NIGHTMARE OPERATOR」は,コマンド入力を通じて格闘ゲームの魅力を伝えたいという思いが生んだ作品。開発者のNolan Joseph氏に聞いた[BitSummit]

4Gamer:
 格闘ゲームはいつごろからプレイしているのでしょうか。

Joseph氏:
 私はアメリカ出身で,社会人になった2018年から日本で働いているのですが,アメリカにいたころから格闘ゲームは遊んでいました。初めてプレイしたのは,「BLAZBLUE CALAMITY TRIGGER」のPC版だったこともあり,アークシステムワークスのゲームが特に好きです。

4Gamer:
 Josephさんが考える格闘ゲームの面白さはどんなところだと思いますか。

Joseph氏:
 頑張ったら頑張っただけ上達できるところが面白いと思っています。負けるとちょっと悔しいですけど,勝ったときには最高にテンションが上がります。

 私が「BLAZBLUE CALAMITY TRIGGER」をプレイし始めたころは,アラクネをキーボードで操作しようと思ったんですが,あまりにも難しくて挫折しそうになりました。ただ,頑張れば上達するし,そこが楽しいんです。
 初心者なのにいきなりアラクネを使って,心折れずに格闘ゲームを続けられたのは,自分でも奇跡だと思っていますが(笑)。

4Gamer:
 上達していく過程が楽しいという思想は,「NIGHTMARE OPERATOR」にも反映されていますね。

Joseph氏:
 はい。確かにクラッチは最初のうちは難しい要素だと思いますが,慣れるといろいろなことができるようになります。「このときにクラッチを使ったらどうなるだろう」と思いついたことを試すのが面白いんです。

4Gamer:
 いろいろなこと,というと具体的にはどのようなものでしょうか。

Joseph氏:
 例えば,クラッチは発動キーを押すとキー入力の準備体制に入るので,移動ができなくなります。ただクラッチは,キャラクターの攻撃モーションや回避モーション中にも使える仕様になっていて,うまく活用することでコマンド入力の隙を消すことができます。
 そういう隠れた要素が結構あるので,プレイヤーの皆さんがテクニックを見つけて,どんどん上達してくれると嬉しいですね。

画像ギャラリー No.004のサムネイル画像 / 「NIGHTMARE OPERATOR」は,コマンド入力を通じて格闘ゲームの魅力を伝えたいという思いが生んだ作品。開発者のNolan Joseph氏に聞いた[BitSummit]

4Gamer:
 格闘ゲームにおいてコマンド入力といえば,必殺技を放つというイメージがありますが,クラッチは武器のモジュールを変えるシステムにとどまっています。格闘ゲームと同じくコマンドを入れれば必殺技を放てるという仕様にしなかったのはなぜでしょうか。

Joseph氏:
 理由は2つあります。まず1つめは,私がシューティングゲームのリロードという行動に退屈さを感じていたからです。

 なかには「Gears of War」のパーフェクト・アクティブリロードのような面白いシステムを採用しているものもあるんですが,基本的にリロードはただ待つだけの時間になってしまいます。

 本作で,クラッチを武器のモジュールを変えるとともにリロードを兼ねた行動として設計しているのは,そうした理由があるんです。

4Gamer:
 待つだけの時間をなくしたかったと。

Joseph氏:
 もう1つは私が車の運転におけるマニュアル操作が好きだからです。マニュアル操作は車の速度に応じてドライバーがギアをシフトしていきますが,あの操作が気持ちいいんです。
 クラッチシステムの名前の由来も車の“クラッチ”から来ていますし,武器のモジュールを変えていくという仕様も車のマニュアル操作からヒントをもらっています。

4Gamer:
 確かにマニュアル操作は面倒に感じますが,オートマにはない楽しさがありますよね。

Joseph氏:
 自分のスキルの上達が感じられますよね。それはゲームも同じで,プレイヤーの皆さんも最初のころは,キーボードやゲームパッドといったデバイスの入力に慣れて上達していく過程があったはずなんです。クラッチで,そういった上達する楽しさをもう一度楽しんでほしいと思っています。

4Gamer:
 会場で出展されている試遊版は,クラッチをうまく使わなくても,普通の射撃と近接攻撃で何とかなるくらいの難度でした。ゲームが進むにつれて,クラッチを使いこなすスキルが必須になってくるのでしょうか。

Joseph氏:
 そこはあえて必須にせず,いろいろなプレイスタイルで楽しめるようにしたいと思っています。
 格闘ゲームでも,コマンド入力が苦手な人は溜めキャラを使ったり,コンボが苦手な人は投げキャラを使ったりといったいろいろな選択肢があると思います。なので,「NIGHTMARE OPERATOR」もそういう方向性を目指しています。

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荒廃した東京に妖怪があふれる理由


4Gamer:
 本作は荒廃した日本が舞台となっていますが,その理由を教えてください。

Joseph氏:
 私が日本での社会人生活しか経験がないことが理由ですね。もともと現実の世界を舞台にすることは考えていたんですが,いざモチーフにするとなると東京での人生しか分からなかったんです。
 私たちのチームは小規模なので,オリジナルの世界を舞台にゼロから設定を考えて作るより,現実の世界を参考にしたほうが効率が良かったというのもあります。

4Gamer:
 ゲームでモチーフになった場所があると,リアルでも行ってみたくなったりしますし,コストパフォーマンスはいいのかもしれないですね。

Joseph氏:
 私も日本に来たころ,アニメやゲームで出てくる場所を巡るのが楽しかったので,「NIGHTMARE OPERATOR」をプレイした人もそんなふうになってくれたら嬉しいですね。

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4Gamer:
 敵についても日本の妖怪や幽霊をモチーフにしたものになっています。こちらのコンセプトについても教えてください。

Joseph氏:
 日本の妖怪や幽霊を敵として登場させたのは,彼らがいるのが普通な世界を描いてみたら面白いんじゃないかという考えが根底にありました。

 日本において幽霊や妖怪という存在は,すごく特別な存在として描かれることが多いと思います。ホラー映画でも幽霊と出会った人物はその人生を狂わされることになりますし,物理的な攻撃手段も効かない脅威です。

4Gamer:
 確かにそんなイメージはありますね。

Joseph氏:
 でも,外を出歩くと数えきれないくらいの幽霊がいる世界だったら,幽霊は怖い存在として認知しつつも,普段通りに生活すると思うんですよね。彼らに対抗するための武器も作られるでしょう。「NIGHTMARE OPERATOR」ではそういう世界を描いているんです。

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ローポリゴンなグラフィックスの採用は,
ゲームプレイを邪魔しないため


4Gamer:
 本作はグラフィックスも目を引くポイントですが,あえてローポリゴンのような見せ方を採用した理由を教えてください。

Joseph氏:
 昔懐かしい雰囲気を出したかったという部分もあるんですが,ゲームプレイを邪魔しないようにするという狙いが一番大きいですね。
 私自身,最新のゲームをプレイすると,確かにグラフィックスに美しさを感じるんですが,逆にそれがゲームプレイの邪魔になっているんじゃないかと思うケースが多くあるんです。

4Gamer:
 情報が多すぎるということでしょうか。

Joseph氏:
 はい。情報が多すぎてゲームの進行ルートが分かりづらくなった結果,不自然な黄色のペイントで目印を作るといったことも行われています。昔のゲームはもっと画面の情報量が少なく,ちょうど頭に入るくらいの量だったので,「NIGHTMARE OPERATOR」では,そこを目指そうと思いました。
 あえて少し昔のグラフィックスを採用して情報を絞ることで,ゲームらしい体験をしてもらいたかったんです。
 もちろん,新しい技術やライティングも使っていて,ゲーム内でグラフィックスを選択できるので,お好みで選択してもらえればと思っています。

4Gamer:
 会場で試遊の様子を見て,その辺りの手ごたえは感じられましたか。

Joseph氏:
 そうですね。うまく機能していると思います。少し迷っている人も見られましたが,そういう人も最後までたどり着くプレイヤーがほとんどだったので,良い感触が得られています。まあ,今回の舞台が中野ブロードウェイなので,少しは迷ってくれないとそれっぽさがないですし(笑)。

4Gamer:
 ホラー要素についてはどうでしょうか。ここについてはリアルであればあるほど怖いと感じる人もいると思うのですが。

Joseph氏:
 ローポリゴンを使ったホラーで大切なのは,見せ方のバランスだと思います。どうしても情報量が少なくなるので,ぼんやりと遠くで見せたり,一瞬見せたりするのはとても効果的で,プレイヤーが自然に怖いものを連想してくれるんです。

4Gamer:
 効果的に見せればローポリゴンも怖く見せられるということですね。

Joseph氏:
 ただ,近距離でじっくり見せるようなやり方はあまり効果的ではないと思います。例えば,今回の試遊版では,怖い顔が画面上に一瞬出てくるジャンプスケアの演出があります。
 一瞬見えるだけだし,急に出てきてびっくりするからさぞ怖い顔だと思うかもしれないんですが,テクスチャをじっくり見たらあまり怖くない顔なんです。

4Gamer:
 試遊版でも,もやのかかった遠景から敵のシルエットだけが見えて,徐々に近づいてくるというシーンがありました。近づくまでは怖いんですが,戦ってみるとすごく弱い(笑)。ぼんやり見えているときが一番怖かったです。

Joseph氏:
 これははっきり見せている例ですが,マップに配置されている美少女フィギュアの顔が急に変わる演出はうまくいったと思っています。アートディレクターがモデリングしてくれたんですが,私も不気味さが出ていてすごく気に入りましたね。

画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / 「NIGHTMARE OPERATOR」は,コマンド入力を通じて格闘ゲームの魅力を伝えたいという思いが生んだ作品。開発者のNolan Joseph氏に聞いた[BitSummit]

4Gamer:
 試遊版をプレイしたプレイヤーの反応はいかがでしょうか。

Joseph氏:
 「NIGHTMARE OPERATOR」は,ほかのホラーゲームやシューティングゲームにはないシステムが,ちゃんと機能するかどうかは不安でした。
 特にクラッチについては,格闘ゲームの知識がまったくない人が,つまずくようなものでは駄目だと思っていたのですが,完全に使えないというプレイヤーがいなかったのは幸いでした。

4Gamer:
 格闘ゲームの経験がなさそうな人でもコマンド入力には成功していたと。

Joseph氏:
 そうですね。「NIGHTMARE OPERATOR」はコマンド入力の猶予をかなり設けていますし,多少余計なコマンドが入っていても認識してくれますし,入力したコマンドが視覚的に見えるのも助けになっています。
 あとは,格闘ゲームで初心者がうまくコマンド入力ができなくなるのは,対戦という緊張感のある環境も大きいと思っています。自分のペースでゆっくりコマンド入力を練習すれば,結構早く上達できるのではないかと。

4Gamer:
 東京ゲームショウやEVO Japanなど,これまでに出展した際のフィードバックが生かされている部分はありますか。

Joseph氏:
 銃の弾薬を「HEAT」というゲージで表現することにしたのは,フィードバックが生かされた部分だと思います。最初は普通のシューティングゲームのように,弾薬を拾ってリソースを管理しながら撃つというシステムにしていましたが,これはやりすぎでした。

 最初の出展では,パニックになってクラッチまで頭が回らずにやられてしまった人もいましたので,これは変える必要があると思いました。

 今は発砲するとゲージがたまっていき,満タンになると一定時間銃が撃てなくなるHEATシステムを採用することにしました。さらにクラッチを使ったらゲージを少し減らせるような仕様にし,より射撃とクラッチという2つの行動にシナジーを持たせています。

4Gamer:
 今後発売に向けて改善していきたいことや追加していきたいことがあれば教えてください。

Joseph氏:
 あまり詳しくは話せないんですが,もう発表から3年くらい経っているので,今後はどんどん情報を公開していきたいと思っています。
 今までストーリーの部分などはあまり公開していなかったんですが,ゲーム中に出てくる組織や物語のテーマも紹介できればと思っています。X(@DDDistortionDev)をフォローしていただいて楽しみにしてください。

4Gamer:
 最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

Joseph氏:
 冒頭でも述べましたが,私がこのゲームを作った理由の1つとして,格闘ゲームのシステムの面白さを広げたいということが挙げられます。
 私も対戦相手が欲しいので,「NIGHTMARE OPERATOR」を遊んで,少しでも興味を持った人は,ぜひ格闘ゲームにチャレンジしてください。一緒に「GUILTY GEAR -STRIVE-」をやりましょう!(笑)



 なお,「NIGHTMARE OPERATOR」は「BitSummit PUNCH」のアワード(外部リンク)で,ゲームデザイン最優秀賞を受賞している。TPSシューターに格闘ゲームの文法を重ねたシステムなどが評価された。




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