中国インディーゲームアライアンス(CiGA)ブースで,2D見下ろし型エクストラクションシューター「No Such Place」を出展していたChillyRoom(凉屋游戯)は,Android版だけで累計5000万DLを突破しているモバイルゲーム「Soul Knight」を手掛け,SIEが中国を対象に展開するインディー支援プログラム「China Hero Project」にも参画しているデベロッパだ。
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人気リズムゲーム新作「Muse Dash 2」,人類最後の2人を描くホラーADV,スローライフなど。中国インディーゲームアライアンス(CiGA)が9タイトル出展[BitSummit]
京都市勧業館みやこめっせで開催中の「BitSummit PUNCH」のCiGAブースでは,中国のインディー作品を中心に9タイトルの試遊台が設置されている。注目作の「Muse Dash 2」もプレイ可能だ。
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昨年WePlayでNo Such Placeの出展を見かけ,ChillyRoomについて調べる機会があった。会社でありながら,インディー規模のチームがいくつも動き,さまざまな作品を作っている。そんな不思議なデベロッパだという印象を持っていた。
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2.5D見下ろし視点のエクストラクションシューター「No Such Place」,未知を研究する特殊部隊として異形の調査を行う[WePlay2025]
「WePlay Expo 2025」のindiePlay 2025ノミネート作品ブースに,ChillyRoomのCritTeamが開発する「No Such Place」が出展されていた。現代の兵士として,さまざまな武器を駆使しながら,未知の異形たちに挑む,2.5Dのエクストラクションシューターである。
昨今は大手デベロッパが,若手チームを立ち上げて社内インディー的な作品を出すこともあるが,ChillyRoomはそれとはかなり違う。そもそもインディーの集合体に近い。
この不思議なデベロッパ,ChillyRoomについて,BitSummitの会場でCEOの李泽阳(Li Zeyang)氏にインタビューする機会を得た。
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4Gamer:
本日はよろしくお願いします。先ほど,200人規模の会社だと伺いましたが,制作環境はかなりインディー寄りという特徴がありますよね。まずは会社について教えてください。
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李氏:
ChillyRoomは2015年の設立で,最初はずっとモバイルゲームを作っていたんですよ。有名どころだと「Soul Knight」ですね。日本でもリリースしました。ほかに「アザーワールドレジェンズ」なんかも出しています。
PC・Steamをやり始めたのは,そのあとですね。
![]() Soul Knight |
![]() アザーワールドレジェンズ |
李氏:
ずっとインディー寄りでやってるんですけど,会社の組織のあり方がちょっと独特で,プロジェクトはほとんど社員が自分から立ち上げたものなんです。
トップダウン(上層部が意思決定を行い,それに基づいて組織を動かす形)の企画はあんまりなくて,チームも小さくて4〜5人くらい。
もしプロジェクトがヒットしたら,そこから人を足してチームを大きくしていく。いわば自己組織化(社員が上司の指示を待たず,自律的に動く形)ですね。
会社はけっこう長くやってきて,モバイルもたくさん出したんですけど,モバイルって競争が本当に激しくて。特にトラフィックのコストがめちゃくちゃ高くつくんですよ。
4Gamer:
プレイヤーの確保や維持にも,広告などのコストがかかりますね。
李氏:
それで,一部の社員が「Steamのプロジェクトをやりたい」と言ったので,試してみようと。それが「No Such Place」ですね。
これを企画した社員は,エクストラクションシューター,いわゆるタルコフ(Escape from Tarkov)ライクをよく遊んでいて,シングルプレイでもやれる余地があるんじゃないかと考えて始めたものです。
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ほかにも「Loulan: The Cursed Sand」(楼蘭:呪いの砂)という,もっと規模の大きいコンソール向けのタイトルがあります。これはSIEの「China Hero Project」に採択されたものですね。
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中国から世界へ。クトゥルフや楼蘭,武侠……世界が注目する「China Hero Project」第3期は,新たに3作を発表[CJ2024]
SIE上海は2024年7月25日,「China Hero Project 第3期発表会」を中国・上海で開催した。今回新たに,クトゥルフ風のマルチプレイヤーオープンワールドアクション「Unending Dawn」,失われた西域を描くシングルアドベンチャー「楼蘭 Kroraina」,武侠ARPGの「Brocade-Clad Guard」の3作を発表した。
あともう1本,発表はしてるけどまだデモを出していないのがあって。「ReBlade: The Death Spiral」という,サイバーなアクションローグライクです。
これは10月にデモを出す予定ですね。こんな感じで,いろんな方向を試しています。試すのが好きなんですよ。
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4Gamer:
ReBladeはどんな作品なんですか。
李氏:
パリィをメインにした作品で,ちょっと「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」に近い感じですね。ただ,それよりは軽めにしています。
これ,もともとは「ReBlade」っていう名前だったんですけど,Steam上に同じ名前のインディーゲームがもう1本あって,名前がかぶっちゃうんですよ。それで副題をつけて,最終的に「ReBlade: The Death Spiral」という名前にしたんです。
4Gamer:
Loulanのときにも思いましたが,グラフィックスがとてもいいですね……。ReBladeは,何人くらいのチームなんですか。
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李氏:
これは7人ですね。
4Gamer:
7人で何年くらい? これも3〜4年ですか。
李氏:
ええ,3〜4年くらいで,もう3年やっています。そろそろ作り終わるくらいですね。
4Gamer:
ChillyRoomで,いま動いているプロジェクトは何本くらいなんですか。
李氏:
PC・コンソールを合わせて3本。モバイルのほうはもっと多くて,10本くらいありますね。
開発期間自体はかなり長めですが,並行して進めているパイプラインが多いので,毎年何かしらはリリースできるかな,という状況です。
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4Gamer:
以前ChillyRoomさんを調べたとき,社内で隔週報告会のようなことをやっている,と紹介されていました。これだけ多くのプロジェクトが同時に動いている中で,社内の共有はどうやっているんですか。
李氏:
毎週ではないのですが,各プロジェクトが月に1回,その月にやったことを共有する形ですね。内容としては,企画の方向性に変化があったとか,制作面のことです。
最近だとAIをよく使うようになっているので,そのプロジェクトでのAIの使いどころを紹介する,とか。それを月1回でやっています。毎週やっていたら,もう会議だけで時間が取られちゃって回らないので。
4Gamer:
進捗報告だけでなく,お互いに使えそうな技術も共有するのですね。
李氏:
プロジェクトは基本Unityベースなので,技術の共有もします。ただLoulanだけは別で,独立したチームでやっていて,うちの主要メンバーとは一緒にやっていないんですけど。
とはいえ正直に言うと,これらのプロジェクトって技術的にそこまで深いものではないですし,Unityがほとんどの問題を解決してくれるので,技術面で共有すべきことって,実はそんなに多くないんですよ。
どちらかというと「その期間に各自が何をやったか」「設計上の調整があったか」みたいな話が中心ですね。
4Gamer:
AIの使い方を共有しているのは,どういう意図からなんですか。
李氏:
共有することで「みんなもっと使ってよ」と促すことですね。使いどころの1つはコーディングで大量に使っていて,これはここ半年くらいの話です。
もう1つはアートで,初期のたたき台のフェーズでAIが補助に入っている感じですね。
4Gamer:
これだけ多くのチームが動いていると,AIの使い方もそれぞれ違うと思うんです。面白い使い方をしているチームとか,うまく使い込んでいるなと感じたところはありましたか。
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李氏:
コーディングのほうは,みんな使うツールがだいたい統一されていて,CodexとかClaudeとかですね。だから特別なことはあんまりなくて,それを軸に自動化のプロセスを組む,という使い方が中心ですね。
面白いのはアートのほうで。昔はコンセプトを手描きで三面図にしてたんですけど,それを3Dモデルに起こすときって,補完しながら変換していく工程が必要になるんです。
そこで,動画生成モデルを使ってキャラクターの全身をカメラで回転させて,3D化されたスタイルでレンダリングするようにしたんですよ。
そうすると,あとでモデルを起こすときに補完が要らなくなって,純粋に機械的な作業になる。そこは結構うまくいっていますね。
4Gamer:
Image to 3Dを,いったん動画生成を挟むことで精度や効率を上げる,ということですか。
李氏:
そうです。どのみち生成するので,動画から起こすことで,さらに効率を上げているわけですね。
4Gamer:
AIの活用で達成したい目標は何でしょうか。3〜4年の開発期間をもっと短縮したいのか,より少ない人数で作りたいのか,それとも内容を増やして同時進行のプロジェクトを増やしたいのか。
李氏:
それって実は同じことなんですよ。単位あたりの効率が上がるので,「より少ない人数で同じことをやる」のも,「同じ人数でより多くやる」のも選べる。
ただ,実際に走らせてみた結果でいうと……最初は「AIで人件費の一部を削れるかな」と思っていたんですけど,最終的には「人は同じまま,より多くのものを作る」結果になりましたね。
4Gamer:
人数は変わらずに,制作タイトルが増えると。1人が複数のプロジェクトを兼任することもあるんですか。
李氏:
ありますね。よくあるのはエフェクトまわりで。あるプロジェクトで1サイクル作業して,そのあとしばらく手が空くようなら,別のプロジェクトに移って作業する,という感じです。
4Gamer:
人手が余る瞬間が出ないようにしているんですね。
李氏:
そうですね。実のところ,人的リソースに余裕はほとんどないです。誰かが抜けたら,すぐ人を採って埋めなきゃいけない状態で。
会社規模は小さくないんですけど,それでもかなりインディー的なやり方で動いているので,余裕がないんですよ。1人抜けると,プロジェクトへのダメージは結構大きいです。
4Gamer:
イメージとしては,ゲームごとにディレクター的な固定ポジションが1人いて,それ以外の専門アーティストやエンジニアは流動的,という感じですか。
李氏:
ほとんどの社員は1人が1プロジェクト担当ですね。流動するのは少数で,共通して必要とされる役割を持つ人だけです。もちろん,プロジェクトが終われば流動しますけど。
4Gamer:
兼任している人は「とにかく仕事ができるから」ではなく,役割に応じて回している,ということですね。常時必要というわけではなく。
李氏:
そうです。ぐるぐる回している感じですね。
4Gamer:
1つの会社だけれど,まるでプロダクションを回しているみたいですね。
李氏:
効率的かどうかは分からないですけど(笑),たしかにそういう感じはありますね。なるべく人数を抑えていて,かなり需要に応じて動いているので。
4Gamer:
ここでの「需要」って,そのチームに人が必要だから,という意味ですか。それとも,会社として作品に力を入れたいから,あるいは単に人が足りないから,ですか。
李氏:
オンデマンドの補充ですね。プロジェクトチームが「人が要る」と感じたときに補充する。というのも,チームは自分たちのコストに責任を持っていて,プロデューサーが財務コスト全体を見られるんですよ。
だからプロデューサーは,むしろ人数を減らす方向に傾く。ときには減らしすぎて問題にぶつかることもあります。でも,これはうちが意図的に作っている雰囲気なんです。
会社の決裁ではなくて,チームごとのプロデューサーにチームのコスト全般をコントロールさせて,責任を持たせている。
4Gamer:
トップが全体を管理しているというより,複数のプロデューサー……班長のような存在がそれぞれ管理している,というイメージですか。
李氏:
その通りです。
4Gamer:
李さんはどのあたりを見るのでしょうか。
李氏:
創作の方向性に大きな変更がないか,それと日常の進捗は見ますね。ただ,具体的な人事とか日常のやり取りはプロデューサーの管轄です。
うちは組織が3層しかなくて。一番上が自分と共同経営者で3〜4人。その下が各プロジェクトのプロデューサーで十数人。その下はみんなフラット,という感じです。
サポート部門というか,サーバーとか運営とかも,自分たちで小さなチームを持っていて自己管理しています。もちろん,これだとプロデューサー個人の能力への要求がかなり高くなるんですよ。
サポートが足りなくて,プロデューサー自身がつまずいちゃうケースも,実際にはあります。
4Gamer:
各プロデューサーの自治権って,どこまであるんですか。どこまで自由なんでしょう。
李氏:
自分のプロジェクトに関しては,ほぼ絶対ですね。
4Gamer:
極端な話,勝手にパブリッシャー契約を結んでもいい,というくらいのレベルですか。
李氏:
さすがにそれは,プロデューサーと私で一緒に話します。ビジネスの部分は会社レベルで握っているので。
ただ,プロジェクトの人事権はプロデューサーにあって,そこは自分で決められます。
4Gamer:
「ゲームA」=「プロデューサーA」で,プロデューサーがいなくなるとタイトルも消える,というイメージでしょうか。
李氏:
もしプロジェクトの中に,そのプロデューサーとビジョンが近くて代われる人がいれば,その人をプロデューサーに引き上げて続けられます。
ただ,プロジェクトの早期とか中期でプロデューサーが辞めて,たまたま適任者がいないとなると,基本的にそのプロジェクトは続けられないですね。
4Gamer:
プロデューサーの流動・交代はどのくらいでしょう。1本終わったあと,同じプロデューサーが次を引っ張って新しいチームを組み直す,という感じですか。
李氏:
できるだけ連続性を保つようにしています。一緒にやってきたほうが連携も良いので,1本作り終えると,前のチームのコアメンバーを引き継いで次に進むことが多いですね。
ただ,プロデューサーによっては……心理的な理由だったり,疲れすぎちゃったりで,しばらく休むとか,まったく別のことをやる,という選択をする人もいます。
いまは市場の競争が激しすぎるので,1本作り終えて燃え尽きた,みたいな感覚になる人も結構多いんですよ。
4Gamer:
どこまでも社員ドリブンというか。会社として,かなり不思議な構成ですね。
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李氏:
たしかに全体的に自由度は高いです。しかも7時間労働制で,実働は1日7時間なんですよ。
4Gamer:
その短さで開発は間に合うんですか。
李氏:
大丈夫だと思いますよ。この体制でもう7〜8年やってきましたから。経験則として,ゲームの成否を最終的に決めるのは,多くの場合「最初の発想」と,途中で手戻りを起こさないこと,つまりコスト管理なんですよ。
それ以外の細かいところは,そこまで重要じゃない。たとえば1日8時間か7時間かで12.5%の差はありますけど,これは決定的な差じゃないんです。
むしろ全体に少しゆとりがあったほうが,精神状態も良くなりますしね。
4Gamer:
1タイトルあたりの予算規模の目安って,決めていたりするんですか。
李氏:
最初にざっくり見積もりはするんですけど,「ここまで到達したら厳密に打ち切る」みたいなことはしてないですね。
これまで走ってきた感触だと,平均で1プロジェクトあたり500〜700万元(1元=約23円換算で,おおよそ1億1500万〜1億6000万円)くらいです。ただし高品質のコンソールタイトル,たとえば「Loulan」みたいなのは別ですけど。
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4Gamer:
正直,小規模なチームをたくさん抱えるスタイル的に,安く,早く,たくさん作るイメージを持っていたんですが,そういうわけでもないんですね。
李氏:
本社が深センにあるので,人件費はもう決して低くないですし。それに途中での手戻りも,完全には避けきれないので。
量産自体はできているんですよ。ただ,主力はやっぱりモバイルゲームで,そのエコシステムの中だとコストはまあまあ,という感じです。
Steamならもっと低くできますね。周辺のマネタイズのための作り込みに時間をかけずに済むので。逆にモバイルは,いまはもう簡単じゃないんです。
集客コストも上がっていて,大量の施策が必須になっているので。
4Gamer:
モバイルは課金で新しい要素を追加し続けないといけないから,高くつきがち,ということですか。
李氏:
課金モデルを作るのは,買い切り型に比べて工程が多いんですよ。
1つ目は,課金向けのコンテンツを作らなきゃいけないこと。2つ目は,ゲームの構造自体も調整しないといけないこと。単発で終わる作りにはできないので。
3つ目は,継続的な運営への投入で,リリース後もずっと更新し続けなきゃいけないこと。プレイヤーに継続課金してもらうためのシステム設計も面倒なんです。
純粋にSteamゲームを作るなら,もっとダイレクトで,作り終えたら一旦終わりです。後続の運営があまりないので。
もう1つのポイントは,モバイルって3〜5か月くらいテストにかけて,その結果を見て調整する,というのを繰り返すんですよ。ある意味「修正しながらリリースしていく」ものなんです。
一方でSteamのほうは,「ビジョンがあって,それを作り上げる」という性格が強いと思います。テストはしますけど,モバイルほど何度も繰り返しはしないですね。
4Gamer:
もともとモバイルからスタートして,いまやLoulanのようなSteamやコンシューマ向けにも手を広げているのには,何か理由があるんですか。そちらにシフトしていきたい,というビジョンがあるんでしょうか。
李氏:
まず,チームに「やりたい」というメンバーがいて,試せると思ったからですね。とはいえ,いまだに主体的に投入している部分ではないです。
試してみて損はないし,このエコシステムを理解しておきたい,という気持ちもあります。
4Gamer:
最終的に,モバイルゲームのメーカーからPC・コンシューマゲームのメーカーへ業態を転換したい,という話ではないと。
李氏:
Steamがうまくいって,初めて業態を転換できるんですよ。うまくいかなければ,転換はできないので。
4Gamer:
現状を踏まえて,新規プロジェクトの立ち上げのときに,プロデューサーが「もっとSteamをやりたい」と言ったら会社が後押しするとか,PCの企画のほうが社内決裁を通りやすいとかはありますか。
李氏:
いまPC・コンソールのプロジェクトは3本あって,まずはこの3本で止めています。これらを出し終えてから,結果を見て次に進むかどうかを判断する予定です。
4Gamer:
プロデューサーに「PC・コンシューマのものを作れ」とオーダーを出すわけではないと。
李氏:
要求はしていないですね。ただ,この3本が成功して手応えが良ければ,今後はプロデューサーにPC・コンソール向けを続けるよう求めるかもしれません。
実際のところ,もし自由に選ばせたら,社内の大半はSteamのプロジェクトを選ぶと思うんですよ。彼ら自身がそういうゲームを遊んでいて,そういうバックグラウンドの人たちなので。
ただ問題が2つあって。1つはコストを負担しきれないこと,もう1つは,Steamだと利益を出せる余地がなくて,いまのまま作っても,ほぼ確実に赤字になることです。
だからまずは経験を積むこと,そしてある程度「稼げる」と証明することが先なんです。Steamで成功したなら,文句なくSteamを続けてOKですし。これまで作った経験がない人については,実際のプロジェクト運用での能力を見る必要がありますね。
個人的には,Steamのほうが創作の面ではむしろ難しいと思っています。商業的に小さく稼ぐのはOKでチャンスもあると思うんですけど,創作面では世界中のインディーと同じ土俵で勝負することになるので。
4Gamer:
ふと,思ったのですが,そもそも,なぜいまのようなチームをたくさん抱える会社構成になったのでしょうか。
李氏:
理想と現実のせめぎ合いの結果,こうなりました(笑)。
4Gamer:
もともとは,どのくらいの規模から始まった会社で,どういう会社を目指していたんですか。
李氏:
最初に考えていたのは,モバイルのプレイヤーがゲームへの理解を成熟させていくにつれて,Steamのような,もっと趣味性が高くて独特なものを求めるようになるはずだ,という構想だったんです。
最近になって,その仮説,最初のビジョンは成立しないと気づきまして。実際にモバイルのプレイヤーが求めていたのは,もっと手軽で,ショート動画のように気軽に楽しめるものだったんですよ。
市場がそういう段階まで進化しちゃった。逆にSteam的な気質のものを作ると,大多数の人は遊べなくて,ごく一部しか遊べない。
それで選択を迫られたんです。モバイルで稼ぐ方法を探し続けるのか,それともSteamで世界中の開発者と競争の激しい市場に入って,アイデアと制作力でしのぎを削るのか。
特別に良い道筋があるわけでもなくて。結局のところ,いろんな方向を試してみるしかない,ということになりました。
4Gamer:
200人になっていったのは,チームごと増やしていったのか,それとも大きなプロジェクトをやっていて,それが細分化していったのか,どちらなんですか。
李氏:
大部分は,以前のチーム……モバイルのチームから分解して出てきたものですね。ただ,「Steamプロジェクトをやる」と決めてから,専門に組んだチームもあります。
No Such Place
4Gamer:
今回ちょうど「No Such Place」を出展中なので,この作品について伺いたいです。李さんとして,このプロジェクトをどう見ているか,率直に聞かせてください。
李氏:
「Escape from Tarkov」が,エクストラクションシューターというジャンルを一気に流行らせたんですよね。うちのプロジェクトチームのメンバーも,まさにそのプレイヤーたちなんです。
それで観察していたんですけど,シングルプレイで比較的小規模なインディーの,エクストラクション系プロジェクトはいくつかあるんですよ。たとえば「ZERO Sievert」とか。
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それで,うちの開発チームは,仲間と一緒に遊ぶ楽しさとか,アート表現とかの雰囲気を作り込んで,"風味"のしっかりしたエクストラクションを作りたいと考えたんです。
「SCP」的な題材を組み合わせて,軽いホラー要素・スリラー要素を入れて,さらに古いソ連的な美学の雰囲気も少し加えて。これを混ぜ合わせた,チーム自身が好きなスタイルなんですよ。
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同時に「4人協力プレイ」もかなり重視していて,これは最初から計画していました。リリースのタイミングで,この機能を載せる予定です。
4Gamer:
同じタルコフライクのゲームって大量に出てきていて,シングルプレイ×タルコフでは,「エスケープ フロム ダッコフ」のような成功例もありますよね。こうした増えてきた状況をどう捉えていますか。
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「エスケープ フロム ダッコフ」開発秘話。プロデューサーが語るタルコフ愛や,アヒルやペットの誕生理由が明らかに[WePlay2025]
「エスケープ フロム ダッコフ」は,2025年10月16日に発売されるや,販売本数を一気に伸ばし,23日間で300万本を突破したインディーゲームだ。「Escape from Tarkov」のベテランプレイヤーでもある開発プロデューサーに,開発の背景や主人公をアヒルにした理由などを聞いた。
李氏:
ダッコフはより気軽に楽しめる方向で,可愛いアヒルが魅力ですよね。うちは少しハードコア寄りで,雰囲気をより重視しています。
もう1つ重視しているのは,オンライン協力プレイの体験を必ず良いものにすること。みんなで一緒に遊べることというのは,Steam上でも,どんどん重要になってきている要素だと感じているので。
[No Such Place] will be in the #BIGSummerShowcase!
— No Such Place (@cr_nosuchplace) June 1, 2026
Top-down #pixelart #extractionshooter. Support co-op up to 4 players! Demo coming soon#Steam #indiegame #shootergame
Event starts on 2nd June tomorrow at 8 AM Pacific! pic.twitter.com/ClCkdcBlQq
4Gamer:
なるほど。ダッコフにマルチプレイはないですもんね。
李氏:
そうですね。ダッコフのチームとは知り合いなんですよ。作品自体の魅力はもちろんですが,加えてリリースのタイミングも良かったと思っていて。同時期に大型のエクストラクション系タイトルがいくつか不調だったこともあって,その反動でプレイヤーが流れ込んだ印象がありますね。
いまはこのジャンルの競争も激しいですしね。たとえば,アニメ調のエクストラクション系を作っているところもあって,「VOID DIVER」とか。
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4Gamer:
「No Such Place」に入れるマルチは,具体的にどういう内容になるんですか。
李氏:
みんなで一緒に1つのマップに入って,協力して探索する感じですね。スキルみたいな要素があったり,お互いを助け合ったり,というのが入るかもしれません。
4Gamer:
ミッションやストーリーラインは用意されるんですか。たとえば本家タルコフは,最近1.0でエンディングが追加されました。そういう物語の節目や結末はあるんですか。
李氏:
完結したストーリーラインはあるのですが,はっきりした結末は設けないんです。構造上,プレイヤーは特殊な事件処理を担うユニットとして,いろんな「空間の断片」に入り込んで問題を解決していく,という役回りなので。
だからオープンエンドで,明確な結末はない。物語の部分にはそこまで力を入れていなくて,むしろ継続的に更新していけるフレームを提供することを重視しています。強いシステム性を持ったゲームにして,プレイヤーが長く遊べるものにしたいんですよ。
4Gamer:
デモ版に500時間のセーブデータがあって,これくらい遊べるのか,と思いました。
李氏:
うちはコミュニティをかなり長く運営していて,その中に非常にコアなプレイヤーたちがいるんですよ。数百時間かけているプレイヤーも結構多いです。システム設計の観点でいうと,「RimWorld」みたいな形を目指していて。
本当に人を惹きつけて,繰り返し遊び込んでもらう形にしたいんです。1つの完結したコンテンツを提供する,というやり方ではないですね。
4Gamer:
はまった人がとことん遊べる環境を提供すると。ここでお時間が来てしまいましたね。本日はありがとうございました。


















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![画像ギャラリー No.033のサムネイル画像 / [インタビュー]開発ラインは10以上。200人規模ながら,少人数のチームがいくつも自律して動く,深センのインディー集合体のようなデベロッパ・ChillyRoom(凉屋游戯)とは](/games/963/G096388/20260609005/TN/033.jpg)
![画像ギャラリー No.034のサムネイル画像 / [インタビュー]開発ラインは10以上。200人規模ながら,少人数のチームがいくつも自律して動く,深センのインディー集合体のようなデベロッパ・ChillyRoom(凉屋游戯)とは](/games/963/G096388/20260609005/TN/034.jpg)

