まずはブースの様子から紹介しよう。天井から吊られたロゴの下に据えられていたのは,見上げるほど大きなウーパだ。本作でプレイヤーの相棒になる,猫をかたどった生き物である。周りには人の背丈ほどの毛糸玉や花などの造形物が並び,床は草地と石畳を模したシートで覆われていた。人間が縮んだ側ではなく,机の上の小物が大きくなった側から会場を作ってあるわけだ。
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入口の脇には,木箱に画面をはめ込んだ端末が三脚に載せられていた。画面には「TAP TO START」とある。来場者が自分を撮影するためのカメラで,撮った写真に答えを書き込んで壁に貼る,というのがスタンプラリーの2つ目の課題になっていた。
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スタンプは3つ。公式Xアカウントをフォローして固定投稿をリポストする,先ほどのカメラで撮影して壁に貼る,デモを5〜10分プレイする,の3つだ。2つ集めると抽選券が1枚,3つすべて集めると2枚もらえる。賞品はキャラクターの顔をかたどったメガネ(Minies Glasses),ウーパのぬいぐるみ(Wupa Plush),キーホルダー型のカメラ("Shrunk" Camera)の3種類だった。
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本作は,書斎や机の上といった身近な空間をミニチュア化した世界で暮らすライフシミュレーションだ。プレイヤーは小さな体でその世界に降り,「リリ」と呼ばれる住人たちと交流しながら,自分の家と町を作っていく。基本プレイ無料で,対応プラットフォームはPC,Nintendo Switch 2,PlayStation 5。シングルプレイのほか,オンラインでの協力プレイとクロスプラットフォームのマルチプレイに対応する。事前登録は2026年2月に始まり,gamescom開幕の時点で1000万人を超えたという。
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プレイヤーの足元には,ウーパがついて回る。高い場所への移動を助けてくれる相棒で,ブースで巨大な立体物になっていたのもこのウーパである。
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ミニチュアの世界といっても,箱庭を上から眺めるゲームではない。柵で区切られた区画に家が建ち,その向こうにヘッドフォンや目覚まし時計が壁のようにそびえる。視点は終始,縮んだ側の高さにある。
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試遊デモで歩いたのは,見上げるほどの花が並ぶ屋外エリアだった。案内役のスタッフに最初に言われたのは,ボトルを使え,ということである。花のあいだに差し込む日光にボトルを向けると,光が筋になって吸い込まれていく。これが資源になる。夜であれば,同じボトルで月の光を集められるという。
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採集にはスリングも使う。頭上に垂れたスズランに狙いを定めて撃つと,「キラキラ」と名づけられた素材が落ちてきた。狙った植物の名前が画面に出るので,何を採っているのかは分かりやすい。
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デモはタクシーに乗って自分の拠点へ戻ったところで終わった。10分に満たない短いものだったが,採集と移動の手触りはつかめた。
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机の上に,同じ夢を見た人のための場所を作る
ここからは本作のテクニカルディレクターへのインタビューをお届けする。LilliLandia Gamesで本作の技術部門を統括する立場にある人物だ。
4Gamer:
まずは自己紹介をお願いします。
テクニカルディレクター:
LilliLandia Gamesで「リリのワールド」のテクニカルディレクターを務めています。本作の技術面を専門に見ている立場で,開発チームの技術部門を統括しています。
4Gamer:
このゲームのアイデアは,どこから生まれたのですか。
テクニカルディレクター:
出発点は,プロデューサーが見た夢です。ある日オフィスで仕事をしていて,自分の体が縮んで,とても小さな人間になる夢を見たそうなんです。そこから,もし本当に縮んで小さな世界に入り込んだら,世界はどう見えるのだろうと考えるようになりました。
その話を社内でしてみたところ,ほとんど全員が子供のころに同じような夢を見ていたことが分かったんです。それなら,同じ夢を見たプレイヤーも世の中にはたくさんいるはずだ,と。その人たちのための場所を作りたい,というのが本作の始まりでした。
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4Gamer:
舞台となる場所をデザインするうえで,何を重視しましたか。
テクニカルディレクター:
発想はすべて,私たち自身の実生活から取っています。現実にある物をそのまま持ち込んで,「リリのワールド」の中では特別な物として作り直す,というやり方です。
たとえばコーラですね。現実ではただの飲み物ですが,本作では家を建てるための材料になりますし,コーラそのものを家にすることもできます。
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4Gamer:
キャラクターデザインで意識したことを教えてください。
テクニカルディレクター:
本作では,気に入ったリリを自分のホームに招いて,一緒に暮らすことができます。ですから,性格の異なるリリをとにかくたくさん用意しました。
プレイヤーそれぞれが,この子がいい,と思えるリリを見つけて,その子を自分の家に呼べるようにする。そこをいちばん重視しています。
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4Gamer:
日用品をDIYやクラフトの舞台にするというアイデアは,どのように出てきたのでしょうか。
テクニカルディレクター:
現実の物の中から,まずサイズが変わらない物を探しました。たとえばボトルです。ボトルの大きさは誰の家にあってもだいたい同じで,ほとんど変わりません。ノートPCもそうですね。
サイズが動かない物を選んでDIYの対象にすると,プレイヤーは自分が本当にミニチュアの世界にいると感じられます。そこがこのアイデアの肝でした。
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4Gamer:
家づくりの自由度はどのくらいありますか。
テクニカルディレクター:
プレイヤーのホームは,机の上に建ちます。その机の上にある物は,何でも飾りに使えます。家の中も同じで,採集してきた素材から家具を作り,好きなように配置できます。自由度は非常に大きいと言っていいと思います。
4Gamer:
本作はどのような層に向けて作っているのでしょうか。
テクニカルディレクター:
実のところ,特定のターゲット層は定めていません。タグを付けてユーザー像を絞り込むよりも,遊園地のような場所をこちらが用意して,その中でプレイヤーが自分のほしいものを見つけてくれるほうがいい,と考えています。
本作を遊ぶあいだは速度を落として,ゆっくり過ごしてほしいんです。癒される場所は用意しておくので,そこで自分を回復させてもらえれば,というのが私たちの願いですね。
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4Gamer:
東京ゲームショウに出展したバージョンから,今回のベータ版はどこが変わりましたか。
テクニカルディレクター:
まずグラフィックスの品質が大きく上がりました。細部の作り込みに力を入れていて,たとえばプレイヤーキャラクターの髪は,以前より格段に細かくなっています。
リリの数も増やしましたし,モーションも,楽曲も,シーンに置かれるオブジェクトも増やしました。
そして今回いちばん大きな変更は栽培システムです。以前は作物を収穫するだけでしたが,今はカボチャを育ててカボチャの家にできます。育てた作物を使って色とりどりの建物を建てることもできますし,変異する作物のような要素も入りました。
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4Gamer:
クローズドβテストで得たフィードバックのうち,もっとも価値があったものは何でしたか。
テクニカルディレクター:
カボチャの家です。というより,栽培まわり全般ですね。もっと栽培を遊ばせてほしい,という声がプレイヤーから多く寄せられて,それが今回の実装を押し出す形になりました。カボチャを育てて家にする,カボチャで区画を作る,といった遊び方は,プレイヤーの声から出てきたものです。ここがいちばん大きな成果だったと思っています。
4Gamer:
基本プレイ無料とのことですが,マネタイズはどう設計するのでしょうか。
テクニカルディレクター:
具体的な設計はまだ固まっていません。ただ優先順位ははっきりしていて,1番目がユーザー体験,2番目が公平さ,3番目がミニチュア世界への没入感です。この3つを崩さない範囲で考えます。詳細は現段階ではお話しできません。
基本プレイ無料を選んだ理由は,遊び始めるハードルを下げたいからです。お金を大きな壁にしたくない。より低いコストで本作に触れてもらって,好きになってもらいたいと考えています。
4Gamer:
アップデートは,どのような方針で行う予定なのかを教えてください。
テクニカルディレクター:
サービス開始後は,さまざまなテーマでアップデートを行っていきます。季節ごとに新しいテーマのイベントを展開して,継続的に新しいコンテンツをお届けする予定です。
地域や文化の祝祭に合わせたテーマも考えています。ハロウィンや春節といったものですね。今後は,各地域のニーズに合わせて,その地域ならではの特色を取り入れたイベントも展開していく予定です。ただ,更新の具体的なスケジュールと時期は,今後の運営状況を見て決めることになるので,まだ確定していません。
4Gamer:
ほかのIPとのコラボレーションも期待できそうですよね。
テクニカルディレクター:
やります。間違いなく,たくさんやります。すでに動いている計画もあります。ただ,どのIPと組むのか,どういう内容になるのかは,現段階ではお話しできません。
4Gamer:
ありがとうございました。
テクニカルディレクターが繰り返したのは,現実でサイズの変わらない物を選ぶ,という話だった。ボトルもノートPCも,誰の机の上にあっても大きさはだいたい同じだ。その動かない基準があるからこそ,自分が縮んだという感覚が成立する。プロデューサーが見た夢を遊べる形にするための条件が,そこにあったわけだ。
カボチャの家がプレイヤーの声から生まれたという話も,その延長線上にあるのだろう。机の上に何を置くかは,作り手だけが決めることではない。会期中のブースは人が絶えず,ウーパの前にも来場者が集まっていた。
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