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脳波と体の動きでゲームをプレイ。TGSの「オールアクセシビリティコーナー」をレポート[TGS2026]
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印刷2026/09/25 10:00

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脳波と体の動きでゲームをプレイ。TGSの「オールアクセシビリティコーナー」をレポート[TGS2026]

オールアクセシビリティコーナー。アクセシビリティは,障害を持つ人だけでなく,すべての人に関係することでもある
画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / 脳波と体の動きでゲームをプレイ。TGSの「オールアクセシビリティコーナー」をレポート[TGS2026]
 東京ゲームショウ2026(以下,TGS 2026)会場の一角に「オールアクセシビリティコーナー」というエリアが設けられていた。
 アクセシビリティは,利用のしやすさや近づきやすさを意味する言葉だ。近年では体に障害がある人や高齢者を含めて,誰にでも使いやすい製品やサービスを目指す取り組みについて用いられることが多い。
 ゲーム業界でも以前からアクセシビリティに対する取り組みが行われてきたが,ここ数年でさらに注目を集めている。

 東京ゲームショウのオールアクセシビリティコーナーは,2025年に新設されたコーナーである。TGS 2026では,アラヤと日本電子専門学校 Project Allcea&岡山大学病院という2つのブースが出展されていた。

アラヤブース
画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / 脳波と体の動きでゲームをプレイ。TGSの「オールアクセシビリティコーナー」をレポート[TGS2026]

 まずはアラヤの展示から紹介しよう。
 アラヤは,東京ゲームショウ2025(以下,TGS 2025)にも出展しており,脳波と体の動きを合わせた入力方法などで注目を集めた。TGS 2026でもその方向性は変わらない。
 今回は,手のひらサイズの簡易型脳波計測デバイス「NeuDots」の開発版と,それを活用するゲームを展示していた。

NeuDots
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 NeuDotsは,額の左右と耳の後ろに電極シールを貼るだけで脳波を計測できる小型機器だ。脳波の計測というと,大型のヘッドギアを想像しがちだが,それと比べるとかなりシンプルだ。

額と耳の後ろに電極を取り付ける
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 アラヤによると,研究用機器のような性能の高さではなく,α波などゲームに使いやすい指標をリアルタイムに計測できる手軽さを優先したそうだ。SDKも提供しており,UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンとの連携も行えるとのこと。
 手に取りやすい価格帯を目指しているとのことで,ブースのスタッフによると5000〜1万円程度の価格を想定しているという。

 同社ブースでは,NeuDotsを使用していくつかのゲームを体験できた。
 まずは脳波とカメラを利用してドラゴンを討伐するアクションゲームである「NeuroWizards」を紹介しよう。


 本作は,計測した脳波によって魔力をチャージして,顔の向きや体の動きで魔法の照準を合わせる仕組みだ。落ち着いたときに検出されやすいα波によって,チャージのスピードが変化する。

チュートリアルで計測した脳波の傾向から火,氷などの魔法属性が決まる。筆者は氷属性だった
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 ブースの操作説明には「瞬き」とあったが,攻撃魔法は目を閉じて魔力をため,詠唱完了を知らせる効果音の後に目を開くと発動される。回復魔法の場合は,最初に笑顔を作って魔法を切り替えた後に,魔力をためる流れだ。

回復魔法のチュートリアル
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 目を閉じている間は魔力をため続けられ,最大で3段階まで効果を上げられるという。

魔力は3段階でためられる
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1段階めはシンプルな魔法攻撃。1段階めはシンプルな魔法攻撃。目を開けるとそれが実行されるので,それに合わせて撮影するのが大変だった
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2段階めはターゲット方向に複数の氷矢が飛んでいく
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3段階めは広範囲に氷が降り注ぐ
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魔法の段階はビジュアルでも分かるようになっていた
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 カメラは目の開閉や表情,体の動きを検知しており,前後左右に体を傾けるとゲーム内のキャラが移動する。

 実際にドラゴンの討伐に挑んでみた。
 戦闘にはNPCも参戦するため,意外にも魔力のチャージと魔法の詠唱に集中できる。操作説明を見たときに「目を閉じてる間に敵が移動するかも」と思ったが,ドラゴンの場合は動きがゆっくりなので,次の動きを予測したり,効果音である程度の方向を察知したりすることでなんとか対処できた。

ドラゴンとの戦い。動きが比較的緩慢なのでなんとか詠唱する余裕があった
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移動が思ったようにできず,ブレスを食らう場面もあった
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 逆に難しかったのは,味方NPCへの回復魔法だ。対象となるキャラクターに照準を合わせないと魔法の効果が発動しない。ドラゴンに比べて味方キャラクターはかなり小さく,細かく動くので,目を開いたときに照準の先に誰もいないことが何度もあった。「なんで回復しようとしているのに動いてるの。もー!」である。

 このほか,NeuDotsを活用したゲームとして「カイソータクシー」というアドベンチャーゲームも展示されていた。
 プレイヤーはタクシーの運転手となって乗客を目的地まで送り届けるのが目的だ。赤信号で車が止まったときに目を閉じると,乗客の心の声が聞こえる。それを手がかりに会話したり行き先を変更したりすることで,ゲームの結末が変わるという。
 今回は取材日程の関係で試遊できなかったが,非常に人気を集めていた。

カイソータクシー
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 また,アラヤブースには,NeuDotsよりも大がかりな機器を使うアクションゲーム「MindRunner」もあった。

MindRunnerのタイトル画面。前に進むキャラクターを操作して左右に動いたり,障害物を回避したりしてコース上のコインを集めるスコアアタック系のゲームだ
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装着したデバイス
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8チャンネルで脳波を計測する
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 MindRunnerは,操作のキャリブレーションからゲームがスタートする。
 まずは左右の手を実際に動かすアクションを何度も繰り返す。その後,頭の中で「右手を動かすぞー!」とイメージすると,ゲーム内のキャラクターが右に動く。
 手を動かそうとするときに生じる脳波の変化である「運動想起」によって操作する仕組みだ。複数の位置から脳波を計測し,左右どちらの手を動かそうとしているかを判別するという。

両手をゲームに使う関係上,画面の撮影ができなかったので操作説明書を掲載する
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 ブースのスタッフから「少し手を握るようにしてみると動きが読み取りやすい」と説明されたが,そのとおりにしてもなかなかうまくいかない。そこで自分の動きを見直して,少し意識を変えてみた。
 たとえば,右方向の障害物を避けるときは,左手を軽く握って頭の中で「左に動く!」とイメージする。このときに障害物を注視するのではなく,避けたい方向に目線を向けるようにしたところ,回避率が上昇した。人体の不思議である。

 スタッフによると,本来はAIを利用しつつキャリブレーションにもっと時間をかけて,脳波の傾向をつかむことで精度が向上するそうだ。
 こうした運動想起を利用した入力方法は,従来のコントローラーが使いにくい人でもゲームがプレイできるようになると同時に,体の状態を使った新しいゲーム開発にもつながるかもしれない。

 続いては,日本電子専門学校 Project Allceaと岡山大学病院の合同ブースを紹介しよう。
 こちらは小児がん患者などを対象としてVRリハビリテーションの研究に取り組んでいる。長期入院にともなう筋力低下と,入院生活やリハビリで生じる心理的な負担という課題に対して,ゲームを使って楽しく体を動かす機会を作ろうというものだ。説明資料には「つらいを楽しいへ。」というキャッチが添えられていた。

日本電子専門学校 Project Allceaと岡山大学病院の合同ブース
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 当初はアクセシビリティを意識して開発が進められていたわけではなかったという。Project Allceaが開発していたゲームを岡山大学病院側が知り,リハビリに使えるのではないかと着目したことで,共同開発体制になったそうだ。
 現在は岡山大学病院で得られた臨床現場のニーズを取り入れ,日本電子専門学校の学生らがゲームを開発する体制とのこと。

 TGS 2025では,腕を上げて魔法を放つゲームや,自転車タイプのエルゴメーターでVR空間を走るゲームが展示されていた。
 今回新たに展示されていた「さかなつりVR」は,腕と脚の訓練をターゲットにしたもので,腕の上下で魚を誘い,自転車ペダルを漕ぐことで魚を釣り上げるといった操作を採用する。

さかなつりVR
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さかなつりVRの操作説明
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腕にセンサーを取り付ける
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自転車タイプのエルゴメーター
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 一般的な釣りゲームの場合,フッキングのタイミングで素早い操作を求めることが多い。
 これに対してさかなつりVRでは,適切な速度をキープしてリハビリ運動を行うことを目的としている。つまり,伸ばした手をゆっくり上下させ,ゆっくりペダルを漕ぐ必要があるわけだ。

矢印の移動に合わせて腕の上げ下げを行う。ペダルも魚マークの移動に追いつく速度で漕げばよい。矢印とバーは,もう少し見分けやすくしてほしいところだ
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 先のステージに行くとレアな魚を入手できる分,運動する時間が長くなっていく。実際にプレイしてみたのだが,ペダルはともかくとして,腕の上げ下げがつらい。
 ステージが進むほどゆっくり上下させる時間が長くなり,これを繰り返すことになる。普通に腕を上げ下げするだけでは飽きてしまうが,ゲームとして遊びながらのほうが続けられそうだ。


なぜゲームにアクセシビリティが必要なのか


 冒頭でも紹介したように,ゲーム分野ではアクセシビリティへの対応が進められている。
 たとえば「ストリートファイター6」は,相手との距離や攻撃の上中下段,各種ゲージの残量などを音で知らせるサウンドアクセシビリティ機能を備えている。
 開発には視覚に障害のあるeスポーツプレイヤーも協力しており,画面を見て得ていた情報を,音からも受け取れるようにしているという。

 2026年5月発売の「Forza Horizon 6」でも,筆者が初めて起動したときに表示されたのは,アクセシビリティを含むプレイ環境の設定だった。

 配信プラットフォームでの対応も行われている。PlayStation StoreやSteamでは,各ゲームが対応しているアクセシビリティ機能を確認可能だ。

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[2023/04/04 12:06]
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[2025/04/23 12:46]

 ハードウェアでは,ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「Access コントローラー」のほか,Microsoftの「XBOX Adaptive Controller」や「XBOX Adaptive Joystick」といった製品が知られている。

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[2025/03/19 18:45]

 たとえば,Access コントローラーはPlayStation 5向けの周辺機器で,ボタンキャップの形状や機能の割り当て,アナログスティックまでの距離などを調整でき,机や車いすのトレイに置いたまま使える製品だ。4つの3.5mm端子から,外部スイッチやボタンなどを追加することもできる。
 アクセシビリティへの対応は,ソフトとハードの両方で行われているのだ。

 この動きはゲームに限らない。Webの分野には,幅広い利用者がコンテンツを使えるようにするためにW3C(World Wide Web Consortium)が「WCAG」(Web Content Accessibility Guidelines)を定めている。米国では州・地方政府のWebサイトやアプリの要件にも採用されている。

 日本でも障害者差別解消法の改正によって,民間事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化された。これにより,事業者には個別の状況に応じて,その実施にともない負担が過重でない範囲で,バリアを取り除くために必要かつ合理的な対応をする義務が生じるわけだ。
 ただ,事前に利用環境を改善する「環境の整備」は努力義務にとどまる。
 これらはゲームに対して一律に特定機能の実装を求めるものではないが,利用に対する障壁を減らすことは社会全体の課題になっているといえるだろう。

 アクセシビリティは,加齢による身体機能の衰えや,色の見え方などの変化にも関わる。老眼も身近な例だ。
 情報の受け取り方や操作方法を増やすことは,それまで遊びに参加できなかった人に新たな入口を用意することでもある。けがをしたり年齢を重ねたりしても,これまでと同じようにゲームを楽しめるだろうか? 次にゲームの設定画面を開いたとき,ほんの少しだけ意識してみてほしい。

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