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球春到来! アメリカ生まれの,隠れた名作野球シミュレーション「Out of the Park Baseball」の魅力と,その秘められた可能性を考える
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印刷2011/05/03 00:00

レビュー

球春到来! アメリカ生まれの,隠れた名作野球シミュレーション「Out of the Park Baseball」の魅力と,その秘められた可能性を考える

 球春到来! アメリカでは日本より一足早い2011年4月1日(現地時間)に大リーグが開幕しましたし,日本のプロ野球は,いろいろありましたが,4月12日に両リーグが同時に開幕しました。また,4月29日には仙台にもプロ野球が帰ってきました。

 やってよし,見てよしの国民的娯楽,野球。それだけに,野球をテーマにした数多くの名作ゲームも登場しました。ゲームシステムも多種多様で,試合状況に応じて操作する選手を変えつつ,監督視点でプレイするものもありますし,1人の選手としてシーズンを戦い抜くものもあります。

Out of the Park Baseball

 そんな中,ここで紹介する「Out of the Park Baseball」(以下,OOTP)は「長期的視野でチームを強化し,ペナントレースの優勝を狙う」タイプの作品です。詳しいゲーム内容は後述しますが,1999年の初登場以来,毎年のようにバージョンアップを続けてきた息の長いゲームで,最新版はOOTP11となっています。今回は,日本ではあまり知られていないと思われる本作の魅力を探ってみましょう。
 ペナントレースが始まったばかりで,どの球団のファンも優勝の夢をみることができる穏やかな時期です。野球ゲームを楽しむにもいい頃合いだと思いますので,この記事で興味を持った人は,ぜひプレイしてください。

現行最新作品OOTP11。2009年までのデータを網羅。ジャイアンツファンは近日発売予定のOOTP12を待とう
Out of the Park Baseball

「Out of the Park Baseball」公式サイト



やきゅつくの場合:見ろ,これが計画性だ


「プロ野球チームをつくろう!2」は,極小のカートリッジにプロ野球ファンの夢を凝縮
Out of the Park Baseball
 長期的視野でチームを強化し優勝を狙う野球ゲームは,OOTPのほか,日本にもアメリカにもいくつかありますが,日本での定番作品といえば「プロ野球チームをつくろう!」(やきゅつく)シリーズでしょう。
 プレイヤーはGM(ゼネラルマネージャー)として,与えられた資金の範囲内でトレード,ドラフトなどを行ってチームの強化をはかり,リーグ優勝と日本一をめざします。

 プレイヤーはゲーム開始時に,オーナーから「一定期間(5年または10年)以内に日本一になること」という任務を課され,これを達成できないとクビになります。そしてクビ画像は(とくにデフォルメキャラ採用作品において)いつも秀逸です。

 それはともかく,逆にいえば,9年間最下位を激走しても10年目に日本一になりさえすればクビにならずにすむわけで,余談ですが,実在球団にもこの程度の太っ腹さが欲しい気もします。ともあれ,総じてプロ野球ファンの夢を実現した優れたゲームだと思います。


OOTPの場合:見ろ,これが弱肉強食だ


 さて,アメリカにおけるこのジャンルの定番作品がOOTPシリーズなのですが,それ以外のゲームとしては「Baseball Mogul」シリーズがあります(2011年5月現在,いずれも英語版のみ)。Baseball Mogulについてここでは説明しませんが,こちらも傑作の名に恥じない優れたゲームです。

あまり変わっていないように見えるが,こちらは2006年までのデータが入ったOOTP8。公式サイトから無料ダウンロード可能なので,買おうかと迷っている人は,まずこちらをプレイしてみてもいいかも
Out of the Park Baseball

公式サイト OOTP8 ダウンロードページ


 さて,OOTPシリーズは大雑把に言って「すごくバリエーション豊富なやきゅつく」です。ざっくり分けて2つの遊び方があります。
 まず世界数百国のどこかを舞台にした架空リーグでのプレイ。その気になればカブール・フラットトップス対マザリシャリフ・レーサーズのデッドヒートを楽しむことも可能。

 もう1つは,1871〜2009年までのメジャーリーグ全選手のデータを使った史実リーグです。100年以上にわたる歴史の中,何人の選手がデータ化されているかはもはや考えたくありません。ともあれ,ものすごいことになっています。
 で,この史実モードのどこが面白いかといえば,長期的視野に立ったチーム強化に加えて「状況の変化によるドクトリンの変化」が楽しめる点です。1920年の「飛ぶボール」の採用,1963年のストライクゾーン拡大などの状況変化は野球というスポーツを多かれ少なかれ別物にし,新たなドクトリンの採用を強要します。

1871〜2009年の全選手データを収録,1901〜2009年は各年の球史つき。つまりこの水準の解説が109年ぶん入ってるわけで,この時点でもう普通のゲームじゃない
Out of the Park Baseball

 さてそのうえで,私見ですがこのゲームとやきゅつくの一番の違いは勝利条件にあります。このゲームのGMは,毎年の開幕時点で「5割勝て」「ワールドチャンピオンを取れ」などの,チーム戦力に応じた達成目標を出され,これを達成できないとクビになる「ことがある」のです。
 まあ,それだけならいいのですが,実は達成状況の査定はシーズン終了後だけではなくシーズン中のすべての時点で密かに行われるのです。これが,つまりどういうことか説明しましょう。例えばGMであるプレイヤーが2009年の強豪,ヤンキースを率いるとしましょう。AIが担当するヤンキースのオーナーは今年の戦力を査定します。

Out of the Park Baseball
「オーナーは,君のヤンキースに弱点は一切ないと考えておいでだ」不吉な言葉
Out of the Park Baseball
豪語を裏付けるヤンキース充実のラインナップ

 その結果,開幕時に達成目標が告知されます。「がんばろう」とかいったスローガンではなく具体的な目標です。この場合は,「ぜんぶ勝て」(win it all)でした。
 このwin it allてのはむろん,全試合勝てという意味ではなく,必ずワールドシリーズで優勝しろという意味です。ちょっと気が楽になりましたか? なりませんね。そして,このチームが主力の大ケガなどで下位に沈んだが最後,GMは6月の段階でクビになります。

「ぜんぶ勝て」
Out of the Park Baseball

 幸いこのゲームでは,GMのクビはゲームオーバーを意味しません。プレイヤーは各チームの戦力を見たり,「来期自分に声をかけてくれるところはないかなあ」と思ったりしながら,ゲームを10月まで早送りすることになるでしょう。
 このテの「中間査定」システムはボード版のウォーゲームの勝利条件にも見られる手法なのですが,コンピューターゲームでは中間査定の基準がプレイヤーに見えず,いっそう有効に働きます。
 そのため,プレイヤーは,数年後を見すえた補強と,今期のドロナワ的補強の双方に頭を使わねばなりません。

あっさりクビ
Out of the Park Baseball

 FAを宣言した中心選手を引き止めるかどうか。引きとめずに,FAに対する補償としてドラフトでの選手指名権を得るほうが,5年後を考えれば有益ではないか。金の卵を放出して,「今年は働いてくれるが,来年はFA必至の強打者」を獲得すべきかどうか。まだ体のできてない有望若手投手を,今年のクビをつなぐために一軍でフル回転させるべきかどうか。そもそも,今年は優勝を狙う年なのか,そうでないのか……。

 これらの思考には,ある種の「思考の快感」があります。それはプロ野球ファンの感じる気持ちと完全には重なりませんが,しかし無関係でもない,不思議な面白味です。

 そして広くゲームにおける勝利とは何か,敗北とは何かを考える上でも非常に参考になります。私見ですがこの中間査定システムこそがOOTPのキモで,そしてこのシステムは野球に限らずコンピュータ版シミュレーションゲーム一般に流用可能であるように思います。戦国モノやSFモノでプレイヤーの指揮する戦場の状況が思わしくなかった場合,ゲームの途中で使者が来て「指揮権剥奪,首都へ召還」という命令を持ってくるとか。プレイヤーには「その使者を闇に葬ったうえで戦争に勝つ」という最後の逆転の手段が与えられているとか。きっと面白いはずです。

 野球ストラテジーとして抜群の完成度を誇るうえ,ときとしてそれ以上のことを考えさせてくれるOOTP。英語版しかないのが残念ですが,通販サイトなどを使えば容易に購入できますし,公式サイトからフルバージョンをダウンロードして,アクティベートするという方法もあります。値段もそれほど高くありません。
 気になるけど,ちょっとためらってしまうという人は,デモ版を試してみるのがいいでしょう。球春到来の今,ぜひOOTPをお楽しみください。

「Out of the Park Baseball」公式サイト


  ■コラム:監督の事情
Out of the Park Baseball

 多くのプロ野球ゲームにおいて,プレイヤーの立場は「GM兼監督」というべきものです。やきゅつくやOOTPは厳密に言えば「基本GMだが,監督として試合に口出しもできる」というところでしょうか。まあそんな立場の監督は日本には多く,アメリカでも昔は多かった以上,これは理にかなっているのでしょう。
 そんな中で特筆すべき一本が,PlayStation向けソフト「ダグアウト'99」です。これは何が良かったといって,プレイヤーの立場を「フロント業務は原則ナシ,あくまで現場で指揮をとる監督のみ」として明確化しているところです。例えば選手を補強したいときは「AチームのB選手が欲しい」ではなく,「外野に右打ちのスラッガーが欲しい」「左のワンポイントが欲しい」という要望をフロントに上げておくとそのうちフロントが具体的な話を持ってきてくれるというあんばい。このアイデアは今でもいいと思うんですが,どこかがまねてくれないでしょうか。



こんなとこ誰も読んでないと思うけど,一応,1912年球史の翻訳
 1912年ワールドシリーズの最後は劇的だった。リードを許したボストン・レッドソックスだったが,10回裏に逆転,ニューヨーク・ジャイアンツを3対2で降したのである。レッドソックス打線爆発のきっかけは,ニューヨークの中堅手フレッド・スノッドグラスがなんでもない飛球を落したこと。そして最後は,レッドソックスのラリー・ガードナーの犠飛で決着した。ジャイアンツは1勝3敗からルーブ・マーカードと新人ジェフ・テスローの二つの完投勝利で追い上げるも最後は涙を呑んだ。

 この年,レッドソックスは新球場フェンウェイ・パークのこけら落しを22歳の“スモーキー”(「目にもとまらぬ快速球」ほどの意)ジョー・ウッドの快投で飾った。この日ニューヨーク・ハイランダーズ(後のヤンキース)を降したウッドの年間成績は34勝5敗。だがこの年のアメリカン・リーグ最高の投手はワシントン・セネターズのウォルター・ジョンソンで,33勝12敗,防御率1.39,303奪三振という成績を残して,弱小セネターズをまさかの2位に引き上げた。デトロイト・タイガースのタイ・カッブは.409という打率を残してアメリカンリーグ首位打者になるも,チームは8球団中6位に沈んだ。レッドソックスのチーム首位打者は,トリス・スピーカー(.383)。

 ナショナルリーグではジャイアンツが2位に10ゲーム差の独走態勢からさらに(6月19日から7月3日にかけて)16連勝,ペナントレースの火を完全に消した。ルーブ・マーカードは開幕19連勝でシーズン26勝。マーカードとナ・リーグの最多勝を分け合ったのがシカゴ・カブスのラリー・チェニーである。首位打者は同じカブスのハイニー・ジマーマン。パイレーツのホーナス・ワグナーは38歳で102打点を稼いで打点王を獲得。.324の打率を残した。

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