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「パズドラ」と「マリオ」がタッグを組んだ理由と,作品の魅力とは? ガンホー・オンライン・エンターテイメント代表取締役社長CEOの森下一喜氏に聞く
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印刷2015/05/27 12:00

インタビュー

「パズドラ」と「マリオ」がタッグを組んだ理由と,作品の魅力とは? ガンホー・オンライン・エンターテイメント代表取締役社長CEOの森下一喜氏に聞く

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 ガンホー・オンライン・エンターテイメントは現在,ニンテンドー3DS用ソフト「パズル&ドラゴンズ スーパーマリオブラザーズ エディション」(以下,パズマリ)を発売中だ。
 本作は,同社の看板タイトルであるスマートフォン向けパズルRPG「パズル&ドラゴンズ」(以下,パズドラ)と,任天堂の世界的なヒット作「スーパーマリオブラザーズ」(以下,スーパーマリオ)が,いわゆるダンジョンコラボなどではなく,ゲーム丸ごと“タッグ”を組んだ作品である。
 ジャンルもメーカーもプラットフォームも異なる2本のビッグタイトルが,このようなタッグを組むに至った経緯はどういったものだったのだろうか? ガンホー・オンライン・エンターテイメント代表取締役社長CEOの森下一喜氏に気になるところを聞いてみた。

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「パズル&ドラゴンズ スーパーマリオブラザーズ エディション」公式サイト



パズルアクションに特化したパズマリで

“パズドラという遊び”を広げたい


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 さっそくですが,パズドラとスーパーマリオがタッグを組むに至った経緯を教えてください。

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森下一喜氏(以下,森下氏):
 それではまず,ニンテンドー3DS(以下,3DS)でパズドラを出すことになったいきさつから説明させてください。
 実はスマートフォン版のパズドラを企画している段階から「3DSでもパズドラを出したい」という構想はあったんです。

4Gamer:
 パズドラのリリースが2012年2月ですから,企画段階というとかなり前のことですよね。

森下氏:
 ええ。実は,初期段階のパズドラには“プレイヤー用のキャラクター”というものが存在していました。この“プレイヤー用キャラクター”を選んで,モンスターとチームを組ませるという形だったんですが,開発を進めていくうえで,「このアイデアは3DS版で使えばいいだろう」ということになり,パズドラはモンスターだけでチームを組む現在の形へと落ち着いたんです。

4Gamer:
 そうだったんですね。その時点で,3DS以外の携帯機でリリースすることは検討しなかったんですか?

森下氏:
 もともと,家庭用ゲーム機で出すなら3DSにしようと考えていたので,そこの部分にブレはありませんでした。
 スマートフォン版を企画しているとき,画面全体にドロップが表示されていたのでは親指でのプレイがしにくくなるということもあって,ドロップを表示する領域を画面の下にまとめたんですね。そして,空いた画面の上部分にモンスターを表示したんですが,上と下に画面が分かれた様子が3DSの2画面にピッタリだろう,と。

4Gamer:
 確かに,スマートフォンの画面が二つの領域に分割されていて,下画面をタッチ操作するというのは,3DSと共通していますね。
 では,2013年に「パズドラZ」が発売されたのも,そういった初期段階の構想があったから,ということですか?

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パズドラZ
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森下氏:
 はい。それに加えて,小さなお子様や,スマートフォンを持たない方にも遊んでいただこうということで,RPG的な作りにしたのがパズドラZです。実際に,スマートフォン版とは異なる層の方々に遊んでもらうことができました。
 そこからさらに,“パズドラという遊び”を広げていくべく,もっとパズルアクションに特化したゲームを出せないかと考えていたんです。

4Gamer:
 “パズドラという遊び”,ですか。

森下氏:
 現在,パズドラのダウンロード数は日本国内で3600万を突破しています。単純計算では,スマートフォンを持っている人のおよそ2人に1人が,パズドラをダウンロードしていることになります。

4Gamer:
 あらためて考えると,3600万というのはもの凄い数ですね……。

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森下氏:
 それでも,スマートフォンを持っていてもパズドラを遊んだことのない方が,まだ半分はいらっしゃるわけです。
 我々としては,“パズドラという遊び”をもっと広めていきたいんですね。「パズル&ドラゴンズ」というタイトルの知名度だけではなく,“ドロップを自由に動かせるアクション性を持ったパズル”という意味での“パズドラという遊び”を浸透させていきたいな,と。
 落ちてくるブロックをそろえて消していくというパズルを見れば「テトリス」の名前を連想するように,ドロップを動かしてそろえていく遊びがパズドラである,というぐらいになってほしいんですよ。

4Gamer:
 そのためにはプラットフォームを限定する必要もない,と。

森下氏:
 そういうことです。我々もいろいろな人にパズドラに関して聞いていますが,遊んだことのない方からは,「難しそう」というご意見をいただくことが多いんです。

4Gamer:
 「パズル」と聞いた瞬間に,身構えてしまう人もいますよね。

森下氏:
 ですがもともとパズドラは,カジュアルな層の方々に,アクションゲームの持つ息詰まる面白さを体感してもらえないだろうかということで作り始めたものなんです。いわば,“パズルという皮を被ったアクション”と言ってもいいかも知れません。
 格闘ゲームに例えるなら,必殺技コマンドを入力する行為に近い性質を持つのが,ドロップの操作なんですよ。

4Gamer:
 そう聞くと,実際に操作してみたときに感じる手応えや爽快感の理由が分かるような気がします。
 ただやはり,パズドラもパズドラZも,アクションゲームとして認識している人は少ないですよね。

森下氏:
 そこで,よりパズルアクションに特化したゲーム性を持つ作品を3DSで作りたいと思いまして。

4Gamer:
 3DSでアクションといったら……。

森下氏:
 「スーパーマリオとタッグを組む」という考えにはなりますよね(笑)。

4Gamer:
 たとえ思いついても,「そりゃ無理だ」となりそうですが(笑)。

森下氏:
 僕らも無理なんじゃないかとは思っていました。このようにプラットフォームをまたいだタッグはなかなかありませんしね。でも,ダメでもともと,という覚悟で作りはじめたんです。

4Gamer:
 試作品の手応えはいかがでしたか?

森下氏:
 スマートフォン版やパズドラZとは全然違ったゲームになった,というのが作ってみての第一印象でした。パズルアクションに特化したことで,遊び方そのものが違うものになったんです。
 任天堂さんにお見せしたときにも非常に良い反応を頂けました。すでにパズドラZが出ていたことで,ご理解頂きやすい環境ができていたというのもあるかも知れません。


タッグを組む相手として,

「スーパーマリオ」以外は考えたこともない


4Gamer:
 実際に遊んでみると,異なるジャンルのタッグでありながら,違和感がないことに驚きました。

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森下氏:
 スーパーマリオはアクションゲームで,パズドラはパズルアクションですから,相容れない部分もあります。本来,マリオがステージを進んでいく感覚も,パズドラとは違うもののはずなんですが,パズマリでは両者がうまく馴染みましたね。
 そこで大きな役割を果たしたのは,効果音です。パズマリにはスーパーマリオの効果音が入っているんですが,それだけでもパズドラを遊んだときとは違う感覚が生まれるんですよ。

4Gamer:
 それぐらい,スーパーマリオの効果音が我々の耳と心に深く刻まれているということかもしれません。

森下氏:
 気がつくとスーパーマリオをやっているような感覚になっているんですよね(笑)。
 分かれ道で土管やツタを選んだりするのもスーパーマリオ的ですし,スーパーマリオでいうところの残機の概念もコンティニュー回数や1UPキノコという形でパズマリに取り入れています。自分でコンボを決めて1UPキノコを出し,コンティニュー回数を増やしていくあたりは,パズマリならではです。
 このように,パズマリにはスーパーマリオ的要素がふんだんに取り入れられているんですが,それは携わった人間みんながスーパーマリオ好きだったからこそなんですよ。

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4Gamer:
 スーパーマリオシリーズは2D横スクロールものから3Dアクションまで,さまざまなタイプの作品がありますが,スタッフ間で“スーパーマリオ的な要素”に関する認識,言い換えれば“スーパーマリオ観”が異なっていたりはしませんでしたか?

森下氏:
 そういうことはとくになく,スーパーマリオといえばこういう要素だろうという共通認識ができていたので,すんなりと決まっていきました。
 まるでみんなの脳内がリンクしているという感じで「“スーパーマリオ的な要素”とは何か?」というような議論もありませんでしたし。やはり,みんなが子供の頃から遊び続けているタイトルには,それだけの力があるんですよ。

4Gamer:
 さすが国民的長寿シリーズ,といったところでしょうか。

森下氏:
 ええ。例えば,パズマリ独自の要素として,クッパ軍団のメンバーを仲間にすることができます。クリボーやノコノコ,ゲッソーといったおなじみのキャラクターと一緒に冒険したり,育てたりもできるんです。パズドラにおける「進化」もパズマリでは「へんしん」という形になっていますし。
 ただ,チームリーダーだけはマリオかルイージで固定なんです。クリボーに連れられるマリオなんて,ちょっとおかしいですからね(笑)。

4Gamer:
 スーパーマリオらしさを維持するうえで,そこは外せないポイントですね(笑)。
 ドロップの図柄もスーパーマリオにちなんだものになっていますが,こちらもすんなりと決まったのでしょうか。

森下氏:
 そうですね。火といえばファイアフラワーでしょうし,木はスーパーこのは,光はスター,闇は毒キノコだろうと。水ドロップの図柄に関してのみ少し議論がありましたが,最終的にはペンギンスーツに決まり,ハートドロップ以外はすべてスーパーマリオにちなんだ図柄となっています。

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4Gamer:
 そういったこともあってか,全体的にかなりスーパーマリオ色が強い仕上がりだと感じました。

森下氏:
 ありがとうございます。キャラクターを覚醒させるときだけは,パズドラの世界からたまドラが登場しているんですが,これはたまドラが覚醒というシステムを象徴するキャラクターだからということで,任天堂さんに「ぜひ!」とお願いして出させていただいたという経緯があります。
 とはいえ,たまドラを前面に押し出すようなことはしていません。それはスーパーマリオの世界観を尊重しているからなんです。

4Gamer:
 少し話は逸れますが,スーパーマリオ以外のアクションゲームとタッグを組むような案はなかったんですか?

森下氏:
 まったく考えませんでしたね。これまでもパズドラではいろいろなIPとコラボしてきましたが,今回のパズマリのようにキャラクターや効果音までほかのIPのものにするようなことはやらない,と決めていたんです。それは「パズドラがパズドラではなくなっちゃうんじゃないか」という懸念があったからです。

4Gamer:
 パズマリだけが例外ということでしょうか。

森下氏:
 スーパーマリオは世界中で絶大な信頼を寄せられていますからね。“パズドラという遊び”を知っていただく可能性を広げていきたいという意味では,これ以上のIPは存在しないと思うんです。

4Gamer:
 確かに。つまりスマートフォン版パズドラで行われているコラボと,スーパーマリオと組んだタッグとでは,そもそも性質も目的も異なるということですね。

森下氏:
 そうです。パズドラ内で行っているコラボには,プレイヤーさんにさらにパズドラを楽しんでいただこうという狙いがあります。一方,パズマリには“パズドラという遊び”をより多くの人達に楽しんでいただこうという意味合いが強いんです。
 このように別の軸にあるものなので,パズマリではコラボではなく“タッグ”という言葉を使わせていただいているんです。融合というか,合体というか……。もちろん,コラボとタッグ,どちらも大切に思っていますよ。

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4Gamer:
 パズドラZも,従来のパズドラとは異なる層のプレイヤーを意識した作品だったと思うんですが,パズマリはそれよりもさらに広い層を意識している印象を受けます。

森下氏:
 パズドラZのメインターゲットは小さいお子様でしたが,パズマリは小さいお子様から年配の方まで安心して遊んでいただけるという,真の意味での全年齢対象の作品として作りました。

4Gamer:
 ただ,一部では同じ3DSでのリリースということもあってか,「パズドラZのキャラクターや効果音をスーパーマリオのものに変えただけなんじゃないか」といぶかしがる向きもあるようですが……。

森下氏:
 全然違うものとしてイチから作っています。スキルの使い方も,パズドラZが“蓄積したスキルゲージを消費する”というものであるのに対し,パズマリは“規定ターンが経過すると使えるようになる”という,スマートフォン版に近いシステムになっています。パッと見で違いが分からないようでしたら,「ぜひ,実際に遊んでみてください!」とお願いしたいですね。

4Gamer:
 遊べば違いも分かる,と。

森下氏:
 ドロップを動かしてそろえていくという遊び自体は,スマートフォンのパズドラもパズドラZもパズマリも同じなので,焼き直しのように思われても仕方ない部分はあると思います。しかし,この部分を変えてしまうとパズドラではなくなってしまいますから。
 とはいえ,そういった声も貴重なご意見として受け止めたうえで,今後はパズルアクション部分に新しい試みを行わなければならないかもしれない,とは考えています。

4Gamer:
 なるほど。ちなみに,スマートフォン版のプレイヤーからは,「ボリューム不足に感じられた」「難度が低い」という声も上がっているようですが……。

森下氏:
 スマートフォン版と比べると,仲間にできるキャラクターが少ないのは確かですね。スマートフォン版自体は何年もかけてアップデートを重ねてきた,いわば“秘伝のぬか床”のようなものになっていますし。
 ただ,パズマリは1本のソフトとしては充分にやりがいがあると思います。難度の高い裏ワールドもありますので,ぜひチャレンジしてみてください。

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“作り手”であって,“作らされ手”にあらず。

情熱を原動力にものを作る


4Gamer:
 より多くの人に“パズドラという遊び”を体験してもらうべく,3DSでパズマリを発売した……というのは,よく理解できるのですが……。
 一方,現在の日本の市場では,いわゆるゲーム専用機の存在感が低下しているのも事実です。そんな中,あえて3DSでゲームを出そうという原動力は,どこにあるんでしょう?

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森下氏:
 うーん……。実は,弊社がPC用のMMORPG「ラグナロクオンライン」のサービスをスタートしたときも,「家庭用ゲーム機の市場が苦しくなって,これからはすべてのゲームがオンラインゲームになる時代が来るんじゃないでしょうか?」なんて,メディアの皆さんから聞かれたんですよ。それが2002年の頃ですから,約13年前ですね。

4Gamer:
 そのときはどう答えられたんですか?

森下氏:
 「そんな時代にはならないと思いますよ」と答えました。実際,家庭用ゲーム機市場がMMORPGによって駆逐されるようなこともありませんでしたし。
 家庭用ゲーム機の市場は今後もしっかりと続いていくと思いますし,スマートフォン用ゲームは“スマートフォン用ゲーム”という一つのジャンルになっていくんじゃないかと思っています。

4Gamer:
 なるほど……。

森下氏:
 スマートフォンが生活に密着したものになってきているのは事実ですが,家庭用ゲーム機でなければ体感できない面白さもあると思います。ゲームの面白さを体感させるには,スマートフォンやアーケード,家庭用ゲーム機など,いろいろな方法があっていいんです。
 例えばパズドラも,スマートフォン版は日常のちょっとした隙間に遊んでいただくものです。これがアーケードに行けば「パズドラ バトルトーナメント -チャンピオンズ オブ ラズール-」のような対戦特化型になりますし,家庭用ゲーム機ならパズマリのようにパズルアクションにフィーチャーした,時間を費やして遊んでいただけるものになっています。

4Gamer:
 プラットフォームごとに異なる特色があるからこそ,それに応じたアレンジをしていけば,異なる楽しませ方もできる,と。
 とはいえ,継続的な運営と開発が必要であるにせよ,売り上げだけで見るとスマートフォンは圧倒的ですよね。そちらにリソースを集中するという選択肢はなかったのでしょうか。

森下氏:
 家庭用ゲーム機の市場はこれからも充分な可能性を秘めていると思うので,ここへの取り組みを止めるような選択は,ガンホーとしてあり得ません。やれるうちはしっかりとやっていかなければならないと思っています。ゲーム会社は,それしかできませんからね。
 それに,スマートフォンでは実現できない新しいムーブメントを起こすことができれば,家庭用ゲーム機に違ったマーケットが生まれる余地もまだまだあると思うんですよ。

4Gamer:
 そのためにも,家庭用ゲーム機を含めたさまざまなプラットフォームで可能性を模索していくということでしょうか。

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森下氏:
 ええ。実は我々の開発本部は,スマートフォンと家庭用ゲーム機で部署が分かれているわけではないんです。先日まで家庭用ゲームに携わっていた人が,今日からスマートフォン向けゲームを手がけるといったことや,その逆もありえます。つまり,企画の内容に応じてプラットフォームを選択できるようにしているということなんです。

4Gamer:
 あくまで企画ありきである,と。

森下氏:
 プランナーが「PlayStation 4に適した企画だ」と考えているものをスマートフォン用に変更するようなこともありません。それをやってしまったら,企画そのもののコンセプトがズレてしまいますから。
 スマートフォン用ゲームにしても,“面白い企画があれば作る”というのが我々のスタンスです。“年間×本のタイトルを開発しなければならない”というようなことは考えていないんですよ。

4Gamer:
 事業計画として,年間の開発本数を決めたりはしないんですか?

森下氏:
 それだと,数字を上げるためにゲームを作るということになってしまいます。“×本作らなければならない”のではなく“何を作りたいか”というアプローチがどれだけあるのかが自分達の本質だと思っています。
 “こんなゲームを作りたい!”という思いを原動力にして,ものを作るということですね。うまくいくという保証はどこにもないんですが,最低限そうした情熱を持っていなければ,と思っています。

4Gamer:
 計画通りの本数を開発してリリースしても,それが商業的に成功するかどうかは別問題ですし……。

森下氏:
 本当はクリエイティブと経営の両者が上手くマッチすれば最高なんですが(笑)。なかなかそうはいかないのが,ゲームというビジネスの難しさですね。自分としては“作りたいものしか作らん!”というスタンスでやっているというだけです。
 パズマリにしても,そうした事業計画的な思惑から作ったものではありませんし,そういうアプローチはません。だって作り手が“作り手”ではなく“作らされ手”になってしまいますから。

4Gamer:
 パズドラの成功も,そういった情熱があったからこそなのかもしれません。
 ところで,パズマリは海外でも発売されるとのことですが,パズドラ自体の海外での認知度はどのようなものなんでしょうか。

森下氏:
 北米市場では現在700万ダウンロードを突破しているんですが,数としてはまだまだですね。しっかりと利益が出ているのは事実ですが,大成功しているというわけではありません。
 去年のE3に出展させていただいたときには,海外の方が「Oh! パズドラー!」と大きな声を上げられたのを見たり,iPadにサインを求められたりもして,徐々に認知度が上がっている実感はありましたし,“パズドラという遊び”が海外で通用するのは分かりました。
 ただ,知名度はまだまだだと考えています。海外でパズマリはパズドラZとの2 in 1で売られているんですが,これによって“パズドラという遊び”が浸透すれば,まだまだ拡大できる成長性はあるんじゃないかと思っています。期待値は高いですね。

「ガンホーフェスティバル2015」特設サイト
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4Gamer:
 それはなかなか楽しみですね。
 さて最後になりますが,今週末の5月31日に幕張メッセで開催される「ガンホーフェスティバル2015」について,軽く見どころを教えてください。

森下氏:
 今回のガンホーフェスティバルは「カーニバル」をテーマに,アトラクション満載の,一日中遊んでいただけるようなものになっています。
 パズマリに関しては,タッグチャレンジ決勝大会も予定しています。こちらは2人のプレイヤーの点数を合計して競い合う大会ですので,お友達や親子,カップルなど,皆さん腕を磨いて参加してください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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 日本国内で3600万ダウンロードを突破し,北米でも700万ダウンロードを数えるメガヒットタイトルであるパズドラ。そんなパズドラがスーパーマリオと“タッグ”を組んだパズマリは,パズルアクションに特化し,“パズドラという遊び”をさらに広めるために作られた作品だという。
 ドロップを動かしてそろえていくというパズドラの基本ルールを踏襲しつつ,本編とはひと味違った遊び方ができる作品に仕上がっている。そこには何より,スーパーマリオへのリスペクトがふんだんに込められている点も見逃せない。
 そんなパズドラとマリオの強力タッグが海外ではどのような評価を受けるのか。そしてこの先,“パズドラという遊び”は,どういった広がりを見せるのか? 今後の展開からも目が離せない。

「パズル&ドラゴンズ スーパーマリオブラザーズ エディション」公式サイト

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    パズル&ドラゴンズ スーパーマリオブラザーズ エディション

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    パズドラZ

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