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Palit「GeForce RTX 4090 GameRock OC」をテスト。ド派手に輝く巨大クーラーはゲームでどの程度の効果があるのか
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印刷2022/10/13 20:00

レビュー

ド派手に輝く巨大クーラーはゲームでどの程度の効果があるのか

Palit GeForce RTX 4090 GameRock OC

Text by 宮崎真一


 サイズから性能まで,すべてがモンスターだったNVIDIAのAda Lovelace世代GPU「GeForce RTX 4090」(以下,RTX 4090)。そんなRTX 4090を採用したクロックアップモデルは,どれくらい性能が伸びるのか気になるところだ。そこで,Palit Microsystems(以下,Palit)の「GeForce RTX 4090 GameRock OC」(以下,Palit RTX 4090 GameRock OC)を取り上げ,クロックアップモデルはモンスター度がさらに増すのかを確かめてみたい。

GeForce RTX 4090 GameRock OC
メーカー:Palit Microsystems
メーカー想定売価:30万8000円前後(税込)
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ブーストクロックを2610MHzに引き上げ。負荷をかけると2820MHzまで上がる


GPU-Z(Version 2.50.0)でPalit RTX 4090 GameRock OCのスペックを確認したところ
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 まずは,Palit RTX 4090 GameRock OCの動作クロック設定から見ていこう。
 本製品はベースクロックが2235MHzで,ブーストクロックが2610MHzと,前者はリファレンス仕様そのままながら,後者は90MHz引き上げられている。なお,メモリクロックは21GHz相当で,こちらはリファレンスと変わらない。

NVIDIAコントロールパネルで,Palit RTX 4090 GameRock OCのシステム情報を確認したところ
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 ちなみに,後述するテスト環境において,GPU-Zで動作クロックを追ってみたところ,2820MHzまで上昇しているのを確認した。RTX 4090 Founders Editionが2715MHzだったので,こちらは105MHzも伸びているわけだ。

 さらに,Palit RTX 4090 GameRock OCでは,「Performance mode」と「Silent mode」という2種類のVBIOSを搭載している。先述の動作クロックは,Performance modeの場合で,Silent modeでは,ブーストクロックが2520MHzに低下し,リファレンスどおりの設定となった。

カード裏面のブラケット寄りに,VBISO切り替え用のディップスイッチがある(左)。ちなみに「P」がPerformance modeで,「S」がSilent modeだ。GPU-ZでSilent mode時のスペックを確認したところ(右),ブーストクロックが2520MHzに引き下げられていた
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 動作クロックについてはほかにも,Palit製の設定アプリケーション「Thunder Master」(Version 4.11)を使用すれば,ブーストクロックを−1000〜+1000MHzの範囲で1MHz刻みに,メモリクロックも−1000〜+3000MHzの範囲で1MHz刻み(※4Gamer表記では2MHz相当刻みで−2000〜+6000MHz相当)にそれぞれ増減可能だ。
 また,GPUコアの電圧も,現在の値に対する相対値という形で2倍となる100%まで,1%刻みに増やせる。
 さらに,フレームレート上限や消費電力上限,さらにGPU温度上限といった各種リミッター設定も用意されているので,その気になれば細かい調整が可能だ。

設定アプリのThunder Masterは,各種ステータスのリアルタイムモニタリングが可能だ
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Thunder Masterには,オーバークロック向けの設定も多く用意されている
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カード長は実測で約324mm

Founder Editionよりも厚い3.5スロット占有


 それでは,続いてPalit RTX 4090 GameRock OCのカードそのものについて見ていこう。

Palit RTX 4090 GameRock OCの外観。裏面側の金属製プレートで覆われている
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 カード長は,実測で約324mm(※突起部除く)で,RTX 4090 Founder Editionが約316mmだったのに比べると,9mmほど長い。

カード長は実測で約324mmと,若干ではあるがRTX 4090 Founder Editionより長い
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カード後方はGPUクーラーがはみ出ており,前面から裏面に向けて空気が流れる構造となっている
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 ただ,基板自体は約215mmほどしかないようで,GPUクーラーが100mmほどカード後方にはみ出た格好だ。
 垂直方向には,ブラケットから30mmほどはみ出ており,PCI Express(以下,PCIe)補助電源コネクタの取り付けも考慮すると,Palit RTX 4090 GameRock OCを搭載するには,PCケースにはカードの上方向にかなりの余裕が必要になるだろう。

 重量は,実測で約1967gと2kgを下回った。2.2kgほどあるRTX 4090 Founder Editionよりも200g以上軽い。

実測重量は約1967gで,RTX 4090 Founder Editionよりも軽い
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Palit RTX 4090 GameRock OCと付属品。写真中央下にあるのが組み立て式ステーで,左側がPCIe補助電源コネクタの変換ケーブル,右にあるのはLEDイルミネーション用ケーブルだ
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 とはいえ,これだけの重量を備えるために,製品ボックスにはカードを支える組み立て式ステーが付属している。このステーは,長さ108mmが2本と40mmが1本,それに70〜95mmで高さが変えられる4つのパーツで構成されており,さまざまな高さに対応可能だ。拡張スロット上に取り付けた別のカードも同時に支えられるのはユニークな点だろう。

 GPUクーラーは,近年のGameRockシリーズ(関連記事)と同様に,クリスタルデザインのクーラーを採用している。ただ,Palit RTX 4090 GameRock OCでは,3.5スロット占有タイプに厚さが増えており,RTX 4090 Founder EditionのGPUクーラーが3スロット占有タイプであったのと比べても,さらに分厚くなっている。

クリスタルデザインを採用したGPUクーラー
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厚さは実測で約70mm(左)。1スロットが20mmなので,ちょうど3.5スロット分となる。ブラケット側からカード全体を見ると(右),3スロット分のブラケットをGPUクーラーの高さが大きく上回っているのが見て取れよう
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ファンブレードの端が,上方向に折れ曲がっている
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 GPUクーラーには,100mm径相当のファンを3基搭載する。これらのファンは,Palitが「Gale Hunter Fan」と呼んでいるもので,ブレードの終端が折曲がっているのが特徴的だ。同社曰く,これがウィングレット(翼端板)として機能することでエアフローが凝縮されて,流れを乱す渦巻き効果を解消できるという。それにより,滑らかで安定したエアフローを実現することで,直下のサーマルモジュールへの風量を増しているとのこと。

 先述のThunder Masterを使用すると,左右のファン2基と中央1基の回転数を,個別に設定できる。Thunder Masterでは,ファンの回転数を30〜100%の間で1%刻みに固定したり,ファン回転数を示す折れ線グラフから,各温度における回転数を任意に指定したりできる。なお,これらのファンはアイドル時に回転を停止する機能もあり,初期設定の折れ線グラフを見るに,GPUコアの温度が60℃を切ると,回転が停止するようだ。

Thunder Masterでファン設定を変更している様子。画面左が左右のファン用で,画面右が中央ファン用の設定だ
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 これも従来のGameRockシリーズと同じだが,GPUクーラー前面のクリスタル部分は,LEDイルミネーションが組み込まれており,前面全体と側面の「GEFORCE RTX」ロゴおよび「GameRock」のロゴが点灯する。これらのLEDは,Thunder Masterにより制御可能で,さまざまなイルミネーションに変更できる……はずだ。ただ,試用機は発売前のサンプルであるためか,本稿執筆中に使用したThunder Masterでは,LED設定がうまく動作しなかったので,カスタマイズは試せていない。

Palit RTX 4090 GameRock OCのLEDが点灯している様子。クリスタルデザインにLEDの灯りが透過して,非常に煌びやかな印象だ
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 カードを横からのぞき込むと,放熱フィンは左側(ブラケット側)と右側の2ブロック構成で,その間を6mm径と8mm径のヒートパイプ計8本でつなげている。また,GPUに直接触れるベース部分には,ベーパーチャンバー式の放熱部品を用いており,熱伝導の向上を図っているそうだ。

カードを横から見たところ。放熱フィンが左右に分かれているのが見てとれよう
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カード左側に目を凝らすと,ベーパーチャンバーを採用したという銅製GPUベースの姿も確認できる
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PCIe補助電源コネクタは,16ピンタイプを1基備える
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 PCIe補助電源コネクタは,RTX 4090 Founders Editionと同じく16ピンタイプを,カードの背に1基搭載している。4系統の8ピンを1本に16ピンに束ねる変換ケーブルが付属する点もRTX 4090 Founders Editionと変わらない。接続する補助電源ケーブルが3本でも動作する点も,RTX 4090 Founders Editionと同じだ。

 映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4a×3とHDMI 2.1×1という一般的な構成で,このあたりもRTX 4090 Founders Editionと変わらない。

映像出力は,3系統のDisplayPortと,1系統HDMIを装備。ブラケットのほとんどは,ハニカム構造の通気孔となっている
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RTX 4090からの性能の伸びを検証


 それでは,Palit RTX 4090 GameRock OCのテスト環境に話を移そう。今回,比較対象にはRTX 4090 Founders Editionと,「GeForce RTX 3090」搭載カードであるPalit製「GeForce RTX 3090 GamingPro OC」を用意した。RTX 4090 Founders Editionからのパフォーマンスの伸びを明確にし,クロックアップモデルと前世代の差異を確認しようというわけだ。なお,GeForce RTX 3090 GamingPro OCは,メーカーレベルで動作クロックが引き上げられたクロックアップモデルなので,MSIのオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.5 Beta2)でブーストクロックをリファレンスクロックまで下げて使用している。

 使用したグラフィックスドライバは,RTX 4090 Founders Editionのレビュー記事で用いたものと同じ「GeForce 521.90 Driver」で,OSにはWindows 11を使用している。そのほかのテスト環境はのとおり。以下,文中とグラフ中は,RTX 4090 Founders Editionを「RTX 4090 FE」,GeForce RTX 3090 GamingPro OCは「RTX 3090」と表記する。

表1 テスト環境
CPU Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz,最大クロック4.9GHz,共有L3キャッシュ容量64MB)
マザーボード MSI MEG X570 ACE(AMD X570,BIOS 7C35v1)
メインメモリ G.Skill F4-3200C16D-16GIS PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2(DDR4-3200の16-16-16-36設定で利用)
グラフィックスカード Palit Microsystems GeForce RTX 4090 FE GameRock OC(GeForce RTX 4090 FE,グラフィックスメモリ容量24GB)
GeForce RTX 4090 Founders Edition(グラフィックスメモリ容量24GB)
Palit Microsystems GeForce RTX 3090 GamingPro OC(GeForce RTX 3090,グラフィックスメモリ容量24GB)
ストレージ Samsung Electronics SSD 850 EVO(MZ-75E500,500GB)
電源ユニット Corsair CMPSU-1200AX(定格1200W)
OS 64bit版Windows 11 Pro(22H2,Build 22621.521)
チップセットドライバ AMD Chipset Drivers 4.08.09.2337
グラフィックスドライバ GeForce:GeForce 521.90 Driver

 テスト内容は,4Gamerのレギュレーション25に準拠。ただし,「3DMark」に関しては,DLSS 3に対応したレビュワー向けバージョンとなる「3DMark Version 2.22.8009」を用いている。
 また,3DMarkでは,レイトレーシングのテストである「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」,それに「NVIDIA DLSS feature test」を追加した。NVIDIA DLSS feature testでは,Palit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEは「DLSS 3」(3.0)を,RTX 3090のみは「DLSS 2」(2.0)を選択したうえで,DLSS modeは,いずれも「Quality」に設定している。なお,DLSS 3では1920×1080ドットが選択できないため,今回は3840×2160ドットと2560×1440ドットの2種類で実施している。

 さて,ここまで説明したテスト環境は,テスト方法を含めてRTX 40のレビュー記事とまったく同じだ。そのため,RTX 4090 FEとRTX 3090の数値に関しては,同記事のもの流用している点をここで断っておく。


2〜3%程度の性能向上を実現

しかしCPUが足かせとなる場面がより顕著に


 いつものように3DMarkの結果から順に見ていこう。
 グラフ1は,DirectX 11世代の「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものとなる。

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 RTX 4090 FEと比べたPalit RTX 4090 GameRock OCの伸びは,最大でも3%弱といったところ。ブーストクロックの上昇が4%弱なので,Fire Strike UltraやFire Strike Extremeは,ほぼ順当な伸びといっていい。Fire Strike“無印”でほとんど差が付いていないのは,CPUがボトルネックとなって,スコアの頭打ちが発生しているためだろう。

 続いてグラフ2は,Fire Strikeから「Graphics test」の結果を抜き出したものになる。

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 CPU性能の影響がなくなるためか,Fire Strike UltraやFire Strike Extremeでは,Palit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEのスコア差が,ブーストクロック差に近い約3.6%となった。それでもFire Strike“無印”で差が付かないのは,描画負荷が軽くGPUが遊んでいる状態となり,ブーストクロックが最大となる場面がほとんどないためではないだろうか。

 同じくFire Strikeから,ソフトウェアベースで「Bullet Physics」を実行する事実上のCPUテスト「Physics test」の結果を抜き出したものがグラフ3となる。CPUが共通なので,スコアはおおむね3万7500前後で横並びとなっている。

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 GPUとCPU両方の性能がスコアに影響する「Combined test」の結果が,グラフ4だ。

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 ここでは,Fire Strike“無印”でPalit RTX 4090 GameRock OCがRTX 4090 FEから約1%スコアを伸ばしているものの,それでもRTX 3090に届いていない。これは,RTX 4090 FEのレビュー記事でも指摘したように,Fire Strike“無印”では負荷が軽いためCPUバウンドが発生し,GPUの使用率が上がらないためだ。Fire Strike UltraやFire Strike Extremeでは,Palit RTX 4090 GameRock OCは,RTX 4090 FEからスコアを約3%伸ばしており,クロックアップの効果を発揮している。

 続いて,3DMarkのDirectX 12のテストである「Time Spy」の総合スコアをまとめたものがグラフ5となる。

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 Palit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEの差は,1〜2%程度となり,Fire Strikeよりも差が詰まっている。負荷の高いTime Spyでは,ブーストクロック引き上げの効果が表れにくいということなのだろう。

 それは,グラフ6のTime SpyからGPU testの結果を抜き出したものを見ても同じだ。

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 Palit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEの差は,総合スコアと同様に最大でも約2%ほどしかない。Palit RTX 4090 GameRock OCのブーストクロックは,90MHzしか変わっていないので,大幅な性能向上につながるものでないことは,理解しておくほうがよさそうだ。

 Time SpyにおけるCPU testの結果がグラフ7だ。ここではCPUが同じなので,Fire Strikeと同様にスコアもほぼ横並びとなった。

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 リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果が,グラフ8だ。

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 Port Royalでは,Palit RTX 4090 GameRock OCがRTX 4090 FEに3%強の差を付けた。ブーストクロックの引き上げが,リアルタイムレイトレーシング性能も向上させていることが,この結果から明らかだ。

 それは,もうひとつのレイトレーシングテストとなるDirectX Raytracing feature test(グラフ9)の結果からも明らかだ。

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 Palit RTX 4090 GameRock OCは,RTX 4090 FEに4%弱の差を付けており,対RTX 3090では2.6倍ものスコアを叩き出している点は立派だ。

 続いて,DLSSの性能を見るNVIDIA DLSS feature testの結果がグラフ10となる。

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 DLSS on時の結果だけを比較すると,Palit RTX 4090 GameRock OCは,RTX 409に2〜3%程度の差を付け,RTX 3090比では3倍前後にまで達している。そこで,DLSSによってどれだけフレームレートが向上したかを算出すると,Palit RTX 4090 GameRock OCが2.14〜2.69倍程度,RTX 4090 FEでも2.12〜2.66倍程度,RTX 3090が1.61〜1.79倍程度となった。ブーストクロックの引き上げが,DLSSの効果を高めていることが分かる。

 では,実際のゲームにおける性能はどうか。グラフ11〜13は「Far Cry 6」のテスト結果だ。

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 Far Cry 6において,RTX 4090 FEと比べたPalit RTX 4090 GameRock OCの伸びは,平均フレームレートで約1%といったところ。最小フレームレートに関しては,まったく変わらない結果が出ており,Palit RTX 4090 GameRock OCにおけるクロックアップの効果は限定的だ。また,4090勢は,2560×1440ドット以下の解像度ではCPUがボトルネックとなり,フレームレートが頭打ちになってしまっている。

 次に「バイオハザード ヴィレッジ」の結果がグラフ14〜16となる。

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 ここでは,Palit RTX 4090 GameRock OCのフレームレートの伸びが見られなくなった。平均フレームレートにおけるPalit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEの差は,1%にも達しておらず,2560×1440ドット以上の解像度における1パーセンタイルフレームレートで,ようやく約1%の差に届く程度だ。Far Cry 6がそうであったように,バイオハザード ヴィレッジにおいてクロックアップの効果を実感できる場面はほぼないと言っていい。

 「Call of Duty: Warzone」(グラフ中はCoD: Warzoneと表記)のテスト結果がグラフ17〜19だ。

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 Palit RTX 4090 GameRock OCは,3840×2160ドットでRTX 4090 FEに対して平均フレームレートで4%弱,1パーセンタイルフレームレートで2%弱の差を付けるいる。ただ,それ以外では明確な差が表れていない。その理由は,やはりCPUが足かせとなって,フレームレートが伸び悩んでいるのが原因のようだ。

 続いては,「Fortnite」の結果をグラフ20〜22に示す。

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 Fortniteでも,Call of Duty: Warzoneとほとんど同じ傾向が見られ,Palit RTX 4090 GameRock OCが,RTX 4090 FEに有意な差を付けたのは3840×2160ドットだけだ。それ以外の解像度では,それぞれの差は1%にも達しておらず,CPUの足かせは,クロックアップモデルでさらに顕著に表れている印象だ。

 「Borderlands 3」の結果がグラフ23〜25となる。

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 平均フレームレートにおいては,Palit RTX 4090 GameRock OCの伸びはほとんどなくなり,RTX 4090 FEに1920×1080ドットで約1%引き離すのがやっと。ほぼ肩を並べていると言っていい。1パーセンタイルフレームレートになると,3840×2160ドットでようやく差が3%弱になるものの,Borderlands 3では,CPUも最上位を用意しない限り,クロックアップの効果はほとんどないと言っていいだろう。

 続くグラフ26は,「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(以下,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。

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 ここでは,解像度が高くなるにつれて,Palit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEの差は広がり,3840×2160ドットで約3%まで広がっている。低解像度での差が小さいのは,やはりCPUがボトルネックにしまっていることによるものだろう。
 RTX 4090 FEが,3840×2160ドットで2万3000と非常に高いスコアを発揮したことは,非常にインパクトがあった。Palit RTX 4090 GameRock OCが,そこからさらにスコアを伸ばしている点は,クロックアップモデルのポテンシャルの高さが垣間見えたと言えようか。

 グラフ27〜29は,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものになる。

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 平均フレームレートは,総合スコアを踏襲したもので,3840×2160ドットでもRTX 4090 FEと変わない約165fpsを記録した。その一方,最小フレームレートはCPU性能の影響が色濃くなるため,いずれも大きな差は見られない。

 ゲームテストの最後となる「Project CARS 3」の結果が,グラフ30〜32だ。

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 ここでも,Palit RTX 4090 GameRock OCにおけるクロックアップの効果は限定的だ。平均フレームレートでは,Palit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEの差は最大で約1%,実フレームレートにすると0.5fpsしか変わっておらず,ほとんど横並びだ。2560×1440ドットの最小フレームレートでは,その差が2〜3%程度に開くものの,それでも1fps程度の違いにしかならない。Palit RTX 4090 GameRock OCで,Project CARS 3の快適さがRTX 4090 FEから変わるかと言えば,そういうことはない。


RTX 4090 Founders Editionから消費電力はさらに15W前後増加


 Palitの製品情報によると,Palit RTX 4090 GameRock OCの消費電力は450Wで,使用には1200W以上の定格出力を持った電源ユニットを推奨している。クロックアップ版はリファレンス仕様からどの程度消費電力が上昇しているかも気になるところだ。

 そこで,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力も計測してみた。
 ここでのテストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点をアイドル時としている。

 なお,今回もNVIDIA製の消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を使用していないのは,同ツールが3本までのPCIe補助電源コネクタしか対応しておらず,Palit RTX 4090 GameRock OCでは4本のPCIe補助電源コネクタを使用するためだ。
 最大消費電力の計測結果をグラフ33に示そう。

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 Palit RTX 4090 GameRock OCは,各ゲーム実行時で,RTX 4090 FEから13〜34W程度,消費電力が増加している。RTX 4090 FEもたいがいな電力喰いだったが,Palit RTX 4090 GameRock OCは,それよりもさらに電力を消費する点は,マイナスポイントだ。ブーストクロックを90MHz高くするために支払った代償は決して小さくない。

 最後にGPUの温度もチェックしておきたい。ここでは,温度を約24℃に保った室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。その結果がグラフ34だ。

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 GPUごとに温度センサーの位置は異なり,また,温度の制御法もGPUクーラーも異なるため,横並びの評価に意味はない。それを踏まえたうえでスコアを見ていくと,Palit RTX 4090 GameRock OCは高負荷時でも70℃を割っており,GPUクーラーの冷却性能は申し分ない。アイドル時はファンの回転が停止するため40℃台前半と高くなるものの,実用レベルで問題になることはまずないはずだ。

 最後に筆者の主観であることを断りつつ,Palit RTX 4090 GameRock OCの動作音について触れると,RTX 4090 FEに負けず劣らず,かなり静かな印象を受けた。もちろん,高負荷時には若干の動作音が聞こえてくるが,PCケースに入れてしまえば気にならないレベル。このクラスの製品として,静音性は申し分ないできと言っていい。


実勢価格は30万8000円前後。GPUクーラーに魅力を見いだせる人ならこの1枚


Palit RTX 4090 GameRock OCの製品ボックス
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 以上のテスト結果から明らかなように,Palit RTX 4090 GameRock OCにおけるクロックアップの効果はかなり限定的だ。ブーストクロックを90MHzを引き上げても,それをゲーム内で実感することは難しく,その割に消費電力が増大してしまう点は看過できない。

 Palit RTX 4090 GameRock OCの価格は30万8000円と,非常に高価なので,すべてのゲーマーに勧められるような製品ではないことは確かだ。ただ,GameRockシリーズの特徴である派手に光るGPUクーラーが好みに合ったり,冷却性能がしっかりしたGPUクーラーの製品が欲しかったりするなら,RTX 4090の購入を検討している人には,Palit RTX 4090 GameRock OCは有力な選択肢として挙げられるだろう。

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