これは、遠い遠い場所の物語。
驕おごれる人の子らが地母神の怒りを買い、粛清しゅくせいされたあとの世界。
罪も穢けがれも海の水に洗い流され、清められた大地。
そこに「エルフ」と名付けられた新世界の種たちが撒かれ、
それらは根を下ろし、やがて拡散した。
亀の歩み寄りもうんと遅く、大樹のようにじっくりと、ゆるやかに成長していた新文明。
しかし新種族「グノーム」と「ドワーフ」の台頭により、車輪の回転速度は上がる。
そこに加わった新たなる種族「ケット・シー」。
狡猾で野心的なケット・シーらは、エルフらを軸に回る文明に牙を剥いた。
そうして急速に増幅した分断もとい歪ひずみは、無益な戦という傷跡を歴史に刻む。
皆が傷付き、皆が何かを奪われ、誰かが永久に居なくなってしまった。
グノーム族の若き魔道士、ラニャーマ=ゼラギア。彼女も傷を負う者のひとり。
13年前の戦争は彼女から両親を奪い、そして彼女は子供時代を失ってしまった。
大戦は収束こそしたものの、未だその爪痕が残る大地に、彼女は立つ。
故郷を発つ支度をひとり進める彼女の目には、野心が灯っていた。
もう二度と何かを奪わせないために。
彼女は守るための強き力を求める。
ゆえに彼女は、
最強の魔道士と謳われる西のエルフ「ラドゥイアゴス」に
師事を乞うのだが……?



























