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[インタビュー]「メグとばけもの」は構想約10年? Odencatに企画の成り立ちから開発過程の裏話までをまとめて聞いた
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印刷2023/04/08 08:00

インタビュー

[インタビュー]「メグとばけもの」は構想約10年? Odencatに企画の成り立ちから開発過程の裏話までをまとめて聞いた

 

ゲーム実況配信とは持ちつ持たれつ

ただし,作り手としての課題も感じている


画像集 No.029のサムネイル画像 / [インタビュー]「メグとばけもの」は構想約10年? Odencatに企画の成り立ちから開発過程の裏話までをまとめて聞いた
DD:
 ところで,メグとばけものというプロジェクトには,一定の目標があったかと思うんですが,そこには到達しましたか?

Daigo氏:
 気持ちの部分,承認欲求的には完全に満たされましたね。あふれるぐらいに。
 売り上げという意味では,もともとちょっと高めに設定していた部分に現時点でギリギリ到達した感じです。ただ,どちらかというと海外のほうが売れるかなと思っていたんですが,実際のところ日本で多くの方に遊んでいただいているのは予想外ではありました。

DD:
 なぜ海外のほうが売れると予想していたんでしょう?

Daigo氏:
 今回,メインテーマ曲の歌唱をLaura Shigiharaさんにお願いしたんですね。Lauraさんは「DELTARUNE」「To the Moon」の歌で海外では大人気なので,そのあたりが好きな方々に興味を持ってもらえるかな? と。ただ評価自体は海外でも良いので,これから広がっていくといいなと思っています。

Daigo氏:
 今回,音楽も良かったんですよね。

Ryota氏:
 音楽の反響はすごかったですね。ゲーム実況の配信を見ていても,ゲームが終わったあとに配信者さんや視聴者さんが「音楽も良かったね」みたいな話をしてくれて,サントラを買ってくださることもあるようで。

Daigo氏:
 裏谷さんが本当に気合いを入れて作ってくれたんです。

DD:
 そういえば,サントラでは曲名の最初の一文字を縦読みすると……というのもびっくりしました。

Daigo氏:
 あれ,知らなかったんですよ。

Ryota氏:
 僕もサントラのホームページを見て知りましたね(笑)。裏谷さんが仕込んでくれたんです。

Daigo氏:
 それぐらいのパッションで取り組んでくださったんですよ。あの音楽のクオリティに引っ張られて,作品自体が高く評価されたというのは間違いなくあると思っています。

「メグとばけもの 音楽の世界」公式サイト


DD:
 ちょっと話に出ましたけど,現代におけるゲーム実況の配信について,どのように考えていらっしゃいますか?

Daigo氏:
 配信者とゲームって,もう切っても切れない関係にあるのは間違いないですし,メグとばけものに関しても,配信者の方が取り上げてくれたことで広まっているのは確かだと思います。それを念頭に置いて,最後まで配信してOKという形にしたんですが,複雑な気持ちもあるにはありますね。

DD:
 実際にプレイするのと,配信を見るのとではやっぱり違う部分もありますもんね。最後まで配信を見てクリアした気持ちになってしまった人は,じゃあ自分もやってみようとはならないでしょうし。

Daigo氏:
 ただ,じゃあ配信に制限をかけようとなったら,きっと配信で取り上げてもらえなくなるだけなんですよ。

DD:
 普通に考えてそうなりますよね。制限のないゲームで配信したほうが,配信する側も見る側も楽しめるでしょうし。

Daigo氏:
 となると我々が考えていくべきことは,配信で最後まで見た人に「買いたい」と思ってもらえるようなゲーム作りなのかもしれません。例えばストーリーが分岐するとか,サブクエストをたくさん用意しておくとか,そういうことを考えてはいます。ただそのためには,チームを大きくするとか,開発期間を長くするとか,そういったことも必要になってくるんですよ。これ,ストーリー系のゲームを作っているインディーズの開発スタジオがみんな抱えている悩みだと思うんですよね。

DD:
 物量で押す方向は,確かにインディーズには難しいところがありますよね。

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Daigo氏:
 でも本音を言えば,配信であっても見てもらえて,心に何かが残ったのであれば,それはそれですごく嬉しいんです。配信の視聴者数が多かったり,チャット欄が賑わっていたりするのを見るのもすごく嬉しいんです。ただ,これだけ盛り上がったんだからさぞかし売り上げも伸びただろう……と思うと,意外とそうでもなくて(笑)。

DD:
 我々の仕事もいくらSNSでバズろうと,即集客につながるかというと,必ずしもそういうわけではないですからね。難しいところです。

Daigo氏:
 いろいろと観察していると,配信者さんとの相性もあるようです。メインの視聴者がゲーマーの配信者さんの場合は,そこで知った方が買ってくださる傾向はありそうです。ただもちろん,ゲームにさほど関心のない視聴者がメインの配信者さんに取り上げてもらえるのも嬉しいんですよ。本来は届かないかもしれない層に届けてもらえているのは確かなので。

DD:
 将来に向けてという観点に立てば,そこは本当に重要なんですよね。ただ,直近の実入りにつながりづらい切なさもあって。

Daigo氏:
 そうなんですよ。でも,我々も打ち上げをしているときにちょうどメグとばけものの配信が始まって,みんなでワイワイ楽しく見ました。だから敵対しているというわけではないし,持ちつ持たれつだと思っています。

DD:
 ただ課題はあると認識している,と。

Ryota氏:
 どうしてもストーリーがメインだと……。

Daigo氏:
 そこをどうにかするのもアイデア次第だとは思うので,諦めずに何とかできないかなとは思っています。さっきお話ししたような,やりこみ要素なんかも含めて。

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DD:
 ちなみに,メグとばけものに関しては,もうすべてやり尽くしたと考えていますか?

Daigo氏:
 正直,もっとコンテンツを追加したい気持ちはあります。

Ryota氏:
 「もっとここを掘り下げてほしい」とか,「このキャラクターのバックボーンをもっと知りたい」といった感想を見ると,確かにそれはこちらもやりたいことだとは思うんです。

DD:
 ゲーム内に出てこないストーリーやキャラクターの設定って,どのあたりまで作り込んであるんですか?

Ryota氏:
 自分の頭にふわっとあるぐらいで,アウトプットは全然してない状態です。

Daigo氏:
 必要になるとちゃんと出てくるんですよ(笑)。

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Ryota氏:
 魔界の成り立ちや,人間の世界との関係性,重要なキャラクターのバックボーンみたいなものを,どこまで掘り下げるべきかは開発中にけっこう議論しました。ゲーム終盤のサブイベントで,そのあたりを語ってはいるんですが,メインストーリーに組み込むべきじゃないか? という議論もありました。でも最終的にストーリーの軸はロイとメグという主人公であって,そこをぼやかさないためにサブイベントに回したところはあります。

DD:
 ああいうサブイベントって,もっと多くなる可能性はあったんですか?

Ryota氏:
 可能性はありました。
 ただ,開発工数の問題もありますし……。

Daigo氏:
 広げすぎると今度はテンポが悪くなる可能性もありますし,結果的にサブイベントもこれぐらいのボリュームでちょうど良かったかもしれないですね。
 ただ,この記事を見たどこかの会社が「アニメ化をしたい」なんて言ってくれたら,ゲーム内では描ききれなかった部分もお伝えできるかもしれない(笑)。

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Ryota氏:
 感想などを見ていても「アニメで見たい」というような声はありましたしね。

Daigo氏:
 「friends もののけ島のナキ」という3DCGアニメに似ているという感想もありましたね。確かに,もののけと人間の心の交流を描いた作品という意味では王道のプロットですし,似ている部分はあるかもしれません。
 ただまあ,アニメに限らず何か違う展開もできたらいいですよね。ゲームの中に出てくる絵本なんかも,ちゃんと読んでみたいですし。


「RPGツクール」がゲーム開発の原体験

気付いたら,ゲームを作る以外の選択肢がなかった


DD:
 冒頭で開発に2年かかったとうかがいましたが,まさにコロナ禍真っ最中の時期ですよね。開発上,困難だったことなどはありましたか?

Daigo氏:
 開発という部分だけに関しては,とくに問題はありませんでした。
 ただ,実際に会わなかったことで何かを失った可能性はありますよね。議論だったり信頼関係だったり,そういうものが深まる機会は減ったかもしれないです。実際,今回はオフラインで取材をしていただいていますが,オンラインだとまた違った雰囲気になったでしょうし。

DD:
 確かにお二人の関係性って,モニター越しでは伝わってこなかったかもしれません。

Daigo氏:
 だけど僕,Ryotaと初めて直接会ったのはメグとばけものの開発を始めて1年後ぐらいだったんですよ。

Ryota氏:
 それまでは,ずっとDiscordだけで。

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DD:
 え? じゃあどういう経緯でお二人は一緒にやろうと?

Daigo氏:
 2019年にRyotaが1人で作ってリリースした「碧落のリメイナー」iOS / Android)というゲームを遊んで,「この人は俺と同じだ」という直感があったんです。セリフ回しなんかからも同じ波長を感じて。そこで一緒に何かできないかなって思っていたら,RyotaのTwitterで仕事の愚痴が増えてきたんですよ。

Ryota氏:
 当時,普通のIT企業に勤めながら半分趣味でゲームを作っていたのを,Daigoがたまたま見つけてくれたんです。Odencatのゲームと自分のゲームの系統が比較的似ていたこともあって,Twitterを通じて「テストプレイさせてください」みたいな感じでやりとりをするようにななりました。そうこうしつつ,仕事の愚痴をTwitterでぼやいていたら,Daigoが「良かったらうちで一緒にゲームを作らない?」と声をかけてくれたんです。

Daigo氏:
 それで最初に「スノーマン・ストーリー」iOS / Android)というゲームを作って,次にねずみバスターズ!を作って,そして今回のメグとばけものにつながりました。
 スノーマン・ストーリーは私が考えたアイデアだったんですよ。雪だるまが溶けるゲームなんだと。そこに関してRyotaはまだ受け身というか抑えめで。

「スノーマン・ストーリー」
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Ryota氏:
 あまり自分を出さずにお手伝いする感覚で。

Daigo氏:
 なので当時は衝突することも少なかったんですけど,ねずみバスターズ!ではRyotaの裁量も広がってきて,そして今回のメグとばけもので爆発したのかなっていう。

DD:
 すごく現代っぽい流れがあったんですね。
 ところでお二人は,幼少期にどんな作品から影響を受けました?

Ryota氏:
 ありがちなんですけど,「MOTHER」シリーズにはだいぶ影響を受けている自覚があります。

Daigo氏:
 ゲームで泣いた体験という意味では,「クロノ・トリガー」や,「幻想水滸伝2」も思い出深いですね。

DD:
 その頃からゲームを作りたいと思われていたんですか?

Daigo氏:
 ゲームではないですが,子供の頃は授業中,小さいノートに「ハゲザル物語」という漫画を描いていましたね。はげていることでいじめられている猿が,みんなを見返すためにバナナの楽園に向かうっていう(笑)。

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DD:
 面白そうじゃないですか!

Daigo氏:
 自分では楽しんで描いてましたけど,今思うと誰かに読ませられるようなものではありませんでしたね。兄弟には読ませてましたけど(笑)。

DD:
 ちゃんと誰かに読ませるところまでいけるのは,すごいことですよ。自分は絵が描けないんで文字だけで物語を書いたりしても,誰にも見せずに終わってましたから。誰かに見せて何らかの感想を得たいという気持ちを持てなかったので。そういう意味でも子供の頃からちゃんと創作に向き合っていたんですね。

Daigo氏:
 言われてみれば,そうかもしれません。「RPGツクール」が登場したときなんかは,自分でもゲームを作ってメモリーカードに保存して,友達に貸して遊んでもらったりもしていましたし。

DD:
 完璧にゲームクリエイターとしての原体験ですね。友達に遊んでもらおうと思えるのが,ある種の才能だと思います。

Daigo氏:
 まあでも,学校の先生を使ったキャラを作るような,内輪受けの一発ネタのゲームも多かったんですけどね(笑)。でもあの時期,RPGツクールに触れられたのは今にして思えばかなり大きな出来事でした。

DD:
 そういった体験がご自分の根っこにあるわけですね。Ryotaさんはいかがです?

Ryota氏:
 自分も同じくノートに漫画を描いて弟に見せたりしていましたし,RPGツクールの存在も大きかったです。インディーズゲームクリエイターには,けっこうそういう人が多いと思います。

DD:
 なるほど。RPGツクールというツールとの出会いがあって,頭の中で思い描いていたゲームを作ってみたというのが,原体験になっているんですね。

Daigo氏:
 本当に良い時代に生まれました。

DD:
 今後,RPGツクールよりもっと手軽なツールが出てきたとして,これからさらにインディーズゲームクリエイターは増えると思いますか?

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Daigo氏:
 増えるとは思いますが,実は厳しい部分もあるんじゃないかという気がします。というのも,RPGツクールみたいなものは,例えば今の子供達にとっては古くさく見えてしまうと思うんですよ。一方,じゃあUnityで何でも作れると聞いて手を出してみたとして,多くの人にとってけっこう難しくて一本のゲームを作るまでのハードルがすごく高くなっているんですよね。
 さらに言うと,今ってゲームを作り始めようと思ったら,SNSなんかを見るとすごい奴らがすでに大勢いるんです。トップレベルの人達が作ったものと自分が作ったものをいきなり比較することになったら,心が折れてしまうかもしれない。

DD:
 ああ確かに。いろいろなものが可視化されやすい時代特有の問題ですね。

Daigo氏:
 我々の場合,幸いにも幼少期にはまだネットがそれほど普及していなかったので,リアルな友達同士,RPGツクールで作ったゲームを回して,そこでトップになれたら自慢できたんですよ(笑)。だけど今,いきなりUNDERTALEと比較しなきゃいけないとなったら……。

DD:
 身近なところで徐々に自信を付けていくこともできないわけですね。

Daigo氏:
 さらに今後はAIとも比較されるような時代になっていくわけですから,これからクリエイターを目指す人達にとってはなかなか厳しい環境なのかなって。もちろんそれらをうまく使いこなせれば,やっていけるんでしょうけど。

DD:
 AIがある程度やってくれるものが増えていく中で,自分の強みというか武器を提示するのも難しい時代になっていくのかもしれないですね。

Daigo氏:
 絵なんかも豪華な作品をAIが一瞬で描いたりするじゃないですか。逆にOdencatみたいな絵はAIからは出てこないかもしれないですけど。

DD:
 ちなみにOdencatとしてゲームを選んだのはなぜなんでしょうか。

Daigo氏:
 選んだというより,それしかできなかったんですよね。
 例えばドット絵を選んだ理由は,元々自分でもドット絵を練習して打っていたからです。今はそんなに上手じゃないですけど,ドットだったら割りと打てるという。なんならドット絵ならすごくヘタでも想像で補ってもらえるという狙いもあって。
 そういう意味ではストーリーを語るうえで,自分にとって漫画なんかよりまだ現実的な選択肢だったんです。かといって小説をやりたいかというと,自分にとってはちょっと取っ付きにくくて。何か動いている絵が出てくるもののほうが面白いと思ったんですよ。
 あと,何より自分がプレイヤーとしてスクウェア・エニックスのRPGなんかに大きな影響を受けてきたというのもありますし。

画像集 No.038のサムネイル画像 / [インタビュー]「メグとばけもの」は構想約10年? Odencatに企画の成り立ちから開発過程の裏話までをまとめて聞いた
Ryota氏:
 自分も気付いたら,って感じですね。元々8年くらい前からスマホのゲームを個人で作り始めたんです。当時はまだストーリーのあるゲームではなくて,出てきたものをスワイプして避けるぐらいの単純なものから作り始めました。
 その流れでストーリーも書きたいという気持ちになってきて,スマホで碧落のリメイナーを作ったんです。これもRPGツクールを使っていたんですけど,要はそういう環境が自分にとって一番やりやすい場としてあって,その流れでOdencatに誘われたので,ずっとゲームしか選択肢がないみたいな感じですね。

DD:
 こんな絵も描けてストーリーも書けて,それでゲーム以外に選択肢がなかったというのは意外ですね。

Ryota氏:
 いや,ばけものは描けるんですけど,人間があんまり描けないんですよ(笑)。
 でもやっぱり子供の頃からゲームが好きっていうのが一番大きいですよね。

Daigo氏:
 いろんな要素が絡み合って,これで食えているのも奇跡的ですけどね。買って下さる人達がいるからこそなんですけど。


今後もストーリーを重視しつつ

さまざまな部分の品質を上げていきたい


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DD:
 では現時点において,Odencatさんの強みってどこにあると考えていらっしゃいますか?

Daigo氏:
 くまのレストランのストーリーが好評だったこともあって,実は今回,プレッシャーを感じていました。でも今回も幸いストーリーを高く評価していただいて,そこに関しては外さないという信頼を得られたかな? とは思っています。スマホだけでリリースしたゲームも,どれもストーリーについては好評でしたし。もちろん好き嫌いはあると思いますが。

DD:
 そこはどうしてもありますよね。

Daigo氏:
 例えば以前,Ryotaがメインで担当したねずみバスターズ!も,けっこういいストーリーだと思っているんですけど,グラフィックスの好みであるとか,ストーリーとは別の部分で少しうまくいかなかったりしました。
 でも,我々の強みとしてストーリーで外さない安心感,というものは固まってきましたね。ゲームだけじゃないですけど,今の世の中にはストーリーよりキャラクター重視の傾向があると思っているので,そこで独自性をうまく出していきたいですね。

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DD:
 私もくまのレストランから遊び始めて,今回,完全にOdencatさんのファンになりましたから。ではOdencatというチームとして,今後力を入れていきたい部分はどこでしょう。

Daigo氏:
 一つ一つの品質を上げていきたいですね。実は以前までサウンド関連は手つかずだった部分もあって,くまのレストランでは一部でフリー効果音なんかも使っているんです。
 でも今回は効果音にも予算を割きましたし,音楽に関しては裏谷さんが本当に魂を削って作ってくださったんです。そういう取り組みを初めてやってみて,音の重要さにあらためて気付かされました。今後もこのあたりは力を入れていきたいです。
 それと,技術的なところではグラフィックスでよりリッチな表現をしたいですし,いずれは正統なRPGを作りたいという夢はあります。

DD:
 正統なRPG,ですか。

Daigo氏:
 はい。クロノ・トリガーが大好きだったので,ああいうRPGを。ただ,それにはすごい予算と時間が必要なんですよね(笑)。

DD:
 では目標をそこに設定したとして,何を積み重ねていきたいですか。

Daigo氏:
 メグとばけものみたいな,いい作品を継続して作れれば言うことはないですよね。というか,それしかないと思っています。

DD:
 では直近だと,どんなゲームを作っていきたいですか?

Daigo氏:
 すでに作り始めているものはあります。ただ,Ryotaが次に何を作りたいのかは知らないです。たぶんRyotaは少し充電期間に入る必要があるかもしれないので。メグとばけものを超えるヒットを考えてくれる……かな?

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Ryota氏:
 次の企画に関して具体的なものはとくにないので,これから考えるんですけど……。メグとばけものはコンセプトからシステムから,いろんなものが本当にガチっとはまった感じがあるので,自分の中でもだいぶハードルが上がってしまっているんですよね。これを超えられる企画を考えられるのかな? という不安は今,とてもあります。

Daigo氏:
 くまのレストランのスピンオフでフィッシング・パラダイスという,釣りゲームを出したんですけど,次はRPGとかアドベンチャーじゃないものを作るっていうのもありかもしれないですね。Ryotaはけっこうパズルとかも得意なので。

Ryota氏:
 ストーリーを考えるのは好きなんですけど,システム的なところを考えるのもけっこう嫌いじゃないんですよ。

Daigo氏:
 Ryotaは自分とは違う人間なので,自分の発想にはないようなものが出てくるのが楽しみです。

DD:
 波長とか感性に似ている部分はあるけど,ちょっと違う仲間っていいですよね。

Daigo氏:
 次もきっとRyotaは外さないというか,Odencatの枠を広げてくれるような作品を生み出してくれそうな期待をしています。
 個人的には,Odencatのゲームの世界観の幅を広げたいという思いはあるんです。SFでもいいし,現代ものでもいいし。

DD:
 確かにちょっとファンタジーっぽい作品が続いてますもんね。そういうものが得意というわけではないんですか?

Daigo氏:
 以前はホラーっぽいものも作っていました。「償いの時計」iOS / Android)というストーカーが主人公のゲームとか。そういうOdencatが好きだという方もいらっしゃって,「最近は感動に寄せすぎじゃ?」みたいに言う方もいなくはないです(笑)。
 ただまあ,感動させたいだけというわけではないんですよね。かといって,メグとばけものみたいなものを遊びたいという人を裏切る形も難しいなぁって,どう打ち出すべきかは悩んでいるところです。
 でもやっぱり,自分が一番遊びたいものを作りたいですよね。基本的に,一つ作っている間は「早く次のを作りたい」って思っていますから。つまるところゲームが好きで,作るのも好きなんですよ。

「償いの時計」
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DD:
 最後に,まだメグとばけものをプレイしていない方,そしてプレイ済みの方へ伝えたいことがあればお願いします。

Ryota氏:
 まだプレイしていない方には,「本当にコンパクトなゲームなので,気軽に手に取ってください」とお伝えしたいです。ディーノさんが連載で取り上げてくださったとき,普段とは違って無条件で誰にでもオススメみたいに書いてくださいましたよね。そういう感想を実は各方面からいただいていて,ちょっとこっちも自信がついたので,「ちょっとでも気になったら,ぜひ遊んでください。そんなに値段も高くないので」と念押ししたいです(笑)。
 プレイ済みの方には,ただただ感謝しかないです。ただ「良かった」と言ってくださるだけじゃなくて,お友達に自腹を切って布教してくださる方もいたりして,その熱量をありがたいと思います。ファンアートが多いのも,本当に嬉しいです。

Daigo氏:
 メグとばけものを,次回作ではさらに超えていきたいと自分達でも思っています。たいへんですけどね(笑)。今後もプレイヤーさんに期待してもらえるような空気を出し続けたいですね。

DD:
 もうOdencatファンになった私からしてみれば,Odencat作品であるということを約束していただければ,支持するしかないんですよ!

Daigo氏:
 なので,作っている途中でも面白くならなそうだったら,次に切り替えないといけないんですよね。たぶんどこかで1回ぐらいは派手な失敗をすると思いますけど(笑)。

DD:
 まあでも,100%の失敗ってなかなかないじゃないですか。
 売り上げ面で失敗することがあったとしても,実のところプレイヤーにとってはそのゲームと向き合ったときに何をいただけるかが重要であって,そこで10人中10人が「NO」ということはそんなにないと思うんですよ。なので,遠慮なく期待させていただきます。

Ryota氏:
 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いしまします。

Daigo氏:
 気合いが入りました。頑張ります。

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