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本プログラムは,J-STARXとGames Londonが連携し,日本のゲーム開発者と欧州のパブリッシャ,投資家,業界関係者をつなぐことを目的としたもの。会場では関係者によるスピーチと,参加者同士のネットワーキングが行われた。
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まず,本プログラムを実施するJ-STARXとGames Londonについて簡単に説明しておこう。
J-STARXは,日本貿易振興機構(JETRO)が手がける,海外における起業家などの育成プログラムだ。海外展開を目指す日本のスタートアップを対象に,メンタリングやネットワーキング,現地プログラムなどを通じて,グローバル市場への挑戦を支援している。
今回発表された「Indie Game Studio/Startup Growth Programme for Europe」は,そのゲーム分野における取り組みとなる。欧州市場でのパブリッシング契約や投資の獲得を目指す日本のインディーゲームスタジオを対象に,作品や事業計画の磨き上げから,有力パートナーへのピッチ,欧州主要ゲームイベントへの参加までを一貫して支援する。
一方のGames Londonは,イギリス・ロンドンのゲーム産業を支援する取り組みだ。London Games Festivalをはじめ,ゲーム業界向けのイベントやネットワーキング,トレーニングプログラム,トレードミッションなどを年間を通じて展開している。
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イベントの冒頭では,Games Londonのディレクターで本プログラムを担当するMichael French(マイケル・フレンチ)氏が登壇した。
French氏は日本のゲームが英国で高く評価されていることに触れ,「(イギリスの)多くの人にとって,日本の文化や物語に初めて触れたきっかけはゲームだったかもしれない」と語る。
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ゲームは,異なる文化や視点を体験するための表現形式でもある。French氏は,いわゆるSoft power(軍事力などの力ではなく,自国の文化や価値観を強みとする考え)になぞらえつつ,ゲームが生み出す文化的な力を“Software power”という表現を用いた。
そのうえでFrench氏は,英国と日本のゲーム産業にとってインディーゲームの存在は特に重要であり,注力すべきものであると話す。
インディーゲームの領域では,個性あるクリエイターたちが独自のアイデアを形にしている一方,流通,発見性,資金調達といった課題にも直面しているからだ。
開発者は,パブリッシャや投資家に何度もピッチを行い,限られた機会のなかで作品の魅力を伝えなければならない。French氏は,今回のプログラムについて,日本の開発者にゲームの作り方を教えるためのものではないと強調。そのうえで,欧州市場へアクセスするための助言や,海外で成功する可能性を高める支援を提供したいと説明した。
またFrench氏は,毎年4月に開催されるLondon Games Festivalにも触れ,より多くの日本企業やスタジオに参加してほしいと呼びかけた。今回のプログラムを通じ,日本とロンドンのゲーム業界のつながりをさらに深めていきたい考えだ。
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JETRO StartupでDeputy Project Directorを務めるMarie-Stephanie Iekura(家倉マリーステファニー)氏は,世界のゲーム市場における欧州の存在感と,日本のゲーム人材が持つ可能性について語った。
また今回のプログラムでは,立ち上げ段階から成長初期にあるスタジオや実際に遊べる試作版を用意しているチームを対象に海外展開に向けた支援を行うことも説明した。
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さらなる具体的なプログラム内容を説明したのは,Games LondonのBusiness Development ManagerであるDiego Grammatico(ディエゴ・グラマティコ)氏だ。参加スタジオには,欧州ゲーム業界で活動するメンターが1対1で伴走し,作品や事業の見せ方,ピッチ,海外展開に向けた準備を支援する。
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応募受付はすでにスタートしており,選考を経て8組のスタジオまたは個人開発者が選出され,イギリスおよび欧州に向けたサポートが行われる。
まずはオンラインのワークショップと個別メンタリングを実施し,9月には東京ゲームショウ前後に参加スタジオ向けの対面イベントを開催。欧州のパブリッシャや投資家に向けたピッチ,ネットワーキングの機会を設ける予定だ。
その後もオンラインプログラムを継続し,最終段階では欧州のゲームイベントでデモデイを実施する。渡航先は参加スタジオの事業内容やニーズを踏まえて決定されるが,Grammatico氏は,London Games Festivalで参加スタジオのゲームを紹介することにも意欲を見せた。
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発表後にはネットワーキングの時間も設けられ,日本のゲーム開発者と,英国・欧州側のゲーム業界関係者が直接言葉を交わしていた。プログラムの説明を聞くだけでなく,今後の商談や協業につながる接点を作る場にもなっていたようだ。
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日本のインディーゲームは,国内外のイベントで注目を集める機会が増えている。一方で,作品を海外の市場に届け,事業として成立させていくには,パブリッシング,資金調達,マーケティング,ローカライズなど,開発とは別の課題もある。
そんな取り組みのローンチイベントには,来日中のロンドン市長,Sadiq Khan(サディク・カーン)氏も登壇した。
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カーン氏は,404 Not Foundに展示されていた「パックマン」や「スペースインベーダー」に触れ,「若いころに何時間も,何日もかけて遊んだ。それがいまや博物館に展示されているのを見ると少し胸が痛む」と笑いを交えて語りつつ,それらのゲームと自身の体験,そしてゲームが持つ歴史や文化は今回の取り組みとも無関係ではないと続けた。
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ロンドンと東京は,長い歴史を持つ一方で,現代的なカルチャーを生み出し続けている都市でもあるとして,カーン氏は今回のアクセラレータープログラムへの期待を語った。
「世界一のゲームフェスティバル」と表現したLondon Games Festivalへの参加を呼びかけるとともに,ロンドンはJETROと協力し,優れたゲームデザイナーやクリエイターが成長し,活躍できるよう後押ししていく考えを示した。
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またカーン氏は,ロンドンで若者が夜間に安全に集えるユースクラブへの支援を進めていることにも言及。テニスやサッカー,バスケットボール,アートや音楽と並び,若者が楽しむもののひとつとしてゲームを位置付け,街の健全な環境を構築するうえでもゲームに触れられる場を用意していく考えを示した。
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カーン氏のスピーチからは,ゲームを産業としてだけでなく文化や若者の居場所としても大切にしているロンドンの姿勢が伝わってきた。
今回始動した「Indie Game Studio/Startup Growth Programme for Europe」は,そうした欧州側の知見とネットワークを生かし,日本のスタジオが海外展開へ踏み出す後押しとなりそうだ。
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筆者はかつてロンドンで暮らしたことがある。音楽やアートをはじめ,多様な文化や人が混ざり合うなかで,ほかにはない面白いものが生まれていくところがロンドンの好きなところだった。そしてそれは,東京にも通じる。
だからこそ,そんな2つの都市のゲーム業界がつながり,日本のクリエイターが欧州へ踏み出すきっかけになる今回の取り組みには,個人的にも期待したい。ここからどんなゲームや出会いが生まれるのか,今後も追っていきたいところだ。
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以下にプログラムの概要をまとめた。応募を考えているスタジオや個人開発者は,JETROの情報ページ(リンク)をあわせて確認してほしい。
プログラムは,オンライン,国内,現地滞在の3段階で実施される。
オンラインプログラムでは,欧州市場分析,法的ガイダンス,ピッチトレーニング,パブリッシング戦略などを扱う全10回のワークショップと,各社に合わせた個別オンラインメンタリングが行われる予定だ。
日本国内のプログラムとしては,2026年9月中旬に東京ゲームショウ2026前後で実施予定。欧州メンター陣によるピッチレビューやフィードバックのほか,欧州のパブリッシャや投資家との商談・ネットワーキングの機会が設けられるとのこと。
国外のプログラムは,2026年11月,12月,2027年1月から2月にかけて実施予定だ。ドイツ・ベルリン,フィンランド・ヘルシンキ,英国・ロンドンのいずれかを候補に,参加スタジオのニーズや事業内容に応じて派遣先を1か所選定。Games Ground BerlinやSlush,Techarenaなどの欧州主要イベントで,パブリッシャや投資家との1on1ピッチ,現地業界関係者とのネットワーキングを行う予定だ。
募集対象は,海外展開を目指す日本国内のインディーゲームスタジオ。法人・個人は問わず,立ち上げ段階から成長途中にあり,実際に遊べる試作版を用意しているチームが対象となる。PC,コンソール,モバイル向けのゲームに加え,ゲームに関連する技術やサービスを手がけるチームも応募できる。
募集締切は2026年7月26日23:59。募集人数は8組となっている。応募条件などの詳細は以下のJETROサイト内の情報ページで確認してほしい。
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